
アンブローズ・サンフランで注文されたSCP-5348実例
アイテム番号: SCP-5348
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: 回収されたSCP-5348実例は全て十分に希釈され、非異常な生ゴミ処分手順またはコンポスト処理によって廃棄されます。潜入捜査エージェントは、自らの裁量に基づき、消費またはその他の非標準的な形式でSCP-5348実例を処分することが認められます。
財団の管理外にあるSCP-5348関連文書は全て破棄または押収されます。“アンブロシア”1に掲載されたSCP-5348のレシピが現在、サイト-15非異常文書保管棟に文書5348.2として保管されています。
説明: SCP-5348はアンブローズ・レストランが前菜として提供しているスープであり、メニューには“ママ・アンブローズのクリーミーマッシュルームビスク”として掲載されています。SCP-5348は伝統的なキノコのクリームスープに外見上似ており、主にヤギ乳由来のクリームとすり下ろしたアンズタケから成っています。
消費されると、SCP-5348は暖かさ、リラックス感、その他一般的に“安らぎ”と見做される感覚を引き起こします。この効果の誘発に必要な摂取量には個人差がありますが、“アンブロシア”に記載された1人前分量(1±.23リットル)の約半分であると示されています。
携帯電磁波測定器で計測すると、SCP-5348は常時11.9mGの電磁波を発していることが分かりますが、それ以上の磁気的な効果は発見されていません。
補遺1:
以下の手紙は、財団が襲撃したアンブローズ・レストラン店舗の引出しから発見されました。
親愛なるチャーリー、
お前が魔法を使った自分の仕事をやっているのは知っているし、俺がお前をしっかり支えてきたわけじゃないのも理解している。すまなかった。俺に対して腹を立てるのは当然だが、頼みがある… 機会があれば母さんに会いに来てほしい。身体の調子が悪くて、あとどれだけ持つか分からないんだ。忙しいのは分かるが、これが最後の機会になるかもしれないし、それに
よく分からない。とにかく家に来てくれ。
お前の兄、
マテュー
チャーリー、
母さんがキャセロールを送ってくれてありがとうと言っていた。全くとんでもない悪臭だったが、お前からの便りがあったもんだから、母さんも大喜びで食べたよ。魔法のせいなのか、ただ酷い出来だったのかは分からないが、とにかくホスピス中に臭い匂いが染み付いて、未だに俺は看護師たちから厳しい目で見られてる。でも母さんは少し元気が出たようだった。なぁ、おい。母さんは感謝してたが、普通に顔を見せてくれ。30分も立ち寄ってくれれば、それで母さんは満足するはずだ、いいか?
マテューより。
チャズ、
お前が何をしてるかは分かってる。お前が送って来る料理からは毎回例の同じ悪臭がするんだ。ホスピスのスタッフに部屋中を消毒してもらったが、それでも芝刈り機の廃棄袋をかき回したようなクソ同然の匂いが消えない。
お前がクッキー缶やフルーツサラダやその他何でも料理を届けて食わせるたびに、母さんの体調はしばらくの間、少しだけ持ち直す。少し逞しくもなる。
そして、その後は悪化する。お前が母さんに届けている料理は上手く行ってないんだよ、チャズ。チキンナゲットに魔法をかけるのを止めて、まだ会えるうちに自分の母親に顔を見せにきやがれ。
–マット
母さんは昨晩死んだ。お前は何処にいるのかと訊き続けていた。
これで満足か、クソ野郎。
–マット
これらの手紙の上には、宛先の無い封筒が置かれていました。内容は以下の通りです。
マティ、
母さんもきっとこうなる事を望んでいたよ。
–チャズ
封筒には文書2のコピーが同封されていました。
文書2: “アンブロシア”の抜粋
使用器具:
- 大きめの寸胴鍋
- EVE吸引機2
- スタンドミキサー
食材:
- チキンブロス 2クォート (37ページのレシピを参照)
- みじん切りにしたアンズタケ 1ポンド
- 大きめのエシャロット 1個
- 冷やしたヤギ乳バター 300グラム
- 中力粉 大さじ6杯
- ミシェル・アンブローズの霊体から抽出した第六生命エネルギー 15Kj
- 慈愛に満ちていればどんな霊体でも代用可能だが、アンブローズ・レストラン・ソウルブイヨン®で適切にマリネにする必要あり。
チャズのメモ:
私の料理への愛は幼い頃から始まったもので、それについては母に感謝している。父が… “体調を崩す”ことが度々あった中で、母は何時間も兄や私と共に座り、美味しい料理を作り、お腹が痛くなるまで笑って過ごしたものだった。母は他人に料理を振る舞うことに何より強い喜びを感じていたと、私はそう心から信じている。そして母が亡くなってからも、私はその夢を続けたかった。そのような訳で、是非とも皆さんにはママ・アンブローズのクリーミーマッシュルームビスクを楽しく味わってほしい — これこそは真の家庭のレシピだ。
愛情と魂の籠った料理ほどに心に響くものは無いことを、アンブローズ・レストランは知っている。