SCP-5818

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アイテム番号: 5818
レベル2
収容クラス:
euclid
副次クラス:
none
撹乱クラス:
vlam
リスククラス:
caution

frankenstein.jpg

オンタリオ州ナイアガラフォールズの暫定サイト-5818


配属サイト サイト管理官 研究責任者 担当機動部隊
CAONNA 暫定サイト-5818 M. マーガレット・クラーク C. ジェームズ・クライヴ N/A

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SCP-5818-1

特別収容プロトコル: 財団ウェブクローラ ベータ-8 ("現代のプロメテウス")はディスカッションフォーラムや画像掲示板を監視し、SCP-5818関連フレーズを発見次第削除します。

SCP-5818関連現象の発生地点は財団によって買収され、暫定サイト-5818に転換されましたが、引き続き民間人に開放されています。カル式ミーム抵抗値スケールで少なくともスコア75以上の財団エージェントが数名、レストランの内部構造に潜入し、SCP-5818事象を監視します。

各SCP-5818事象は記録され、確立された物語の方向性から逸脱していないかを審査されます。事象終了後、全ての関与者は記憶処理されます。SCP-5818事象の形跡が全て処分されるまで、暫定サイト-5818は閉鎖されます。

研究目的でのSCP-5818事象の意図的な誘発は禁止されています。

説明: SCP-5818はカナダのオンタリオ州、ナイアガラフォールズに位置するバーガーキングの店舗で発生する事象です。このレストランはホラーをテーマとする別の観光名所に隣接しているため、“フランケンシュタイン”をテーマとする装飾が施されています。2007年4月にparawatch.netに投稿された、SCP-5818事象を引き起こすための指示は以下の通りです。

DontAsk 07/04/05 (木) 06:05:24 #1848131


>ナイアガラフォールズのフランケンシュタインバーガーキングに行く
>フランケンシュタインバーガーを注文する
>????
>一見の価値あり!!!

この指示は数週間にわたってディスカッション掲示板の各所に拡散されましたが、ほとんど注目を集めませんでした。最初の投稿から数週間後に4件のSCP-5818事象が発生し、当該異常事象に財団の注意を引き付けました。

上述の指示に従って“フランケンシュタインバーガー”を注文すると、SCP-5818-1が生成されます。バーガーキングのメニューに“フランケンシュタインバーガー”という正式名称や通称を有する商品は存在しません。これにも拘らず、従業員は要求を異常なものと見做さず、注文を完了させます。

SCP-5818-1は2枚のミートパテ、ベーコン、ケチャップ、チーズがトッピングされたハンバーガーです。SCP-5818-1の外見と組成は、バーガーキングの“ダブルベーコンチーズバーガー”に類似します。実験によって、消費した時に発現する異常性を除けば、SCP-5818-1はあらゆる点でバーガーキングの“ダブルベーコンチーズバーガー”と同一であることが示されています。

ある人物がSCP-5818-1を消費し始めると、“SCP-5818事象”と指定される幻覚性ミーム現象が発生します。SCP-5818事象は一貫した反復的な物語に沿って進行します。事象発生中に暫定サイト-5818の内部に居る全ての人物は、メアリー・シェリー著 “フランケンシュタイン”の基本テーマ、固有の言語表現、筋書きと類似した物語に適合する様々な元型に置き換えられます。SCP-5818事象の書き起こしは補遺5818.1を参照してください。

SCP-5818事象の完了後、影響者たちの精神状態は正常に戻りますが、発生した出来事の完全な回想記憶と自覚を持ち続けます。

研究の結果、この現象はオンタリオ州ナイアガラフォールズのバーガーキング店舗のみに限定されていると証明されました。

補遺5818.1: SCP-5818物語の書き起こし

以下のSCP-5818事象の記録は、高いミーム耐性を有する財団エージェントが転写したものです。この書き起こしは、2008/06/29に発生した、記録上31回目のSCP-5818事象に由来します。


<記録開始>

客がSCP-5818-1に噛み付く。数秒後、客は悲鳴を上げ、目の前のテーブルにSCP-5818-1を落とす。客は椅子の上に立ち、レストラン内に呼びかけて注意を引き付ける。

客: なんと醜い容貌か! 見よ、この哀れな奇形に目を向けるのだ、その顔立ちは父なる神と再び出会う日まで私を苦しめるだろう。見よ、そして慄け!

客は身振りでSCP-5818-1を指す。傍観していた他の客たちが、SCP-5818-1を見るためにテーブルの周囲に群がり始め、衝撃や苦悩の叫び声を上げる。1人の客が卒倒する。

傍観者: 斯くもこの世の物ならざる色合い! 嗚呼、このような非道な存在に堕とされるとは! 屠畜場と教室の双方から組み上げられた、忌まわしき創造物よ!

客: 兄弟の牛を食べ、母の乳を飲むように、私はこの悪辣な部位の混ぜ物を食さねばならないのか? 我らの滋養は土地からのものか、それとも研究所からのものか?

客たちはSCP-5818-1に発話能力があると認識し始める。SCP-5818-1の言葉はSCP-5818事象の関与者たちに聞こえており、全ての証言で内容が一貫している。

SCP-5818-1: 創り主よ、僕は肉からバーガーとして我が身を形作りたまえと求めただろうか? キッチンから僕を導き出したまえと請うただろうか?1

傍観者: 恐怖! 恐怖! あたかも人のように話すが、しかしそれはバーガーなのだ! それは己の薬品で増強された口から吐く実存的な非難を理解していない! 教えてくれ、何故あなたはこのような惨めなものを生み出した?

傍観者の群衆がSCP-5818-1を注文した客に近寄り始める。客は椅子から降りて後ずさりし始める。

客: 聞いてほしい、これは私が創造した堕胎児ではない。頼む! どうかお願いだ、フランケンシュタインを見るがいい、超自然のキッチン聖域で手ずからこの獣を鍛え上げた彼を!

客が身振りでレジを指す。SCP-5818-1を調理した料理人がキッチンから出て来る。客たちは、料理人の顔や体に裂傷や縫合痕があると認識する。料理人の皮膚は不自然な緑色に知覚され、全体的に“フランケンシュタインの怪物”の典型的描写に類似している。

SCP-5818-1: 僕の呪わしき親よ! 僕に生命と見当外れの希望を与え、美しさと創造を目の当たりにさせ、それでいて僕をこの悪魔的なまでに美味しい姿に作り上げたあなた! 僕が消費されるのを見たいと望む世界に、僕を放逐したことへの後悔を感じていないのか?

料理人: 俺は報いなど恐れぬ、堕天使よ! ティターン神族が人間を創造したように、俺はバーガーを創造する! これこそが俺の目的なのだ。

客: 見よ、諸君が望む下手人だ! 諸君の望む罰を課し、彼をコーカサスの岩山に磔にして、肝臓を鷲につつかせろ。神を試した者に相応しい罰だ。

傍観者たちが料理人に近付き、彼の身体を拘束し始める。

料理人: 俺は知識を追求した、俺の背負う荷は軽い。俺の前の大勢の者たちにやったように、貴様らがしたいようにするがいい。臆病な真似は見せぬ。

SCP-5818-1: このジューシーな可食の身体のなんと惨めなことだろう! 不潔な肉よりなお穢れている! サタンが友好に耽っている間も、僕は沈黙と苦しみの中に座っている!

傍観者たちは料理人を強引にキッチンに連れ込み、身体から四肢を裂き始める。料理人の四肢はその後、ブロイラーオーブンに投げ込まれる。料理人の身体がオーブンに収まるほど小さくなるまで狂乱状態が続く。

客: フランケンシュタインは己の運命を自ら招き寄せた! 悲劇なのか、或いは浄化なのか? 問いは投げかけられども、そこに真実は無い。

オーブンのスイッチが入り、料理人の身体が炎上する。傍観者たちは料理人の死を見て楽しむ。

キッチンから離れた場所で、SCP-5818-1は嘆き続ける。

SCP-5818-1: もしもあなたが栄養よりも養育を望んだのならば、恐らく僕は惨めに生きることはなかった。さらば、執念深き父よ。さらば! 僕はこの邪悪な世界の最も寒い土地へと旅立ち、そこで眠りに就くとしよう!

SCP-5818-1が消失する。

<記録終了>


研究者メモ: 事象終了後、全ての目撃者と参加者には記憶処理が施されました。SCP-5818事象における関与者の人命損失と、各事象の間にほとんど変化が見られないことに鑑み、SCP-5818事象の意図的な誘発による今後の研究は中止されています。SCP-5818-1実例群の現在地は不明です。

-クライヴ博士、2008/06/29

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