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アイテム番号: SCP-5399
オブジェクトクラス: Safe Euclid/Pending
特別収容プロトコル: サイト-19のDクラス居住ウィングにある宿舎部屋の1つは、アクセスを制限するエアロックを設けた低セキュリティ人型実体収容室に改装されています。収容シフトは8時間周期であり、このウィングに居住する全職員にラウンドロビン形式で割り当てられます。収容シフトを終えた職員は、交代要員が部屋の敷居を跨ぐまで退室してはなりません。
プロトコル更新案:
いかなる時でも、SCP-5399の収容室を無人の状態で、もしくは占領されていない状態で放置してはなりません。SCP-5399の収容に助力する職員は、ヘッドホンやイヤホンといった、聴力の妨げとなりうる機器の持ち込みを禁止されます。収容担当職員のうち、慢性的もしくは深刻な聴覚障害を患ったメンバーは、健康状態が回復するまで収容ローテーションから直ちに外されます。
SCP-5399の性質上、収容担当職員および保安職員ともにシフトは最大2時間に制限されています。
SCP-5399の収容に割り当てられた職員は、ハエの羽音が聞き取れない場合、直ちにその旨をサイト司令部に報告してください。加えて、収容に割り当てられていない場合でも、虫のものに似た持続する羽音が30分以上聞こえると訴えた職員は、直ちにその旨をサイト司令部に報告する必要があります。
説明: SCP-5399は反ミーム性を帯びたMusca domestica (イエバエ) であり、その存在は目視で観測できず、推測することでしか把握できません。代表的な推測方法として、イエバエに共通する持続しつつも不安定な羽音や、露出した皮膚に虫が付くといった時折の触感を根拠とするものなどが挙げられます。
SCP-5399は常に推測される必要があります。推測されなければSCP-5399は消失し、自身の存在が推測されうる別の場所に再出現します。この効果を阻止もしくは抑制する方法は現状判明していません。
説明更新案:
証拠が示す通り、SCP-5399をEuclidに再分類して、その副次的効果を含めるよう改訂する必要があります。修正案5399.1、5399.2、5399.3に記録された出来事を見れば、オブジェクトが心理的圧力と影響力を別に呈しており、"Safe" オブジェクトクラスの閾値を超えた水準の干渉が必要であることは明らかです。
-ナタリー・エリングブルック博士
Re: 説明更新案:
エリングブルック博士、修正案1、2、3での出来事は、予備収容プロトコルを確立した後も警戒を緩めてはならないと我々に悲劇を以って確認させてくれた、ただそれだけのことです。我々の分析官と収容スペシャリストは、オブジェクトを収容するには今のプロトコルで十分だと明言しており、貴方の提案が意味するのは資源の大げさな過剰割り当てです。これに割り当てる分は明らかに他でより良く活用できるでしょう。貴方の変更案は却下されました。
-チャーマーズ主任研究員
Re: Re: 説明更新案:
チャーマーズ博士、それは証拠に対する無責任な嫌悪感です。私はこの件が可及的速やかに分類委員会へと持ち込まれるべきだと強く主張しなければなりません、そちらに委員会の議題に載せる提起書のコピーをCCで送付いたしました。私はこの件が政治的資本を賭けるほどの事だと固く信じており、貴方が得たという確証は私を思いとどまらせるには不十分です。ここでは貴方が認めようとしている以上のことが起こっているのです。サイト-35の事案を繰り返すつもりはありません。
-エリングブルック博士
Re: Re: Re: 更新がどうとか
きっと委員会会議で明らかになるでしょう。アレはただのハエです。長寿で、観測しづらい1匹のハエ。それでもただのハエにすぎません。
-チャーマーズ
Re: Re: Re: Re 更新がどうとか
ハエの羽音しかしない部屋で8時間も過ごしたためしがないからそう言えるのですよ。
-エリングブルック
前文: 2019-10-10、財団サイト-35がコード・デルタ緊急状態に突入したことを示しました。緊急救援隊員が派遣され、抑えきれないほどの火災が既に施設の大部分を焼き尽くしていたのが確認されました。サイト-35は主として研究サイトであったため、資産の損失は概ね特殊な機材や用紙上の記録に限られました。
現地のサーバーのほとんどは火災によって破損していましたが、セキュリティアレイのドライブは数個が無傷であったため、サイト-35が損壊した経緯の関連情報が得られました。映像はこの文書に添付されている他、以下に書き起こされてもいます。
SCP-5399の収容室に向けられたカメラから映像が開始する。不詳の研究員と保安職員がドアの空いた収容室の隣に立っている。彼らは1人のDクラスと会話しており、この人物は制服からD-2123であると同定されている。冗長な音声と映像は削除済。
研究員: いなくなったとはどういう意味だ?
D-2123: そのままの意味だよ。止んだんだ。トイレ休憩から戻ってくると、そいつは…… その、もう羽音がしなくてさ。いなくなったんだよ。
研究員: (保安職員に向かって) 彼は休憩の後どれくらいの時間ここにいた?
保安職員: 大体45分くらいです。
研究員: (D-2123に向かって) つまりお前は、異変を報告するまで丸々1時間近くも収容室でのんびり座っていたのか?
D-2123: 実を言うと、そのうち戻ってくるだろって思ったんだ。それにさ、もう羽音を聞かなくてもいいんだって、心の底から嬉しくなって。もうどうしたらいいか分からなかったんだよ。ずっと羽音がして、飛び回って、肌に留まって、近づいたり離れたりすんだ、耳のとことか、目とか、腕とか首とかあちこちにさあ!
研究員: そうか。このまま放っておくわけにもいかないだろうな。サイト司令部に知らせて奴を探そう、これは紛れもなく収容違反だ。運が良ければ、今頃誰かがハエに悩まされているだろう、そうであれば容易い。まずはこのバカを寝床まで連れ戻してくれ。
SCP-5399の収容室外の廊下に設置されたカメラから映像が始まる。カメラは30秒周期で左右方向へのパンを繰り返している。カメラが廊下を映すと、壁には焦げ跡のほかに様々な直径の弾痕が多数見受けられる。カメラ映像の左端には2人の人間が動かずに横たわっている。
カメラがSCP-5399へのドアにパンすると、部屋の外壁や、隣接する壁、および床に血痕と見られる染みがいくつか見える。天井から一部が吊り下がった照明器具が断続的に明滅している。保安職員が収容室へのドアを勢いよく閉める音が響く。職員がドアに倒れ込んだまま数秒が経過する。荒い呼吸音が聞き取れる。
保安職員: やった…… ついにやったぞ…… やっと羽音が収まった。
カメラが監視の周期を繰り返す。3回ほど周期を繰り返すと、荒い呼吸音が突如として止み、保安職員が動きを止める。カメラが大きな虫の羽音を拾い上げる。音源は不明確だが、廊下を大きく不規則に上下しているように思われる。
警備員: もう、いいかげんに…… (映像が途切れる)
暗い室内の隅から映像が始める。研究員が画面中央に見えるが、溶接マスクを着用しているために素性は不明である。研究員はその後30分かけて、ボンベやハーネスの他、より精巧な器具を含むいくつもの金属を溶接する。作業を終えると、研究員が完成品を背中で担ぎ上げ、先端を点火器で叩く。この完成品は火炎放射器であるように見受けられる。研究員がカメラに数歩近づき、顔を向けて話し始める。
研究員: 24時間が経過した。これが最後の仕事となるのなら、私はあの忌々しいハエをぶち殺す。サイトの核弾頭を作動させるにはあまりに多くの手順を踏まねばならない上に、そんなことをするのは少々行き過ぎているだろう。だが…… (機器の先端から小さな炎を噴射する) 次善の策ならある。
不明な研究員がハーネスを調整し、ドアを蹴破る。研究員が映像の外へと去る。
SCP-5399の収容室内に映像が切り替わる。室内は無人であるように見えるが、虫の羽音が聞き取れる。金属に圧力がかかる音が響くと同時に、黒く濃い煙がドアの下から立ち込め、直後にドアが室内へと吹き飛ばされる。不明な研究員が収容室内を焼却すると、噴出した炎が室内の壁を左から右へ、そして天井へと伝い始める。研究員が監視カメラのある隅に器具を向け、カメラが破壊される。
SCP-5399の収容室外の廊下に映像が切り替わる。廊下の一部は濃い煙と微粒子で覆われている。クラクションが鳴る中、瓦礫や煙が映像の外から立ち込め続けている。遠方から銃声が響く。カメラがこの光景を映したまま約30秒経過すると、不明な研究員と火炎放射器が画面の右から左へと通り過ぎていく。
研究員: お前はくたばるんだ虫けらが。くたばるんだよ。この言葉が聞こえるか?
研究員が突如として立ち止まり、頭上やその周囲を手で叩く。回転を続けながら時折宙を手で叩いていると、誤って点火機構を押し込み、噴出した炎が頭上の天井を包み込む。炎が天井のタイルを伝って急速に広がり、やがてカメラが破壊される。
食堂跡地に映像が切り替わる。サイトの消火システムが炎に対処しているが、既に多大な損傷が及んでいる。不明な研究員が最前面で火炎放射器の残骸の隣に座っており、両方に水が降り注いでいる。火災警報とクラクションが遠方から聞き取れる。そのまま30秒近く経過すると、虫の羽音が響き始める。研究員が目に見えて肩を落とす。研究員がすすり泣き始め、頭を抱える。
ページリビジョン: 3, 最終更新: 23 Sep 2022 08:36