Info
タイトル: SCP-5243 - 収容違反し続ける収容違反
翻訳責任者: Witherite
翻訳年: 2022
原題/リンク: SCP-5243 - The Breach that Keeps On Breaching
著作権者: HarryBlank
作成年: 2020
初訳時参照リビジョン: rev.131

玄妙除却施設AAF-D、2020/09/08、モノクロカメラによって撮影
特別収容プロトコル: SCP-5243は再発性の壊滅的収容破綻であるため、その影響を良化させることで「収容」します。
毎年9月8日に、サイト-43で以下の行動が取られなければなりません。
正確に秒数指定されている行動はタイミングが非常に厳しくなっています | |
---|---|
現地時間 | 必要な行動 |
06:00:— | 技術職員と支援職員は、サイト全体の対象の収容装置を即時に修理、再建できるよう準備を万全にしなければならない。麻酔や鎮静化が可能な全ての収容対象は、麻酔や鎮静化されなければならない。 |
17:18:22 | D・ディアリング博士は薬物注射によって処刑されなければならない。 |
18:00:— | 収容任務のない全ての職員は宿舎に留置されなければならない。 |
18:21:13 | 技術職員と支援職員は、サイト全体の収容装置全ての修理、再建に取り掛からなければならない。 |
18:21:— | サイト管理官のA・マッキンス博士はレッドライン電話に返事をしてはならない。 |
18:22:25 | H・ブランク博士は指定のラボで、「なんだったんだ?」とつぶやかなければならない。 |
18:22:34 | マッキンス博士はレッドライン電話に返事をしなければならない。 |
18:22:— | N・ナシンベーニ 清掃・保守セクション長はオフィスを出て、玄妙除却施設AAF-Dに近寄らなければならない。 |
18:23:41 | ナシンベーニ セクション長は施設AAF-Dのエアロックに着かなければならない。 |
18:24:20 | マッキンス博士は、AAF-Dでの収容違反シナリオを保安・収容セクションに電話で通報しなければならない。 |
18:24:31 | D・イバニェス 前保安・収容セクション長は、マッキンス博士の電話の話を聞いてから保安オフィスのインターコムを停止し、「聞きましたね! ラドクリフ、ギルヘルム、ムカミ、駆け足!」と大声で言わなければならない。彼女は名前を呼ぶ際にそれぞれの人を見るか指さししなければならない。 |
18:24:33 | ナシンベーニ セクション長はAAF-Dエアロックから「そこに誰かいるか?」と大声で言わなければならない。 |
18:25:09 | U・オコリー博士は応用隠秘学セクションの収容セルCC-AO147を封鎖しなければならない。 |
18:25:— | W・ウェトル博士は指定のラボから出て、通路を北に進まなければならない。 |
18:26:01 | ウェトル博士は必然的に衝突する。 |
18:26:35 | ナシンベーニ セクション長はエージェントらのギルヘルム、ムカミ、ラドクリフに、AAF-Dに入り奇跡的放出物減却システムを作動するよう指示しなければならない。 |
18:26:48 | ナシンベーニ セクション長は、構造的完全性警報が作動してから3名のエージェントが皆中にいるままAAF-Dエアロックを封鎖しなければならない。 |
18:26:53 | L・リリハンメル博士はセキュリティ端末から保安・収容セクションを閉鎖しなければならない。 |
上記に名前のある人物が収容任務を遂行できない場合、割り当てられた代理人が参加してその人を代替しなければなりません。
以下の職員は絶命しなければなりません。
- アンブロジー、ロモロ
- ディアリング、ドゥーガル博士
- デル・オルモ、ベルナベ博士
- ギルヘルム、ジャネ
- マーキー、デイビッド
- ムカミ、アナ
- ラドクリフ、スチュアート
- ヴィルト、レウベン博士
- ズラター、アドリヤン博士
SCP-5243の再発によって終了した人物はこのリストに追加されなければなりません。
説明: SCP-5243はサイト-43の玄妙除却、応用隠秘学、保安・収容セクションにおいて毎年発生する連鎖的収容違反/不安定時間ループです。劇的な局所現実改変により、7 8 9名の死亡した財団職員が蘇生したのちに終了し、またサイト全体の収容装置が損傷します。

玄妙除却施設AAF-Dの監視カメラの静止画像、2012年9月8日。
サイト-43の保安・収容セクションは、奇跡術的性質を持つ34個のオブジェクト、実体を管理下に置いています。戦略上、これら収容チャンバーの直下には応用隠秘学セクションがあり、ここでそれらの対象が産出した深妙物質──および世界中の財団施設における類似物──が研究されています。応用隠秘学セクションの直下には玄妙除却セクションがあり、そこでは前述の深妙物質を弱毒性の工業排出物に変質させています。これら施設の「積み重ね」により、超自然的対象からの廃棄物が、産出源から応用隠秘学で研究されて玄妙除却で無力化されるまで垂直に進むようになっています。また、これにより以下に詳述される2002年9月8日のイベントが引き起こされました。
インシデント報告書 AAFD-I-117 |
---|
日付: 2002/09/08 記録担当者: D・イバニェス(保安・収容セクション長) 相談役: A・マッキンス博士、N・ナシンベーニ(清掃・保守セクション長)、U・オコリー博士 |
概要: 18:12、ある保安・収容セクションの異常対象からの未検出だった放出物が、応用隠秘学セクションを通して玄妙除却施設AAF-Dに浸出し、破滅的過負荷を引き起こした。秘妙放出物は臨界幽妙性に達し、物質の収容違反が発生した。. 秘妙放出物は霊的物質のこと。その幽妙性変数は、どれほどユークリッド幾何学の中に収さまらないほど深妙になるかを表す。 精製槽と処分導管は破裂し、奇跡的イベントの連鎖反応が導管と3つのサイトセクション全体をさかのぼるように立て続けに発生した。短期間の超自然的活動──その多くは実際は反時系列だった──がそれに続いた。その影響は以下を含むがそれに限らない。
|
詳細報告: 2002年9月8日18:18、サイト-43管理官のA・マッキンス博士はオフィスを退出して専用トイレを使用した。このため、18:21にR・アンブロジー 清掃・保守セクション技師が掛けた、AAF-Dにおける緊急事態を対処するための指示を求めるレッドライン受話器あての電話を受け取らなかった。(定められた手続きでは、このようなシナリオの際にはサイト-43収容違反警告システムの即時作動が要求される。アンブロジー技師は適切な訓練を受けていないか、訓練を忘れていた。)その後アンブロジーは警報システムの作動を試みたが、秘妙放出物の奔流に襲われて生物学的に反転した。 18:22、AAF-Dで14台の処理槽が破裂した。H・ブランク博士は破裂音を自身のラボで聞き、それに対しつぶやいた。共同研究員のR・ヴィルト博士は破裂の場所を探そうとラボを退出した。 この時点でD・マーキー J&M技師は警報システムを作動させ、マッキンス博士に電話を掛けて指示を仰いだ。マッキンス博士は手洗いから戻り、マーキー技師の報告を受け取ってサイト-43保安・収容セクションに電話を掛けて対応を手配させた。エージェント J・ギルヘルムは電話を受け取り、オープンオフィスのインターコムで電話を再生した。D・イバニェス S&Cセクション長はエージェントらのギルヘルム、A・ムカミ、S・ラドクリフをAAF-Dに派遣した。 N・ナシンベーニ J&Mセクション長は警報システムに自動で呼び出され、18:23にヴィルト研究員とともにAAF-Dエアロックに到着した。ヴィルトは半透明な橙色の触手によってAAF-Dに引き込まれ、消失した。(ナシンベーニ セクション長は以降60秒間における自身の行動を説明できない。)18:24にナシンベーニ セクション長はAAF-D内で生存している職員と、同時にエアロックへの通路の端に現れたマーキー技師が呼びかけた。理由は不明ながら、マーキー技師はナシンベーニ セクション長の声を聞くと走りやめて方向転換した。蒸気の波が彼を通過すると彼は倒れ、着色された液滴に変質して崩れた。不可解な突風によりその液滴は施設の奥深くに吹き飛ばされ、奥からは叫び声が聞こえていた。 この時点で、応用隠秘学セクションにいたU・オコリー博士は収容セルを退出してセルを封鎖した。この行動により、連鎖的収容違反の間応用隠秘学への深刻な損害が予防された。 3名のS&Cエージェントは、AAF-Dに通じる通路でW・ウェトル博士に遭遇し、4名全員が床に倒れたことで短期間遅延した。ウェトル博士は床に頭を打って動かなくなった。手続きに従い、エージェントらは彼を倒れた場所に放置してAAF-Dに進んだ。 18:25に3名のS&CエージェントがAAF-Dエアロックに到着し、ナシンベーニ セクション長と相談した。彼はエージェントらに、エアロックを通って通路の端にある奇跡的放出物減却システムを作動するよう指示した。エージェントらが制御装置に着く直前に、AAF-D自動構造的完全性警報が作動し、ナシンベーニ セクション長はエージェントらの裏でエアロックを封鎖した。 この時点で、L・リリハンメル博士が保安封鎖を作動できるより前に、連鎖的収容違反によって保安・収容セクションの収容セル1つに損害が発生した。収容されていた対象が1体滅却された。(現在この対象そのものが収容違反の原因であったと考えられている。) 18:26、AAF-D内のエージェントらが奇跡的放出物減却システムの作動に成功した。2分間で施設全体の深妙物質が浚われ、生存者がいる前提のもと捜索のためさらなるS&C職員が派遣された。P・ディアリング J&M技師の生存が発見され、治療のため保健・病理セクションに搬送された。他の職員全員は重度に改変された状態で発見され、死亡と推定された。職員の残留物には以下を含む。
捜索後に、ベルナベ・デル・オルモ博士の行方不明が宣言された。彼が最後に目撃されたのは、破却された収容セルで対象にインタビューしているところだった。21:14にAAF-D中央制御室のタイルの間で新たなグラウトが発見された。分析により、DNAのデル・オルモ博士との一致が判明した。 ドゥーガル・ディアリング博士は、上記のイベントの終結時にAAF-D外部で死亡した状態で発見された。彼は内部で発生していた異常効果の音量に驚き、心臓発作を起こしたものと推測されている。ウェトル博士は収容違反後に保健・病理学セクション職員によって回収され、軽い脳震盪の治療を受けた。 調査は保留中である。 ![]() ベルナベ・デル・オルモ博士の残留物(一部) |
毎年9月8日、これらのイベントの正確な追複が主題となります。これ以降の数年間で複数回施設AAF-Dは修繕、再建、完全な再編成がなされています。常時安全運用可能にするため、設備は更新され、接続器は改修され、物質の経路は最適化されています。さらには施設は解体されており、機能はAAF-BおよびAAF-Cに移転されています。それにもかかわらず、SCP-5243は再発を続けています。毎年7分間、施設全体は2002年の配置に復帰します。. これらの移行が発生する際、AAF-D内にいる人物は明白な悪影響を受けませんが、復帰前後の施設にて機械や構造物に占められている空間を占めないように注意すべきです。
2002年に死亡した職員と2015年のさらなる1名の犠牲者は、それぞれ死亡の60秒前にSCP-5243によってよみがえります。彼らは物理的形態および主体性のある知的な人間であり、適切な文脈トリガーを受け取る限り2002年/2015年と同様にふるまいます。妨害された場合、彼らがSCP-5243の予定を失敗する可能性があります。彼らは生存する可能性があり、その場合収容は破綻します。
さらなる報告を読むには状況的セキュリティクリアランスレベル5243-5が必要です
補遺: インシデント報告書 AAFD-I-118 |
---|
日付: 2003/09/08 記録担当者: D・イバニェス(保安・収容セクション長) |
概要: 当初、2002/09/08に絶命した職員8名のうち、収容破綻そのもので直接死亡したのは7名のみだと考えられていた。ドゥーガル・ディアリング博士の死は別のインシデントであると考えられていた。それにもかかわらず、現在SCP-5243に分類されているアノマリーが2003年に再発した際、合わせて8名の人物が復活した。その後、ディアリング博士はオリジナルのイベントと完全に同じ形で再び死亡した。新たに起草されたこのアノマリーの特別収容プロトコルには、ディアリング博士を妨害してはならないという規定が含まれている。 更新 2013/09/08: ディアリング博士はSCP-5243によって通常通り復活したものの、亡くならなかった。D・イバニェス 保安・収容セクション長は、タイムラインが撹乱される可能性を防ぐためマッキンス管理官の命令で彼を処刑した。 更新 2014/09/08: 現在、ディアリング博士の処刑は毎年実行されており、また特別収容プロトコルに追加されている。 イバニェス セクション長は、特別収容プロトコルでのディアリング博士に関する項目の無期限延長に公式に反対した。そのため私はここに記す。SCP-5243の生成した代替タイムラインが機密解除されてそこでの出来事が明るみになれば、新たなタイムラインをあえて生み出さない理由が明々白々となるだろう、と説明する以外には何も言えない。 己の任務を遂行しろ。ディアリング博士も、彼は彼で己の任務を遂行している。 — A・J・マッキンス(管理官、サイト-43) 今までそのタイムラインをあなたと一緒に見てきているのですよ、サー。その上で反対しています。新たなS&Cセクション長を見出してください。 — D・イバニェス(無任所セクション長) |
補遺: インシデント報告書 AAFD-I-119 |
---|
日付: 2015/09/08 記録担当者: R・ペンサク(保安・収容セクション長) |
![]() アドリヤン・ズラター博士の残留物(一部) 概要: 重大なスケジューリング事故。雇用・統轄セクションシステムの破損により、A・ズラター博士が居住・扶養セクションではなく玄妙除却施設AAF-Dにおける新たな宿舎に割り当てられた。当然その宿舎は存在せず、ズラター博士はSCP-5243が発生するまで施設を徘徊した。 18:25、ズラター博士は超常霊的接地導管の破裂による雷光に襲われ、鮮やかなピンク色の表皮と明るい青色の果肉の半レモン47個に変質した。 タイムライン変化は発生しなかった。 このカスアノマリーが私の転送先住所を知らないことを願います。 それで、新入りが9月8日のスペシャルスケジュールを十全に説明されなかったのはこれが初めてじゃないですけれども、致命的だったのは初めてです。サンピ-5243で収容違反そのものの対処に手一杯ですし、ただのクソニュービーをうちのちょっとした記念日パーティーに入れるわけにはいきませんから、少しでもセクション間で協力してくれればとても助かるのです。 今まで大仕事をしてきたのはわかっていますが、毎年の魔法不浄大爆発に慢心しないでくれませんか? こんな言葉を打ち込んだことが信じられません。 — D・イバニェス(追跡・鎮圧セクション長) 更新 [2020/09/08]: これ以来、発生するSCP-5243の全てにこのイベントが含まれている。現在282個の半レモンであるズラター博士の残留物は、サイト-43の保安冷凍庫に保管されている。この残留物を玄妙除却処理の対象とする提言は無期限に保留される。 |
« SCP-5109 | 力と毒の言葉 | 大切な人々、パート"A" »