SCP-5688
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アイテム番号: SCP-5688

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-5688はサイト-22の密閉された収容ユニットに格納され、常に監視下に置かれます。この収容ユニット内で発生した現実不安定化事象は全て、今後の分析のために記録されます。この収容室に整備の必要性が生じた場合、職員の入室前にSCP-5688がユニットから取り除かれます。

SCP-5688に関する研究計画書は全て、成立前にヘンリク博士の認可を受けなければなりません。

説明: SCP-5688は高さ3 m、幅1 mの巨大な人間の手であり、サイト-22の計画的な地下拡張の際に財団職員によって掘り出されました。SCP-5688の周辺エリアは極度かつ突発的な現実不安定化にさらされており、この事象に先行する指標は判明していません。現在のところ、SCP-5688の発見以前にサイト-22がどのようにして現実不安定化事象の影響を免れていたのかは不明です。

SCP-5688は定期的に引きつり、痙攣を起こします。この行動は特定の刺激に対応していないと見られています。


補遺5688-1 (テストログ):

以下の記録は、SCP-5688を取り巻く現実不安定化事象が取る具体的な形態を計測するために行われたテストの詳細です。テストの全記録は、サイト-22アーカイブの要請により公開されていません。

テスト5688-1

テスト職員: D-94911

刺激: D-94911に懐中電灯をSCP-5688に照射するよう指示し、光への影響を調査する。
結果: SCP-5688に懐中電灯を照射しても結果は得られず。しかし、その後に収容室の奥の壁に懐中電灯を照射したところ、螺旋状の影がしばらく視認される。

テスト5688-2

テスト職員: D-49264

刺激: D-49264にSCP-5688と物理的に接触するよう指示する。
結果: D-49264の左手 (SCP-5688と物理的に接触していなかった) が急速に縮小して視認できなくなる。SCP-5688の近傍から離れると、左手は通常の大きさに戻る。

テスト5688-3

テスト職員: D-99134

刺激: D-99134にスレッジハンマーでSCP-5688を叩くよう指示する。
結果: D-99134がSCP-5688を叩いたものの、目に見える結果は得られず。2日後、舌が螺旋状にねじれた状態で死亡したD-99134が寝室で発見される。監視記録には夜間中での目立った現象は見られていない。

テスト5688-4

テスト職員: D-22131

刺激: D-22131に拳銃でSCP-5688を発砲するよう指示する。
結果: D-22131がSCP-5688に発砲する。突然の銃声に不安を感じたD-22131が応戦し、D-22131の胃を打ち抜く。これにより、間もなく死に至るほどの重大な負傷をD-22131が負う。D-22131を収容室から安全に回収し、ショック治療を施す。

テキスト5688-5

テスト職員: D-591134

刺激: D-591134にSCP-5688から血液をホースで洗い流すように指示する。
結果: SCP-5688に水がかかると、D-591134が激しく弾け飛び、収容室とSCP-5688に血液と内臓を浴びせる。

テキスト5688-6

テスト職員: D-591134

刺激: D-591134にSCP-5688から血液をホースで洗い流すように指示する。
結果: 何も起こらず、起こり続けていない。


補遺5688-2 (インタビューログ):

以下の記録は、SCP-5688が何らかの知性を有しているのか、もし有しているとすれば、自身の近傍で発生する現実不安定化事象をどの程度まで制御しているのかをヘンリク博士が確認しようと試みたものである。

インタビュアー: ヘンリク博士
対象: SCP-5688

<ログ開始>

(ヘンリク博士がそれを容易く乗り越えてSCP-5688の収容室に入室し、安全な距離を取る。ヘンリク博士が質問のリストを読み始める。)

ヘンリク博士: ハロー。私が分かりますか?

(沈黙。)

ヘンリク博士: 今自分がどこにいるのか知っていますか? イエスならば、えー、1回痙攣してください。

(沈黙。)

ヘンリク博士: 私が何者か分かりますか?

(沈黙。)

ヘンリク博士: 私の声が聞こえますか?

(沈黙。)

ヘンリク博士: (ため息) こりゃ意味無いな。制御の度合いはどうだろうか、もし制御しているのなら —

(SCP-5688が痙攣する。)

ヘンリク博士: (大声で) もしもし? 聞こえますか?

(沈黙。)

ヘンリク博士: 畜生が。

(沈黙。)

ヘンリク博士: んー、あー、彼女が書いたのはこれで全部、かな。これで終わるとするか。

(ヘンリク博士が向きを変え、収容室を立ち去る。)

<ログ終了>

(ヘンリク博士が深呼吸してこめかみをさすりながら観測チャンバーに入室する。同僚のダーネル次席研究員が自身の席から同情するように顔を向ける。)

ダーネル次席研究員: まあいつものことですが、望み薄でしたね、博士。

ヘンリク博士: 分かっている、分かっているよ — アレが痙攣したら何かあると思っただけなんだ。分かるだろう?

ダーネル次席研究員: お言葉ですが博士、アレはいつでも痙攣しています。あまり深読みするべきではないと思いますよ。いずれにせよ、本日はこれで終わるのですよね?

ヘンリク博士: (欠伸) 何? いや。今日片付けないといけない仕事はまだたくさんあるだろう。

ダーネル次席研究員: (笑い) 実はですね、博士、ちょうどサイト管理官からメッセージを頂いたのですよ。貴方を家に帰してゆっくり休ませるよう指令を受けたのです。

(沈黙。)

ヘンリク博士: まあ、それが指令だというのなら。

ダーネル次席研究員: 卒倒する羽目になる前に一眠りしてください、博士。

ヘンリク博士: ああ、そうだな。それじゃあ退出時間を記録しに行こうかな。

(ヘンリク博士が観測チャンバーの出口まで歩く。通常ならばドアはロックされているが、問題ない。ヘンリク博士にはアクセス用のカードキーがある。ヘンリク博士はカードキーを機械に通して部屋を退出し、外部の廊下に立ち入る。ヘンリク博士は正面玄関に向かって歩き始め、進んでいる時にカレ博士とすれ違う。カレ博士はヘンリク博士に微笑んでいる。)

(ヘンリク博士が正面玄関前の部屋に入室し、警備デスクに近付く。)

グラハム警備員: (受付カウンターに着座したまま) ご出発されるのですか?

ヘンリク博士: そうしないといけないようだ。

グラハム警備員: (笑い) 話はお聞きしていますよ。

(グラハム警備員がキーボードの螺旋状のキーを押し、玄関ドアのロックを解除する。)

グラハム警備員: サインアウトが済みましたよ。安全に運転してください、いいですね?

(ヘンリク博士がサイト-22の正面玄関から外出し、予想外の寒さから両手をこすり合わせつつ、眠そうに瞬きをする。真夜中の砂漠の外で、空に浮かぶ月が螺旋を描くように輝いている。)

(ヘンリク博士が自身の車に近づく。通常ならば鍵が掛かっているが、問題ない。ヘンリク博士には車のキーがある。ヘンリク博士は車のドアのロックを解除し、前部座席に腰を下ろす。ヘンリク博士は背後に何かがいることに気付いていない。)

(ヘンリク博士が車を発進させ、自宅まで運転し始める。長いドライブだ — まるで砂漠の白い砂がどこまでも広がっているかのようである。ヘンリク博士は背後に何かがいることに気付いていない。)

(ヘンリク博士は地元の少額訴訟での弁護士を宣伝する広告板を通り過ぎる。君もその手の広告を見たことがあるだろう? 弁護士の名はミスター・カーソンだ。高速道路を走行する車を追うその目は螺旋を描くように渦巻いている。)

ヘンリク博士: (その男の車が道路上の隆起にぶつかる。) クソが。

(車のヘッドライトが螺旋を描くように外側にねじれ、ヘンリク博士の自宅を照らす。砂漠の白い砂がどこまでも広がっているようであり、他には何もない。家は3階建てで、明かりが点いている。)

(ヘンリク博士が車から降り、コートをしっかりと締める。とても寒い。)

(ヘンリク博士が自宅の玄関をノックする。1人の女性、ヘンリク博士の妻が応対に出る。その容貌は螺旋を描くように巻かれている。)

ヘンリク博士: やあ。中に入ってもいいかい?

ヘンリク博士の妻: (沈黙。)

ヘンリク博士: 私のことが分かるか?

ヘンリク博士の妻: (沈黙。)

ヘンリク博士: その…… 私が何者か分かるかな?

ヘンリク博士の妻: (沈黙。)

ヘンリク博士: (ため息) こりゃ意味無いな。頼むよ、私を —

(ヘンリク博士の妻がドアをバタンと閉める。)

(ヘンリク博士が玄関の鍵を開け、欠伸をして背伸びしながら自宅に入る。ヘンリク博士は背後に何かがいることに気付いていない。)

ヘンリク博士: (笑ってはいるが、少しだけ苛立っている。まるで君が動揺を認めたくない時のように) メアリー、パパにとって今日がどういう一日だったか言ってもお前は信じないだろうな。

(メアリーはテレビを付けたままにしている。映画回転Revolutionsが放映している。)

ヘンリク博士: (苛ついて) ああもう。

(ヘンリク博士がテレビを消し、寝室への階段を登り始める。)

ヘンリク博士: メアリー、またテレビを付けっぱなしにしたな! 電気は節約しなさいと言ってるだろう!

(ヘンリク博士が娘のメアリーの寝室のドアを開ける。メアリーが早めに眠りについているところを確認すると、ヘンリク博士は娘を起こして叱りつける気にならない。ヘンリク博士がドアを静かに閉め直す。ヘンリク博士は背後に何かがいることに気付いていない。)

(ヘンリク博士が目を擦る。)

ヘンリク博士: (静かに) 悪人に休息なし、か。

(ヘンリク博士が自身の寝室へと歩き、ドアを開ける。ヘンリク博士が上着を脱いでシングルベッドに入り、明かりを消す。)

(ヘンリク博士は背後に私がいることに気付いていない。)

(私は背中とベッドの隙間から出る。私の四肢は螺旋を描くようにねじれており、私の頭は時計の振り子のように音を鳴らしている。私はヘンリク博士が静かに眠っているベッドにゆっくり近付く。ヘンリク博士の目は閉じている。私は拳を反時計回りに振り上げ、ゴボゴボと音を立てる。)

(ヘンリク博士の目が開く。)

ヘンリク博士: (叫び)

(ヘンリク博士がベットから飛び出そうとした時、私はその頭に拳を振り下ろす。1撃目で方向感覚を失ったヘンリク博士が床に倒れると、その頭蓋にできた小さな窪みから血が滴り落ちる。結果として、ヘンリク博士は続く2撃目、3撃目にどうすることもできず、お気に入りのカーペットに顔を突っ伏したままである。カーペットの色が急速に変化していく。今やヘンリク博士もゴボゴボと音を立てている。)

(幼いメアリーは起きていない。)

(私がヘンリク博士の袖を不器用に捲り上げると、そのほっそりとした長い腕と、柔らかくて美しい手がさらけ出される。通常ならばヘンリク博士の身体に付随しているが、問題ない。私にはハンドソーがある。)

(私は当物体の回収に成功すると、階段を降りて私の裏庭に向かう。私は幼いメアリーを起こさないように慎重に歩く。メアリーはとても穏やかに眠っている。)

(外は寒く、空に浮かぶ月が螺旋を描くように輝いている。)

(私は探し求めていたものを見つける。アリの巣が拡張していき、白いコートを着た雄アリたちと特徴の無い女王アリたちがせっせと働いている。)

(私はこっそりと、密かに巣の下に貴重品を埋蔵する。私は贈り物を与える者だ。気前がいい。アリたちが貴重品を見つけると、そのうちの1匹が近付き始める。孤立した1滴の血が手への接近をいささか難しくしているが、全くもって問題ない。)

(ヘンリク博士がそれを容易く乗り越えてSCP-5688の収容室に入室し、安全な距離を取る。ヘンリク博士が質問のリストを読み始める。)

<ログ終了>

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