SCP-5870

#page-content .collapsible-block {
    position: relative;
    padding: 0.5em;
    margin: 0.5em;
    box-shadow: 2px 1.5px 1px rgba(176,16,0,0.7), 0 0 0px 1px lightgrey;
    overflow-wrap: break-word;
}
 
.collapsible-block-unfolded{
    color: black;
    overflow-wrap: break-word;
 
}
 
.collapsible-block-unfolded-link {
    text-align:center;
}
 
.collapsible-block-folded {
    text-align: center;
    color: dimgrey;
}
 
.collapsible-block-link {
    font-weight: bold;
    color: dimgrey;
    text-align: center;
}
 
.addendumbox {
    padding: .01em 16px;
    margin-bottom: 16px;
    margin-top: 16px;
    padding-bottom: 1em;
    box-shadow:0 2px 5px 0 rgba(0,0,0,0.16),0 2px 10px 0 rgba(0,0,0,0.12);
}
 
.material-box {
    padding: .01em 16px;
    margin-bottom: 16px;
    margin-top: 16px;
    padding-bottom: 1em;
    border: 1px lightgrey solid;
    box-shadow: 1px 2px 2px 0 rgba(0,0,0,0.16);
}
 
.material-box blockquote {
    border: 1px double #999;
}
 
.wiki-content-table {
    width: 100%;
}
 
.addendumbox blockquote {
    border: 1px double #999;
}
 
.addendumtitle {
   opacity: 0.8;
   margin-bottom: 10px;
   color: #b01;
}
 
.maintitle {
   margin-bottom: 10px;
   color: black;
}
 
.scp-header {
    text-align: center;
    font-size:x-large;
    color:#b01;
}
 
.addenda-header {
    width: 100%;
    border-bottom: 2px black solid;
    color: black;
}
 
.scp-info {
    display:flex;
    justify-content:space-between;
    font-size:large;
}
 
.scp-info-box {
    display:flex;
    justify-content:space-between;
}
 
.object-info {
    color:black;
    align-self: flex-end;
    font-size: large;
}
 
.title-style {
    opacity: 0.8;
    margin-bottom: 10px;
    color: #b01;
    font-size: large;
    text-decoration: underline;
    font-weight: bold;
}
 
.update-div-empty {
    text-align: right;
    font-size: x-small;
    color: lightgrey;
}
 
.update-div {
    text-align: right;
    font-size: x-small;
}
 
.computed {
    border: 1px black solid;
    width: 50%;
    display: inline-block;
text-align: left;
    padding: 3px;
}
.computed:before {
    content:"加工済コード";
    font-weight: bold;
border-bottom: solid 1px black;
width: 100%;
}
.rawcode {
    border: black solid 1px;
    width: 50%;
    display: inline-block;
text-align: left;
    padding: 3px;
}
.rawcode:before{
    content:"未加工コード";
    text-align: center;
    font-weight: bold;
border-bottom: solid 1px black;
width: 100%;
}
.codebox {
    display: inline-block;
    width: 100%;
    text-align: center;
}
.yui-navset .yui-nav .selected a em,  .yui-navset .yui-nav a em{
        padding: 0.25em .75em;
        top: 0px;
        margin-bottom: 0px;
}
.yui-navset .yui-nav .selected a {
     background: gray;
}
.yui-navset .yui-nav .selected {
       margin: 0px;
}
.yui-navset .yui-nav .selected a, .yui-navset .yui-nav .selected a:focus, .yui-navset .yui-nav .selected a:hover, .yui-navset .yui-nav .selected a {
         background: gray;
}
.yui-navset .yui-nav a:hover,
.yui-navset .yui-nav a:focus {
    background: gainsboro;
    text-decoration: none;
}
.yui-navset .yui-nav a, .yui-navset .yui-navset-top .yui-nav a {
background-color: none;
background-image: none;
}
.yui-navset .yui-nav a {
background: none;
}
.yui-navset .yui-nav li{
margin: 0px;
}
 
#page-content .licensebox .collapsible-block {
    position: unset;
    padding: unset;
    margin: unset;
    box-shadow: unset;
}
 
.licensebox .collapsible-block-unfolded{
    color: inherit;
}
 
.licensebox .collapsible-block-unfolded-link {
    text-align: left;
}
 
.licensebox .collapsible-block-folded {
    text-align: left;
    color: inherit;
}
 
.licensebox .collapsible-block-link {
    color: inherit;
    text-align: left;
}
評価: +9+x
blank.png
アイテム番号: SCP-5870 Level 4/5870
オブジェクトクラス: Keter Classified

5870_aboriginalart.png

SCP-5870事象発生後、オーストラリア、アデレードに位置する山脈であるウィルペナ・パウンド近辺で発見された石造りの彫刻物。本事象により1,200頭以上のコアラが消失している。


特別収容プロトコル

オーストラリアにおける財団の動物保護チームは現存するコアラに小型GPS追跡装置を取り付けるとともに、コアラを擁する囲いや動物園を厳重に警備してください。

ケアンズ市・ダーウィン市の市内、およびにクイーンズランド州・ニューサウスウェールズ州・ノーザンテリトリー州に位置するユーカリ林の火災頻発地帯計23か所に観測基地が置かれています。"飛翔するヘビ"flying serpentsの目撃情報は迅速にその真偽が検証され、能動的な監視が行われます。

財団の歴史部門は、SCP-5870-1実体と同一ないし類似する存在に関する文書および情報の調査が義務付けられています。当該部門はブンジャルン族などのアボリジナルグループの各リーダーと連携し、民間伝承に登場する生き物が持つ意味合いやその召喚方法および対抗方法に関する情報を収集します。

説明

5870_koala.png

SCP-5870-1実体にしがみつく前のコアラ。

SCP-5870は、2022年にオーストラリアで発生した一連のコアラ(Phascolarctos cinereus)消失事象です。当該地域では2年に渡り深刻な叢林火災が発生していました。集積されたデータから深刻な個体数減少が継続していたことが示されており、1週あたり約2,000頭のコアラが消失しています。留意すべき点として、現時点で生存しているコアラの個体数は約62,000頭となります。

加えて、オーストラリア国内外の動物園から得られた聞き取りにより、あらゆる方法で収容や追跡を試みているにもかかわらずコアラが消失していることが明らかとされています。

コアラの消失に伴って大量のユーカリ(Eucalyptus globulus)が伐採されており、これは叢林火災で焼失しなかったユーカリで顕著です。伐採されたユーカリのほとんどが切り株として残されており、切られた部分がどこに消えたのかは未だ明らかとなっていません。

加えて、バンヤナッツ(Araucaria bidwillii1についても、収穫の有無にかかわらず、その消失が確認され始めています。

前述した動植物3種の消失はいずれも黒・橙色をしたヘビ様飛翔体の目撃と関連しており、当該実体はSCP-5870-1に指定されました。これらの目撃情報は、ブゲラム・ブーガレム山、ウィルペナ・パウンド、ブラック・マウンテン2、グランピアンズ国立公園の近辺で最も頻繁に報告されています。これらはいずれもアボリジナル文化にとって重要な場所とされており、コアラの生息地であるオーストラリアの南部および南東部に位置します。

SCP-5870-1実体の出現と同時に豪雨が発生することが確認されています。

SCP-5870事象の発生直後にうなり木3の音が鳴ったという報告が観測基地より上げられており、火災頻発地域に赴いた動物保護チームにより岩石に描かれたヘビやコアラのアボリジナルアートが発見されています。これらは6から8.2の高いアキヴァ放射レベルを示しています。

現在の消失速度をベースにSCP-5870が発生し続けると仮定した場合、影響下にある地域においての対策法・保護活動・環境プロジェクトが促進されているにもかかわらず、コアラとユーカリの双方が半年以内に絶滅する見通しが立てられました。

また、SCP-5870がドリームタイム4内で虹蛇(Rainbow Serpent)として言及される存在と関連していることが背景調査により示唆されており、この存在は他の創世伝説で広く登場することが確認されています。SCP-5870-1実体は、非常に数が多いこと5とサイズが小さいことを除いては、伝説内の存在と驚くほどに酷似しています。

降雨に関する報告は虹蛇の伝承とも一致しています。虹蛇はオーストラリアの水場や野生生物を司る神として崇められており、複数のアボリジナルグループ内の生活および文化的アイデンティティにおいて重要なものとされています。

オーストラリア叢林火災に関する背景調査

2020年の叢林火災によりユーカリ林の24%が焼失するとともに、約60,000頭のコアラが犠牲となりました。生き残った個体の84%は四肢に重度の火傷を負っており、さらに31%は脱水症状と飢餓状態に陥りました。

追って2021年と2022年、叢林火災で負った火傷の合併症により9,000頭のコアラが死亡し、生き残った個体のうちの約12%が身体機能を欠損してユーカリの木を登ることが困難な状態にあります。

コアラの世話を専門としているグループ6を含む、アボリジナルグループの3割7は叢林火災の影響を受けて、居住地の転移を余儀なくされました。ウィルペナ・パウンドなどの聖域とされている場所の一部も火災の被害を受けました。

コアラはアボリジナルグループにとって非常に重要な存在であり、ドリームタイムのトーテムないし氏族のシンボルとして、知恵・息災・祖先霊への敬意を象徴するものと考えられています。例えば、オーストラリアのシドニーに住むエオラ族にとって、コアラは狩猟の場やカヌーに乗る際の導き手と見なされています。

5870-01状況報告書 (2022/10/12)

5870_bunya.png

SCP-5870-1実体が取りこぼしたバンヤナッツ。

バンヤ・フェスティバルは隔年で開催されるイベントであり、ブンジャルン族を筆頭とする複数のアボリジナルグループが一堂に会して、バンヤナッツの収穫や社会環境問題・ドリームタイムの伝承に関する話し合いが行われます。2022年には、バンヤ・マウンテンズの近辺で10月12日に開催されました。

353個のバンヤナッツが収穫され、続いて、各グループによるカラバリー8と通過儀礼の祭式が行われました。この際にSCP-5870発現の最初の兆候として、発生源の特定できないうなり木の音が鳴り響きました。

大きさ1mほどの複数のコアラ様実体が地面から出現し、カラバリーのダンスと同様の動作を示しました。3分後、体躯の1番大きな実体が低い唸り声を上げるとそれに応じて複数の実体がバンヤナッツの山へ突進してそれらを掠め取っていきました。この時点で複数のSCP-5870-1実体が目撃されています。

その後、コアラ様実体は現れたSCP-5870-1実体群にバンヤナッツを与えました。この時のSCP-5870-1実体の鱗は金色や茶色を呈していました。5分後、SCP-5870-1実体群は周囲の低木林地地帯に向かって高速で飛び去りました。

ドローンネットワークPANOPTICONにより、当該の実体群が低木林に生息するコアラに近づく様子が観測されました。コアラは実体にしがみつき、その数は1実体につき20頭にも及びました。

実体群はブゲラム・ブーガレム山9の頂上に飛び発ちました。山頂には巨大な浮遊島が存在しており、これはSCP-5870-2に指定されています。SCP-5870-1実体群が到達する10分前にSCP-5870-2が出現したことが観測基地より報告されています。

SCP-5870-2の探査

事前に行われた視覚分析により、何者かに造られた水場・巨大な掘立柱の上に造られた高さ60mの高床式アーチ型ドーム・水場周辺に建築された複数の塔が確認されています。ドームを囲むように木製の小型ドームも複数存在し、同様に高床式の構造を呈していました。島の表面40%は1つの水場となっています。

ドーム内部を探査するためにPANOPTICONドローン10機が送り出されました。

タイプEX-01文書適用を申請済み
2022/10/13

SCP-5870-2探査ログ

— [[ログ開始]] —

[[00:01:10]]

コアラたちがSCP-5870-1実体から離れ、ユーカリ・バンヤ・ウィローマートル(Agonis flexuosa)の木々に囲まれた道を進み始める。コアラたちが水場の畔にたどり着く。巨大なドームが水場中央に据えられている様子が確認できる。数頭のコアラが小型ドームに留まっており、それらは水場の外縁に建てられている。

[[00:07:53]]

水底から丸木舟のカヌーが浮上してくる。コアラたちが乗り込む。ラタンヤシを用いてカヌー内部にはユーカリの樹皮が留め置かれている。加えて、カヌーの傍に全長約1mのカモノハシ(Ornithorhynchus anatinus)様実体が複数存在する。実体群に押されることでカヌーが水場中央のドームへと素早く移動していく。

この最中、当該のカモノハシたちは潜水しなかった。頻繁にボートを揺らした実体はコアラからの唸り声を受けた。

[[00:14:53]]

水場中央のドームを囲むフェンスに到達してカヌーが停止する。直後にヒレを有したイヌ様実体10が複数現れ、ユーカリの樹皮とコアラを高速でドーム内部へ運んでいく。

小型ドームの探索では内部にユーカリ林が存在しており、そのほとんどにコアラがしがみついている様子が判明する。ドローン搭載のGPSトラッカーの反応から、これらのコアラには数週間前に消失したとされている個体が含まれていることが示される。

オスのコアラ同士による格闘もいくつか観察されており、多数のコアラがそれに目を向けている。格闘するコアラは巨体を示し、その背中は赤色11に塗られている様子が多数観測される。

[[00:15:01]]

医療施設として機能しているドームも幾つか確認される。複数のコアラがユーカリの葉から絞られたオイルを飲んでおり、それらコアラのほとんどが火傷を負ったり年を取った個体であった。また、エミューブッシュの葉12も混ぜた調合薬のプールも存在し、コアラたちは火傷した四肢を浸している。

腹袋に幼獣を擁したコアラも多数存在している。注目に値することとして、幼獣の頭は部分的に白色や黄色13に染められている。

[[00:18:11]]

5870_artwork.png

ドーム内部を飾るアートの一例。

中央ドームの内側の壁面にはアボリジナルアートが並び、巨体のコアラ様実体群がディジュリドゥ14や太鼓を演奏している。

演奏の最中、約140頭のアカカンガルー(Macropus rufus)がコアラたちに接近する。カンガルーとコアラが対峙するように並ぶ。中には敵対的なコアラも存在し、唸り声をあげて牙を剥く。15

しかし、うなり木の音がドーム全体に響き渡って緊張状態が収束する。それと同時に体躯を白色と黄色に塗られたカンガルーが複数現れて、コアラの前に輪を作る。カンガルーたちは十字をつくるよう、左右交互に飛び跳ねる。

[[00:28:11]]

ダンスを終えると同時に、カンガルーの尻尾が伸長する。尻尾は仮初の手足として駆使され、腎臓と外見的相似性を示す組織が腹袋から取り出される。当該の組織はすぐさまコアラに摂食され、コアラから毛の生え揃った尻尾が伸長する。カンガルーたちが立ち去る。

[[00:40:09]]

コアラたちがドーム中央に位置する高さ60mのユーカリの木を登る。木に架けられている足場16に到達する。この時点で、コアラたちはこれ以上の行動を示さない。約4,000頭のコアラが足場に乗っていることが視覚分析により判明している。

[[01:25:09]]

その頻度と大きさを増しながら複数のうなり木の音が鳴り、コアラが動き始める。赤・金・緑・黄色の鱗17を有する全長2kmのヘビ様実体(SCP-5870-3に指定)が出現し、足場に降り立つ。

ドローン搭載の気圧計が大気圧の変動を記録する。雨が降り始める。コアラたちがSCP-5870-3に近づき、自分たちの体を密着させる。全てのコアラがしがみつくとSCP-5870-3が咆哮する。

[[02:35:09]]

SCP-5870-3はSCP-5870-2実体から飛び発ち、ワーニング山頂上に位置するSCP-5870-2同様の構造体に向かって飛翔を始める。

ワーニング山に位置するSCP-5870-2同様の構造体を離れ、SCP-5870-3にはさらに約5,600頭のコアラがしがみついている。オーストラリア南部・東部に遍在する200以上の構造体で、SCP-5870-3が身を寄せてこのプロセスを繰り返す。

[[03:00:02]]

この時点のSCP-5870-3は約60,000頭のコアラを乗せて飛翔している。ユーカリ樹皮を背に積んだ170個体を超えるSCP-5870-1実体群が合流する。

ウルルの上空に存在する巨大な空間の裂け目を財団の観察基地が報告する。咆哮を上げながらSCP-5870-3が突入する。それに続く活動は検知されず、裂け目が閉じる。

— [[ログ終了]] —

軽度から中度の降雨18がオーストラリアで続いています。2023年現在、この降雨が止む気配はありません。

存在していたユーカリの葉の約43%が除去または樹木部ごと根こそぎ消失しています。また、同様にSCP-5870-2構造体も消失しています。

被害を最小限にするためおよびに発生しうる大衆からの反感を抑止するため、財団はコアラを絶滅危惧ⅠA類(CR)に指定しました。現生するコアラが地球上から消失した場合に備え、コアラのクローン個体を作製する・コアラの代替としてワラビーなどの有袋類動物を活用するなど、各種方法を研究する予定です。

更新(2025/12/25)

財団は、オーストラリアがタイプAのLB(「生物多様性の喪失」)Loss of Biodiversityシナリオに陥っていると宣言しました。オーストラリアの観光産業はネガティブな影響を受けているとともに、信頼性の観点でオーストラリアの複数の野生生物保護団体が中程度にその評価を下げていることが判明しています。

SCP-5870-3を無力化する試みは現時点では成功しておらず、兵器が通用しない様相を呈しています。しかし、SCP-5870-3からはこれといった反撃行動が見られていません。

一方、財団とオーストラリア政府は工学的ソリューションによる緩和を試みていますが、絶え間ない降雨による洪水が原因で少なくとも30万人の市民が避難をせざるをえない状態にあります。

SCP-5870を原因にカバーストーリー-145("ブッシュファイア")Bushfireの実行に協力したオーストラリア政府は環境への先見性が不十分と大いに批判されています。

#BBKおよび#BringBackKoalasのハッシュタグは数ヶ月に渡ってトレンドとなり、政治キャンペーンや政治集会において極めて重要な役割を担いました。約320のアボリジナルグループが#BBKの大義を支持することを公に表明し、アボリジナル野生生物協会(AWA)を組織するために結集しました。

プロジェクトJALIGER状況報告書(2060/11/04)

5870_arbor.png

クイーンズランド州、タウンズビル。これらの樹木は2022年から植樹と観察が続けられています。

財団はプロジェクトJALIGERを発足しました。当プロジェクトはSCP-5870に対抗するため、アルカリ性土壌や化学物質で汚染された土壌の処理・過放牧された草地の回復・産業制限の設定・鳥獣保護区の増設などを通じて、オーストラリアの低木林地帯や湿地帯を早急に再生させることを目標としています。

プロジェクトJALIGERは主にオーストラリアの政権交代を活用して環境の維持と改善を実現しました。同時に、財団は森林再生と水域管理に関する助言・情報・人的資源の主要な供給役であるAWAと緊密な連携を取りました。

また、バンヤ・フェスティバルは過去40年間一貫して執り行われてきた毎年のイベントとなり、アボリジナル協会とプロジェクトJALIGER所属職員が一堂に会して叢林火災に対する行動計画を話し合う主要な機会となっています。火災の頻度こそ減少していますが、話し合いは未だに繰り返し開催されています。

パリ和平協定やアデレード合意19のもとで打ち出された気候変動政策も概ね成功を収めており、現在、オーストラリアは国家予算の10%を気候変動や他の環境問題に充当しています。留意すべきこととして、本年にオーストラリアが記録した二酸化炭素排出量は約1億1,531万トンであり、これは2020年の総排出量の1/5に相当します。

持続可能かつ効率的な核融合炉の登場により、連邦法も原子力発電を解禁するよう改正されました。現在、核融合ないし核分裂を利用した中規模の発電所20基・小型モジュール炉2035基が併存しています。

タイム誌などのメディアでは、オーストラリアは、クリーン電力・石油や石炭からの依存脱却・気候変動対策の面で世界のリーダーとして称賛されています。

ニューサウスウェールズ州やクイーンズランド州ではブンジャルン族・エオラ族・カミラロイ族などのアボリジナルグループと密接に連携し、みどりの回復プログラムを実施しています。これは、将来発生しうる叢林火災被害を軽減するため、景観設計家や環境保護活動家による分散的な植樹を伴っており、当該プログラムは成功を収めています。

それらの取り組みにもかかわらず、SCP-5870は再度の発現が見られず、コアラは絶滅したままの状態です。

ドロップベア事案(2070/01/01)

オーストラリアの環境状況はプロジェクトJALIGERの目標を達成しましたが、絶え間ない降雨のためにトレス海峡の島々21の51%を水没から防ぐことが叶いませんでした。約7,000人の島民が転居しています。加えて、現在では洪水の勢いは減衰しているものの、オーストラリア領地の10%は依然として洪水に対して非常に脆弱な状態にあります。

ドロップベア22事案以前、オーストラリアは過去48年間において恒常的な降雨の状態にありました。

午後6時頃、複数のSCP-5870-1実体がニューサウスウェールズ州とクイーンズランド州上空を飛翔する姿を財団の監視グループが検知しました。パラシュートを装着した数頭のコアラ23がSCP-5870-1実体から降下してくるのが目撃されました。1時間後、SCP-5870-3が再び出現し、その鱗の色は金色24・黄色・赤色に交互に変化しました。

その後、SCP-5870-3実体が咆哮すると、カンガルーとともにさらに多数のコアラも続き、傷もなく木に降り立ちました。「コアラの雨と嵐」についてメディアが報道を始めると、即座に財団の機動部隊が出動しました。幸いなことにほとんどのオーストラリア人は自宅で新年を祝っていたため、目撃者の数は財団の想定よりも著しく少ないものでした。

その2日後、財団はオーストラリア政府が秘密裏にコアラを繁殖させたというカバーストーリーを発表し、記憶処理エージェントや記憶処理剤を駆使して公共の認識を操作しました。

同時に、ブゲラム・ブーガレム山の頂上から1頭のコアラを模した巨大な石像が発見されています。全体にアボリジナルアートが描かれていますが、正書法に準じた記号25は書かれていませんでした。

当該の構造物に近づいた複数のアボリジナルピープルは、以下に示す文章を彼らの言語で朗誦する低い声が聞こえたと報告しています。

いつの日にも戻るRETURN FROM EVERYWHEN

世界の片側にいる二本足の毛まみれの彼に提言され

我々を「コアラ連合Koalalition26名誉クマhonorary bears27と呼ぶ彼

そしていつも豪然たるヘビの助けを借りて

我々は大移動を成してきた、時を超え、川も泉も超え、いつの日にも

より安泰な住まいを求めるがため

ここに降り立ち、我々とコアラの氏族は驚いた

この大地の今がなんと素晴らしいことか

感謝の意を表しよう、安寧を得たこの茂みの大地に

そして豊富な種類のユーカリの葉に

葉と言えば、男だろうとなかろうと、みなが生き生きとして生まれ変わる

新緑の葉は大層に味わい深い

時の炎を身に受けた葉よりも


コアラの骨や死骸の分析およびにSCP-5870の火災頻発地帯で実施された奇跡術的調査から、過去2万年に渡り、コアラの時間的移動が少なくない頻度で行われていたことが示唆されています。

特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。