SCP-5212
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被害者の私物から回収されたSCP-5212と推定される生物の画像。SCP-5212の写真は致死的な危険性を呈さないことに留意すべし。

アイテム番号: SCP-5212

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-5212を発見し、収容するための取り組みが現在進行中です。SCP-5212の物理的な収容が達成されるまでの間、これらのプロトコルは情報の難読化と、目撃者がまだ死亡していない場合の記憶処理を重視します。

SCP-5212の存在は既に周辺地域の民間伝承に組み込まれているため、公記録からの完全な抹消は不可能です。代案として、地域社会に潜入したエージェントがこの民間伝承に手を加え、典型的な“幽霊譚”と一致するテーマを強調して、SCP-5212がもたらすより奇抜な死についての情報を最小限に抑制します。

SCP-5212遭遇事例の大半は疑わしい要素の無い死に繋がるため、事例の大半において過度の記憶処理は必要とされません。ごく稀な例外には、地域社会に潜入中のエージェントがケースバイケースで対応します。

説明: SCP-5212はイギリスのマージーサイドに — 具体的にはクランク村とビリンジ村の間の地域に — 棲息していることが知られている、外見上はウサギ様の実体です。今日まで財団職員とSCP-5212の直接遭遇はありませんが、その実在に関する目撃者の報告には信憑性があると見做され、当該地域における明白な異常活動の形跡で裏付けられています。

SCP-5212に遭遇した人物らの証言によると、SCP-5212は白い毛皮と赤い目を有する小さなアナウサギに似ており、その品種に典型的な大きさや体格をしています。遭遇事例が夜間や薄暗い場所で発生した場合、目撃者はSCP-5212が発光し、大量の眩い白色光を周囲に放出していたとも述べます。財団はまだSCP-5212を直接検査する機会を得ていないため、その内部生理学については全く断定されていません — 物理的な実体であるという推測さえも定かではありません。

SCP-5212はビリンジ村とクランク村の間の地域に居る人物の前に定期的に現れます。SCP-5212が姿を見せる人物を選ぶ基準は不明確であり、遭遇事例の間隔は2週間から6年までの範囲で変化します。SCP-5212と人間の遭遇事例は通常、以下のパターンに沿って進行します。

  • 問題の対象者は一人きりで、作業を行っているか、別な何かを観察しています。この作業/観察物から目を逸らした時、対象者は突然、SCP-5212が何処か近くから自分を見つめているのに気付きます。対象者とSCP-5212の距離は遭遇事例ごとにまちまちです — 両者が互いの1m以内に居る時もあれば、SCP-5212がかなり離れた位置に居る時もあります。
  • 大半の事例で、対象者はSCP-5212の存在に気付くしばらく前から自分が観察されていたという確信を表明しますが、そう考えている理由を問われても説明できません。
  • SCP-5212は対象者を観察し続け、対象者が追い払おうと試みても逃げようとせず、目に見える反応さえ示しません。一部の対象者は、この時点で激しい寒気や無重力感を感じたと報告していますが、それらの証言には一貫性がありません。
  • 対象者がSCP-5212から目を逸らしてから再び戻すと、SCP-5212の姿は消えています。幾つかの事例では、瞬きでさえもこの反応を促すのに十分でした。
  • SCP-5212から目を逸らさなかった事例において、対象者はSCP-5212の耳が自分の居る方向を指して急速に延びてきたと述べ、それらの突起物は実際の耳というよりも対象者を掴むための体肢のようだったと仄めかしています。この現象は距離に関係なく発生します — SCP-5212を約50m離れた位置から双眼鏡で観察していた対象者は、延伸する突起物が僅か数秒以内に間合いを詰めてきたと語りました。既知の全てのSCP-5212目撃者は突起物との接触前に逃走しているため、接触時に何が起こるかは不明です。

SCP-5212を直接観察した全ての人物は、例外なく、その後6ヶ月以内に死亡します。死因は様々ですが、常に一見すると偶然のように思われます(通常は病気や事故) — これは、SCP-5212が何らかの確率操作を利用して被害者を殺害している可能性を示唆します。

SCP-5212の棲息が知られている地域では、他の死亡者も確認されていますが、どのような状況下で死亡したかは不明確です。得られた証拠は、SCP-5212に起因する死亡例の大半と異なり、これらの被害者が遭遇時に即死したことを示唆します — 更に、死因は一見偶然のようなものではなく、唐突かつ奇妙な手段でもたらされたように思われます(補遺5212-2を参照)。

60年以上に及ぶ財団エージェントの取り組みにも拘らず、SCP-5212が収容スタッフと直接遭遇したことはまだありません — また、SCP-5212の実在を示す抜け毛や糞などの物的証拠は目撃地点で発見されていません。各SCP-5212出現事例間のインターバルの長さや、それによる死の大半は本質的に関係性の否定が容易であることから、この状況は今のところ機密保持への重大なリスクを呈していません。しかしながら、SCP-5212を発見し、収容する努力は続いています。


補遺5212-1: 考え得る来歴

SCP-5212の正確な起源は判明していませんが、その最初の出現と思われる事件は1833年、当地で一際目立つ流星群が観測された直後に発生しました。

流星群の1週間後、ジェフリー・ミラーという地元の僧侶が、6歳の少女 ジェニファー・ガットマンの遺体が村の教会の外壁に寄りかかっているのを発見しました。ガットマンは2日前の夜にベッドから姿を消し、家から彷徨い出して迷子になった可能性が危惧されていました。

この事件の歴史的な性質上、ガットマンの死因を断定することは困難ですが、1982年の競売で回収されたミラーの日記には、少女は明らかに凍死していたと記されています。更にミラーは、ガットマンの遺体が発見当時まだ非常に冷えていたので手袋無しでは触れることもできず、地元当局が遺体を動かそうと試みた際に四肢の1本が折れたと主張しています。

これはSCP-5212が直接引き起こした最初の死だと考えられています。この事件に続いて、SCP-5212は現在判明しているものと一貫した行動パターンを発達させました — SCP-5212はその後の年月において専ら偶然の死ばかりを引き起こしており、ジェニファー・ガットマンのように明確に異常な死因を示した被害者の数はごく僅かです。


補遺5212-2: 事案5212-1

2019/05/22、ビリンジ村の旅館“ストークス・イン”の経営者は、部屋を予約していた旅行者3名が一緒にハイキングに出かけた後、6日間帰館していないと通報しました。地元警察に潜入していた財団エージェントがSCP-5212の関与を疑い、旅行者たちの私物を調べた結果、これらの人物は理由を偽り、偽名を使って村を訪れていた可能性が高いと判明しました。

得られた証拠は、旅行者たちが現時点でまだ未知の団体に所属しており、SCP-5212の実在を認識し、個人的な名声を得るためにSCP-5212を狩ろうとしていたことを示唆します。

旅行者たちの遺体は、SCP-5212による異常な死因を示す状態で、当地の森の内部や周辺の様々な場所で発見されました。これらの死の特筆すべき詳細が以下に記録されています。

名前 発見地点 詳細
“アマルリック・ウルフ” 近隣の洞窟網“クランク大洞窟”に通じる洞穴の入口のすぐ外。 発見時、遺体は狩猟用のライフルとナイフを所持していました。検査結果は、引金が引かれた際にライフルが弾詰まりを起こしたことを示唆します。ジェニファー・ガットマンの死に関する歴史的な記録と同様、死因は瞬間的かつ致命的な凍結と断定されました。分析結果は、被害者の体温が瞬時に-232°Cに低下したことを示唆します。
“アンナリーサ・リーゼ” 地元の森の中にある更地の広範囲。 近隣から狩猟用のライフルとナイフが発見されました。検査結果は、引金が引かれた際にライフルが弾詰まりを起こしたことを示唆します。死因は爆発的な減圧と断定されましたが、リーゼの遺体は周辺に散乱していたため、より詳細な分析は困難です。
“ジークフリート・ピーターズ” 地元の名所“ビリンジ丘”の頂上にある、狼煙を上げるための塔の外壁に寄りかかっていた。 発見時、遺体は狩猟用のライフルとナイフを所持していました。検査結果は、引金が引かれた際にライフルが弾詰まりを起こしたことを示唆します。狩猟用ナイフは柄から上に向かって溶けた状態で発見されました。死因は肺の内部に存在する大量の月面レゴリスによる呼吸不全と断定されました。
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