SCP-5286

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アイテム番号: SCP-5286

オブジェクトクラス: Euclid


特別収容プロトコル:

SCP-5286は、必要十分な生活物資を備えた標準ヒト型生物収容セルに収容されます。SCP-5286は定期的な心理鑑定と、心理セラピーセッションを受ける義務があります。

毎日1度、セキュリティチームがSCP-5286の収容セルの清掃を行うとともに新たに放出された全てのSCP-5286-1実例を収容します。こうして収集された全てのSCP-5286-1実例は、化学的ではない手段によって、できれば首の骨を折ることによって安楽死させられ、サイト-17のヒト型生物SCPの給食ステーションに移送されます。給食に用いられなかった余分のSCP-5286-1実例は焼却されます。

SCP-5286は特有の食習慣を有することから、SCP-5286用給食準備担当の栄養士が選任されました。野菜、果物、穀類など、給食に追加で用いられる物質には、すり潰す、乾燥する、もしくはその他の、SCP-5286が支障なく排泄できるような工夫が必要です。SCP-5286には食事のリクエストが許可され、栄養士の裁量のもとで提供されえます。

メモ: 20██/02/11以降、SCP-5286に用意される食料には「からい」と見なされるような添加物は一切含まれてはなりません。

説明:

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SCP-5286の腕で膨大する嚢胞。

SCP-5286はB███████ A█████と呼ばれる32歳のコーカソイド男性で、イギリスのブランベリー出身の建設作業員です。A█████は20██/12/03、同氏が長期休暇1におけるヨーロッパ旅行から帰宅しなかったことで、行方不明との報道がなされました。SCP-5286の異常性は、その体表のランダムな位置に発生する嚢胞という形で現れ、これは破裂するまでの2〜5日間、急速に膨大します。この嚢胞は、SCP-5286の血液と羊水と膿汁および赤ワインと特定されたアルコール性液体の一種2との混合物であることが特定された、バイオレットレッドの物質で満たされています。嚢胞1つが破裂した際、その内部よりSCP-5286-1実例1体が生成されます。

SCP-5286-1実例は物理的にも遺伝的にもSCP-5286と同一なミニチュアのヒト型生物で、SCP-5286と記憶を共有3しているようです。こうしたクローン達はSCP-5286から分離して以降、最大身長30cmまで成長し、完全な歩行、発語、および会話能力を有します。SCP-5286-1実例はいかなる栄養分や水分の補給も必要としないようですが、供給されたアルコールは大量に、積極的に摂取します。SCP-5286はこれら実体を生成しても体重を減少しません。

SCP-5286-1実例は常に陽気かつ活動的で、よく歌ったり踊ったりし、積極的にSCP-5286の気を引こうとします。SCP-5286-1実例は、SCP-5286によって快く摂食されることができる可能性を上げるべく、どんな行動でも実行しようとします。そのような行動としては、言葉巧みな誘導のほか、他の飲食物中に自ら混入したり、時には自ら身体部位を切断したり、自身の皮を剥いだり、より強く食欲を刺激できるよう様々な手法で自身を調理したりもします。SCP-5286-1実例は一連の調理過程を経てなお元気であり、自身がいかに美味であるかを解説します。SCP-5286-1は自身の摂食をSCP-5286に強要することを拒み、SCP-5286の身体を傷つける行動をとった例は観察されていません。SCP-5286が摂取した物体のうちSCP-5286-1以外のものは、消化器系からの影響を受けず、SCP-5286に栄養分を供給しません。したがって、SCP-5286はSCP-5286-1を摂取しなければ生存できません。

SCP-5286は、SCP-5286-1の成長中や嚢胞の破裂の際には不快感を報告しませんが、SCP-5286-1実例を摂食する際には不安感を示すとともに、自身のクローンたるSCP-5286-1に対して強い敵意を見せます。十分に膨大していない嚢胞が破裂すると、SCP-5286は強い痛みを覚え、結果としてその内部で成長していたSCP-5286実例が死亡します。死亡した実例はSCP-5286の身体に付着し、これを除去するには外科手術が必要になります。

補遺-5286-A: 回収記録

SCP-5286は20██年5月12日に、ギリシャの██████・フォレストに位置する人里離れた小屋にて、財団が「ニンフ」についての現地の報道を傍受した後に回収されました。この報道の調査および何らかの異常活動の可能性を探索すべく、3名のエージェントからなるチームが派遣されました。

回収記録: SCP-5286


20██/05/12

回収チーム: 指揮官・R████、エージェント・G██████、エージェント・A████


[記録開始]

18:32:00: チームは装備の準備を終了し、異常活動の発生地と推定される方向にある森へと進入開始する。

19:12:13: 森のより深部から微弱な音楽が聞こえる。その音楽が聞こえてくる大体の方向への進行を開始する。

19:25:07: 料理とアルコールの強い匂いが報告される。音楽が一層大きくはっきり聞こえるようになる。音楽はドラムやフルートなどの複数の楽器、およびボン・ジョヴィの「リヴィン・オン・ア・プレイヤー」を歌う多数の歌声で構成されている。

19:29:42: 開けた場所に到着する。その中心には小さな小屋がある。火葬用の薪の山がいくつか燃えており、大量の炭化した骨と共に小屋を取り囲んでいるのが見える。4小屋発見時、数体の小さな裸のヒト型生物が同様の実体の死体を搬出している。生物達はその死体を薪の山の一つに投げ入れ、小屋の中に戻っていく。

19:31:20: チームはゆっくりと小屋に接近する。歌声はクイーンの「伝説のチャンピオン」に変わる。

19:33:09: チームは小屋の東側の壁に陣取る。エージェント・G███████が南側の壁にある窓へと移動し、小屋の内部の視覚情報を得ようと試みる。数百ものSCP-5286-1実例が小屋内部で多数の焚火台と特定不能な液体の入った数個の樽を囲んで飲み、踊り、歌っているのが見える。

19:34:30: 実体のうち1体がエージェント・G███████に気づき手を振りながら彼を呼ぶ。多数のSCP-5286-1実体がエージェントの方を向き窓に向かって行く。

19:34:52: チームが窓からゆっくりと退く。それとともに、SCP-5286-1実例が建物から出てチームに向かって来る。エージェント・A███は実体達に発砲し、そのうち多数を終了する。

19:36:23: 数百ものSCP-5286-1実例が小屋から溢れ出しチームの方に進行し始める。チームは実例群に発砲を続けながら木のある方向へと退却する。

19:41:21: エージェント・G███████が大量の骨につまづき、SCP-5286-1実例により押し倒される。実例達は元気なまま、エージェント・G███████の装備や肉塊を剥ぎ始め、それを摂食する。チームのうち残る2名は退却を続け、SCP-5286-1実例達は彼らを追跡する。

20:01:08: 実例群が減少するに連れて残るエージェント2名の方が優勢になり、SCP-5286-1実例を押し返していく。

20:13:54: SCP-5286-1実例の大半が終了される。チームは小屋に向けて方向転換し、遭遇した実例達をさらに終了していく。

20:17:32: 広範囲にわたり切断されたエージェント・G███████の身体を発見する。数体のSCP-5286-1実例が未だ存在し、エージェントの死体に残る脂肪や筋肉を摂食している。指揮官・R████がナイフで残る実例達を終了すると共に、エージェント・A███が嘔吐する。

20:20:03: エージェントらは小屋に接近・進入し、複数の死んだSCP-5286-1実例が屋内の焚火台で炙り焼きにされているのを見つける。痩せ細った血まみれの人間男性が、SCP-5286-1の切断された死体に囲まれて、小屋の角にうずくまっている。チームはこの人物と会話しようとするも、同氏は無反応のままである。この人物は絶えず、何か独り言を呟き続けている。

20:22:36: この人物の体表の大きな嚢胞が破裂し、SCP-5286-1実例が立ち上がる前に地面に落下する。この実例はエージェントらにより即刻終了される。

20:25:54: エージェントらはこの人物を小屋から搬出し、清掃チームを呼ぶ。


[記録終了]

この人物を拘束し、異常実例の発生源であると特定しました。そして実例群は近隣の処理用施設に輸送されました。この後この人物はSCP-5286にクラス指定され、サイト-17に輸送されました。

回収以来、SCP-5286は自身の異常性の起源に関する情報開示を拒否しています。収集済みの情報によれば、SCP-5286は快楽主義者らによる大規模な親睦会に参加したようです。この親睦会では、参加者は暴飲暴食、姦淫、および危険ドラッグの集団使用を推奨されたようです。この会は報告によれば、過度に暴力的な様相を呈し、ついには酩酊した参加者複数名の四肢を切断し摂食に及んだようです。このイベントを開催した人物への調査は現在進行中です。

回収ログの分析中、SCP-5286は「あの男にはツノが生えていた」と繰り返し呟いていたことがわかりました。同氏は今なお詳述を拒んでいます。

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