SCP-5697
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アイテム番号: 5697
レベル3
収容クラス:
keter
副次クラス:
none
撹乱クラス:
ekhi
リスククラス:
danger

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SCP-5697-1


配属サイト サイト管理官 研究責任者 担当機動部隊
サブサイト-5697 L. ヴァルガス E. マーシャル パイ-32

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SCP-5697、GoI-001のケースファイルより取得

特別収容プロトコル: 現在、SCP-5697の物理的な収容は不可能です。そのような手段が利用可能になるまでの間、SCP-5697の自己隠蔽性質は十分な収容措置であり、財団の更なる行動を促すほどに正常性を脅かすものではないと見做されます。

SCP-5697-1内部の閉回路監視システムは財団の駐屯機動部隊によって傍受されており、23:00~5:00にかけて、敷地の北側にある財団が購入した倉庫N-131で待機中のチームに確認されます。全てのブランドー・イベントは記録・転写されます。

説明: SCP-5697は、ペンシルベニア州ヨークに居住する食品で構成されたヒト型実体です。

SCP-5697の身体は物理的に様々な種類のパスタ2に類似しており、それらが絡み合って人間的な姿を形成しています。この組成物は不定形であり、SCP-5697自身の意思で延伸・収縮させることが可能です。SCP-5697の生理学において麺類ではない唯一の部位は、頭部の役割を果たす巨大なミートボールです — このミートボールには発話に使用されるスリットがあり、頂点にブカティーニの塊が乗っています。SCP-5697の通常の身長は2.3mです。

内部生理学は観察されていませんが、SCP-5697は自我、知性3、発話と視聴覚の能力を有しています。SCP-5697は“ドン・カヴァテッリ”という名前を自称し、既に壊滅した異常犯罪組織 “シカゴ・スピリット”に、1915年から1938年まで暗殺者及び酒類密造者として所属していたと主張しています。

SCP-5697-1は、ペンシルベニア州ヨークの廃業したイタリアンレストラン “ グラッポロ ” です。地元の記録では1983年以降の土地所有者がいないとされているにも拘らず、SCP-5697-1は電力を維持しています。毎月1日、SCP-5697-1のキッチンからはトマトソース、麺類、野菜、乳製品、各種ワインなど、同様の施設で通常調理される類の食材が大量に生成されます。これらの食材が生成されるプロセスは未だ不明ですが、実験はSCP-5697-1内の食品がそれ以外の点ではごく普通であることを示します。

SCP-5697はSCP-5697-1の内部、レストランの上階にある若干の家具を備えた小部屋に居住しています。SCP-5697がSCP-5697-1を退出する事例は確認されておらず、ブランドー・イベントの発生時以外は料理、音楽聴取、読書から成る隠遁生活を送っています。SCP-5697が所有する私物は衣服、多数の文献4、パーソナルコンピュータ、ヘッドホンのみです。SCP-5697は神学への関心が注目されている反面、特定の信仰体系を支持してはいないようであり、宗教的慣習の実践は観察されていません。時折、新しい物品(通常は書籍)がSCP-5697の所持品として出現します。このプロセスの発生原理は不明です。

SCP-5697を捕獲、拘留、その他何らかの形式で収容する意図を持つ人物がSCP-5697-1に接近すると、レストランは消失します。代わりに、利用可能な入場口が存在しない、特徴に欠ける茶色のレンガ造りの建造物が同じ面積を占めます。SCP-5697-1は通常、1時間以内に復帰します。

SCP-5697-1は人間を屋内に出現させる能力を帯びています — この出現によってブランドー・イベントが発生します。当該現象の概要については補遺を参照してください。

補遺.5697.1: ブランドー・イベント

ブランドー・イベントは人間1名がSCP-5697-1の屋内に出現する際に発生します。これらの事象は23:00~5:00の間に、週3回ほど発生します。レストラン内に出現する人物は必ず、その時点でアメリカ合衆国の刑務所に収監されており、違法薬物使用、ギャングとの提携、もしくはギャング絡みの暴力に関連する犯罪歴があります。SCP-5697-1がこの情報を判別する仕組み — 或いはそもそも情報を把握しているか否か — は不明です。

対象者はSCP-5697-1内に最大で2時間ほど留まりますが、グラッポロと外界の間には明らかな時間のずれがあります。対象者が消失した刑務所の人々の観点において、対象者が3秒以上行方不明だったと認識されることは決してありません。

ブランドー・イベントの終了に続いて、対象者は本来の所在地へと帰還しますが、それまでの出来事の回想記憶は残りません。ブランドー・イベントの抜粋リストを以下に示します。

日付 対象者 説明 その後
1991/11/02 (ブランドー-03) マーカス・コルベット。違法銃器所持、第2級殺人未遂、第2級住居侵入窃盗、及びギャング共謀罪により、カリフォルニア州立刑務所に25年間服役中。 対象者は薄暗い照明の点ったSCP-5697-1のダイニングルームに出現し、キッチンから現れたSCP-5697に身振りで席を勧められると軽い困惑を見せた。対象者は着席し、リラックスした様子を見せた。SCP-5697は一旦キッチンに戻ってから、チキンパルメザン、パン、パスタを盛った大皿と共に再び姿を見せた。SCP-5697はコルベットの傍に料理を置き、2人分のグラスにワインを注ぎ、食べるように促した。コルベットはSCP-5697に礼を言い、45分間にわたって共に食事をした。この間、SCP-5697とコルベットは互いの経験を語り合っていた。食事を終えた対象者は消失し、カリフォルニア州立刑務所の当初の位置に再出現した。 コルベットと接触したところ、SCP-5697-1内での経験の明確な記憶を持たないことが判明した。対象者はその後数週間、顕著な満足感を示し続けた。
1999/3/17 (ブランドー-212) エミリオ・ベルナル。第4級ギャング共謀罪、自動車窃盗、及び違法薬物所持により、ウィスコンシン州のウォーパン矯正施設に15年間服役中。 対象者はSCP-5697-1の内部に出現した。SCP-5697が現れた際にはやや取り乱す様子を見せたが、料理と飲み物を提供されると落ち着いた。対象者とSCP-5697は軽食を共にしたが、会話はほとんど無かった。 過去に記録されたブランドー・イベント後の対象者たちと同様の行動パターン。ベルナルはよく眠れており、楽観的な気分だと述べた。
2006/2/29 (ブランドー-558) D-691、本名リチャード・キムズ。違法薬物の所持/密売/製造、第1級/第2級/第3級ギャング共謀罪、ギャングとの提携、及び第3級殺人の罪で訴追された後、Dクラス職員としてSCP財団に採用された。 対象者は当初SCP-5697の料理を拒絶し、不満と苦痛を表明した。SCP-5697は対象者に話しかけ、葉巻を提供した。対象者とSCP-5697は2時間にわたって共に喫煙し、互いの過去について語り合った。対象者はSCP-5697に感謝の意を表してから消失した。 対象者は当初の所在地である財団施設 エリア-179に再出現した。同様の行動パターン。対象者は執筆や読書など、それまで興味を示さなかった趣味への関心を見せている。

補遺.5697.2: インタビューログ

財団は過去数回SCP-5697と交流しています。SCP-5697は不愛想に振る舞い、通常は自らの過去についての質問に回答しません。このため、SCP-5697の経歴について得られた情報の大半は、ブランドー・イベント中の対話で交わされた情報から来ています。SCP-5697とのインタビューの特筆すべき一例が以下に書き起こされています。

記録開始


エージェント オーエンスが、SCP-5697にインタビューする意図を持ってSCP-5697-1に接近する。建造物は防御体制に移行せず、オーエンスは正面ドアからレストランに入場できる。入った時点では、ダイニングルームは無人である。普段着のスーツを着用したSCP-5697がオーエンスに近付いてくる。

エージェント オーエンス: カヴァテッリさん。

SCP-5697: 今日はまたどういう理由で会いに来た? 実際にこうして入店してるからには、大それた事じゃあなさそうだな。ともかく座れ。

エージェント オーエンス: 少しお話がしたいだけです。前回の面談は中断されてしまったものですから。

SCP-5697: 仕事の話を始めたからだ。昔話をな。それは好かんと言ったはずだ。お前らには話したくない。

エージェント オーエンス: 申し訳ありません、あなたの意思を尊重すべきでした。ええと、今日は他の事柄を話し合いませんか? あなたの今の活動の話ならどうです? 囚人たちと一緒に食べる食事について。

SCP-5697: 今まさに言われた通りの事をやってるんだが? 俺はただ連中を囚人として見ていないだけだ。いやそれどころか、俺はあいつらの素性さえ知らない。仕事は建物が全部やってくれる。俺にメシをよこしたり世話をしたりするのと同じだ。たまに建物は人を送ってよこす。いつも話してくれるわけじゃないが、いざ話してみれば、俺とそう違わない奴らだってのが分かる。名前とか、どういう理由で逮捕されたかとか、時々な。偶然じゃないと思う。

エージェント オーエンス: レストランが自律性を発揮していると思うのですか?

SCP-5697: そうかもしれん。ともかく、あいつらと話し合えるのは確かだ。ここに来る連中は軒並み俺と同じ仕事に手を染めていて、誰一人それを誇りに思っていない。 (溜め息) 俺たちは悪党だ、分かってる、同情なんか求めちゃいない。どんなに懸命に手を揉み合わせて祈っても過去は消えない。

エージェント オーエンス: 彼らとの繋がりを感じるのですね。

SCP-5697: 俺と… 同じ境遇にいる奴らは — 言っとくがスパゲッティの話じゃないぞ — ちょっと他人と交流する必要があるんだ。俺はあの手の奴らとの話し方を知っている。必ず打ち解けるとは限らないが、もし心を開いてくれたらそりゃ結構な話だ。どういう訳か知らんが、これまで誰も俺を失望させたことが無い。 (SCP-5697は指を一本上げる。) だからこそ、この店が俺を気に掛けていて、俺にとって必要なものを運んでくるんだと分かるのさ。ああいう連中の多くは飢えている。ムショで出される食事に我慢ならない。俺がしてやれる事はこの程度だ。

エージェント オーエンス: ええ、確かに… 理に適っています。ここを再訪した人がいないのは何か理由があるのですか? 彼らを引き続き招きたくはないのですか?

SCP-5697: 分からん。ただ二度と来ないだけだ。実際、来る必要も無い。必要なものを全て手に入れてるんだからな。俺は別にまた顔を合わせても構わないが、お前たちが許さんだろう。自分の立場は理解してる。

エージェント オーエンス: 思うに —

SCP-5697: あのな、ずっと考えてたんだが — 俺にできるのは考えることだけだから、かなりの時間をそれに割くんだ — 俺はこう自問した、“何故あいつらは俺を怖がらない?” 何故俺を笑わない? 俺は世にも不思議な歩いて話せるミートボール男なのに! 俺があいつらの立場だったら笑うね。自分の過ちを背負って生きなきゃならない奴らが、どうして俺なんかにわざわざ構ってくれるんだ? それで… 正直に言おう、未だに分からない。 (笑う) なんて名前だったかな、あのD印の男。キムズか。あいつに頼んでみてくれないか? もしお前たちが許すなら、また会っても良いかもしれない。

エージェント オーエンス: (合間) どう申し上げるべきか分からないのですが、あなたは食事の余波に気付いていますか?

SCP-5697: 何の話だ?

エージェント オーエンス: 彼らはあなたを記憶しません。彼らの行動は少しだけ変化します。気分が好転し、新しい事に興味を抱き、様々な自己表現を始めます。誤解しないでください、あなたはあの人々に利益をもたらしています — しかし、彼らはあなたを覚えてはいません。我々は… あなたがそれを認知しているかどうか、今まで確信が持てなかったのです。

沈黙。

SCP-5697: 何故あいつらが戻って来ないのか、いつも不思議に思っていた。いや、まぁ、どの道リピーターは昔から好きじゃなかったがね。

SCP-5697はテーブルから立ち上がり、何事か呟いてからキッチンへと歩き去る。SCP-5697-1が消失して封鎖された形態へと移行し、エージェント オーエンスは屋外に立っている。


記録終了


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