定めるは 詠う習わし 五七五 七七続き 遊む戯れ
中程に 孕む危険を 含めたり 故にこの位置 みちの標に
人手にぞ 渡る事無く 封じ込め 虎の巻なる 轍の縛め
口任せ 流行り広がる その噂 三千世界 糸遊手繰る
隠れ部屋 集い番人 明け鳥 万の地にぞ 立ち番光り
目を見張り 逃したまうな あやかしの ねずみ算式 天井知らず
腐草の 罷り出でるは 諸人を 疾く殺めては 虚ろい任せ
家人には 病魔騙りて 念押しに 忘れな草の 知らぬが仏
その品の 喚起を模して 語りけり 以下に記すは 真の記録
瞭然の 奇々怪々を 眼前に 妖術変化 やまと撫子
鬼憑かれ 祓い退け 無意味なる 忘らるるひと たちの刃に
椿花 有無を云わさず 転び落ち 咎有り為せる 屍山血河を
孤し場所 座敷牢屋の 鉄格子 用心棒に 金棒持たせ
御座にぞ 八一八一の 要石 那由多の時を 苔の生すまで
然れども 身を尽くしても 人の世に 障る口数 鐘の音鳴らし
手の平に 巣食い洩れるが 顛末に 中のくらいに 留め続ける
橙の 益荒男達に 試し斬り 話し言葉よ 右に一列
決まり云う 三十一の 色数多 気になるべきは 見え知る文字と
ここりさま 誰ぞ嘯く 好きな儘 過ごす日々にぞ 数の縛め
口遊む 禁忌になりて 模す人よ 三一文字の 流行やまいに
無辜人の 落葉積り 篝火の 骨の増えるは 白衣の君ぞ
殿に 強く記すは 老婆心 災いを識り 糧とするべし
ひんがしの 楼閣並び 界隈に 究め寺小屋 掌にて
細れ水 溜まりを帯びて 水流となり 濁流猛り 天逆鉾
学びとを 介して走る かまいたち 鶯女 いろはの武士へ
備えるは 聞かざる真似て 唖の君 古兵の 疾風圧し獲り
匕首に 鍔せり合いが ちはやぶる 血塗る瑕にぞ 沈むくれなゐ
根の國に 諸人たちを 送るべく 鯨幕にぞ 死路の旅かな
出でる里 残し者にぞ 伝わるは 虚ろ出任せ 千尋に響く
水泡に 帰るが如く 散りし種 振り袖逢うは 随に流れ
枝分かれ 四方に乱れて 限りなく 押しては返す 根無し草かな
さるお方 隙間風にぞ 首を振り いずこか娑婆に 怪の源
慙愧むけ おもむき品を 蒐めたる 隠居暴いて早馬の足
人攫み 玻璃の鏡に 映せども 御免被る 無花果の花
日ノ本の 龍の島にぞ 隠れたる 春告鳥が 一二三の禍根
目を凝らし 忍ぶ黒衣に 命じたる 虎の巻にぞ 従いたまえ