SCP-5694

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人目に触れまいとするSCP-5694個体。

特別収容プロトコル: 唯一存命のSCP-5694個体はアメリカ陸軍に拘留されています。ポール・ラグー管理官 (サイト-322) が陸軍長官と対話し、当該個体を財団の管理下へ引き渡すように働きかけています。

SCP-5694出現事象を阻止する手段はまだ発見されていません。収容試行は目撃者の記憶処理と目撃証言の統制を重視するものとします。


説明: SCP-5694は、年齢およそ30歳で、帯状の顎髭を生やしている禿げかかった白人男性に類似する同一容姿のヒト型実体群です。英語を話す能力からは知性が伺えるものの、SCP-5694個体との会話は例外なく短時間のうちに支離滅裂なものへと変化します。これまでに報告された全ての遭遇事案はアメリカ合衆国の事業所で発生しており、共通のテーマ性を有しています。2019/08/16まで、これらの遭遇事案は映像に記録されず、現地法執行機関への証言という形を取っていました。例としては以下が挙げられます。

SCP-5694目撃日時 交流の内容
2015/01/01 個体はペンシルベニア州にあるカベラズ株式会社の店舗で弓矢を購入しようと試み、“お金のために暴力を入手”する欲求を表明した。
2017/08/29 個体はコロラド州にあるライト・セキュリティ・ソリューションズのボディガード1名を雇おうと試み、“暴行に高く支払う”と約束した。
2018/03/16 個体は、“我々全員が楽しむ爆発を起こす”という目的を表明し、アメリカ空軍の軍需品を購入しようと試みた。
2019/06/18 個体は、“危害のための余分な歯”を取得するために、テネシー州ナッシュビルの動物保護施設からペキニーズ1匹を引き取ろうと試みた。

希望する取引を無事に完了すると、SCP-5694個体は有効なVISAクレジットカードで決済を行い、徒歩で施設を立ち去ります1。その後間もなく、SCP-5694個体は歩いている途中に倒れ、購入した商品を落として即座に死亡します。

SCP-5694個体の検死解剖では、ベースラインのヒトと表面的に似通っているものの、主にブタに由来する生体物質から成る身体構造が確認できます。地球の生物圏には本来存在しない微量元素が各個体の血流から検出されています。

SCP-5694個体はあからさまに写真撮影や映像記録を回避しようと試みますが、例外なく失敗します。


補遺 5694.1: 最初に記録された目撃事案


2019/08/16、ワシントン州オリンピアのシルヴェストリ園芸用品店で録画されていた職員研修の最中に、1体のSCP-5694個体が入店しました。当該個体は店長 マリオ・シルヴェストリと研修生 タチアナ・フォンセカに接近し、対話を始めました。当時の映像の書き起こしは以下の通りです。

書き起こし


«記録開始»

SCP-5694: ここは私がある場所です、彼らが言ったように。

フォンセカ: ええと…

(フォンセカはシルヴェストリを見やるが、シルヴェストリは肩をすくめる。)

フォンセカ: 何かお探しですか?

SCP-5694: 私は買うを行うためにここにあります!

(フォンセカは少しの間SCP-5694を凝視した後、気を取り直す。)

フォンセカ: ええ、それは… 良かったですね、だって私たちは… 売るを行うためにいるんですから!

SCP-5694: 私は殺すを買うができますか?

フォンセカ: …へ?

SCP-5694: 我々または私は死を購入したいと望みます。

(フォンセカは不安げに笑う。)

SCP-5694: ハ、ハ、ハ、ハ。

フォンセカ: 何を仰りたいのかよく分からないんですけど。

SCP-5694: 死スプレー! 内部を溶かすために。

フォンセカ: あなた、カナダの出身だったりします?

シルヴェストリ: なぁ、殺虫剤じゃないか? あんたは殺虫剤が欲しいのか?

SCP-5694: 殺虫剤。

シルヴェストリ: 虫を殺すやつな?

(シルヴェストリは指を動かし、素早く動く小さな生き物を真似る。)

SCP-5694: 正しい! 私は小さな殺人に資金供給したいです。

«記録終了»

SCP-5694個体は殺虫剤の在庫を買い占めようと試みましたが、そのような大量の購入には事業者免許が必要であると説明されると、有機リン酸スプレー5缶を買うに留めました。その後、この個体は周辺地域にある他4軒の園芸店で同じ取引を行いました。


補遺 5694.2: 2番目に記録された目撃事案


2020/04/22、次のSCP-5694個体がインディアナ州サウスベンドのベリッシモ・バー&グリルで記録されました。監視カメラが接客係 ウィオラ・バリックとの間に交わされた以下のやり取りを撮影していました。

書き起こし


«記録開始»

SCP-5694: 私は消費の列のために到着します。

バリック: そう来なくっちゃね。

SCP-5694: 私はより小さいを包含するを望みます。

バリック: えっと。そっか、付いて来て。

(バリックは身振りでテーブルを指し、そちらへ移動する。SCP-5694は後に従わない。)

SCP-5694: 私は正確にこれを行っています。

バリック: うん、よくできました。

SCP-5694: 私は誤ってこれを行っていないと大きく言いなさい。

バリック: あんた、食事しに来たの、それとも…?

SCP-5694: 食事?

バリック: そう。食事。

SCP-5694: 食事? 私に“食事”を確認させなさい。

(SCP-5694は約5秒間、白目を剝いてバリックを凝視している。)

バリック: あの—

SCP-5694: ええ、食事。摂取します。私はあなたを減少させたいです。

バリック: なん… は?

SCP-5694: ハ、ハ、ハ、ハ。

バリック: ふざけてるつもり? ホントに席に着く気ある?

SCP-5694: 私は咀嚼を介して縮小させ、特権のために支払います。

バリック: 悪いけどね、ここはそういうタイプのバーじゃないんよ。

«記録終了»


補遺 5694.3: 最後に記録された目撃事案


SCP-5694に遭遇した最も直近の民間人、ブリスコム・ファウラー&クロス有限責任会社の人事部長 ボリス・コヴァクは、2020/07/15に以下の不首尾に終わった電話面談を記録に残しました。

書き起こし


«記録開始»

SCP-5694: これは人々製粉所ですか?

コヴァク: 何だって?

SCP-5694: 人々製粉所。人々を擂り潰すために。人々製粉所。

コヴァク: 君はそれで面白いと思っているのかもしれないが —

SCP-5694: ハ、ハ、ハ、ハ。

コヴァク: — 生憎と宮廷道化師は募集していないんだ。さて、君の長期的なキャリア目標を聞かせてくれ。

SCP-5694: 私は私自身を拡大するために他人を減少させます。

コヴァク: オーケイ、そういう —

SCP-5694: 我々は人間を調達したいです。

コヴァク: いいか、真面目に会話するつもりが無いなら、他に意欲のある応募者は10人もいるんだぞ。

SCP-5694: より懸命に働く、より懸命に働く。私は合格しますか?

«記録終了»


補遺 5694.4: 現在の状況


現在存命のSCP-5694個体は、フロリダ州マイアミの陸軍募集案内所に現れ、“資金調達のために殺人会社に参加”するという目標を表明した後、軍に拘束されました。死亡していないのは、当該個体の質問に対する正式な回答が無かったためだと考えられています。


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