SCP-539-JP
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アイテム番号: SCP-539-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-539-JP周辺の土地は財団フロント企業により買収され、一般人の侵入を禁じます。また、月に1回セキュリティクリアランス2以上の職員によるSCP-539-JP-Aとの対話と、SCP-539-JP-Bの点検が行われます。

説明: SCP-539-JPは岡山県██町に存在している家屋です。SCP-539-JPの内部は外観から予測される大きさよりも明らかに広く、延べ床面積はおよそ██km2以上あると推測されています。SCP-539-JPはダイニングフロアと収容室フロアの2部屋で形成されています。ダイニングフロアには初老の男性実体(以下、SCP-539-JP-Aと呼称。)が存在しています。SCP-539-JP-Aは温厚な性格であり、財団に対して協力的な態度をとります。また、SCP-539-JP-Aは発見時から老化の兆候が見られません。

収容室フロアには異常な性質を保持した物品(以下、SCP-539-JP-Bと呼称。)が多数収容されています。SCP-539-JP-Bには動物や無機物など様々な種類が存在しますが、いずれも共通して淡い青色に発光しています。下記はSCP-539-JP-Bの例です。

分類番号 物品の種類 保持している異常性
SCP-539-JP-B-1 トナカイ(Rangifer tarandus) 常に地上から5cm浮いている。鳴くと周囲にリボンでラッピングされた空箱が出現する。
SCP-539-JP-B-3 フクロウ(Strix uralensis) 羽根が地面に接触すると消失し、同地点からホオズキ(Physalis alkekengi var. franchetii)が発生する。このホオズキの果実部分は総じてフクロウの頭部分に酷似している。
SCP-539-JP-B-4 カニ(Brachyura) 全長が5cmと非常に小さい。口から発生した泡がビー玉に変化する。
SCP-539-JP-B-6 日時計 光源に関係なく常に現在の時刻を指した影が発生している。
SCP-539-JP-B-9 ユリ(Lilium) 花弁の中心から常に「きらきら星」のピアノ演奏が流れる。
SCP-539-JP-B-10 餃子 常に温かく、冷めることが無い。

SCP-539-JPの特異性としてもう1つ、上空から不定期にSCP-539-JP付近に青く光る球体(以下、SCP-539-JP-Cと呼称。)が落下してくるという点があげられます。SCP-539-JP-Cは1000℃以上の熱を放っており、一般人が触れることは不可能ですが、SCP-539-JP-AはSCP-539-JP-Cに火傷などを負うことなく接触することが可能です。SCP-539-JP-Aの接触後、SCP-539-JP-Cは変形し始め、数分でSCP-539-JP-Bに変形が完了します。

補遺1: インタビュー記録539-JP-A

対象: SCP-539-JP-A

インタビュアー: 国都博士

<記録開始>

国都博士: どうもこんにちは。

SCP-539-JP-A: やあ、いらっしゃい。

国都博士: 今日は少し話をしたいのですが、よろしいですか?

SCP-539-JP-A: 話、ですか。ええ、構いませんよ。

国都博士: ありがとうございます。

SCP-539-JP-A: いえいえ、何でも聞いてください。話せる限りは答えましょう。

国都博士: では早速ですが、あなたの素性を教えてください。

SCP-539-JP-A: うーん……えーと。

国都博士: どうかしましたか?

SCP-539-JP-A: いえ、そんな事を聞かれたの、数百年生きてて初めてでして……

国都博士: 数百年?えっと、人間じゃ、ないのですか?

SCP-539-JP-A: ふむ……そうですね。人間ではないですね。

国都博士: ええっと、じゃあ何なんですか?

SCP-539-JP-A: 私は、星守なんです。

国都博士: ほしもり?

SCP-539-JP-A: ええ。ここによく落ちてくるでしょう。その子たちを保護しているんです。

国都博士: ああ、星を守る、で星守ですか。なるほど。

SCP-539-JP-A: そうです。

国都博士: でも、それは生まれてからずっとですか?

SCP-539-JP-A: いえ、任されたんです。

国都博士: 任された?誰にですか?

SCP-539-JP-A: ええっと、私の上司にあたる人から、ある日こう言われたんです。『私の支えている空から星が零れてしまう。その星を守ってくれ。』と。

国都博士: ……はあ。

SCP-539-JP-A: まあ、とにかく私は星たちを守る。それだけの男です。

国都博士: そうですか……分かりました。ありがとうございます。

SCP-539-JP-A: さあ、久しぶりに話して疲れました。よかったら一緒にピザでも食べませんか?少し落ち着いて、お話はその後に、ということで。

国都博士: ……では、ありがたく頂きます。

SCP-539-JP-A: 本当ですか?うれしいですねぇ。では、どうぞどうぞ。

<記録終了>

補遺2: インタビュー記録539-JP-B

対象: SCP-539-JP-A

インタビュアー: 国都博士

<記録開始>

国都博士: どうも、こんにちは。今日も少し話を聞きたいのですがよろしいですか?

SCP-539-JP-A: おや、またお話ですか。ふふ、こんなに話せるなんてうれしいですねぇ。ええ、もちろんいいですよ。

国都博士: ありがとうございます。では今日は、あの不思議なものたちは何なのか教えてください。

SCP-539-JP-A: ええっとですね。少し前に話した星の事は覚えていますか?

国都博士: ええ、あれは空から零れ落ちた星だったんですよね。

SCP-539-JP-A: そうです。……しかし、その説明はちょっと足りなかったですね。

国都博士: どういうことですか?

SCP-539-JP-A: その前に聞きたいのですが、あなたは何座ですか?

国都博士: 私ですか?……かに座ですが。

SCP-539-JP-A: おお、かに座ですか。良いですねえ。

国都博士: で、星座が何か?

SCP-539-JP-A: 今、星座はいくつあるかご存知ですか?

国都博士: え?えーっと、確か88個でしたっけ。

SCP-539-JP-A: そうです。1922年に名前が決められ、1928年に居場所が定められて現在の88個になりました。しかし、それにより消えてしまった星座はどうなったと思いますか?

国都博士: ……どうなるんです?

SCP-539-JP-A: 空の支えから零れ、ここに落ちてくるのです。

国都博士: あ、もしかしてあの流れ星ですか?

SCP-539-JP-A: そうです。あの星を然る形にして保護する。それが正式な「星守」の仕事なのです。

国都博士: はあ、そうだったのですか……でも、なくなった星座は全て保護が完了しているのではないですか?

SCP-539-JP-A: ええ、ジェイミソンさんの子たちやトレミーさんの子は保護し終わっています。

国都博士: では、もう落ちてくる星座はないんじゃ……。

SCP-539-JP-A: いえ、今も星座は作られ続けています。そして空から落ちてくるのですよ。

国都博士: 作られている?誰が作っているのですか?

SCP-539-JP-A: んー、誰がと言うか、あなたも作ったことがあるんじゃないですか?ほら、この問答を聞いたことがあるでしょう?

国都博士: 問答?

SCP-539-JP-A: "ねえねえ、何座なの?" "えー?ギョウザ!"という問答ですよ。

国都博士: ええっと、あれも星座に入っているのですか?

SCP-539-JP-A: そりゃあもちろん。あの子たちも星座として生まれてきたのです。仲間外れはいけませんよ。もちろん、ギョウザだけではありません。「ぎざぎざ」、「ブルドーザ」、「インフルエンザ」などもすべてここに落ちてきますよ。

国都博士: なるほど、そういう理由でしたか。

SCP-539-JP-A: たまに珍しい子とかも落ちてきましてね。どの子も家族同然に大切なんです。

国都博士: ……でも、餃子なんかは言われる機会が多いから、落ちてくる子たちを保護するのは大変じゃないですか?

SCP-539-JP-A: ああ、その問題はないですよ。

国都博士: 何故です?

SCP-539-JP-A: 増えすぎたら、美味しく頂いていますので。

<記録終了>

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