特別収容プロトコル: SCP-5803は録音装置を備えた密閉されたセルに収容されています。職員はSCP-5803の録音を聞くことができます。SCP-5803によって残された全ての物体は標準アイテムロッカーに保管してください。
説明: SCP-5803は未知の方法で原子構造が変化した男性です。この変化により、SCP-5803とその所有物は非実体として永遠に存在し続けることが可能です。SCP-5803は第二次世界大戦時代の標準的な軍服を着ていて、キャリングケースの中に入ったバイオリンを常に所持しています。SCP-5803は5月28日を除いて認識することができません。この日付にSCP-5803は非攻撃的な方法で収容セルからの脱走を図ります。SCP-5803は脱走に失敗した場合、ケースからバイオリンを取り出し、オリジナル曲で終わるコンポジションを演奏します。SCP-5803が演奏する音楽には異常性がないことが確認されています。SCP-5803が演奏を終えると、その日の残りの時間をケースの中を見つめることに費やします。SCP-5803は収容セルに職員が入った瞬間にケースを閉じてしまうため、中を見る試みは失敗に終わっています。
5月28日にSCP-5803が演奏した曲のリストは以下の通りです。
- Dans l'intimité, Op. 19
- ソナタ No. 0
- トッカータとフーガ ニ短調 BWV 565
- Due studi
- 30の前奏曲(全キー)
- 協奏的幻想曲
- ソナタ No. 2
- SCP-5803による無題のコンポジション
発見: SCP-5803は1944年6月6日にニューオーリンズのワシントン砲兵公園に出現しました。実体は移動可能な密閉されたセルに収容され、サイト-26に輸送されました。2人の目撃者(女性と10代の少女)には記憶処理が施されました。

SCP-5803を回収した場所。
補遺.01: 05/28/2012、カオス・インサージェンシーの施設への襲撃によりEuclidクラスオブジェクト2個とKeterクラスオブジェクト5個(SCP-5803を含む)の収容が危うくなりました。事件後、ラファイエット墓地に設置された監視カメラがリンダ・リデルの墓前に立つSCP-5803の映像を捉えました。SCP-5803はコンポジションを演奏し始め、完了すると墓前で倒れました。SCP-5803はもはや異常性を持たないことが判明し、研究員が遺体を調べることが可能になりました。検死の結果、死因は胸骨に開いている複数の弾痕であることが判明しました。SCP-5803は1944年6月6日のノルマンディーの戦いで死亡したことが確認されています。遺体を調べたところ、ジョン・リデルと書かれた認識票と「One More Song For You(あなたに贈る一曲)」というタイトルの楽譜が見つかりました。楽譜の裏には「大好きだよ、リンダ。誕生日おめでとう。戦争が終わったら家に帰るよ。」と書かれていました。バイオリンとケースも回収されました。ケースの内側には15歳くらいの少女の写真がテープで貼られていました。回収された物体は全て異常性なしと判断され、サイト-26の保管庫に輸送されました。