アイテム番号: SCP-5297-EX
オブジェクトクラス: Safe Explained
アーカイブ済収容プロトコル: SCP-5297はサイト-01でバインダーに綴じられ、武装警備下で保管されます。O5評議会は、SCP-5297が持ち得る異常性質を調査する研究者の選定を可能な限り速やかに開始します。SCP-5297のコピーは作成されません。
どの部分であれ、SCP-5297へのアクセスはO5評議会の全会一致の賛成票によってのみ承認されます。
SCP-5297の内容のセンシティブな性質上、SCP-5297へのアクセス、閲覧、実験を行う全ての人物は、アイテムへの接触後に記憶処理を施されます。この規制はO5評議会のメンバーにも適用されます。
更新版収容プロトコル: 成功裏に終了した実験と、PoI-5297との接触を受けて、公式にSCP-5297-EXと指定されたアイテムは破棄されました。
アーカイブ済説明: SCP-5297は197ページの英語の文書です。行間隔を1行ずつ取って、低品質な消費者規格の白紙にグレースケールで印刷されています。SCP-5297は幾つかのバインダークリップで緩く束ねられており、表紙と裏表紙には保管・輸送に際して注意深く扱われなかった書類と一致する相当数の擦り切れや破れ目があります。一部のページの欄外には判読不可能な速記が残され、他幾つかのページにはヴァージニア州北部の住宅政策セミナーの情報と思しき非異常なメモが書き留められています。
SCP-5297の最初のページには“14tu1818 行政報告—2019会計年度 下書き 木曜まで短くまとめる”という文章1行が記されています。ページの右上隅には“ヴァージニア州フェアファックス財団部門、委員会5の資産”と読める色褪せたエンブレムが判で押されています。他の識別情報は文書から発見されていません。
SCP-5297はワシントンD.C司法広場地下鉄駅の近隣にある多目的オフィスビルで、エージェント エドワード・ブラックマンによって回収されました。エージェント ブラックマンはオフィスビルのフードコートにある“ピザ・ウーノ”系列店で昼食を注文した際、SCP-5297を収めたリュックサックをテーブルの下で発見しました。リュックサックは見たところ偶然放置されており、ブラックマンは持ち主を発見するために独断で中身を検査しました。リュックサックを開けてSCP-5297を読んだブラックマンは上司に連絡し、文書を引き渡し、自発的に記憶処理を受けました。
SCP-5297についての情報を求められた時、ブラックマンは当該文書が“財団についての報告書”であるとだけ簡潔に述べました。
更新—2019-01-15: 研究者とO5評議会によるSCP-5297のコピーの調査の結果、エージェント ブラックマンの証言は確証されました。SCP-5297は財団についての報告書です。具体的には、SCP-5297には財団のリソース、慣習、職員、収容プロトコルの情報が複数節に分けて詳細かつ包括的にまとめられています。様々な情報の中でも、SCP-5297には財団が運営する全てのサイトの予算・資産運用報告書、全体としてのwrit large財団の予算・資産運用報告書、機動部隊の構成と配置に関する節、財団が現在雇用している全ての潜入エージェントの個人的・職業的情報、そして20点以上のSCPオブジェクト(文書がレベル4・レベル5機密のものを複数含む)に関する複数ページの報告書が収録されています。
報告書の最も危険な節には“追補B: 背景調査”というラベルが貼られています。追補Bには重要な財団職員への積極的調査の結果が収録されています(追補は“昇進”が検討中であるという理由でこれらの職員がマークされたことを示唆します)。追補Bには博士、サイト管理官、部門長、現任のO5評議会メンバー全員を含む合計40名の人物が列挙されています。
追補Bの大部分は標準的な人事ファイルの内容から逸脱するものではありません。しかしながら、この追補にはリストアップされた人物の広範かつ極めてセンシティブな個人情報も掲載されています。これは性的嗜好、幼少期および成人期のトラウマ、家族間の対立、医学的情報、個人的・職業的な失態、倫理的堕落、財団内部規則への違反、発覚していない犯罪行為、[データ削除済]、[データ削除済]などを含みます。
この情報のほぼ全てにおいて、財団は事前知識を有しませんでした。
O5評議会は、危うく暴力的な内紛となりかけた複数派閥間の膠着の後、追補Bの内容に関する知識を持ち続けたままでは機能的な仕事上の人間関係を維持できない — ましてや協調的にSCP財団を管理することは不可能である — という点で合意しました。全会一致の投票で、O5評議会はSCP-5297に含まれる特定情報を削除するように設定された選択的記憶処理治療を自発的に受けました。SCP-5297の既知の全ての写真コピーは破棄されました。
更新—2019-03-03: SCP-5297に割り当てられた2組の研究チームは、その憂慮すべき内容にも拘らず、当該オブジェクトが異常性の無い文書であると確証しました。SCP-5297は自動能力や変化性を持たず、ミーム・情報災害・認識災害特性を帯びていません。
SCP-5297はSCP-5297-EXに再分類されています。SCP-5297-EXの作成に携わった未知の人物、組織、または実体をSCP-5297として再分類する提言は審査保留中です。
更新—2019-03-14: アーカイブされた保安映像と運転免許写真データベースの相互参照を通して、財団工作員はSCP-5297が入っていたリュックサックの本来の持ち主を、アメリカン大学で法科大学院への進学過程にあるペンシルベニア州出身の22歳男性、マイケル・ベルであると特定しました。O5評議会はベルをPoI-5297に指定し、既知の最後の住居へ機動部隊を派遣しました。
到着時、機動部隊はPoI-5297が引き続き敷地内に居住していることを示唆する状況証拠を発見したものの、PoI-5297本人は不在でした。機動部隊は住居の予備的な走査を、サイト-01の財団職員はベルの背景調査を実施しました。どちらも有用な情報を得るには至りませんでした。ベルは犯罪歴や異常現象との明白な接点を持たず、ノートパソコンに違法コピーされた法学の教科書を別とすれば、彼の部屋に不審なアイテムや禁制品はありませんでした。
機動部隊がアパートに入場した1時間後、PoI-5297が建物に入りました。機動部隊は彼を捕縛するために移動しました。短い会話の後、PoI-5297は未知の人物に1本のテキストメッセージを送ってから建物を離れました。
数分後、O5-3の私用電話に“アタシたちが全員同じ見解を持ってるのをはっきりさせときたい”と主張する未知の女性からの着信がありました。この電話は、公記録上ではヴァージニア州フェアファックスの地方自治体が所有する番号からの発信でした。O5-3は評議会の他メンバーを電話口に集め、彼らと未知の女性は約20分間会話しました。
通話後、O5評議会は全会一致の投票でSCP-5297-EXの調査を打ち切りました。