アイテムナンバー: SCP-5806
アノマリークラス: Safe
アノマリー収容プロトコル: SCP-5806はオクラホマ州ケントンに潜入している警備員1名によって常に遠隔で監視されます。フラワードエーカーズ総合ケアセンターは財団のフロント機関により買収され、町の公務員が管理する建設現場を装い非常線が張られています。O5司令部による許可がある場合を除き、職員によるSCP-5806への立ち入りはいかなる場合であれ禁止されています。
アノマリーの説明: SCP-5806はオクラホマ州ケントンの町外れに位置する老人ホーム「フラワードエーカーズ総合ケアセンター」の23号室です。SCP-5806は施設内の他の病室、事務所、倉庫から遠くに隔離された棟の中にあります。
SCP-5806の入口はおそらくは異常な作用によって閉鎖されています。23号室の施錠機構は働いておらずドアノブも捻れば回りますが、扉そのものが動かず、押しても微動だにしません。
SCP-5806の部屋番号を示すプラカードの下には、重度の腐食や汚れによって一部が読めなくなっている小さなプレートがあります1。黒鉛を用いた擦り出しにより、プレートには「忄 奇 ⻖門」と書かれていることが判明しました。
SCP-5806の第二の特性はケアセンターの職員に関するものです。以前フラワードエーカーズ総合ケアセンターに勤めていた人物はSCP-5806に関するいかなる質問や言及にも返答せず、たとえ激しい脅迫を受けても黙秘を貫きます。SCP-5806について語りたがらない理由が状況的・社会的に重大なタブーであるためなのか、あるいはこれもSCP-5806の異常な側面であるのかは現時点で結論が出ていません。
補遺5806.1A: 現地時間の2018年11月11日午後7:33、SCP-5806の入口が開いていることが確認されました。直ちにサイト-88へバックアップの要請が入り、現地のサンプルやアーティファクトの分析のため、武装したMTFエージェントの一団と研究チームが派遣されました。
SCP-5806は標準的な住居の構造をしており、2つのメインスペースに分かれています(一般的な居間と居住区画、および付属のバスルームユニット)。
居住区画は少し散らかっており、天井の一部と部屋の北側、東側、南側の壁には水損の跡があります。カーペットは常に湿り気を帯び、汚染された状態であり、砂と土と金属片が敷き詰められています。
SCP-5806には東側の壁の窓の方を向いたリクライニングチェアがあります。チェアのクッションの間にはう蝕の進んだ人間の歯が3つ挟まっています。錆びたロケットも見つかっており、中には未知の人物が写った白黒の肖像写真が収められています。白カビの繁殖により顔の識別はできません。ロケットの内側のうち写真が入っていない方には「私のリサ。」というメッセージが彫り込まれています。
居住区画の中央には地中へ向けて概ね人間の形をした穴が空いています。穴は中心から放射状に穴を伸ばしたような形をしており、それぞれの伸長部が人間の四肢と頭部に対応しています。穴の縁は結露のようなもので覆われています。穴の中の地面そのものから、人肌に触れると灼熱感を引き起こす黒色の粘液状物質が漏出しています。
穴の正確な深さは定かではなく、2〜5メートルと推測されています。穴の底は上述の黒色物質の固化層で覆われています。穴からは以下の3つの書類が回収されています。
- SCP-5806の内部を写したセピア写真。部屋は整頓された綺麗な状態です。
- 帳簿やノートのようなものから破り取られたと思われる1枚の紙。湿気でインクが滲んでしまっており、手書きの文字は読めなくなっています。
- 改変された財団徽章が載っている酷く損傷した書類。
SCP-5806のバスルームユニットは薄く埃が積もっており、タイルの漆喰はカビの侵食が進んでいます。タイルやバスルームユニットを綺麗に清掃する試みは全て失敗しています。
補遺5806.1B: 現地時間の2018年11月11日午後8:12、ケンタッキー州オトワでマーガレット・ベルフォードなる人物が食中毒や化学中毒に類似する症状を訴え、緊急救命室に搬送されました。ベルフォードは家族と病院スタッフによる応急処置や治療の最中ずっと嘔吐しているのが確認されており、看護師は吐瀉物の色や粘度の異様さについて書き残しています。
ベルフォードは症状の悪化に伴い苦痛でのたうつ様子が確認されており、目撃者は彼女の声について「じめついた」、「喉を鳴らすような声」と形容しています。特筆すべき点として、突如鮮明な意識を取り戻したベルフォードは成人済みの娘(ディナ・べランジャー氏)の方を向いてこのような発言をしたと報告されています。
「連れ去られる。お願い、彼を止めて」
その後ベルフォードは鼻と口から大量の粘液を噴出し、気を失いました。彼女の身体が急速に腐敗し始めたため、同じ部屋内にいた人々はどよめきました。ベルフォードの遺体に触れているベッドが腐食し始め、遺体はベッドを突き抜けて床の中へ沈んでいきました。内臓の腐敗残留物から無傷の爪が発見されました。
財団研究員がフラワードエーカーズの従業員に関する文書群を相互参照した結果、マーガレット・ベルフォードが1962年から1975年にかけて看護助手として働いていたことを示す記録が見つかりました。彼女に対する上司からの評価を以下に記します。
これが彼女なりの患者との向き合い方だ - 患者がまるで自分の家族であるかのように振る舞っている。
まさにこのケアセンターで最高の人物の1人だ。
あの事件は残念でならない。結局、彼女はローレンスに親身になりすぎたのだ。






