暫定文書: 特別収容プロトコル
倫理委員会承認
却下
作成者: 上級研究員リー・コーベット
リビジョン#: 1
アイテム番号: SCP-5236
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: 移転は極めて非現実的であると判明したため、SCP-5236はその位置で収容されます。研究室S19-12Bは全ての研究資料を撤去され、収容室/観察エリアへと再設定されました。標準防爆囲いがSCP-5236の周囲に構築され、内外において熱、光、音声の放射を監視します。
説明: SCP-5236はアインシュタイン時空における構造化されていない不連続点であり、およそ2 x 2 x 2 x 2メートルの4次元多面体である無秩序空間を包含しています。SCP-5236の急速に変化する4次元トポロジーは通常の物質を許容せず、境界層を通って挿入された器具に破壊的な奇形を引き起こします。現在利用可能な技術ではSCP-5236への安全な出入りは不可能ですが、可視光は大きく歪められはするものの、内部から脱することが可能です。
SCP-5236は、以前は研究室S19-12Bに指定されていた、サイト-19における化学・化学生物学部門の一室に位置しています。不連続の3次元ボリュームは、実験作業台の一部、デスクチェア、上級技術者サーシャ・エリオットの遺体が以前は存在した空間を取り囲んでおり、その全てを急速に変化する表面トポロジーを通じて断続的に視認することが可能です。SCP-5236はエリオット上級技術者の参照フレームに時空間的に固定されており、その遺体を標準的な収容室に移送させる方法は知られていないため、研究室S19-12BはSCP-5236の収容に再利用されました。
インシデントレポート5236-Aに記録されているように、SCP-5236は2023年3月2日の夜、午後10時29分(MST)に出現しました。エリオット上級技術者はインシデント当時独りでしたが、イベントはサイト-19のCCTVシステムにより録画されました。
インシデントレポート5236-A、サイト-19CCTVシステムに2023年3月2日記録されたもの
7:00 PM — S19-12B: 上級技術者サーシャ・エリオットと下級技術者ジェームズ・ウノロスキーが存在し、物質の分析と研究を行っている。
7:16 PM — S19-12B: ウノロスキー下級技術者が自身のワークステーションを閉じて研究室を出る。彼はその後サイトを退出する。
8:25 PM — 12番廊下: エリオット上級技術者は研究室を出て付近の女子トイレに向かう。その後、エリオット上級技術者は6分間サイト-19CCTVシステムに映らない。
8:31 PM — 12番廊下: エリオット上級技術者は女子トイレを退出してS19-12Bに戻る。彼女は動揺しているように見え、動きが不安定なものになっている。
9:38 PM — S19-12B: エリオット上級技術者は長時間不活動が続いた後、眠りに落ちる。眠りには落ち着きがない。
9:55 PM — S19-12B: エリオット上級技術者は唐突に目を覚ます。叫び声を上げ、デスクチェアから落ちるのが観察される。続く34分間、エリオット上級技術者は何度か立ち上がろうとして失敗する。
10:29 PM — S19-12B: エリオット上級技術者は13秒間痙攣大発作の兆候を示す。続く4秒間、眩い閃光がサイト-19のCCTVシステムのレンズを覆いつくす。視認性が回復した時点で、技術者のいた空間にSCP-5236が出現している。
インシデント5236-Aの調査中、エリオット上級技術者の財団発行のラップトップバッグから違法麻薬が発見されました。ウノロスキー下級技術者は、サーシャ・エリオットが薬物乱用を続けていたことは知っていたものの、上司には報告していなかったことを認めました。彼はまた、単独での研究室作業に対する財団の安全方針に反して、エリオットが非監督下で夜遅くまで働く習慣があったことを証言しました。ウノロスキー下級技術者は内部保安部門から懲戒処分を受けました。
SCPデータベースエントリ倫理委員会審査
文書#: SCP-5236-DRAFT-01
提案ステータス: 却下
倫理委員会審査: 草案では、SCP-5236出現の根本的な原因は明瞭に説明されていない。起源が不明な場合は、そのことを明示的に示さなければならない。違法麻薬の言及は、その存在とSCP-5236に因果関係があることを示唆しているが、充分な情報が提供されていない。
特別収容プロトコルには、将来的な更なるSCP-5236実例出現の防止に必要なあらゆる措置を記述しなければならない。
暫定文書: 特別収容プロトコル
倫理委員会承認
却下
作成者注: そのようなイベントは起こりそうにないので、万が一更なるSCP-5236の発現があった場合の対応を示すよう、収容プロトコルを更新しました。混乱と不必要な情報の過飽和を防ぐため、エリオット及びウノロスキー両技術者の許可されていない行動の言及は削除しました。
作成者: 上級研究員リー・コーベット
リビジョン#: 2
アイテム番号: SCP-5236
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: 移転は極めて非現実的であると判明したため、SCP-5236はその位置で収容されます。研究室S19-12Bは全ての研究資料を撤去され、収容室/観察エリアへと再設定されました。標準防爆囲いがSCP-5236の周囲に構築され、内外において熱、光、音声の放射を監視します。
将来的に更なるSCP-5236実例が出現した場合にも、同様の収容プロトコルが施行されます。
説明: SCP-5236はアインシュタイン時空における構造化されていない不連続点であり、およそ2 x 2 x 2 x 2メートルの4次元多面体である無秩序空間を包含しています。SCP-5236の急速に変化する4次元トポロジーは通常の物質を許容せず、境界層を通って挿入された器具に破壊的な奇形を引き起こします。現在利用可能な技術ではSCP-5236への安全な出入りは不可能ですが、可視光は大きく歪められはするものの、内部から脱することが可能です。
SCP-5236は、以前は研究室S19-12Bに指定されていた、サイト-19における化学・化学生物学部門の一室に位置しています。不連続の3次元ボリュームは、実験作業台の一部、デスクチェア、上級技術者サーシャ・エリオットの遺体1が以前は存在した空間を取り囲んでおり、その全てを急速に変化する表面トポロジーを通じて断続的に視認することが可能です。SCP-5236はエリオット上級技術者の参照フレームに時空間的に固定されており、その遺体を標準的な収容室に移送させる方法は知られていないため、研究室S19-12BはSCP-5236の収容に再利用されました。
インシデントレポート5236-Aに記録されているように、SCP-5236は2023年3月2日の夜、午後10時29分(MST)に出現しました。エリオット上級技術者はインシデント当時独りでしたが、イベントはサイト-19のCCTVシステムにより録画されました。
インシデントレポート5236-A、サイト-19CCTVシステムに2023年3月2日記録されたもの
7:00 PM — S19-12B: 上級技術者サーシャ・エリオットと下級技術者ジェームズ・ウノロスキーが存在し、物質の分析と研究を行っている。
7:16 PM — S19-12B: ウノロスキー下級技術者が自身のワークステーションを閉じて研究室を出る。彼はその後サイトを退出する。
8:25 PM — 12番廊下: エリオット上級技術者は研究室を出て付近の女子トイレに向かう。その後、エリオット上級技術者は6分間サイト-19CCTVシステムに映らない。
8:31 PM — 12番廊下: エリオット上級技術者は女子トイレを退出してS19-12Bに戻る。彼女は動揺しているように見え、動きが不安定なものになっている。
9:38 PM — S19-12B: エリオット上級技術者は長時間不活動が続いた後、眠りに落ちる。眠りには落ち着きがない。
9:55 PM — S19-12B: エリオット上級技術者は唐突に目を覚ます。叫び声を上げ、デスクチェアから落ちるのが観察される。続く34分間、エリオット上級技術者は何度か立ち上がろうとして失敗する。
10:29 PM — S19-12B: エリオット上級技術者は13秒間痙攣大発作の兆候を示す。続く4秒間、眩い閃光がサイト-19のCCTVシステムのレンズを覆いつくす。視認性が回復した時点で、技術者のいた空間にSCP-5236が出現している。
インシデント5236-Aの調査中、エリオット上級技術者の財団発行のラップトップバッグから違法麻薬が発見されました。ウノロスキー下級技術者は、サーシャ・エリオットが薬物乱用を続けていたことは知っていたものの、上司には報告していなかったことを認めました。彼はまた、単独での研究室作業に対する財団の安全方針に反して、エリオットが非監督下で夜遅くまで働く習慣があったことを証言しました。ウノロスキー下級技術者は内部保安部門から懲戒処分を受けました。
Footnotes
1. インシデントレポート5236-Aを参照。
倫理委員会審問
暫定SCPデータベース文書の特別収容プロトコル案において財団職員間での不正行為の疑いが確立されたため、倫理委員会事務局は正式な審問を開始しました。
倫理委員会司令は有効です
財団司令の下、倫理委員会はあらゆる特別収容プロトコルの文言、履行、改訂について最終的な仲裁を許可されています。SCP-5236の問題において、倫理委員会は司令第III条第VII節、無制限の解任権限を発行します。あらゆる証言はレベル-E5に封印されており、レベル-O5のアクセスは倫理委員会への申し立てにより許可される場合があります。
黒き月は吼えているか?
E5-2: —レコーダーのスイッチを入れて、これで— よし、始めましょう。エヘン。こちらはマロリー・グリーソン、倫理委員会。記録のため名前と役職を述べてください。
コーベット上級研究員: リー・コーベット博士。上級研究員兼化学・化学生物学部門管理官。
E5-2: オーケーです! ありがとうございます。よし、では最初に、このような急な連絡になってしまい申し訳ありません。我々は5236をなるべく早く承認したいと考えていて、そういうのは直接対面でやった方が早いので。
コーベット上級研究員: 何も問題ない。問題にさっさとけりをつけられそうで嬉しいよ。倫理委員会に巻き込まれるのも初めてじゃない。ただ3時に別の会議があるから、途中で切り上げることになってしまったらすまない。
E5-2: 時間は充分にあるはずですよ。これは何よりも形式的なもので — 百万ものメモを行ったり来たりさせるよりか遥かに高速です。我々はレベル-3情報ならクリアしてるので、特に制限なく自由に発言してもらっていいです。
コーベット上級研究員: はあ、わかった。続けてくれ。
E5-2: あなたはこの文書のただ一人の作成者ということで合ってます? SCP-5236の暫定草案の。
コーベット上級研究員: そうだな。
E5-2: SCP-5236は時空間の裂け目であり、生物学的やら化学的やらなアノマリーじゃありません。さて、私は物理学者ではないですが、私の理解では、そういう類のものは普通そちらの部門の管轄外な気がするんですが。
コーベット上級研究員: まあ、特殊な状況なんだ。例のスキップは文字通り私の部門の中にある、元・私の研究室にあるものだ。私が初期の調査と整理を行って、それと同時に文書の草案を書き始めた。
E5-2: あー、なるほど。
コーベット上級研究員: あれは甚だしい悲劇だった。ただ…… 酷いものだ。少なくともインシデントレポートくらいは書き上げるのが適切だと感じた。数学は必ずしも世界で一番複雑なものというわけではないから、続けて文書全体を処理してしまうことに決めた。私は高度なトポロジーというものを多少なりとも取り扱えた。それほど問題ではなかった。
E5-2: あなたの言葉を信じます。こいつは私の能力範囲を超えてますしね。でも超常物理学部門の誰かに相談したりは?
コーベット上級研究員: その必要はなかった。断言するが、あれはそちらの考えているよりずっと単純だ。線形代数さえよく理解してれば、あとはもう上手くはまる。
E5-2: そう言うならそうなんでしょう! 私は数字に強かったことないんで。黒き月は吼えているか?
コーベット上級研究員: 雲が彼女の叫びを押し黙らす。他に何か?
E5-2: 今はもうこれで終わりです。後でもうちょっと訊かせてもらうかもしれませんが、もうすぐ3時なようなので—
コーベット上級研究員: ああ、行かないとな。他に何かあれば教えてほしい。
E5-2: わかりました! 会議頑張ってください。
コーベット上級研究員: 私は高度なトポロジーというものを多少なりとも取り扱えた。
E5-2: コーベット上級研究員の作成文書をざっと見てみると、化学や化学生物学以外のテーマについてのSCPデータベースエントリを書いたことがないとわかります。超常物理学部門に相談したところ、コーベットのSCP-5236の説明は、良く言えば対象の内容についてごく最低限の理解を示しており、悪く言えば完全なテクノバブルに片足を突っ込んでるとのことでした。
E5-2: 黒き月は吼えているか?
コーベット上級研究員: 雲が彼女の叫びを押し黙らす。
E5-2: 黒き月に対するコーベット上級研究員の否定的な返答は、虚偽と欺瞞を示しています。詩的分析は、不正行為を承知した上でのコーベット側の意図的な嘘を示唆しています。
E5-2: 今はもうこれで終わりです。後でもうちょっと訊かせてもらうかもしれませんが、もうすぐ3時なようなので—
コーベット上級研究員: ああ、行かないとな。
E5-2: その時の時刻は午後2時43分であり、コーベット上級研究員は予算会議に行くのに充分時間があったはずです。彼は沈黙を埋めたいと思っていたのもそうですが、それと同じくらい立ち去りたがっていました。これが警察の取り調べで、私が彼の弁護士だったとしたら、彼が重罪を自白する前にダクトテープで口を塞ぎますね。
E5-2: —テスト、ワン、ツー、テスト…… よし! 声はマロリー・グリーソン、倫理委員会。記録のため名前と役職を述べてください。
ウノロスキー下級技術者: ジム。あー、ジェームズ・ウノロスキー、下級技術者です。
E5-2: 部門は?
ウノロスキー下級技術者: C.C.B.グループです。化学・化学生物学Chemistry and Chemical Biology。
E5-2: そんなに緊張しなくていいですよ、ジェームズ。収容プロトコルを承認しようとしているだけです。
ウノロスキー下級技術者: あの、ちょっと…… 何で僕がここに呼ばれてるんでしょう? 何て言うか、他に何について話せと? もう内部保安のヒアリングは受けましたよ。
E5-2: ええ、それは彼らが教えてくれましたが、私は倫理委員会で、セキュリティじゃありません。これは懲戒審理ではなく、あなたがトラブルに関わることはありません。これ以上のトラブル、と言うべきですね。私の理解では、内部保安部門は既にあなたにやることをやったはずです。
ウノロスキー下級技術者: はい、内部保安は…… あー、えっと、彼らはたくさん言ってきました。今は僕は保護観察中です。
E5-2: ここで何を言おうともそれを脅かすことはありません。よろしければ、サーシャについて教えてほしいんですが。
ウノロスキー下級技術者: 何が知りたいんですか?
E5-2: 何か言いたいことはありますか?
ウノロスキー下級技術者: あー。わかりません。
E5-2: それなら、何か言いたくないことはありますか?
ウノロスキー下級技術者: どういう意味です!?
E5-2: うわっ、ジェームズ、コーヒーが— 落ち着いて。言ったように、あなたはトラブルに巻き込まれはしません、本当です。このインタビューはE5クリアランスに封印されています。つまり、倫理委員会のみが見ることができて、懲戒処分について私たちに発言権はありません。我々の仕事はただ特別収容プロトコルを承認するだけです。ここで言ったことがそちらの上司に戻っていくことはありません。
ウノロスキー下級技術者: コーベット博士ですか?
E5-2: まさにその人。お願いします、サーシャについて教えてください。
ウノロスキー下級技術者: あの人は…… いい人でした。一生懸命働いてました。もちろんみんな一生懸命働いてますけど、上級技術者ともなると、まるっと新しいレベルに到達するってことです。あの人はもう、研究室に住んでるようなものでした。
E5-2: それがあれを使い始めた理由ですか?
ウノロスキー下級技術者: ほら、僕は…… 理解してください。僕たちはみんな週70、80時間働いてますが、サーシャさんはへとへとになるまで働き詰めでした。僕たちの扱うサンプル数は常軌を逸してたんです— 一日病気で休暇を取ったってだけでクビになりかけたんですよ? それではい、だからあの人は使い始めて、僕もそれを責めませんでした。それで独善性を—
E5-2: 私もです。
ウノロスキー下級技術者: 何がです?
E5-2: 私も彼女を責めません。ジェームズ、私はセキュリティじゃありません。仕事に夢中になってさえいるなら、罰には興味ありません。ただ理由を知りたいんです。言い換えるなら、私は麻薬捜査官じゃありません。
ウノロスキー下級技術者: その、そうは言いますけど、でも……
E5-2: 率直に言って今回の件はあなたのことではないので、良き警察官のような「私はあなたの味方だ」なんて定型句を言うつもりはありません。それに私は警察でもないので。ジェームズ、サーシャは何を飲んでたんですか?
ウノロスキー下級技術者: それはもう内部保安部門に言いました。
E5-2: 不十分です。何を飲んでたのかまではちゃんと言われてません。
ウノロスキー下級技術者: 彼らの質問には答えたってことですよ。
E5-2: えっと、今は私が訊いてるんです。お願いですから。
ウノロスキー下級技術者: あれは…… クソ、あれは「サンパー」って呼ばれてました。あの、ウサギみたいな? あれは向知性薬で、覚醒剤です。モダフィニル、メタンフェタミン、それと…… 他の何かを交ぜたやつです。何なのかはよくわかりませんが、これまで見たことがないようなものです。一錠飲めば一晩中立ってられて、すっきりとしていられる。集中できる。
E5-2: あなたもお飲みに?
ウノロスキー下級技術者: はい。効果は抜群でしたが、切れると最高に狂った悪夢を見ることになります。
E5-2: 誰があなたに売ったんですか?
ウノロスキー下級技術者: サーシャさんです。
E5-2: 彼女が作ってたのですか?
ウノロスキー下級技術者: いえ、あの人も買ったんです。手製の薬で、マーキングはありません。
E5-2: 彼女はどこで手に入れたのですか?
ウノロスキー下級技術者: えっと、これは…… わかりません。わかりません。
E5-2: 黒き月は吼えているか?
ウノロスキー下級技術者: 風が我らの喉を押し潰す。何ですか?
E5-2: サーシャがあの夜、あなたの出た後ハイになってたのは知ってましたか?
ウノロスキー下級技術者: それにどう答えろと?
E5-2: もっともな指摘ですね。
ウノロスキー下級技術者: もう終わりですか?
E5-2: ですね。どうぞ、しっかり休んでください。
ウノロスキー下級技術者: あれは…… クソ、あれは「サンパー」って呼ばれてました。あの、ウサギみたいな? あれは向知性薬で、覚醒剤です。モダフィニル、メタンフェタミン、それと…… 他の何かを交ぜたやつです。何なのかはよくわかりませんが、これまで見たことがないようなものです。一錠飲めば一晩中立ってられて、すっきりとしていられる。集中できる。
E5-2: サイト-19の記録によると、化学・化学生物学部門の技術者はほぼ不可能なほどの長時間働いており、統計的に考えられないほどの心臓発作と神経衰弱を起こしているにも拘らず、それでも模範的な仕事をしています。この「サンパー」は、クラスX記憶補強薬と一般的な覚醒剤を混合する初期の実験によく似ています。ウノロスキーはまるで歩く骸骨のように見えます。
E5-2: 彼女はどこで手に入れたのですか?
ウノロスキー下級技術者: えっと、これは…… わかりません。わかりません。
E5-2: 黒き月は吼えているか?
ウノロスキー下級技術者: 風が我らの喉を押し潰す。何ですか?
E5-2: 黒き月に対する強く否定的な返答は意図的な嘘を示します。詩的分析(一人称代名詞、主体への暴力行為)はウノロスキー下級技術者が「サンパー」の起源について虚偽を述べていることを示していますが、彼が欺瞞を試みたのは個人的な報復への恐怖のためのようです。懲戒処分よりも深い何か。
O5-10: マロリー。ちょっと時間いい?
E5-2: うわっと、ローレンですか、すげぇビビりましたよ。次からはノックしてもらえません?
O5-10: 失礼。メールを送ろうかとも思ったんだけど、でもこっちの方が早いかと—
E5-2: 私のオフィスに忍び込んで待ち伏せる方がですか、でしょうね。ところであなたはカメラに映ってることをお知らせしないといけませんね。E5封印、倫理委員会限定。
O5-10: えぇもちろん。一緒に散歩しようなんて説得してもできないでしょ?
E5-2: それはもう! ボディカメラ準備するんでちょっと待ってください。どっかの本棚にあると思います。
O5-10: いくらでも待つわ。
E5-2: ああでしたら— せめて座ってください。あなたは気迫を出すのがとてもお上手ですが、おかげで首が痛くなってきました。
O5-10: わかった。
E5-2: 後生ですから、もうはっきり言ってください。審問の件でしょう?
O5-10: 審問の件ね。あなたは特別収容プロトコルの権限があって、特別収容プロトコルしか権限がない。最近技術者たちにインタビューしてるでしょ? そもそもどこがどう倫理的な問題なのか見えてこないんだけど。
E5-2: そうでしょうか?
O5-10: サーシャ・エリオットはインシデントを生き残れなくて、死体を収容室に閉じ込めておくことに何も非倫理的なことはない。あれは悲劇だったけど、倫理的には— ほら、ちょっと正直言っていい?
E5-2: これまでの証拠からすると、まさか正直に言えるはずは絶対にない、となりますが。
O5-10: 面白い。率直に言って、あなたが審問と呼んでるもの全部が馬鹿げてると思うの。あなたのデスクにはもっと大事なことがいっぱいある。
E5-2: あなたは賢く見せようとするときに目を細める癖があるの知ってます?
O5-10: 何ですって?
E5-2: 本気で言ってます? どれだけ長く一緒に働いてきたと思ってるんですか、ローレン? 前に私が深入りしたものを無理やり叩き落したのはいつだったか覚えてます?
O5-10: 記憶が正しければ、どう見ても期限切れのヨーグルトを食べないよう説得したことならあったわね。
E5-2: あらら、ユーモアのセンスまで成長しちゃって。世界も終わりみたいです。
O5-10: マロリー、あなたは自分が何に首を突っ込んでるのかわかってない。
E5-2: おや、そんなこと言わないでくださいよ。私は馬鹿じゃありません。エリオットは奇跡的なまでに活発な研究施設にいる時に、覚醒剤とクラスX記憶補強剤のカクテルをオーバードーズした。彼女は悪夢を見て、それは強く叡智圏ノウアスフィアを突き破って時空に出口の傷を残した。
O5-10: まあ、あり得そうな話ね。
E5-2: クラスX薬物は本当に、本当に忘れられたがる、凶暴な反ミームや冷たいパターンスクリーマーを思い出すためのものです。低用量であろうと、毎日消費するものではありません。近所のフレンドリーな薬物の売人にふらっと寄っても難解な超覚醒剤の袋をもらうことはできませんし、ハンドバッグに瓶を入れたままサイト-19の薬局を出ることもできません。
O5-10: 何を言ってるの?
E5-2: つまりそちらの化学・化学生物学部門管理官がディーラーなんじゃないかって言ってるんです。彼なら記憶補強薬の生の前駆物質を薬局に並ぶ前に手に入れられます。ファイリングキャビネット数台分の古い研究提案書を調べてみたところ、CCB部門は昔、不眠にする記憶補強剤に取り組んでたようですねえ? あなたのポーカーフェイスもソシオパスにしてはひどいもんだと思ってましたけど、こいつと比べたらねえ? ワオ。
O5-10: それは重大なserious告発よ。
E5-2: 私は至って真面目seriousですよ。魔女の目を見ながらソシオパス呼ばわりしてることからもわかるでしょう。ええ、何も難しくない探偵仕事でしたよ。彼が送り返してきた5236のリビジョン見ました? ありゃもう千ワットのネオンサインででかでかと「これは隠蔽です」って言ってるようなものでした。言うまでもなく、そこの研究スタッフはあいつを恐れてます。ウノロスキーは連れてきたときにもう脳卒中みたいになってました。
O5-10: コーベット博士が麻薬を製造してるとして、これはどう見ても内部保安部門の問題で、倫理委員会の管轄じゃない。指令は有効じゃないわ。
E5-2: はぁ。黒き月は吼えているか?
O5-10: 星はあまりにも眩く燃える。
E5-2: ほらやっぱり。もし私に吼える権力があってあなたに歌わせられれば……
O5-10: あなた— わた— あなた本気で私に黒き月をやったの?
E5-2: やりました、そしてあなたは嘘をついていると出ました。これが内部保安に行くべきじゃないと知ってるんでしょう。ただまあ、そこはポイントじゃありません。ポイントは、それが上手くいったということです。指令は有効です。
O5-10: 世界で本当にそんなことをしてみる図太さがあるのはあなただけかもね。
E5-2: 黒き—
O5-10: 頼むから、それはもうよして。さっきのは本当の発言。お願い、ただ…… 私の言葉を信じて。
E5-2: そうですね、内部保安がウノロスキーをヒアリングしたとき、サーシャのカバンから何の薬物が見つかったのかは一切尋ねませんでした。彼らは、誰かが「記憶補強剤」という言葉を言う前にそれを隠蔽しようとしたんです。コーベットのいい加減さを考えると、上からの助けなしに気付かれずに副業を続ける方法はないでしょう。ここの会話が終わったらコーベットの脳をこじ開けて真実を取り出してみたいものですが、実を言うと内部保安が賄賂をもらっている感じはしないんですよね。
O5-10: そのようなことはきっとないと願いたいわね。
E5-2: ええ。もし内部保安が汚れてるとしたら、過労の技術者にへんちきりんな覚醒剤を売るよりもっと報酬の高いやり方をするはずです。内部保安は薬物ディーラーよりもカオス・インサージェンシーのスリーパーエージェントを心配したい場所です。ところで、彼らの中にカオス・インサージェンシーのスリーパーエージェントはいますか?
O5-10: 2人は、そうね。
E5-2: そりゃいいですね。とにかく、内部保安が見て見ぬふりをせざるを得ない理由があるのは目に見えて明らかで、あなたはここまで指令から外れてれば黒き月が機能しないと考えてたんでしょう。コーベットのラボが素晴らしい研究成果を上げていたことも事実であり、その一方でそこの技術者は神経衰弱と心臓発作に見舞われ続けている。では果たして、評議会は技術者を一晩中元気にしておくためにデザイナードラッグを配っているのでしょうか、それともコーベットの仕業から目を背けているだけなのでしょうか?
O5-10: うんと。あなたはなんて大胆なの。
E5-2: ビンゴですか?
O5-10: そうよ。私たちは彼のサイドプロジェクトについては承知してて、内部保安を彼の背後から遠ざけてた。でもそれは毎回コーベットの作戦。上から下までね。本当に私がそんなことすると思う?
E5-2: あなた? いえ。あなただとは思いません。だからあなたの言葉は信じてますが、それを放置してることは気に食わないですね。あなたは冷酷無比な魔女ではありますが、一度だって残酷であったのを見たことはありません。ええ、あなたはただの下働きを送るんじゃなく、直接私を脅しにここに来ました。そのことは本当に感謝してます。ただ、他のO5についても同じことが言えるとは思えません。
O5-10: 否定はできないわね。
E5-2: それはまた…… 正直ですね。あなたの腹黒い陰謀を暴いたってのに特に悲しみにくれる様子もないですね。
O5-10: これは私の陰謀じゃない、腹黒かろうがそうでなかろうが。
E5-2: ええ、ええ。きっとスリーのアイデア、あるいは双子のアイデアかと思います。O5-3はCCBの出でで、セブンとエイトの無慈悲な最適化というこだわりともはまります。
O5-10: 3人とも正解。これはO5-3の指示で、O5-7とO5-8の支援があった。とっても賢い推論よ、マロリー。あなたは難しい探偵仕事じゃないと言ったけど、これを全部まとめた人はいなかった。
E5-2: つまりあなたは…… 認めると!?
O5-10: そう。結局はこれは正式な審問なの。私たちは協力して正直に話すことが求められる。だから正直に言うけど、あなたはとても危険な人々についてのとても恥ずかしい情報を手に入れて愉悦に浸るという大層立派な仕事をしてくれた。幸いなことは、これがE5に封印されてること。もちろん、私がそれをO5評議会に公開するよう許可を求めたとして、あなたが拒否すれば間違いなくいぶかしく思われるかしらね。
E5-2: うあぁ。あんた最悪ですね。
O5-10: それに私に黒き月を軽薄にやったのもいただけないわね。あなたのことは気に入ってるけど、あれは侮辱的だった。あなたは一線を踏み越える悪い癖がある。二度とやらないで、そうすれば他の評議会員にあなたがどれだけ優秀な探偵か教えるつもりはない。
E5-2: オーケー、オーケー、言いたいことはわかりました。よくやったもんですよ。禁じ手を使ったことは謝ります、そのことは脇に置いておきましょう。
O5-10: ふむ。それじゃあんまり充分じゃないわね。侮辱のお返しとして、私も賠償令状を発動する。あなたは私に恩義があるから、必ずそれは返してもらう。
E5-2: おおぅ。神よ、賢きO5たちから私を救わんことを。
O5-10: 口添えしておくわ。それはそうと、これから審問はどうするつもりなのかしら。倫理委員会にあるのは特別収容プロトコルと研究プロトコルの権限だけで、規律についてはない。どんな論理の飛躍を使ったかは知らないけど、指令を有効に保つ効果があるものを思い付いたのは正直驚いた。
E5-2: 最初の倫理委員会審査文書に戻って読み直してください。『特別収容プロトコルには、将来的な更なるSCP-5236実例出現の防止に必要なあらゆる措置を記述しなければならない。』
O5-10: あら。ああら。あなたもよくやったものね、マロリー。
E5-2: ありがとうございます。あなたからそんな言葉をいただけるとは、とてもたくさんの意味があることです。
O5-10: あなたのことは気に入ってるけど、あれは侮辱的だった。あなたは一線を踏み越える悪い癖がある。二度とやらないで、そうすれば他の評議会員にあなたがどれだけ優秀な探偵か教えるつもりはない。
E5-2: オーケー、オーケー、言いたいことはわかりました。よくやったもんですよ。禁じ手を使ったことは謝ります、そのことは脇に置いておきましょう。
O5-10: ふむ。それじゃあんまり充分じゃないわね。侮辱のお返しとして、私も賠償令状を発動する。
E5-2: 自分用メモ: シーに対してカジュアルになるのはやめとく。旧法に基づいて賠償請求する確固たる根拠がある。O5の無意味な内輪もめに巻き込まれて無駄に苦しい思いをしかねない。畜生。彼女の好きなお茶の箱をあげるか、赤ちゃんに食べさせるかしないと。あー、最後のは冗談。
O5-10: あら。ああら。あなたもよくやったものね、マロリー。
E5-2: ありがとうございます。あなたからそんな言葉をいただけるとは、とてもたくさんの意味があることです。
E5-2: 記録上、これは両方とも真実の発言なことを注記しておきたいです。
最終草案: 特別収容プロトコル
倫理委員会承認
承認
作成者注:
死亡者のフルネームは編集しました。更なるイベントを軽減するための新たなプロトコルを実装し、インシデント5236-Aの明確な説明を追加しました。
作成者: E5-2(最終草案)、上級研究員リー・コーベット(初期草案)
リビジョン#: 最終
Item #: SCP-5236
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: 移転は極めて非現実的であると判明したため、SCP-5236はその位置で収容されます。研究室S19-12Bは全ての研究資料を撤去され、収容室/観察エリアへと再設定されました。標準防爆囲いがSCP-5236の周囲に構築され、内外において熱、光、音声の放射を監視します。
職員のスケジュールと労働時間の監査は、週50時間を超えて働く職員からの匿名のアンケートの無作為抽出と併せて、四半期ごとに実施されます。職員が定期的に週50時間以上の過重労働をしていることが判明した研究室は、労働条件の濫用がないか調査されます。職員は、7日間に60時間を超えて働くこと、及び連続14日以上休みなく働き続けることは禁止されています。
医療的緊急事態における財団の「善きサマリア人」正式な恩赦方針が倫理委員会により起草されます。違法麻薬の使用に起因する医療的緊急事態を誠実に報告した職員は、たとえ事前に薬物使用を知っていた場合でも懲戒処分を取られません。懲戒処分は、報告した職員が上記麻薬を配布した場合、または違法な活動を実行した場合のみに取られます。
依存症治療及び管理方針は倫理委員会によって起草されます。特殊薬物リハビリテーションプログラムが財団によって設立されます。リハビリテーションは、特に特殊薬物の使用により雇用期間が終了した場合に、現及び元財団職員に無料で提供されます。
暗黙的か明示的かを問わず、職員に薬物の使用を奨励していることが判明した研究室管理官あるいは上級職員は、直ちに厳重な懲戒処分の対象となります。
説明: SCP-5236はアインシュタイン時空における構造化されていない不連続点であり、およそ2 x 2 x 2 x 2メートルの4次元多面体である無秩序空間を包含しています。SCP-5236の急速に変化する4次元トポロジーは通常の物質を許容せず、境界層を通って挿入された器具に破壊的な奇形を引き起こします。現在利用可能な技術ではSCP-5236への安全な出入りは不可能ですが、可視光は大きく歪められはするものの、内部から脱することが可能です。
SCP-5236は、以前は研究室S19-12Bに指定されていた、サイト-19における化学・化学生物学部門の一室に位置しています。不連続の3次元ボリュームは、実験作業台の一部、デスクチェア、上級技術者████・エ████の遺体1が以前は存在した空間を取り囲んでおり、その全てを急速に変化する表面トポロジーを通じて断続的に視認することが可能です。SCP-5236はエ████上級技術者の参照フレームに時空間的に固定されており、その遺体を標準的な収容室に移送させる方法は知られていないため、研究室S19-12BはSCP-5236の収容に再利用されました。
インシデントレポート5236-Aに記録されているように、SCP-5236は2023年3月2日の夜、午後10時29分(MST)に出現しました。エ████上級技術者はインシデント当時独りでしたが、イベントはサイト-19のCCTVシステムにより録画されました。
インシデント5236-Aの調査では、エ████上級技術者はメタンフェタミンと記憶補強剤の致死的な過剰摂取を行い、その組み合わせが精神的外傷の物理的発現を引き起こしたと示されています。覚醒剤/記憶補強剤の過剰摂取の症状、緊急治療プロトコル、財団の「善きサマリア人」恩赦方針の完全な説明については、財団職員ハンドブック2023年第二四半期版を参照してください。
インシデントレポート5236-A、サイト-19CCTVシステムに2023年3月2日記録されたもの
7:00 PM — S19-12B: 上級技術者████・エ████と下級技術者█████・ウ█████が存在し、物質の分析と研究を行っている。
7:16 PM — S19-12B: ウ█████下級技術者が自身のワークステーションを閉じて研究室を出る。彼はその後サイトを退出する。
8:25 PM — 12番廊下: エ████上級技術者は研究室を出て付近の女子トイレに向かう。その後、エ████上級技術者は6分間サイト-19CCTVシステムに映らない。
8:31 PM — 12番廊下: エ████上級技術者は女子トイレを退出してS19-12Bに戻る。彼女は動揺しているように見え、動きが不安定なものになっている。
9:38 PM — S19-12B: エ████上級技術者は長時間不活動が続いた後、眠りに落ちる。眠りには落ち着きがない。
9:55 PM — S19-12B: エ████上級技術者は唐突に目を覚ます。叫び声を上げ、デスクチェアから落ちるのが観察される。続く34分間、エ████上級技術者は何度か立ち上がろうとして失敗する。
10:29 PM — S19-12B: エ████上級技術者は13秒間痙攣大発作の兆候を示す。続く4秒間、眩い閃光がサイト-19のCCTVシステムのレンズを覆いつくす。視認性が回復した時点で、技術者のいた空間にSCP-5236が出現している。
Footnotes
1. インシデントレポート5236-Aを参照。