|
暫定収容プロトコル
通知: 現在、SCP-5411のオブジェクトクラスの調査・評価プロトコルが保留されています。仮の収容体制は以下のように確立されています。
財団観測基地-Z478は、SCP-5411-0の周囲に確立された70km2の立入禁止区域の内部に位置します。タンザニア連合共和国連邦政府による協力の下、この区域は軍事施設を装ってアクセスを制限しています。警告標識が立入禁止区域の境界線に0.5kmごとに設置され、不法侵入に対する厳しい処罰を民間人に通達しています。立入禁止区域は合計25機の非武装自動ドローンによって常時巡回され、ドローンが収集した情報は観測基地-Z478へ送信されます。全ての侵入者は捕縛され、収容機動部隊デルタ-52 (“砂漠鼠”)によって記憶処理され、その後の起訴のためにタンザニア政府の拘留下に引き渡されます。
SCP-5411-0に入場する財団職員は、銃火器や武器と見做され得る視認可能な物品の所持を禁止されます。如何なる状況でも、職員がSCP-5411-0内の動物と交流、接近することは認められません。
1匹の家畜ヤギ (Capra aegagrus hircus)が観測基地-Z478で常に飼育されます。SCP-5411が領域を離れた場合、CTF デルタ-52はこのヤギを利用した生贄儀式を執行し、財団奇跡論部門が作成した拘束陣を活性化させます。ヤギは喉の裂傷を介して観測基地-Z478の内部で生贄に捧げられ、拘束儀式を完了させます。拘束が完了した時点で、SCP-5411の収容プロトコルにその旨が付記されます。
SCP-5411-0を離れようと試みたSCP-5411-1個体は全て焼却処分します。
説明

SCP-5411。
SCP-5411は、幾つかの異常な能力と、アフリカ部族の呪術医の肉体的外形を有するヒト型実体です。SCP-5411は直立時の身長が約2.1mで、様々な人間、動物、植物由来の材質で構成されていますが、体内の構造と機能は未だ不明です。未知の言語で発話できますが、スワヒリ語、アラビア語、英語は理解していないようです。SCP-5411と関連する異常性には瞬間移動、非実体性、動物会話ズーリンガリズム2、植物操作フローラキネシス、念動力サイコキネシスが含まれます。SCP-5411は葉、木材、泥、岩で構成された身長1mのヒト型実体群(SCP-5411-1と指定)を出現させ、制御することもできます。
SCP-5411-1個体の知性はごく限られており、原始的な捕食行動を示します。SCP-5411-1個体は四足歩行の体勢から時速およそ75kmで走ることができます。SCP-5411-1個体には高い損傷耐性があり、焼夷弾でのみ負傷させられます。SCP-5411-1個体は無差別に人間を攻撃し、鋭い鉤爪のような石製の四肢で標的の内臓をえぐり出すか、斬首して殺害します。SCP-5411が存在する時、SCP-5411-1個体は従順になり、SCP-5411から口頭で指示を受けた場合のみ攻撃的に振る舞います。合計58体のSCP-5411-1個体がSCP-5411-0の中に存在します。
SCP-5411-0は、SCP-5411と既知のSCP-5411-1個体全てが居住する、タンザニア南部の約35km2のサバンナ地帯です。その地域に典型的な気候にも拘らず、SCP-5411-0には絶滅危惧種の大集団を含む非異常性の動物相が異常なほど豊富に生息しています。SCP-5411-0での生息が確認された絶滅危惧種にはクロサイ、ニシゴリラ、マルミミゾウ、アダックス、グレビーシマウマ、オカピ、ワオキツネザル、ケープペンギン、シロサイ、コビトカバなどが含まれます。
SCP-5411はSCP-5411-0内部の如何なる場所にでも瞬時に移動できます。SCP-5411はこの能力を利用して、自らが脅威と見做したSCP-5411-0内のあらゆる人物3に立ち向かいます。発見以来、SCP-5411とSCP-5411-1個体群はSCP-5411-0の境界線4を越えていません。
発見
2019/09/13、タンザニア人民防衛軍(TPDF)の密猟防止部隊の隊員がSCP-5411の映像記録を含む報告書を提出した際に、財団はTPDF内の資産から連絡を受けました。この密猟防止部隊は、既知の密猟者団体を追跡する途上でSCP-5411-0に侵入しました。以下は遭遇時に記録された動画の書き起こしです。
数回の試験が実施された後、SCP-5411-0を取り巻く立入禁止区域が、SCP-5411-0の発見から3週間後に設定されました。SCP-5411-0の非武装探査は余りにもリスクが高く、武装探査は完全に実現不可能と判断されました。これを受けて、現行のSCP-5411-0収容プロトコルが確立されました。
調査
その後の調査中、財団はSCP-5411-0の近くにある小さな村が、SCP-5411の起源に関する情報を有していることを知りました。村との接触がその後間もなく確立され、現地の長老へのインタビューが手配されました。以下はインタビューの書き起こしです。
空中監視によって、SCP-5411はSCP-5411-0内に生息する動物の世話をしたり、意思疎通を行うのに大半の時間を費やしていることが判明しました。SCP-5411は草食動物が食べる植生を植え直し、数種類の動物の出産を支援し、負傷した動物を治療しながら食事を与え、その他にも生態系に有益な各種の活動を行う様子が確認されています。SCP-5411が飲食、睡眠、休息する姿は一度も目撃されておらず、常に活動状態にあるようです。
研究のためにSCP-5411-0に入場した非武装の財団職員は、SCP-5411やSCP-5411-1個体群から攻撃されていません。しかしながら、SCP-5411-0内にいる間、職員はSCP-5411またはSCP-5411-1個体に常時監視されていました。複数回の試みが行われたものの、SCP-5411との直接的な意思疎通は実現不可能と判断されています。
分類提言
約1年間の観察期間の後、SCP-5411は低脅威・低攪乱度の異常実体であり、それ故に直接的な収容は逆効果であると見做されました。SCP-5411-0内の生態系への圧倒的な利益と、20種類以上の絶滅危惧種及び10種類以上の絶滅寸前の動物種の保全は、収容の必要性を大幅に上回っています。現在の収容プロトコルはSCP-5411-0内における財団の活動を制限するために確立されており、生態系の持続的な成長と安定性を保証しています。
また、この特異な生態系がもたらす研究の機会は、幾つかの財団内プロジェクトにとって無条件に有益です。承認が下り次第、暫定収容プロトコルは確定版となり、SCP-5411はHiemalに分類される予定です6。
支持: 収容部門、異常動物学部門、科学部門、研究開発部門、HCML管理部門
O5司令部 – 保留
倫理委員会 – 承認