by AnActualCrow
SCP-5590 (取得中に撮影)
特別収容プロトコル: SCP-5590は家具を全て撤去した小型実体収容セルに収容します。SCP-5590の振る舞いが変化した場合や、SCP-5590の収容セルが破損した場合は、SCP-5590研究責任者にその旨を報告してから対応を取ってください。
アレリー研究責任者の要望に則り、SCP-5590のセルには改造したルービックキューブ1個を常時設置する必要があります。
説明: SCP-5590は自我を有する高さ15 cmの人型ロボットです。SCP-5590は全力を尽くして可能な限り非暴力的な迷惑行為に徹しようとします。この行為は以下を伴う場合があります。
- 物品のラベルの除去や貼り替え。
- 構造物に対する軽度から中度の損傷。この損傷は構造健全性に危険が及ぶほど深刻ではありません。
- 物体に対する中度から重度の損傷。これにより、使用中にその物体が破損する恐れがあります。
- SCP-5590周囲の職員に対する過度な感覚刺激。大抵は大きな騒音を鳴らし続けたり、職員の目に光を当てたりしますが、触覚・味覚・嗅覚もしくはそれら複数の感覚に作用する場合もあります。
SCP-5590の両腕は体内に格納可能であり、手の代わりに様々な工具を先端に備えた付属肢として再出できます。SCP-5590の付属肢の先端に観測された工具には、丸鋸、ドリル、接着剤ノズル、ライターなどが挙げられます。
インシデントログ5590-1: SCP-5590がセルの壁から小さな瓦礫を切り出しました。SCP-5590はこの瓦礫を監視カメラに向かって繰り返し投げつけ、レンズにひびを入れました。カメラのレンズは交換され、瓦礫はセルから撤去されました。6時間後、SCP-5590は別の瓦礫を用いて再びカメラのレンズにひびを入れました。
アレリー研究責任者のメモ: そのままにしておけ。レンズにひびが入っていてもSCP-5590は観測できる。一々交換する価値はない。
実験系列1: 物体への親密性と認識
目的: SCP-5590の知性を測る。
| 手順 | 結果 | 追記 |
| 木製のイスをSCP-5590の収容セルに設置した。 | SCP-5590は丸鋸を備えた付属肢を用いてイスの脚の1本を1.5 cm短くし、イスを揺動させた。 |
N/A |
| 前回の実験に用いた木製のイスをSCP-5590の収容セルから撤去した。SCP-5590は翌日に再びイスを提示された。 | SCP-5590は丸鋸を備えた付属肢を用いてイスの木面全体に切り込みを入れ、質感を粗くした。 | アレリー研究責任者がイスをSCP-5590の収容セルから撤去しようとした際、木のトゲが複数刺さった。アレリー研究責任者は足でイスを押して撤去した。 |
| 前回の実験で用いた木製のイスをSCP-5590の収容セルから撤去した。SCP-5590は翌日に再びイスを提示された。 | SCP-5590はイスの背もたれに深い溝を2本入れた。 | このイスの背もたれは、アレリー研究責任者と同等の体重の (もしくはそれより重い) 人物が寄りかかった場合に破損すると予測されている。 |
インシデントログ5590-2: 1986/3/7、SCP-5590がセルのカメラに向かって苦痛を示唆するジェスチャーを連続で行い始めました。アレリー研究員はSCP-5590を何度も落ち着かせようとしたものの失敗し、23分後にコールマン研究員がSCP-5590を落ち着かせることに成功しました。両研究員ともに、SCP-5590が苦痛を示した原因を特定できませんでした。
インシデントログ5590-3: 1986/3/18、SCP-5590が丸鋸を備えた付属肢を用いてセルの床や壁に小さな切れ込みを入れ始めました。この行為によって甲高い切断音が一日中鳴り続けました。
アレリー研究責任者のメモ: 騒音を止める手立てはない。数名ほど技術者と話をしたが、カメラを動作させているシステムは、個々のカメラ映像の音量調節ができないようだ。取れる選択肢は全ての映像から音を流すか一切流さないかしかない。別のカメラ映像に映っているSCPの中には音を聞く必要があるものもいるから、サイト管理官は全ての音をオフにさせてはくれないだろう。
こいつのせいで耳鳴りを発症する前に、リスククラスを "Notice" から "Caution" に変更することにした。
実験系列2: 趣味
目的: SCP-5590をタスクに従事させれば収容セルへの損傷を防止できるのか判断する。
| 手順 | 結果 | 追記 |
| アレリー研究責任者がSCP-5590に向かってピンポン球を軽く放った。 | SCP-5590は球をキャッチし、ライターを備えた付属肢で球に点火した。 | アレリー研究責任者は火を消し止めた。SCP-5590と収容セルに損傷は無かった。 |
| アレリー研究責任者がSCP-5590のセルに1枚の白紙とペンを置いた。 | SCP-5590はコールマン研究員の絵の隣に不明な人物を粗雑に描いた。 | コールマン研究員と絵の人物の身長差は、実際のコールマン研究員とアレリー研究責任者の身長差と大まかに一致する。 |
| コールマン研究員がSCP-5590に向かってピンポン球を軽く放った。 | SCP-5590はボールをキャッチし、コールマン研究員に投げ返した。このやり取りは35分間続き、コールマン研究員はSCP-5590のセルから退室するよう指示された。 | SCP-5590はコールマン研究員と会って興奮したように見受けられ、SCP-5590のセルに入室したコールマン研究員の脚に抱きついた。アレリー研究責任者を除き、SCP-5590は他のスタッフ全員に同様の反応を示した。 |
補遺5590-1: SCP-5590がセルの壁や床への切削を不規則な間隔で停止・再開するようになりました。加えて、可聴範囲内にスタッフの誰か1が存在すると、SCP-5590はセルの壁や床への切削を、より遥かに浅く静かに行うようになりました。
実験系列3: 問題解決能力
目的: 問題解決能力の実験でSCP-5590の知能をより詳細に測る。
前書: 全ての実験はアレリー研究責任者が実施した。
| 手順 | 結果 | 追記 |
| 赤いボールを中に入れて密閉した段ボール箱を、SCP-5590の収容セル内に4日間放置した。箱の外部には、SCP-5590に箱からボールを取り出すよう指示したメモを残した。 | SCP-5590は丸鋸を備えた付属肢で箱に穴を開けた。その後、SCP-5590は箱に入り、付属肢の接着剤ノズルで穴を塞ぎ直した。 | ボールを提示するよう問われると、SCP-5590は困惑した様子を見せた。赤いボールは箱の中から発見されず、その後も回収されていない。 |
| 金属製の箱の中に赤いボールを入れた。箱はダイヤル錠でロックされ、SCP-5590の収容セル内に4日間放置された。前回の実験と同様のメモが箱の外部に記された。 | SCP-5590はダイヤル錠の機構に接着剤を詰め、接着剤の硬化とともにダイヤル錠を詰まらせた。 | 錠前が詰まったため、アレリー研究責任者は箱を開封できなかった。 |
後書: 実験結果から結論は出なかった。
実験系列4: 好み
目的: 何故SCP-5590はオメル・アレリーを嫌うのか?
| 手順 | 結果 | 追記 |
| アレリー研究責任者とデボラス研究員は、セル内のSCP-5590から同等の距離だけ離れて立った。 | SCP-5590は即座にデボラス研究員のもとへ駆け寄り、右脚に抱きついた。 | アレリー研究責任者は、SCP-5590がデボラス研究員に抱きついたまま自分を見つめていたと報告した。SCP-5590のカメラ映像はデボラスの脚に塞がれていたため、アレリーの主張は検証できなかった。 |
| マスクを着用し、デボラスの研究員IDを首にかけたアレリー研究責任者が、SCP-5590に向かってピンポン球を軽く放った。 | SCP-5590は球をキャッチしてアレリー研究責任者に投げ返した。このやり取りは、アレリー研究責任者のマスクの一部が顔から外れるまで8分間継続した。 |
N/A |
| デボラス研究員がSCP-5590にペンと紙を与え、アレリー研究責任者を好まない理由を尋ねた。 | SCP-5590は首を横に振って否定した。アレリー研究責任者を嫌っているか尋ねられると、SCP-5590は首を横に振って否定した。 | 何故アレリー研究責任者がSCP-5590に好かれていないように感じると思うのか尋ねられると、SCP-5590はカメラを見て肩をすくめた。 |
後書: 実験結果から結論は出なかった。しかし、SCP-5590は可能であれば、アレリー研究責任者を嫌っていないという見え透いた嘘を吐く点は特筆に値する。
インシデントログ5590-4: SCP-5590が丸鋸を備えた付属肢を用いて収容セルの壁からコンクリートの破片を切り出しました。SCP-5590はそのコンクリートの破片をカメラに投げつけ、レンズを粉々にしてSCP-5590のセルを遠隔から監視できないようにしました。レンズを交換しに訪れたスタッフは、SCP-5590がセルの南側の壁に掘削した小さなトンネルを発見しました2。SCP-5590はその中から発見されました。トンネルの深さは30 cmしかなく、どこにも開通していませんでした。発見されたSCP-5590はスタッフに向けて手を振り、トンネルからの退出に協力的でした。
補遺5590-2: SCP-5590は新たな小型実体収容セルに移されました。このセルは以前のSCP-5590のセルと類似していますが、相違点として、今回の監視用カメラはSCP-5590による損傷を防止するためにプレキシガラスの裏に設置されています。
メモ: ホフ管理官がアレリー研究責任者に対し、SCP-5590の収容費用が当初の予想よりも著しくかかっていると念を押した。何もかもをイラつかせようと尽力しているロボットに割り当てられたのはアレリーの落ち度でないのに、そう言われた。
実験系列5: 騒音の停止
目的:
前書: アレリーがこれらの実験を全て行った。
| 手順 | 結果 | 追記 |
| SCP-5590の両腕を身体に結び付けた。 | SCP-5590は身体をセルの壁に押し付け、丸鋸を備えた付属肢で壁を切削できるようにした。 |
N/A |
| SCP-5590の両腕を身体に結びつけた。SCP-5590はセル内の犬小屋3に入れられた。 | SCP-5590は犬小屋の壁に何度も体当たりして大きな騒音を出した。 | SCP-5590は犬小屋の壁を切削できたが、犬小屋から出るのに十分な大きさの穴を開通できなかった。 |
| SCP-5590を水の入ったバケツに入れ、その後で凍結させた。 | SCP-5590はライターおよび丸鋸を備えた付属肢を用いて周囲の氷を溶かし、切削した。 | 開始から24日後、SCP-5590がバケツの側面に穴を開けて脱出したところで実験は終了した。 |
実験系列6: 問題解決能力 (続)
目的: SCP-5590にタスクを与えれば [削除済]4 となるのを防止できるのか判断する。
前書: 全ての実験はコールマン研究員が実施し、アレリー研究責任者が遠隔で監督した。
| 手順 | 結果 | 追記 |
|
赤いボールを中に入れて密閉した段ボール箱を、SCP-5590の収容セル内に4日間放置した。箱の外部には、SCP-5590に箱からボールを取り出すよう指示したメモを残した。 |
SCP-5590は丸鋸を備えた付属肢で箱に穴を開けた。SCP-5590はボールを取り出し、ライターを備えた付属肢でボールを溶かした。 |
N/A |
|
金属製の箱の中に赤いボールを入れた。箱はダイヤル錠でロックされ、SCP-5590の収容セル内に4日間放置された。前回の実験と同様のメモが箱の外部に記された。 |
SCP-5590は最初の3日間を費やして箱の側面に穴を開けようと試みた。わずかな損傷しか与えられなかった後、SCP-5590は残り時間を費やしてダイヤル錠の番号を推測しようと試みた。SCP-5590は決められた時間内にボールを回収できなかった。 | あのロボットが金属を切削する音は、コンクリートを切削する音を唯一凌ぐほどひどい。 |
| 出鱈目に回したルービックキューブをSCP-5590に与えた。ルービックキューブは2枚のシールが貼り替えられており、解くことができないようになっていた。 | SCP-5590はルービックキューブを解こうとしたが、失敗した。このタスクに極めて強い苛立ちを示しているにも拘らず、SCP-5590はルービックキューブを 4時間 3日間 11か月間解こうと挑み続けている。 | 今はそれほど頭が回らないようだな? |
後書: 実験は大成功を収めた。これ以上の実験は必要とされない。






