アイテム番号: SCP-588
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-588のオリジナルは、最低限の保安措置を施したサイト-19の保管ロッカーに収容されます。SCP-588は金属製の拘束を付けた状態で、透明なプラスチックの箱に保管されています。SCP-588と接触する研究者はパッド入りの手袋を着用する必要があります。SCP-588を収容場所から取り出した場合、絶対的な注目を保って、対象が逃げ出さないことを確実にしてください(事案報告書588-Bを参照)。実験で生成されたSCP-588のコピーは、サイト-19の廃棄炉で1100˚C以上の温度に5分間曝します。
説明: SCP-588は1972年に鋳造されたアメリカの25セント硬貨(25¢)です。SCP-588の化学組成の分析により、銅とニッケルが91.67%-8.33%の割合で入っている標準的な合金であることが確認されました。この硬貨の表面に彫られたジョージ・ワシントン米国大統領の肖像は“生きている”と見做して差し支えない活動を示します。平面上に固定されているにも拘らず、ワシントンの頭部は180˚の完全な水平移動が可能であり、約90°垂直に移動することもできます。
頭部の動きに加え、SCP-588はワシントンの“口”を開閉させることが可能であり、近くに持ち込まれた有機材質を貪欲に摂食しようと試みます。表面のワシントンの顔の他の部位は、目も含め、動くのが目撃されていません。
SCP-588は1回の摂食行為で有機材質を1グラムまで摂取する能力を示しています。研究者はSCP-588標本のうち幾つかを分割し、ワシントンの首の部分に、疑似的な胃として機能すると思われる微小なエアポケットを発見しました。SCP-588の組成分析で有機的な構造部位は発見されていません。しかしながら、███████████、█████████、そして██████を含む微量の消化酵素が疑似胃から分離されました。摂食後の30分~1時間ほどの間、SCP-588標本は裏面から透明な粘性物質を分泌します。実験室での分析は、それが摂取された有機材料の消化された残留物であることを明らかにしました。
SCP-588標本は硬貨を最大で2mmほど屈曲させる、限定的な能力を有しています。これによってSCP-588標本はナメクジと同じようにリズミカルな収縮を使用し、平らな表面を急速に移動できます。食料源に接近すると標本は移動パターンを変化させ、裏面の端を利用した、直立体勢からの短い“飛び跳ね”へと移行します。全ての活動は、摂食と繁殖の欲求によって動機付けされているように思われます。
SCP-588は生存のために有機材質を必要としてはいません。全ての消費活動は繁殖のためだけに行われるようです。およそ3~4回の摂食行為の後、SCP-588標本は厚みを増し始めます。数時間以内に厚みは1.75 mmに達し、その後、裏面からの二分割という形式で標本のコピーが分裂します。驚くべきことに、SCP-588の子孫は表面の下部に“生まれた”年が製造年として表示されていますが、それ以外の全ての点でオリジナルのSCP-588と同一です。生まれた年に関わらず、SCP-588の子孫は1999年の“50州25セント硬貨プログラム”以前の共通デザインをしています。
SCP-588は基本的な認知力を示しています。SCP-588コピーはしばしば表面を上に向けて転がり、標準的な25セント貨を装う素振りを見せます。人間が触れると、SCP-588標本は指に噛み付き、即座に逃亡を試みます。複数のSCP-588コピーは大規模な群れを作る傾向があり、可能であれば協力体制で捕食のための攻撃を行います(事案報告書588-Bを参照)。
事案588-B: 2002/██/██、次席研究員█████博士は上級スタッフの1人に対し、収容ロッカーから実験室に輸送中のSCP-588が「箱から滑り出して転がっていった」旨を報告した。不幸にもSCP-███の収容違反がほぼ同時に発生し、結果的に█████博士が死亡した結果、この事案は記録されていなかった。5ヶ月後の2002/██/██、用務員██████ ████は、400枚を超えるSCP-588コピーのコロニーが食品貯蔵室-B10の棚裏に積もったホコリの中に生息しているのを発見した。██████ ████は2時間後に意識不明の状態で同僚に発見され、手足と身体に負った数千もの噛み傷の治療を受けた。逃走したSCP-588コピーは全て回収・破壊されたと考えられているが、奇妙な場所で小銭を発見したサイト-19職員は直ちに現場の保安監督者に通知されたし。