SCP-5557
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SCP-5557の写真。気象観測気球によって撮影。

アイテム№: SCP-5557

アノマリークラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-5557を内包する小部屋はHC級コンクリート壁で覆われており、ソールズベリー大聖堂のスタッフ専用区域にある隠された入口からでのみ進入が可能です。SCP-5557内の気球はカモフラージュを施した青い布で覆われており、近くを通る飛行経路は全て向きを変更されています。SCP-5557に関する公的報告は表面化するたびに隠蔽します。

SCP-5557によって生成されたSafeクラス二次アノマリーは、各アイテムに該当するだけの標準収容ロッカーに収容します。より高い分類が割り当てられたアノマリーには、代わりに文書と特別収容プロトコルが用意される場合があります。

説明: SCP-5557はソールズベリー大聖堂地下の小部屋と、その建物から約36,000 m上空に同時に存在する、幅およそ25 mの卵形空間領域です。任意の方向からこの空間を観測すると、その後方にある物体や外の天候に関係なく、澄み切った青空が見られます。SCP-5557の内部には、移動不可能かつ破壊不可能な熱気球1を除いて何もありません。

同時に2つの位置に存在しつつも、現在地が1箇所にしか定まらず、それゆえにどちらの位置にも存在していないことになるため、SCP-5557は論理矛盾を物理的に形あるものとして表しています。SCP-5557内の人物は、論理に基づいた爆発原理2に沿ってこの矛盾から推定することで、ベースラインの論理的現実を歪曲させることができます。この推論は往々にして意図せず、もしくは無意識のうちに発生し、長期にわたって暴露した場合は、矛盾する公理によって発生する二次アノマリーの量が指数関数的に増加します。

1966-06-12以降、SCP-5557へ進入した人間の被験者の致死率は100%となっています。

実験: 一般人や予備収容スタッフの進入 (ならびに結果として生じたアノマリーの収容) が続いたのち、SCP-5557の性質に関する正式な実験が1966-06-11に開始されました。これまでに試みた実験のログは以下の通りです。

日付: 1966-06-11
実験概要: D-0088は長い金属棒をSCP-5557内部まで伸ばした。棒の先端にはカメラ機材と、GPSを備えた放出可能な小型の荷物が取り付けられていた。


実験結果: カメラ映像はSCP-5557の境界線を越えるまでは正常であったが、この地点を越えると、小部屋内からの視点と高高度の気球からの視点を同時に映し始めた。この矛盾した映像を観測した職員は、新たなアノマリーを引き起こさずに安全に推定ができたため、ベースライン現実に及ぶ爆発原理の効果には限界があることが窺える。展開された荷物は両地点から同時に落下した。荷物はその後間もなく回収され、現在はそれぞれ別々の収容ロッカーに保管されている。

日付: 1966-06-12
実験概要: エージェント・ガーベイが、ソールズベリー大聖堂の床から気球のカゴまで敷設された道板を通ってSCP-5557に入室した。ガーベイは自分が同時に2つの場所に存在するという考えを持ちつつ、結果を観測し、現実性についてそれ以上推論を立てずにSCP-5557を退出するよう指示を受けた。


実験結果: エージェント・ガーベイはSCP-5557に入室したが、実験をそのまま進めず、驚いたかのように振り返った。続いてゆっくりと頷き、額に手の甲を当てると、激しく燃え上がった。
その後、監視職員は以下を含む様々な光景を観測した。

  • 気球を包み込む炎
  • SCP-5557内の空が夜から昼へ、さらには不明な第三の状態へと急速に移り変わる様子
  • 気球が燃え尽きた残骸に置換される様子
  • 遠方から出現する、カメラ機材が取り付けられた巨大な金属棒
  • 空がソールズベリー大聖堂の内装に置換される様子
  • 突如として再配置される、気球に置かれた家具
  • 空が煙と炎と瓦礫 (ソールズベリー大聖堂の残骸と特定) に置換される様子
  • 気球の書き物机に座る、SCP-5557の活用可能性に関する計測不能なほどに膨大な書類の山に囲まれたO5-01
  • 押し出されたかのように気球から落下する、ビジネススーツに身を包んだ不明な男性

これらの光景は全て同時に発生した。その重要性は (もしあるのであれば) 現状不明である。このイベント以降、エージェント・ガーベイは頭を抱えて書き物机に座ったまま動かずにいる。

日付: 1966-06-12
実験概要: D-0088に非殺傷性の電気ショック武器を与え、SCP-5557への入室とエージェント・ガーベイの回収を指示した。


実験結果: SCP-5557に入室した直後、D-0088は (酷く腐敗した) エージェント・ガーベイの死体に置換され、燃え上がった。続いて、不明な発生源からエージェント・ガーベイの声で「お前たち。お前たち。こいつには手間をかける価値はないぞ」と発せられたのが聞かれた。
これ以降、幾度か人間の被験者がSCP-5557に入室しようと試みたが、発せられるメッセージの内容に若干の違いはある3ものの、いずれも同一の結果となっている。エージェント・ガーベイの行為はO3クラス存在論的シフトと指定されており、ガーベイ自身は永久MIAと指定されて正式に咎められた。

SCP-5557に関するこれ以上の実験は、現状不可能であると考えられています。

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