SCP-5666
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アイテム番号: SCP-5666 Level 4/5666
オブジェクトクラス: Safe 機密

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発見時のSCP-5666


特別収容プロトコル: SCP-5666を覆う格納庫が建設され、SCP-5666の更なる劣化を防ぐ目的で維持されます。SCP-5666-A内で円滑にSCP-5666を離陸させる為、格納庫と繋がる滑走路からは定期的に積雪とデブリを取り除きます。

民間人によるSCP-5666への接触の試みは阻止され、当該人物はヌナブト準州レゾリュートへ移送されます。SCP-5666の起源および墜落の原因に関する情報が得られるまで、調査が継続されます。

説明: SCP-5666は、ヌナブト準州コーンウォリス島に存在する、墜落したフォッカーF27旅客機です。財団のエンブレムと共に「管理者所有(Property of The Administrator)」の文言が刻まれたプラカードがSCP-5666の左部ドアに固定されています。コクピット内に制御装置が追加されている等、僅かに改造が施されていますが、その用途は不明です。

SCP-5666は移動ないし修理が非現実的と見做される程の著しい損傷を受けています。SCP-5666内部の人間は、機体が無傷であり十全に機能することを知覚します。SCP-5666の操縦を試みた場合も同様に、内部の人間は操縦に成功したことを知覚します。この影響は内部に置かれたカメラや録音機器にも及びます。SCP-5666が現実の所在地から離れた場所へ飛行するに従い、コクピット外の知覚世界は現実と異なることが明らかになります。知覚世界はSCP-5666-Aに指定されています。

SCP-5666-Aは現実に存在する動物および人間を欠いています。SCP-5666-A内の飛行は、最初の数キロメートルの道程を再帰的に繰り返します。僅かな変化を伴いながら、再帰状態は飛行が続く限り継続します。既知の変化として、木々の外観/位置の僅かな変化、現実に存在しない人工物の出現、識別困難な人影の出現が挙げられます。これらの異常性に加えてSCP-5666-Aは記憶改変を及ぼしますが、影響の詳細は不明です。更なる情報を得るには補遺5666-1を参照してください。

SCP-5666内で、SCP-5666の燃料積載量が通常機と変わらず5140Lであることから、一定距離を越える探査は不可能です。SCP-5666-A内でSCP-5666が墜落するか、対象がSCP-5666から脱出した場合、知覚異常は停止します。対象は以後、SCP-5666の異常影響を受けなくなります。墜落もしくは脱出に伴い、SCP-5666-A内のSCP-5666の位置および機体損傷が初期状態にリセットされます。

補遺5666-1 — SCP-5666-Aの探査:

探査記録5666


探査日時: 2020/01/13

参加者: サミュエル・ヴァンハルム研究員

観察者: マーヴィン・ケルズ主任研究員、シャーロット・メフル研究員、現地ガイドのマディソン・ミンストラタ1

前記: ヴァンハルムはSCP-5666-Aと現実の差異を発見することを指示されている。


<記録開始>

(ヴァンハルムはSCP-5666に侵入する。)

ヴァンハルム: オーケー、SCP-5666は無傷のように見える。あんた達が言った通りだ。こいつを何処に向けて飛ばせば良い?

ケルズ: ミンストラタさん、近隣に何処か興味を引く場所はありますか?

ミンストラタ: ええ……そうですね。北に行きましょうか。北に行くのが面白そうです。

メフル: 北には前回行きましたよ、貴方の言った通りに。

ミンストラタ: そう――確かにそうでした、失礼。

メフル: イカルイトに向かうのはどうでしょう?ここの州都です。南西の、かなり離れた場所になりますが。

ヴァンハルム: そいつに向かってみることにしよう。

(ヴァンハルムはSCP-5666の操縦輪を動かす。内部カメラは、彼がSCP-5666を建設された滑走路に向けて移動させる様子を映し出す。SCP-5666はSCP-5666-A内で離陸し、中速での飛行を順調に30分間続ける。SCP-5666-Aが再帰状態に移行する。ヴァンハルムはその事実を理解し、身体反応を通じて不安感を露わにする。飛行が更に60分間続けられる。)

ヴァンハルム: (呟き声。)

メフル: 順調ですか?

ヴァンハルム: 俺は真っすぐに巡航している。そう――そのはずだ。そうだよな?

メフル: ん?

ヴァンハルム: 景色の全てに馴染みがある。もしかしたら――いや、全部雪だ。雪が全部同じに見えているだけか?

メフル: これは通常の――ー

ヴァンハルム: 違う、違う、あの尾根は、あれは――俺は同じところを回っているみたいだ。馴染みがある。何もかもが……懐かしいくらいだ。普通のことだよな?

メフル: 暫く経つと、SCP-5666-A内で認識する世界は繰り返しに突入します。何か感じるか、奇妙な物を見たとしても――

ヴァンハルム: そうだ、俺にそんな話をしてくれたよな。多分?

(沈黙。)

ヴァンハルム: 多分そうだ。ただ――繰り返しているような感覚とは違う。新しいような、新しい……でも何かが違う。いや、新しくない。全部一度は見たものだ……そうだよな?中にカメラがあるんだった。俺は前にもここを通ったか?

ケルズ: そう、六回目だ。

ヴァンハルム: いや、そんなはずはない。あの海岸線を見たのは初めてのはずだ。

ケルズ: サミュエル、ここ一時間、海岸線の形は変わっていない。

ヴァンハルム: 何もかもがぼんやりとしている……俺は頭を掻いていて――ちょっと待ってくれ、ここ一時間

ケルズ: そう、一時間だ。一時間、同じ場所を飛び続けている。

ヴァンハルム: いや、そんなはずはない、ここに来たのは初めてだ……

メフル: サミー?

(沈黙。)

ケルズ: 彼は、彼はそこに座っているだけ――

ヴァンハルム: あんなもの前には無かった。

(水平線の向こうに小さな木造の小屋が見える。中は照明が灯っていて、朧気な人影が周期的に窓の傍を歩いている。)

ヴァンハルム: あれは見覚えがある。ここで見た訳じゃない。あれはここにあったものじゃない。

メフル: サミー、言葉を明確にしてもらう必要があります。

ヴァンハルム: 自信が無いんだ。前にも見ている。どこか分からない。どうしてか分からない。どうやってかも分からない。

(ヴァンハルムは小屋の上空を通り過ぎる。)

メフル: もう一度小屋が見えることがあれば、低空飛行してはっきりと視界で捉えてください。

ヴァンハルム: 小屋?

(沈黙。水平線の向こうに小さな木造の小屋が見える。中は照明が灯っていて、朧気な人影が周期的に窓の傍を歩いている。)

ヴァンハルム: あ。あれには見覚えがある。

メフル: 小屋に近付いてください。

(SCP-5666は5分間降下し続ける。小屋に接近するが、減速する様子は無い。)

メフル: サミー?

(無反応。)

ケルズ: サミュエル、スピードを出し過ぎだ。

(無反応。)

メフル: 何なのよ、あの中はどうなってるの?

ケルズ: 座っているだけだ。座って前を向いている。

(SCP-5666は降下を続ける。小屋との衝突が間近に迫る。)

メフル: 機体を引き上げて!

ケルズ: サム!

(ミンストラタがマイクに駆け寄る。)

ミンストラタ: サム。貴方がサムなのね?とにかく――そうしなさい。何をしなければいけないかは分からないわ。とにかくそうしないといけないの。とにかく……

ヴァンハルム: あ。

(ヴァンハルムはSCP-5666を小屋に衝突させ、同時にSCP-5666-Aは消失する。ミンストラタは床の上に泣き崩れる。ケルズはヴァンハルムの様子を見る為、観察室を駆け出てSCP-5666へ向かう。メフルはミンストラタが立ち上がるのを手伝う。ミンストラタは平静を取り戻す。)

ミンストラタ: 思い――

(ミンストラタはメフルの方を向き、笑顔を浮かべる。)

ミンストラタ: 思い出したわ。

<記録終了>


後記: その後、ヴァンハルムは全快に近い状態まで回復した。彼は探査の大部分を想起することができず、代わりに5歳の時に父親にキャンプに連れて行ってもらった思い出について述べた。

補遺5666-2 — 事案5666.1: 2020/01/14から2020/01/16までの期間、SCP-5666は未収容となりました。

2020/01/14、コーンウォリス島を襲ったブリザードにより、サイト勤務の職員は近隣の都市であるレゾリュートのより安全なシェルターへ避難を余儀なくされました。現地ガイドのマディソン・ミンストラタを除いた全職員の所在が確認されました。翌日、職員がサイトに戻ったところ、SCP-5666は消失していました。

ミンストラタは民間のデータベース上に痕跡を残していないとみられ、彼女に関する更なる情報は得られていません。彼女が居住していたヌナブト準州の職員寮の調査が行われましたが、情報は得られませんでした。市内の民間人に尋問を行ったところ、彼女はSCP-5666が発見される以前には市内で目撃されていなかったことが確認されました。サイト勤務の職員の聞き取りが行われ、各員は重大なセキュリティ違反を引き起こしたことを理由に処罰されました。この内、マーヴィン・ケルズ主任研究員は降格させられ、別プロジェクトに再配置されました。

2020/01/16、SCP-5666が墜落現場に再出現しました。損傷はより著しくなっていたものの、異常性質に変化はありませんでした。ミンストラタは発見されませんでした。

O5評議会は、ミンストラタの捜索を高優先度の任務と見做しています。





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