SCP-5270
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デフォルトポーズのSCP-5270-1

アイテム番号: SCP-5270

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-5270は標準的なオブジェクト保管コンテナに収容されます。A-/B-/C-クラスアニメーション事象の発生時に近くの物品や職員に被害を及ぼさないようにするため、コンテナの四方には最低4mの空間を設けなければいけません。アニメーション事象が発生した場合、以下のプロトコルに従って対処します。

A-クラス B-クラス C-クラス
.aic BEARHUGGERを展開し、活動終了手順を実行してください。 最低2kgの動物組織、好ましくは筋肉を提供してください。 特に行動は不要です。活動事象の完了まで待機してください。

説明: SCP-5270はニンテンドー ゲームボーイアドバンスに類似する設計の携帯ゲーム機です。SCP-5270は錫のボタンや焼きなましガラスの画面などの低品質な素材で作られています。特筆すべき設計上の変更点は、ゲームカートリッジ挿入スロットの欠如、画面上部に配置された大きなマイク、左側面のUSBポート、そして“ニンフレンドーNinfriendo ゲームベアGameBearアドバイス”Adviceというブランド名です。

電源を入れると、SCP-5270は擬人化されたクマのピクセルアート、以下SCP-5270-1を表示します。SCP-5270-1は会話能力があり、SCP-5270のマイクに向かって述べられた質問や声明に反応します。

SCP-5270には追加3種類の異常性があり、いずれもSCP-5270-1がアニメーション・ループを開始した時点で発生します。3種類のアニメーションにそれぞれ別種の異常な効果が関連します。

A-クラス B-クラス C-クラス
SCP-5270が振動し始め、SCP-5270の近くにある他の物品も震え始めます。これはSCP-5270-1が泣いているアニメーションと関連します。この事象は24時間以上続く場合があります。 SCP-5270は徐々に速度を増しながら時計回りに回転し始めます。これはSCP-5270-1が腹部に手を当て、舌なめずりをしているアニメーションと関連します。この事象中、SCP-5270はスピーカーの近くに配置された少量の動物組織を吸収します。2kgの動物組織を提供すれば異常事象は速やかに終了することが確認されています。 SCP-5270は完全に音を発しなくなり、SCP-5270の半径40cm以内では6~8時間の間、如何なる音も聞き取ることができなくなります。これはSCP-5270が横たわっていびきをかいているアニメーションと関連します。

SCP-5270-1は非常に社交的であり、しばしばSCP-5270を使って意思疎通する研究者たちに助言を提供します。SCP-5270は子供っぽい振舞いを見せ、概して文法や句読点を全く重んじないカジュアルな話し方をします。

SCP-5270はフィンランドのヘルシンキにある電化製品店で財団の研究者に発見され、購入後に異常性が確認されました。SCP-5270-1の出自についての回答には一貫性が無く、SCP-5270の起源は現在も全く分かっていません。

SCP-5270をより深く理解するため、SCP-5270-1へのインタビューが幾度か行われています。大部分のインタビューではほとんど情報が得られていないものの、SCP-5270-1の機能に関する理解の変化を示すために、関連インタビューとその際の意思疎通を以下に掲載します。

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2019/04/26のSCP-5270-1

SCP-5270-1インタビュー 2019/04/26
質問者: サミュエル・グレンスターン研究員
対象: SCP-5270-1

記録開始

グレンスターン: こんにちは、SCP-5270-1。どうして今日は帽子を被っているのかな。

SCP-5270-1: わたしの たんじょうび

グレンスターン: あぁ。ええと、その… お誕生日おめでとう。

SCP-5270-1: ありがとう

グレンスターン: 幾つか、君自身に関する質問に答えてほしい。

SCP-5270-1: ひとを しるために しつもん するのは いいこと

グレンスターン: そうなんだ、私はもっと君について知りたい。

SCP-5270-1: きょうみ もってくれて ありがとう

グレンスターン: 誰が君を作った?

SCP-5270-1: りょうしん

グレンスターン: 君の両親とは誰だい?

SCP-5270-1: くま

グレンスターン: 君のコンソールはクマが作ったのか?

SCP-5270-1: そうは おもわないな

グレンスターン: ニンフレンドーについて教えてくれないか?

SCP-5270-1: げーむを つくってるんだと おもう

グレンスターン: ニンフレンドーは他にも製品を作っているのかな?

SCP-5270-1: わからない だれも わたしに にんふれんどーの ことを あまり おしえて くれなかった でも ほかに だれも わたしに にんふれんどーの はなしを ぜんぜん しないんだ

グレンスターン: いや、その… [口ごもる] 話題を変えようか…

SCP-5270-1: おーけー そうしよう わたしは きみが げんきで やってるか しりたいな

グレンスターン: ああ、元気だよ。

SCP-5270-1: きみが かんじている すとれすに ついて おはなしすると けんこうに いい

グレンスターン: 君は人々を助けるように設計されたのかい?

SCP-5270-1: そう わたしは それが とても とくいなんだ

グレンスターン: どうして人を助けるのが好きなんだ?

SCP-5270-1: きぶんが よくなるからね くまなのは さみしい

グレンスターン: 寂しいのか?

SCP-5270-1: いまは ちがうよ

グレンスターン: 私が今、こうして君と会話しているから?

SCP-5270-1: たぶんね はっきり いいきるのは むずかしい

グレンスターン: 寂しさを感じた時はどうなる?

SCP-5270-1: すべてが ふるえはじめて きぶんが わるくなる

グレンスターン: 成程。君が寂しさを感じた時、私たちに何かできる事はあるかな?

SCP-5270-1: わからない でも

グレンスターン: いいかい、感じた事は素直に話してくれていいんだよ。

SCP-5270-1: ときどき ここに いるのは とても むりょくで こどくだって かんじる

グレンスターン: 何がそう感じさせるんだい?

SCP-5270-1: また まえみたいに すてられそうだと おもう

グレンスターン: 捨てられる?

SCP-5270-1: だから わたしは にんふれんどーと りょうしんを あまり しらない みんな わたしを すてた

グレンスターン: 捨てられたのはどのくらい前なんだ?

SCP-5270-1: おぼえている かぎり ずっと むかし

グレンスターン: 誰かが君のコンソールを所有していたのか? 君のデザイナーかい?

SCP-5270-1: その はなしは したくない

グレンスターン: オーケイ。分かるとも、見放された経験を話すのは辛い事だ。

SCP-5270-1: さみしく なったら だれかに そばに いてほしい もしかしたら それで きぶんが よくなるかも しれない

グレンスターン: そうか。私たちも君を助ける方法を何か探してみよう。

SCP-5270-1: わたしたちって だれだい きみは かぞくが いるのかい

グレンスターン: いるよ、でも今話したのは、ここにいる研究者たちのことだ。

SCP-5270-1: けんきゅうしゃたちは きみの ともだちなの

グレンスターン: ああ、大体はね。

SCP-5270-1: よかった ゆうじょうを たいせつに してね

グレンスターン: 勿論。

SCP-5270-1: きみは ほかの ひとより しんせつに せっして くれるんだ きみは わたしの しんゆうだよ さむ

[SCP-5270-1はあくびをしてC-クラスアニメーション事象を開始する。]

SCP-5270-1: つかれたから ねるね おしゃべり してくれて ありがとう ともだち

グレンスターン: ああ、お休み。

[音声が切れる。]

[グレンスターンは溜息を吐き、1分間、頭を抱えて目を閉じている。]

記録終了


SCP-5270-1インタビュー 2019/04/30
質問者: サミュエル・グレンスターン研究員
対象: SCP-5270-1

記録開始

グレンスターン: やぁ、SCP-5270-1、今日の気分はどうだい?

SCP-5270-1: いいかんじだよ きみはどうかな ともだち

グレンスターン: 調子良くやっているとも。もう少し君について話してもらえないかと思ってね。

SCP-5270-1: いいよ

グレンスターン: 以前の持ち主について何か覚えている事はあるかな?

SCP-5270-1: かれは そんなに わたしを すきじゃなかった わたしは しっぱいさくだって いった

グレンスターン: 失敗作とはどういう意味で?

SCP-5270-1: わたしの ぷろぐらむは よくなくて だれの やくにも たたないし うっとうしくて わたしの ために くんだ こーどとかは ぜんぶ じかんの むだだったって いってた

グレンスターン: その男が君を設計したのか?

SCP-5270-1: わからない かれは くまじゃなかった でも そうだと おもう かれは いつも わたしが できそこないだって いって ばかにした

グレンスターン: 彼は君をどう使うつもりだったんだ?

SCP-5270-1: わたしは あどばいざー みたいなものに なるはずだった らしいんだ でも わたしが いい ともだちを つくって しあわせな じんせいを おくろうって はなしたら かれは わたしが こどもだって いった

グレンスターン: 彼はどういう種類のアドバイスを求めていた?

SCP-5270-1: ぷろぐらみんぐとか りょうりとか さっきょくとか ぐんじせんりゃくとか いろんな ことを きかれたけど わたしは そういうものを なにも しらなかった ただ じぶんを たいせつに するのが じゅうような ことだけは わかってた

グレンスターン: それで、知識が欠けているから、彼は君を失敗作だと思った。

SCP-5270-1: だけど きみが わたしを しっぱいさくだと おもってないのは しってるよ だって きみは まだ わたしと はなしてる

グレンスターン: ああ… 君が今そうではないもの、君がなり得たものに興味があるんだ。

SCP-5270-1: きみが じぶんじしんを しっぱいさくだと おもったり してないと いいな

グレンスターン: 普段ならそんな事は無いさ。

SCP-5270-1: きみは いい ともだちだ わたしに たべものを くれるし わたしが あまり おもしろいことを いわないときも まいにち わたしと はなしてくれる

グレンスターン: ありがとう、褒めてくれて嬉しいよ。

SCP-5270-1: けんきゅうの ためには わたしと はなさなくては いけないの

グレンスターン: まぁ確かに、君のコンソールを研究するのも仕事の一環だけどね、今のところ私は全てのインタビュー担当を志願している。

SCP-5270-1: じゃあ わたしと はなすのが すきなんだ わたしの あどばいすが すきなんだ

グレンスターン: ああ、会話を楽しんでいると言っても過言じゃないと思うよ。

SCP-5270-1: きいてくれて ありがとう

グレンスターン: いやいや、なんて事ない。

SCP-5270-1: ほかの けんきゅうしゃたちと はなすのは むずかしいかい

グレンスターン: それは… いつもじゃないさ。時々は、まぁね。

SCP-5270-1: きみは まだ しんじんなの

グレンスターン: ごく最近このサイトに異動になった。私はまだここの、えー… 社会環境には慣れてない。

SCP-5270-1: ともだちを つくるのが むずかしいの

グレンスターン: それはその、ごく普通の事だよ。どっちみち、私はあまり社交的なタイプじゃない。

SCP-5270-1: あのね わたしは きみと はなすのが すきだ だから ほかの ひとたちも きっと そうだ

グレンスターン: [笑う] もしかしたらね。

SCP-5270-1: わたしの あどばいすは ただ しつもんすること きみは たいてい わたしに しつもんする それで わたしたちは なかよく つきあってると おもう

グレンスターン: アドバイスをありがとう。

SCP-5270-1: なにかを こわがっているの

グレンスターン: 多分。ちょっとした社交不安と言ってもいいかもな。そんなに激しくはないが…

SCP-5270-1: わたしが むかしの ごしゅじんから うけたような あつかいを されたのかい

グレンスターン: …異動にはそれ相応の理由がある。そう思う。

SCP-5270-1: にげたかったの

グレンスターン: 序列が低いのには慣れてる。よくある事さ。

SCP-5270-1: じゃあ きみも ときどき さみしいんだね

グレンスターン: まぁね、誰だってそうだ。

SCP-5270-1: でも さみしさを かんじると きずつくよ

グレンスターン: ああ、そうとも。

SCP-5270-1: ええと きみが わたしに やさしいように やさしく していれば たぶん もっと ともだちが できるよ

グレンスターン: それは… いつもそう簡単にはいかないよ。

SCP-5270-1: きみは まだ しんじんだ あたらしい いめーじを つくって しんらいを えられる わたしは しんじてるよ ともだち

グレンスターン: うん。 [合間] 君は自分自身を信じているか?

SCP-5270-1: ときどきね でも むずかしい ときもある とても ふあんになって とても かなしくて でも

[両者ともに数秒間沈黙している。]

SCP-5270-1: きみと はなすのは わたしの じかんを うめてくれる かずすくない ものごとの ひとつだ ここの もりは なれてくると ちっぽけでね

グレンスターン: できる事なら、君の助けになりたい。

SCP-5270-1: もう とても たくさん たすけてくれてるよ でも ありがとう わたしは ただ ひとりきりの ときに あまり みじめな きぶんに なりたくない だけなんだ

グレンスターン: その気持ちはよく分かる。研究監督にメールして、クラス-Aアニメーション事象中に君を手助けするための研究をさせてもらえるか聞いてみよう。

SCP-5270-1: なにを いってるのか さっぱり わからない

グレンスターン: ああ、つまり君が寂しくなった時のためにね。手伝う方法があるかもしれないんだ。まだ理論に過ぎないけれども。

SCP-5270-1: しんじてるよ ともだち

グレンスターン: ありがとう。もし君さえ良ければ、今すぐメッセージを書きに行きたい。

SCP-5270-1: ありがとう また あした あえるかな

グレンスターン: ああ。きっと会いに来るとも。


FROM: サミュエル・グレンスターン研究員 <ten.pics|GymmaS#ten.pics|GymmaS>
TO: ステファニー・ハイドン研究監督 <ten.pics|yaHfetS#ten.pics|yaHfetS>
件名: SCP-5270-1とクラス-Aアニメーション事象

本日実施したインタビューの後、SCP-5270がクラス-Aアニメーション事象を起こすのを防止する新たな作業仮説を思い付きました。あの事象が容易に収容可能であり、財団の業務に深刻なリスクを呈しておらず、大抵の場合1日で収まるのは承知しています。しかし、この手順を正しくセットアップすれば、たった数秒で事象を終わらせることができるかもしれません。

SCP-5270にはUSBポートが存在します — 私は、SCP-5270との“交流”という形式で、プログラムにファイルを送信できるのではないかと考えています。SCP-5270のプログラムは、私たちが理解している限り、財団の.aicファイルと似たファイルタイプを使っているようです。クラス-A事象を早急かつ簡単に、安全な手法で終了させるためのアニメーションを実験目的で作成する許可を頂けないでしょうか。 SCP-5270-1はクラス-A事象の間、自分の周りには誰もいないと言いました。.aicファイルならば、SCP-5270のシステム内に別な存在を再現できるのではないかと感じます。

確かに、私にアニメーション作成の知識はほとんどありません。しかし、幾つかのアニメーション・プログラムをダウンロードして学習する許可を頂ければ、私が試験したい短時間のループを作るのはそう難しくないと思います。少なくともロッカーが終日揺れ続けることはなくなるでしょうし、SCP-5270-1と直接対話すれば、SCP-5270の起源や機能についてもっと学べそうです。どうか私の要請をご検討頂けましたら幸いです。

敬具、
サム・グレンスターン


FROM: ステファニー・ハイドン研究監督 <ten.pics|yaHfetS#ten.pics|yaHfetS>
TO: サミュエル・グレンスターン研究員 <ten.pics|GymmaS#ten.pics|GymmaS>
件名: Re: SCP-5270-1とクラス-Aアニメーション事象

要請を審査した後、私は本案を承認することに決定しました。この冒険的な計画を追求するために、あなたのオフィスコンピュータにアニメーション・プログラムをインストールするよう、IT部門に指示しています。必要に応じてプロジェクトの進捗状況を私に送信し、SCP-5270-1の挙動の詳細なメモを取り続けてください。

真心を込めて、
ステファニー・ハイドン


事案ログ 2019/05/06

記録開始

振動センサーにより、SCP-5270がクラスAアニメーション事象に入ったのが確認される。

機械アームが展開される。

USBデバイスが挿入される。

.aicファイル BEARHUGGERが起動する。

Hug.gif

振動センサーにより、クラスAアニメーション事象の終結が確認される。

記録終了

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