質問者: エージェント アリス・スターリング、エージェント クラーク・アダムズ
対象: SCP-5690-B
«記録開始»
アダムズ: どうも、こんにちは。
SCP-5690-B: 帰ってください。
スターリング: 幾つか質問をしたいだけです。私たちはこの地域の-
SCP-5690-B: 馬鹿にしてます? あなたたち財団でしょう、ワッペンのロゴが丸出しですよ。
[アダムズがワッペンの位置を正し、咳払いする。]
スターリング: …ええ、まぁ、その通りよ。私たちを知ってるのね?
SCP-5690-B: アンダーベガスの重要人物は全員あなたたちを知ってます。大物悪魔を倒せば波風が立つのは当然ですって。
スターリング: じゃあ、幾つか私たちの質問に答えてもらえる?
SCP-5690-B: いいえ。
スターリング: 何故?
SCP-5690-B: タダ働きはしない主義です。
[SCP-5690-Bは小さなパンフレットをスターリングに手渡す。]
スターリング: …本気?
SCP-5690-B: 女の子にも仕事が必要ですからね。
スターリング: 1時間あたり70ドル? そんなに- これは安いの?
アダムズ: ええボス、安いなんてもんじゃない。出血大サービスだ。正真正銘-
スターリング: あなた今まで幾つの売春宿に行ったの?
SCP-5690-B: それで、払うんですか、払わないんですか?
アダムズ: ご心配なく、ボス。俺が請け負う。 [SCP-5690-Bに] 30分で35ドルならどうだ。
SCP-5690-B: ふぅん、前回はそこまでお速くなかったようですけど。
アダムズ: ちょっと質問するだけだから、な。
SCP-5690-B: 交渉のつもりなら- いえ、いいです。それで受けましょう。
アダムズ: そりゃ良かった。 [スターリングに] よし来た、ボス、このレディに35ドル払っといてくれ。
スターリング: さっき“俺が請け負う”って言ったじゃない!
アダムズ: 俺がセックスに金を払うタイプのいかがわしい男に見えるか?
スターリング: [溜め息] この- ええ、分かったわよ。どうぞ。
SCP-5690-B: ありがとうございます。さぁ、もう始まってますよ。
スターリング: オーケイ。いつからこの店を経営してるの?
SCP-5690-B: あぁ、数年前ですね。この業界は成長こそ遅いですが、堅実ですし、特にこの地域では安定した顧客層がいます。最初は私と他2人の女の子でしたけど、今は16人います。
スターリング: あなたたちの異常性を認知している人はいる?
SCP-5690-B: ええと… それほどいません。お客さんはこの店を安全で、極端に高過ぎなくて、何より重要ですが寝るのにはとても良い場所だとしか思ってませんよ。
スターリング: “異常なほど”良い場所という意味?
SCP-5690-B: [呟き] 理由もなく“精液悪魔”なんて呼ばれてるわけじゃないので…
スターリング: え?
SCP-5690-B: え?
アダムズ: 実際に客からそう呼ばれるのか?
SCP-5690-B: …時々。
スターリング: 先に進みましょう… このビジネスからどんな利益を得てる?
SCP-5690-B: どういう意味です?
スターリング: 地獄に戻ったらどうなの? 警察を不安視する必要もないし、好きなだけ悪魔とファックしていられるんじゃない?
SCP-5690-B: 無理ですね。私たちは特殊な悪魔族です - 悪魔と人間の間から放出されるエネルギーを吸収する。両方いなきゃダメなんです。私たちが悪魔で、人間はお金を払って私たちに会いに来る。私たちはお金と栄養分を手に入れる。とても効率的でしょう。
スターリング: 確かに。
SCP-5690-B: それに、この地域の女の子たちの助けになれます。
スターリング: どうして?
SCP-5690-B: あれっ、まさか私が地獄から従業員の女の子たちを輸入してるとでも思ってました? あの子たちの一部は、この街が地獄に堕ちてからまた浮上した時 — ついでながら、あの件では感謝してます — 一緒に引き上げられて、帰れなくなったんです。この店が無ければ、あの子たちは飢え死にするか、隅っこで働くしかなくなるでしょう。昔の私のように。
スターリング: じゃあ、あなたは… あれと引き換えに、その子たちに家を提供してるの。成程。随分優しいじゃない。
SCP-5690-B: ええまぁ、女の子同士協力し合わなくちゃいけませんし。
[沈黙。]
スターリング: もしかしたら料金を払い過ぎたかしら。
SCP-5690-B: まさか。まだ20分ぐらい残ってます。
スターリング: 払い戻してくれる?
SCP-5690-B: …いいえ。
アダムズ: なぁ、もし支払った分の時間が余ってるなら、無駄にならないように俺が、その…
スターリング: ジーザス・クライスト、クラーク。
SCP-5690-B: [呟き] やめてくださいよ、あんな奴。 [アダムズに] ええ、あなたがその気なら私は勿論OKです。
スターリング: まぁ素敵。私は車で待ってるわ。
[SCP-5690-Bはアダムズの手を掴み、階段に向かって導き始める。]
スターリング: あ、ちょっと待って。
SCP-5690-B: はい?
スターリング: さっき“特殊な悪魔族”と言ったけれど — サキュバスってことでいいのよね?
SCP-5690-B: [笑い] いいえ、可愛い人。誰しもそう考えますけど、実は違います。
スターリング: だったら、あなたたちは何なのかしら?
SCP-5690-B: インキュバスです。
スターリング: インキュバスって男だけじゃないの?
SCP-5690-B: やっぱりそう思いますか。サキュバスとインキュバスの違いは、受けるか攻めるかだけです。
スターリング: あら。そういう事なら、お二人とも楽しんできてね。
[アダムズの笑顔が薄れる。]
SCP-5690-B: ええ、存分に。
«記録終了»