アーカンソー州リトルロックの住民たちに郵送されたSCP-5379の宣伝チラシ。
特別収容プロトコル: 機動部隊カッパ-43 (“メディエーターズ”) が全てのSCP-5379出現報告に対応します。出現した店舗から得られたアイテムはサイト-43の低容量ストレージ施設1号に保管されます。被影響者には記憶処理が施されます。
SCP-5379の短い出現期間中、カッパ-43は利用可能なあらゆる手段を以て店舗の占拠を試みます。この試みが達成されるか、GoI-5889が無力化するまで、SCP-5379は未収容状態と見做されます。
説明: SCP-5379はヴィキャンデル=ニード・テクニカル・メディア (GoI-5889) が運営する写真及びフィルムストック取扱店、“VKテクニカル・メディア・ソリューションズ”です。SCP-5379は一見したところ無作為に既存の店舗の内部に出現し、その間、本来の店舗従業員らを未知の場所へと移動させます。SCP-5379はその種の一般的な施設と同じように、顧客に様々な未使用フィルムを販売し、またフィルム現像やテープ送りなどのサービスも提供します。しかしながら、SCP-5379から購入したフィルムに記録されたものは劇的に改変され、しばしばあり得ないような変化に曝されます。例として以下が挙げられます。
- 写真がトリミングされない。
- フィルムがトリミングされない。
- 出所の不明確な新しいメディア要素が挿入される。
- 所有者だけが知っている情報の参照が挿入される。
- 全く新しいメディアへの置換。
未知の場所に転移させられた本来の店舗の従業員は、自分たちの失踪を説明付ける“休暇”の曖昧な回想記憶を持って帰還します。記憶補強治療によって、失踪中は“将来的にあなたの店舗をしっかり所有し続ける”というテーマの企業研修に参加していたという、ごく部分的ではあるものの真実味を帯びた記憶が確認されています。従業員はこの研修のカリキュラムを思い出せませんが、SCP-5379に1回以上乗っ取られた店舗は存在しないため、研修の効果自体はあるものと思われます。
SCP-5379は占拠した建造物の内装のみを改変するため、その出現を察知するのは極めて困難です。財団職員は典型的に、SCP-5379が販売した製品が法執行活動を促すような状況になって初めて出現に気付きます。全ての事例で、SCP-5379は法執行機関が実際に行動を起こす前に、そして財団職員が店舗に到着するよりも遥かに早く、消失しています。
SCP-5379は、本文書上部に掲載されたチラシや、以下に転記されたコマーシャルのような、ミーム的影響力を有する広告キャンペーンを定期的に行います。
補遺 5379-1、発見とメディア実例記録: 1979/05/18、以下のテレビコマーシャルが、アメリカ合衆国アーカンソー州リトルロックの全ての民間放送局で放送されました。
フィルムのネガにこびり付いた汚れと思われる、オレンジ色と黄色のもやが画面上を横切る。撮影場所は精肉店のバックヤードらしく、正体不明の大きな肉片が天井のフックから吊るされている。Tシャツを着た男性が便器に座っている様子が、壁の鏡に映り込んでいる。男性は深く息を吸ってから単調に話し始める。彼はカメラを見ていない。
VKテクニカル・メディア・ソリューションズのコマーシャル。
男性: 俺には何も分からない。
5秒の沈黙。
男性: 俺の妻を持っていけ。
男性: VKテクニカル・メディア・ソリューションズ。
男性: お前らに必要なフィルム全部。
3秒間のすすり泣きが背景に聞こえるが、唐突に途絶える。
男性: 男の子たちと釣りをする。VKテクニカル・メディア・ソリューションズ。
男性: 俺にサンドイッチを作れ。
肉がフックに掛かったまま回転し始める。
男性: 俺の妻を持っていけ。
“ヴィキャンデル=ニード・テクニカル・メディア・ソリューションズ”というロゴが表示される。ロゴに付随するスローガン“男のためのメディア”が、もう1つのスローガン“ガラスの天井なんて無い”の上に雑に重なっている。
このコマーシャルの放送後間もなく、財団はSCP-5379の出現と、そこで購入されたフィルムに関連する数件の事件を認知しました。
| 事案 5379-I-1 |
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| 日付: 1979/06/03 | 対象: モリス・ブラウン、年金受給者 |
| メディア: 写真アルバム | ソース: リトルロック市警察 |
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改変概要: ブラウンは多数の古い写真ネガをSCP-5379に持ち込み、現像を依頼した。現像された写真にはブラウンの筆跡と一致する荒々しい走り書きで、被写体の性格を率直に解釈した注釈や、被写体に対する漠然とした非難が添えられていた。走り書きの影響を受けた被写体は例外なく女性だった。
故 モリス・ブラウンが所蔵していた写真。 注記: 改変はブラウンの死後、遺産管理人となった甥によって発見され、警察に器物損壊の被害届が提出された。鑑識官はこれらの写真がネガから直接現像されているにも拘らず、ネガ自体には走り書きが無いことを確認した。 財団エージェントは鑑識官に圧力を掛け、上記の結論を撤回するように強要した後、記憶処理を施した。先立っての警察発表を訂正し、器物損壊行為だと確認されたことを発表する告知が地元新聞に掲載された。 ブラウンの甥が訴えを取り下げたため、彼の記憶処理は不要と判断された。この事件は調査、記録されたものの、異常現象による干渉があったことを証明できなかったため、その後の措置は取られなかった。 |
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SCP-5379ファイルが正式に登録されたのは、反論の余地無く異常である新たな改変メディアが発見された後でした。1979年6月、あるアメリカ人の映像作家が、自身の最新作である映画フィルムを保管容器から盗み出して無関係なメディアと入れ替えたという理由で、“シカゴ・トリビューン”紙及び“シカゴ・サン・タイムズ”紙の告訴を試みました。
| 事案 5379-I-2 |
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| 日付: 1979/06/13 | 対象: ジョン・ベッドフィールド、アマチュア映画監督 |
| メディア: “走る”というタイトルのアマチュア映画 | ソース: リトルロック市警察 |
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改変概要: 映画“走る”のフィルムは、著名な映画評論家のジーン・シスケルとロジャー・イーバートが、自分たちのレギュラー番組“アット・ザ・ムービーズ”で2時間かけて“走る”をレビューする内容に差し替えられていた。このエピソードは一度も放送されておらず、また以下2つの理由から決して撮影されていないと考えられる。 1) “走る”は正式に上映されたことはなく、改変によって既に喪失映画となっている。 2) “アット・ザ・ムービーズ”は1986年まで放送を開始しなかった。番組のオープニングタイトルには“ヴィキャンデル=ニード駄作愚弄劇”というロゴと、“あなたは才能に欠けているが、才能の欠如には恵まれている!”というスローガンが添えられている。 代表的な抜粋を以下に転記する。 シスケル: どうやら私の人生にも、一歩下がって“いやいや、映画化されたもの全てが、えー、芸術作品となる可能性を秘めているわけじゃありません”と言うべき時が来たようだよ。このゴミはもうどうしようもない。
フィルムネガから再構成された“走る” (1979) の静止画像。 イーバート: 一方的に決めてもらっちゃ困る。もし誰かがそんな風に断言するなら、それは私であるべきだ。趣向に関しちゃ、私は君よりもずっと適任の権威だよ。 シスケル: 本気かい? イーバート: 勿論さ、しかも遥かに雄弁だ。私は正真正銘のルネサンス的教養人なのさ。 シスケル: おいおい、頼むよ。映画館でこんな卑猥な作品を見せられてだね、ロジャー、冗談半分にでも立ち上がって、よ-擁護するわけにはいかんだろう。 イーバート: 私は立ち上がっていないよ、ジーン、座っている。君もだ。だから足を口の中に入れっぱなしでも転ばずにいられる1。 シスケル: じゃあ、君はこの映画が好きだって言うのか? イーバートは嘲るように笑う。 イーバート: 当然違うさ、これは駄作だよ。しかし目の保養にはなった、あの場面は実に良く撮れていたからね。少なくともセックスアピールのある駄作だ。 シスケル: セックスシーンは確かにとてもセンスが良かった。だから — だからこそ君がそれを気に入ったと聞いて驚いてるんだ。 イーバートは静かにソーダをすする。 シスケル: どうしたい、いつもの鋭いツッコミは無いのか? イーバート: 今じっくり研ぎ澄ましてる。 注記: “走る”は、ベッドフィールドがメリーランド州サーモントでの公職選挙中に、疎遠になっている母親との復縁を試みる様子を記録した情緒的な映画だった。内容の大部分は戸別訪問による選挙運動、町内会、地元のイベントなどを撮影した白黒映像から成っていた。セックスシーンは無かった。 ベッドフィールドの記憶処理後、彼が訴訟を撤回したという告知が地元新聞に掲載された。 |
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SCP-5379メディアの実例が次に発見されたのは、匿名の通報を受けた財団エージェントが、リトルロック市内で発生した家庭内騒乱の現場に駆け付けた時でした。問題の夫婦はVHSテープの内容を巡って争っていました。
| 事案 5379-I-3 |
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| 日付: 1979/06/19 | 対象: ドワイト・ウォーカー、下級管理職 |
| メディア: 結婚式を撮影したVHSテープ | ソース: 匿名の情報提供者2 |
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改変概要: ウォーカーの結婚式の映像は、その2週間前に開かれたビーチパーティーの場面らしきものに置換されていた。映像中のウォーカーは幾度か、同伴している若い女性と、徐々に親密さを増しながら交流している。ウォーカーの介添人も序盤の背景に映っており、別な若い女性に対して露骨に性的な誘いを掛けている。オープニングタイトルには“ヴィキャンデル=ニード”のロゴと、“色褪せていく思い出!”というスローガンが添えられている。
アイテム5379-3の静止画像。 注記: ウォーカーに同伴していた若い女性は妻ではなく、夫妻の共通の友人だった。ウォーカーの介添人も同じく不倫していた。VHSテープを視聴したウォーカーの妻は、ウォーカーをワインボトルや幾つかの暖炉用品で攻撃した後、同席していた知人に説得されて家を去った。ウォーカー夫妻はこの後に離婚している。 警察にこの事件が通報されることはなかったが、匿名の情報提供者がサイト-43に電話を掛け、事件とSCP-5379を結び付けた。情報提供者は発見されなかった。 テープのすり替えは何者かの自警行為によるものとする告知が地元新聞に掲載された。 |
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映像作家 ジョン・ベッドフィールドを監視し続けた結果、以下の改変メディアが自動的に回収されました。
| 事案 5379-I-4 |
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| 日付: 1979/06/24 | 対象: ジョン・ベッドフィールド、アマチュア映画監督 |
| メディア: 1979年の映画 “ベルギーの繋がり” | ソース: 対象の自宅 |
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改変概要: ベッドフィールド本人は録音していないと主張するオーディオコメンタリーが“ベルギーの繋がり”の全編を通して再生されるようになった。ほとんどの場面には、最終カットに含まれておらず、ベッドフィールドも撮影しなかったと主張する余分な映像が追加されている。オープニングタイトルには“VKTMキッズ!”のロゴと、“私たちは私たちが何をしているのか分からないので、あなたたちは私たちが何をしているのかを知ることができない”というスローガンが添えられている。 代表的な抜粋を以下に転記する。 若い女性がホテルのベッドに座っており、包装紙が傍のシーツの上に放り出されている。彼女は膝に乗せた箱に手を伸ばす。
フィルムネガから再構成された“ベルギーの繋がり” (1979) の静止画像。 ベッドフィールド: これがその瞬間になるはずだった。 女性は箱から1冊の本を取り出す。本のタイトルも、女性の表情も読み取れない。 ベッドフィールド: 彼女は贈り物の意味を理解してくれるはずだった。僕が伝えようとしていることを。僕を愛していると、僕を理解していると、彼女が遂にそう言ってくれる瞬間だった。 女性は肩をすくめ、本を箱の中に戻す。彼女は箱の蓋を閉じ、目を合わせずにカメラに向かって弱々しく微笑み、立ち上がって画面外に出て行く。カメラは後を追わない。 ベッドフィールド: その瞬間のはずだったんだ。 場面が翌日の様子に切り替わる。女性は露店の商品を見ている。 ベッドフィールド: ここにセックスシーンを入れるつもりだったけれど、プロデューサーに説得されて、フィナーレまで取っておくことにした。 注記: “ベルギーの繋がり”は、ベッドフィールドが養子である妹との相互理解を深めるため、共にヨーロッパ大陸で休暇を過ごす様子を記録した情緒的な映画だった。本来、この映画にはプロデューサーはおらず、ホテルの部屋の場面や、セックスシーンも含まれていなかった。 改変後の映画を視聴したベッドフィールドは自発的に精神病院に入院し、施設に潜入中の財団エージェントによって記憶処理された。現地の映画コミュニティーを代表して、ベッドフィールドの神経衰弱をストレスと過労によるものとし、彼の回復を祈るメッセージが地元新聞に掲載された。 |
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補遺 5379-2、事案報告書: 1979/07/02、サイト-43の管理官を務めるV・L・スカウト博士の直通電話回線に、GoI-5889及びSCP財団の機密情報を把握していると主張する男性からの連絡がありました。財団エージェントはリトルロック住民のアラン・J・マッキンス博士をテキサス州のサイト-73に拘留し、スカウト博士が尋問のためにカナダから訪れました。両者の会話の一部が以下に書き起こされています。
インタビュー書き起こし
日付: 1979/07/02
調査担当者: サイト管理官 V・L・スカウト博士
[抜粋開始]
スカウト博士: 陳腐ですまないが、君は明らかにこの界隈の出身ではないね。
マッキンス: 陳腐な決まり文句はコミュニケーションに付き物だよ、博士。ああ、私はイギリス生まれだ。私の家族は皆イギリスの出身だ。ほとんどは生まれ故郷に留まってるが、何人かがカナダに、そして1人が — たった1人だけがアメリカに渡った。私の叔父、モリス・ブラウン。
スカウト博士: 最近亡くなったモリス・ブラウンさんか。それが理由でこの国へ?
マッキンス: そうだ。さっき陳腐ですまないと言ったな? 私も数ヶ月前に弁護士から手紙を受け取って、叔父の遺産管理人に指名されたと知らされたのさ。
スカウト博士: そして例の写真を見つけた。
マッキンス: その通り。一目見た瞬間に何かおかしいと気付いた。叔父があんな走り書きをするはずが無い。
スカウト博士: 親しかったのか?
マッキンス: 一度も会わなかった。
スカウト博士: では、どうして…?
マッキンス: 叔父の家を見た。非の打ち所が無かったよ。染み一つ見つからない。全てが整頓されている。要するに、怒りに駆られて写真に罵詈雑言を書き込むような男だとは思えなかったんだ。私の両親だったら、叔父はそういう悪念を心中に抱え込んで、誰も一緒の部屋に入りたがらなくなるまで腐らせるタイプだったと言うだろうね。それに叔父は日記をつけてたから、あの荒っぽい走り書きと比較できる文字がたっぷりあった。確かに筆跡は伯父のものだったが… 流儀が違う。
スカウト博士: だから器物破損を疑ったのだね。
マッキンス: 違う。
スカウト博士: 違う? 警察からはそう聞いている。
マッキンス: 押し入った形跡は無かったし、さっきも言った通り、家の中は整頓されていた。ひとまず、この事件は後回しにした。
スカウト博士: 君は実に理路整然とした人物だな。
マッキンス: ありがとう。とにかく、叔父は空のカメラフィルムを1本と、未使用のビデオテープを数本残して逝った。全部VKTMブランドだ。私は遺言執行者として、カメラに入りっぱなしのフィルムを使い、叔父の私物を記録した。
スカウト博士: おお。
マッキンス: 分かるか。不愉快な細かい話は割愛しよう、1つ例を挙げれば十分だ。フィルムを現像したdeveloped時、母がかつて叔父のために作った可愛らしい枝編み籠の写真には、私自身の筆跡で幾つか文章が添えてあった。“母は叔父の方が好きだった。父は知らなかった”。
スカウト博士: …そうか。その、これはデリケートな話になりそうだから-
マッキンス: そうじゃないかとは思ってたよ。叔父がアメリカに引っ越したのにはそれなりの理由があったし、噂だって流れる。私は自然と、このフィルムには異常な特質があるという仮説を導き出したdeveloped — 駄洒落のつもりはない。
スカウト博士: …君は本当に理路整然とした人物だな。
マッキンス: 筋の通る結論はそれしかなかった。警察なら他にもこの超常現象の証を見たことがあるんじゃないかと気になって、器物破損の証拠品という名目で写真を提出したんだ。こんな衝撃的な話がすぐさまお役所仕事に呑み込まれたのには呆気にとられたよ。君たちが裏で動いてたんだろう?
スカウト博士: ノーコメントだ。
マッキンス: やっぱり君たちの仕業か。監視されているのかもしれないと考えて、私は静かに訴えを取り下げ、仕事に戻った。
スカウト博士: 遺産管理。
マッキンス: いや、実際の仕事だよ。叔父が遺した金はほんの少しだったから、就職する必要があった。私にはコミュニケーション学の経歴があるんだ、だから映画やテレビの製作に関わる地元の広告会社に勤めることにした。
スカウト博士: きっと特段の理由は無いんだろうね。
マッキンス: 私の疑いを裏付けるものを探していたのも確かだが、あっさり見つかったんで正直驚いた。ほんの1週間で、同意した覚えもないのに例の不条理なコマーシャルを放送してしまった同業者と、自分のアマチュア映画が何故かテープレコーダーに改竄されたと言い張る映像作家に出会った。私は有頂天になった。
スカウト博士: 怖くはなかったのかね?
マッキンス: 私は不条理よりも平凡を恐れる。それでだ、広告会社に勤務し始めた私は、サラ・ウォーカーという同僚の人事スペシャリストと親しくなった。彼女は本当に無作法な馬鹿と結婚した… 名前はもう分かってると思う。
スカウト博士: 名前が分かるのは君のおかげだという気がしている。
マッキンス: その通り。私はこの… 魔法の?メディアを十分に知っていた。もしもあの馬鹿に叔父のVKTMテープを貸して、そいつで私のために結婚式を撮影してくれと頼んだら何が起こるか、想像が付く程度には理解していた。
スカウト博士: 君は彼を実験台にしたのか。
マッキンス: もっとマトモな奴が相手ならそんな真似はしなかったさ、安心してくれ。ドワイトは例のビデオで記録し、妻と私の前でそれを再生して、ちゃんと撮れたかどうかを確認しようとした… 立ち会えて良かったよ。現場には必ず同席したかったんだ。サラはもう少しであいつを殺すところだった。何はともあれ、君たちが気付くように電話で連絡した。力を貸してもいいだろうと思ってね。
スカウト博士: 我々の電話番号を知った経緯の説明にはなっていない。
マッキンス: ああ、そうだな。ある日、2回目のコマーシャルがテレビで流れた時に、奴らのサービスを利用してやろうと決めた。私は地元のVKTMの店を訪れて…
沈黙のみが録音されている。
スカウト博士: そして?
マッキンス: 監視されているんじゃないかと疑ってた話はしたな? 私は新聞を購読してるんだ、スカウト博士、そこでベッドフィールドさんの代わりに君たちが出した告知を読んだ。彼自身から真相を聞いていたんで、君たちだと分かった — 君たちの正体が何であろうと、ベッドフィールドではないと。そこで、その記事の切り抜きをVKTMの店に持ち込んで、ポスターサイズに引き延ばしてくれと依頼した。
スカウト博士は頷き、テーブルに置かれたボール紙製の長筒を身振りで指す。
スカウト博士: 君を連行したエージェントから、君がこれを持ってきたと聞いている。中を見ても?
マッキンス: どうぞ。
スカウト博士は筒からポスターを引出し、テーブルの上に広げる。彼はポスターを注意深く読み、しばらく熟考する。
スカウト博士: もしかして、広告会社との契約を破棄することは可能か?
[抜粋終了]
ポスターにはSCP-5379のアイテム番号、オブジェクトクラス、特別収容プロトコル、説明、SCP-5379店舗が突然出現した場合にMTF カッパ-43に連絡するための電話番号とコードフレーズ(この情報は後日ファイルから削除された)が記されていました。また、SCP-5379の本来のファイルには含まれていないスカウト博士の直通電話回線の番号も掲載されていました。
補遺 5379-3、観察試行: 1979/07/03、スカウト博士は、GoI-5889の監視継続を支援するという条件で、マッキンス博士をSCP財団に勧誘しました。マッキンス博士は条件に同意し、その後3週間にわたってサイト-73で広範な訓練を受けました。その間、スカウト博士はSCP-5379現象の再発に備えてリトルロックの通信回線を監視していました。3回目のコマーシャルが放送された時、マッキンス博士はリトルロックに呼び戻されました。1979/07/28、彼は新たなVKTMの店舗に派遣され、そこで販売されている限り多くの種類のメディアを購入するように指示されました。
しかしながら、到着したマッキンス博士は、店内には受付カウンターに置かれた1本のVHSテープ以外に何も無いことに気付きました。テープの内容の完全な書き起こしは以下の通りです。
タイル張りのシャワー個室に身動きせず立っている男性の身体から、鮮明な白煙の波が放射されている。男性は下を向いており、シャンプーの泡に覆われた頭頂部のみがカメラに映っている。流水の音が絶えず聞こえるが、水は流れていない。
マッキンス博士が回収したビデオ。
男性: お前はもっと頻繁に笑うべきだな。
19秒の沈黙。
男性: で? 何を期待してたんだ?
男性は首を横に振るが、顔を上げようとしない。
男性: このショーはお前のためのじゃない。
37秒の沈黙。
男性: このショーは奴らのためのだ。
男性: だが、多分どっちみちメッセージは受け取ったんだろ?
12秒の非常に大きな空電音。映像は影響を受けないが、水がシャワーヘッドから吹き出し始める。空電が止まると水も止まる。
男性: そしてこれはまだ始まりに過ぎない。
男性は手を伸ばし、頭皮を優しくマッサージし始める。
男性: VKテクニカル・メディア・ソリューションズ。
男性は突然、頭皮から荒々しく髪をむしり始める。
男性: 男の子はいつまで経っても男の子だ。
男性の頭皮が裂け始めた時点で、映像は唐突に途切れる。生物学的な組織を裂く湿った音が129秒にわたって続く。
“ヴィキャンデル=ニード・テクニカル・メディア・ソリューションズ”というロゴが表示される。ロゴに付随するスローガン“アーカンソー州リトルロック: アメリカで最も性差別的な町!”が、もう1つのスローガン“新しい仕事に就けておめでとう、アラン!”の上に雑に重なっている。
補遺 5379-4、その後の活動: リトルロックでそれ以上のVKTMソリューションズの出現は発生していません。店舗は定期的に再出現しますが、必ずその場所は別な都市部であり、常に新しい主題を掲げた広告キャンペーンを行っています。例としては“あなたは信託資金を稼いだ!”(ニューヨーク州ニューヨーク・シティ)、“いいからとにかく言えよ!”(マサチューセッツ州ボストン)、“スローガンはちゃんと道徳の代わりになる!”(ネバダ州ラスベガス)などが挙げられます。
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