SCP-529-JP
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池に面したSCP-529-JP領域

アイテム番号: SCP-529-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-529-JPは財団の管轄する特別隠蔽区域及びエリア-8178に指定され、防護柵やコンクリート壁などで完全に囲われます。 周辺には如何なる人工物の設置も許されない為、SCP-529-JPから1kmの間隔を置いて鉄柵が周囲を囲む様に設置されています。内部への一般人の立ち入りは如何なる場合においても許可されず、侵入し対象となった人物には記憶処理が施されます。その後の対象に発生する事象に関しては不慮の事故として処理され、カバーストーリーは発動されません。

担当職員はSCP-529-JP及びSCP-529-JP-1の調査の為、月に一度内部探査を行う必要があります。探査の際にはDクラス職員に小型カメラが内蔵されたゴーグルを装着させた状態で侵入させ、脱出後に回収された映像や写真等から異常な点が確認された場合は速やかに上層部へ報告されなければなりません。 SCP-529-JP-1の位置する陸地へ上陸する事は如何なる場合においても許可されません。また担当職員がSCP-529-JP-1を直接視認する行為及びSCP-529-JP-1を撮影した映像・写真を視認する行為は、間接的にSCP-529-JPの影響を受ける可能性が高い事から禁止されています。この為、SCP-529-JP内部へ侵入する人物に映像機器を装備させる行為は処分の対象となります。現在は空間認識特化型AIを搭載した小型無人探査機を用い、送信された映像をコンピューターグラフィックスに変換する事でSCP-529-JP-1及び周辺の環境に関する情報を獲得しています。

説明: SCP-529-JPは愛知県設楽町に存在する直径およそ3kmの森林です。SCP-529-JP内は周辺環境と異なり、外来種が存在せず樹高や主幹の幹周から推定される樹齢が軒並み異常に高い事が判明しています。また、SCP-529-JP内部の樹木は自然環境における火・雷・疾病等の自身を害する要素に対する耐性を有しますが、人為的な損傷や破壊に対する耐性は一般的な樹木と同程度です。特筆すべき点として、内部では如何なる動物の痕跡も発見できなかった事、常に無風・無音の状態である事が挙げられます。

SCP-529-JPに侵入した瞬間、人間を含む動物(以下、対象)は脅迫性の強い嫌悪感を認識します。マウス等を使用した実験では、SCP-529-JP内に侵入した瞬間に脳内の扁桃体の働きが異常に活発になり、現在までに98.2%の例が脱出を試みる結果となりました。Dクラス職員を対象とした実験では、内部に侵入した際に「空気が重苦しい」と表現される周辺環境の感覚的な変化を報告し、SCP-529-JP内部への更なる進行に嫌悪感を表しますが、これは他者からの度重なる呼びかけや命令によりある程度解消が可能です。

内部を移動する際、対象は現在まで確認されている全ての例において、

  • 何者かが自身を見ているという強烈な感覚
  • 不自然な木々の揺動
  • 人間とみられる生物の幻覚

という共通した認識・現象の発生を報告しています。

SCP-529-JPの中央部には円周79m、最大水深5mの非異常性の池、更にその中央に位置する場所には直径2m程の陸地が存在します。陸地にはSCP-529-JP-1に指定された4本の不明な樹木で構成された1.8mの歪な逆円錐状の柱が確認されています。異常な点として、SCP-529-JP-1は地面への埋没部分が存在せず、陸地の中央部に向かってそれぞれが78度の角度を保持したまま屹立している事が挙げられます。

SCP-529-JP-1を直接認識した対象はSCP-529-JP-1に重なる様に明確なイメージを有する幻覚を認識します。幻覚は体長3m前後の鹿や馬に類似した生物の形状を取る事が現在までに判明しています。

Dクラス職員を用いた度重なる実験の末、SCP-529-JPの異常性は以下の行為を行った場合に発生する事が判明しています。

  • 根を踏む、5mm四方以上の表皮を剥がす、人為的に葉を散らす等の木を傷つける行為
  • SCP-529-JP-1を視認する行為

SCP-529-JP内部で上記の行為を行った対象は脱出後、最長で36時間以内に非異常性の偶発的事象によって必ず死亡します。現在まで確認されている主な死亡例は心臓麻痺や持病の悪化・交通事故・落雷の直撃など多岐に渡り、財団が確認した中では現在までに少なくとも2████人の人間・492頭の動物が死亡したと推測されています。

補遺1: SCP-529-JPはかつて、日本の異常存在を管理していた蒐集院が蒐集物第〇五二九番として収容しており、第二次大戦後、管理権限が財団に移譲され現在に至ります。SCP-529-JPに関する最も古い記録は1600年代から存在していますが、それらはSCP-529-JPに関する管理方法を纏めたものであり、如何にして蒐集院が管理するに至ったかは判明していません1。以下はかつてSCP-529-JPの担当をしていた蒐集院の故・坂凪研儀官にSCP-529-JPに関する仔細を聴取していた際に記録された音声記録です。

記録日時: 1946年2月9日

インタビュアー: アリヤ博士2

対象: 坂凪研儀官3

<記録開始>

[不要な部分を削除]

アリヤ博士: 坂凪研儀官。あなたは長らくSCP-529-JPの担当として勤めてきたと聞いていますが?

坂凪研儀官: そうだな。少なくとも20年以上は〇五二九番を見てきている。

[紙束を机に置く音]

アリヤ博士: こちらは現在編纂されている蒐集物第〇五二九番、改めSCP-529-JPの報告書を簡易的に翻訳した物です4。財団が認識している異常性や実行している特別収容プロトコルなどはこちらにまとめたられた通りです。

[紙を捲る音]

坂凪研儀官: [無言]

アリヤ博士: 他のアノマリーと比べても情報が明確に少ない。確かに異常性はシンプルですが、それを加味しても情報量の差は明らかです。少なくとも100年以上管理されてきたのであれば、より精密な詳細が記されていてもおかしくはありません。

アリヤ博士: 坂凪研儀官。あなたを信頼していない訳ではありません。しかしお伺いします。SCP-529-JPに関する何らかの情報が我々には未だ開示されていないのでは無いですか?

[しばらくの無言]

アリヤ博士: 一体何があったというのですか?

坂凪研儀官: ……簡潔な答えだよ。〇五二九番を深く知る者が、皆突然死んでしまったというだけだ。

[しばらくの無言]

坂凪研儀官: 大戦時、私の上官であった██一等研儀官をはじめとする蒐集院上層部は、〇五二九番内に存在する何かを求めていた、という噂を耳にした事がある。

アリヤ博士: 何か、とは?

坂凪研儀官: 詳しくは聞かされていない。だがあの森の中に彼らが求めるものがあったのは事実だろう。

坂凪研儀官: 大規模な内部調査の申請を上層部に回す様に命令を受けた時、それを強く実感した。私以上の権限を有する人物が羅列された申請書や軍への小隊の召集令状が見られた事、書類を渡した時の██一等研儀官の異様な態度から、この件には触れぬ方がいいのだろうと直感した。今はその判断に救われてここにいるのだがね。

アリヤ博士: そして内部調査が実行されたと。

坂凪研儀官: ██一等研儀官は神道に明るい何人かの研儀官と陸軍小隊と共に向かった。そこからだ。恐ろしい出来事が続いたのは。

坂凪研儀官: ██一等研儀官と陸軍の小隊が戻る事は無かった。後の定期調査で彼らの死体が発見されたからだ。ある者は外傷無く苦悶の表情を浮かべて、ある者は何かに潰されたように臓物を撒き散らし、ある者は全身が黒焦げの状態で発見された。何人か行方不明の者もいたな。それはそれは恐ろしい光景であったそうだよ。

アリヤ博士: [無言]

坂凪研儀官: 発見報告から数時間後、蒐集院の顧問官である七哲の██殿が亡くなった。水槽に落下した事による溺死だった。それだけじゃない。全国の支部で研儀官の死が相次いだ。表面上は偶然の事象だという事で処理されたがな。後に亡くなった56人の研儀官は、全員が例の内部調査の申請書に記載された名前と一致している事が分かった。流石にゾッとしたよ。関係無いと分かっていながら、もしかすると私も同じ末路を辿るのでは無いかと正直怯えた。結局は杞憂に終わったがな。

アリヤ博士: その事案によって、SCP-529-JPに関する情報を有する人間は全員死亡したという事ですか?

坂凪研儀官: 恐らくは。そして先程貴殿が話したように、大戦が起こった混乱も相まって〇五二九番の調査はひとまず禁則事項に指定され、現在に至ったという訳だ。

アリヤ博士: 了解しました。ひとまずSCP-529-JP-1に指定されている最奥部の木柱に関しては、財団がこれ以降調査を進める形で対応致します。一応の確認ですが、宜しいですね?

坂凪研儀官: 構わない。

アリヤ博士: それではインタビューを、

坂凪研儀官: 一つ、良いか。

アリヤ博士: はい、何でしょうか?

坂凪研儀官: 〇五二九番の最後の担当研儀官として、所感を伝えておきたい。

アリヤ博士: ……どうぞ。

坂凪研儀官: あの森は、いわゆる禁足地と呼ばれる部類の一つだ。人が立ち入る事を許さない、許されない場所というのがこの国には幾つかある。我々はそれらを長い間管理してきた訳だが、禁足地というものにはある程度の共通点がある。

アリヤ博士: 共通点?

坂凪研儀官: 禁足地と呼ばれる場所は、大概は人間の価値観や畏れから派生して生まれたものだという事だ。

坂凪研儀官: 日本には、森や川などの“大きな力を有する存在”に畏れを見出し、それらを崇め奉る自然信仰、アニミズムの考えが根付いている。ある特定の場所で偶然にも不幸が続いた事を何か大きな力によるものだと考え、既存の価値観に当てはめる事で、禁足地だと定義づけたものが多い。人の先入観が、時に恐ろしい異常性を土地に根付かせるきっかけになったりもする。私はそういった例を幾度も目にしてきた。

アリヤ博士: 何を仰りたいんですか?

坂凪研儀官: 〇五二九番は、そうではない。恐らくあの場所は、人間が生み出した自然への信仰や神道に依らない、もっと根源的な、原初の森の姿なのだ。それこそ人間や他の動物すら異物と見做すほどの。

坂凪研儀官: 人だけでなく動物にも作用する所なんかがまさにそれを表している。自然環境においてそれは異常と呼べるだろう。私も強く感じているとも。だが、正常と異常の線引きなど、あくまで人間が知る認識の上に成り立っているものだとは思わないかね?

坂凪研儀官: もし、この地の最も古き土地がそのままの状態で残っていたとして、外部から未知の生命体が侵入したとしたら、それは土地にとって良いものと見做されるだろうか?私は違うと思う。〇五二九番にとって未知とは、異常とは我らの方なのだ。

坂凪研儀官: 博士殿。努努忘れない様にしてほしい。あの森が我らを迎える事はない。樹木と苔と、そしてそれらを統べ、異物を殺す“何か”のみが存在する事を許されている。

[しばらくの無言]

アリヤ博士: インタビューを終了します。

<記録終了>

補遺2: SCP-529-JPの収容の為、周囲を囲む様に鉄筋コンクリート壁や柵の敷設が進められていた際、SCP-529-JPの中央部から発生した突風によってSCP-529-JP内の木々が揺動する現象が発生しました。これによりSCP-529-JPの最端に位置する多数の樹木の枝葉が敷設途中だった壁に接触し、結果として壁を建設していた作業員・工事を指揮していた財団職員合わせて212人が偶発的な事象によって死亡しました。以降、SCP-529-JP周辺への人工物の敷設等は禁止されています。






    • _

    補遺3: 2008年7月23日、SCP-529-JP-1の調査のため、D-88732にカメラ機能を搭載したゴーグルを装着させSCP-529-JP-1の存在する陸地に上陸する実験が行われました。最奥部に到着したD-88732は過去の対象と同様に不明な実体のイメージをSCP-529-JP-1に重なる様に認めました。担当職員はSCP-529-JP-1に接近するように指示し、詳細の究明を図りました。

    結果、池中央部に上陸したD-88732はその場で突如として浮遊し、30秒後に心臓発作によって死亡しました。D-88732は消失直前に「対岸で見えていたものとは違う何かが近づいてくる」という旨の報告を続けていました。またD-88732の消失後、ライブ映像でこの様子を確認していたSCP-529-JPの担当職員8人全員が19時間以内にそれぞれ異なる偶発的事象により死亡しました。後に映像を確認しようとした職員も同様に死亡した為、該当する映像記録は全て破棄され、以降、池中央部のSCP-529-JP-1が位置する陸地に上陸する試みは禁止されました。

    後に行われた小型探査機による内部調査で、SCP-529-JP-1の形状変化が確認されました。新たに観測されたSCP-529-JP-1は概ね鹿や馬に類似する四足獣の胴体の様な形状で、従来の木柱は脚部を構成していました。全長は2.6mで首を含めた頭部や尾は確認されていません。異常な点として、

    • 胴体側面中央に60cm程度の歪な穴が胴体を貫通する形で存在しており、内部には蔓らしき植物で構成された球形の物体が浮遊し常に蠢動している事
    • 本来首の位置する部位から複数の瘤らしき物体が浮き上がっている事
    • 脚部に大きさや虹彩などの特徴が全て異なる総計32個の目が確認され、瞬きと言った運動を行なっている事

    が挙げられます。

    また、当事案後にDクラス職員を用いてSCP-529-JP-1の視認調査を行った所、報告された幻覚の形状にSCP-529-JP-1の特徴が反映されている事が判明しました。更に以前は確認されていなかった特徴として、

    • 黒い靄の様な気体が周囲に流出している様に見える事
    • 頭部から菌糸状の触手が複数本生えている事

    などが報告されました。当該調査では映像及び写真の撮影も行われそれらは無事回収されましたが、それらにはSCP-529-JP-1を視認した際の異常性が同様に付与されており、該当する媒体を視認した担当職員5人がSCP-████-JPの収容違反に巻き込まれた事により死亡。この事からSCP-529-JP-1は形態の変化と共に異常性が強い物になったと推測されています。これ以降、SCP-529-JP-1の調査には空間認識特化型AIを搭載した財団の小型無人探査機を用いる事が決定されました。

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    SCP-529-JP-1(異常性の発現防止加工済)

    現在、故・坂凪研儀官のインタビュー記録で語られた蒐集院による不明な計画の詳細の究明も含めて調査が継続されています。

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