SCP-5895
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2014/2/13に回収されたSCP-5895の4thスタジオ・アルバムのジャケット .パンヶ (PUNQ)
クリスマス27日目 それでも俺は知ったこっちゃない

アイテム番号: SCP-5895

オブジェクトクラス: シンプソンズのおならthe simpsons farting

特別収容プロトコル: 現時点のSCP-5895実例の全個体がサイト-98の娯楽棟に位置する吸音クッション内蔵の部屋に収容されており、部屋内にはSony製 Playstation3 1機・TVゲーム『Rock Band 3』のコピー1点・当該のゲームプレイ用のあらゆる周辺機器が併置されています。SCP-5895実例群の精神的動揺を軽減・抑止するため、実例群には娯楽を味わうことへの全面的な自由が約束されていますが、いかなる場合においても楽器に接触することは許可されません。実例のいずれかが楽器に接触する・楽器を創造する状態にある場合、当該の楽器を没収するために機動部隊シグマ-88 "パーティの白けさせ屋"Party PoopersがSCP-5895の収容室内に派遣されます。デルタクラス聴覚振動が発生した場合、財団職員による楽器の破壊の試行が、振動の程度が激しい際にはSCP-5895実例群の拘束・沈静化の試行が推奨されます。

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前述のアルバムの裏面、各ナンバーのタイトルが記載されている .1) 神よ、我がモロコシ頭より我が声を聞け / lord hear me through my ears of corn
2) サマータイム・スノーメン / summertime snowmen
3) サワー・パッチ・シッズ1 / sour patch shids
4) ホワイ・クドゥント・ウィー・ビー・ザ・ビートルズ / why couldnt we be the beatles?
5) いずれきたる転調パンク / prospective modulating punk
6) 君は聴くに値しない / you don't deserve to listen
7) キャプテン・カークとファシズムとの戦い2 / captain kirk and the war on fascism
8) 不安はない / no insecurities
9) 刑務所国家 / the prison national anthem
10) 痛みのドクトル - ドクトル・ハート / doctor hurt
11) 自前での息継ぎ / breathing manually
12) 裸でも怖くない / naked but not afraid
13) サンクス・チャンプ / thanks champ

説明: SCP-5895はそれぞれが別個の体型と様々な体色をした人型実体の集合であり、これを踏まえて各実体はSCP-5895-1~3で呼称されます。SCP-5895実例が楽器に触れた状態にあるとき、理論上発生しうるものよりも過剰な音量での演奏が開始されます。3体の実例全てが同時に音楽を演奏すると、地球の地殻プレートに異常な変動が生じます。そのため、SCP-5895と地球全体の火山活動は直接的に関連しており、当該事象はデルタクラス聴覚振動と呼称されます。加えて、SCP-5895の異常性により発生する音響は10~25kmに及びうることが判明しています。当該の音響を聴くことで軽度の共感覚が一時的に引き起こされることが既知とされています。SCP-5895の各実例は非常に社交的であり、実例同士ないしはサイト職員との会話を楽しみます。時たま、未解明の方法でSCP-5895実例群が楽器を創造する様子が確認されています。創造された楽器は轟音を発生させる異常性を有していますが、当該の楽器の使用するSCP-5895実例群は不快げな様子を呈しており、抑鬱状態や倦怠感に苛まれた状態の時にのみ楽器を創造するものと思われます。


インタビュー記録12-C 開始
SCP-5895-1は何も置かれていない防音室に移動された状態にある。アレックス・メルツバウ博士がインターホン越しに質問する。

メルツバウ博士: こんにちは、5895-1。インタビュー開始の用意はどうだろうか?

SCP-5895-1: どもども、博士。あぁ構わねぇよ。

メルツバウ博士: ありがたい。では、名乗ってもらえるかな。

SCP-5895-1: どうして?俺らの名前なんて知ってるでしょうに。セイムセイムsamesameとかなんちゃらみたいな、それが俺らだね。

メルツバウ博士: 興味深い名前だ。君個人の名前を述べてもらえるか、記録のため、ただそれだけだから。

SCP-5895-1: サイモン。俺の名前はサイモンだ、けどここで扱われてる限りじゃSCP-5895の "実例" インスタンスってヤツが俺の名前だね。君らの名付け方ってヤツかい?俺にはよく分からんが、まぁいいんじゃないか。バンドの名前を1つに決めることすら俺らには全然できないもん、そんでもってバンド名が数週間おきに変わってるのが常日頃ってわけだよ。モート、あ、君たちが "インスタンス-3" って呼ぶヤツね、宣伝ポスターとかアート担当なんだけど、ヤツにとっちゃまあサイテーな状態というわけ。こちら流とは違った名前で俺らを表現させてもらってありがたく思ってるよ。

メルツバウ博士: 気にしないでくれ。うちの職員からの要求に従いさえすれば褒賞がより多く与えられることだろう。先日、ハーレー次席研究員が使い古しのビデオデッキを手放そうと思案していたものだから、近いうちに君たちに譲ってやれないか提案しておいた。君らはうちの施設の娯楽棟で過ごしているわけで、そこにはVHSテープも大量にある。

SCP-5895-1: おいマジか。

メルツバウ博士: 興味を持っていただけたかな。ならインタビューを続けようか。

SCP-5895-1: どんな質問もどんとこいですよ。まさか、ビデオデッキのことが嘘だったらヒドいからね?

メルツバウ博士: 君たちがどこからやってきたのか、君自身は分かっているのかね?

SCP-5895-1: 奴ら麻薬王たちと戦ってる最中、その最中に濃縮されたパンク・ロックのジャムでいっぱいのタンクに落ちたのさ。

数秒の沈黙が流れる。

SCP-5895-1: オッケー、これじゃ笑えないってわけね、ごめん。俺の最初の記憶はモートやフィルのと同じだよ。俺らの時間の流れ方ってのはマジでおかしいのさ。何年もの時間が数秒で過ぎてくような感覚。君らも歳を食わない存在になったなら同じ状態に陥るだろうね。最初の記憶は日本のどこかだった。マジで大昔のことだったに違いない、人もほとんどまばらだし、クールなテクノロジーも何もあったもんじゃなかったし。アンプもなけりゃ、何もねぇ。君ら人間たちの社会に溶け込んでた最初の頃はすげぇ重要な存在であるかのような眼差しを受けてたってわけ、けど、俺らの1発目のギグでそいつは変わったね。音楽がしっくりきた、ただそれだけ。コレだ、ってビビビっと感じるわけさ。俺とフィルにはギターが与えられて、モートはボンゴを叩いてた。ったく、そこら中の注目を集めてたに違いねぇぜ。俺らはプレイで充実した数日間を過ごしてた、そんで誰も不快には思っちゃいないようだったさ。俺らの演奏がどんだけ甘美なものだったか、どこぞの男に言われて笑っちまったことを覚えてる。素晴らしい時間だった、それが叶わなくなっちまうまでは。

メルツバウ博士: 何が起きたのかね?

SCP-5895-1: もうすぐ言うところだったんだからさ、慌てなさんなって。地面が揺れだした。ビーチでの演奏は理想的とは言えない、あの殺人的な波で俺らのゾーンがどんだけ悲惨な有様にされたのかを鑑みればね。あれはひでぇ悲劇だった。神様の座から破滅の前触れに俺らは身を落としてしまった。最悪だ、いや、もう何も演奏できないもんだから単に落胆したってのがほとんどかな。水辺でまた演奏したいとは思ってる、思ってるけどね。対津波の、より良いプランを今なら持ち合わせてるんだけどな。

メルツバウ博士: 人々や自然に対して、君たちの "ギグ" で引き起こされることへ自責の念を感じたりはするのかね?

SCP-5895-1: 正直言ってしまえば、答えはノーだ。この星はデカいし、君らにとって守る価値すら感じない様子になるには暫く時間がかかりそうだ。ライターじゃなくマッチ棒になりたい。薪が丸く縮まって燃え上がるのを眺めていたいんだ。3 俺らがジャムればジャムるほど、曲はイかしたものになる。君らはただ動揺してるってだけだろ?前々から進行中の自殺でよりも早く、俺らにられそうだって理由で。

メルツバウ博士: ふむ。成程ね。これまで君たちがやってきた演奏の1つ1つに、その全てに思い出があるのかね?

SCP-5895-1: 当たり前だよ。どれもが忘れ難いものだし、これ以外の生き様なんて考えられやしないしね。モートとフィルも同じさ。最高の演奏がどれかって?絶対にポンペイのヤツだな。ちくしょうめ、岩が降ってきやがったんだぜ。俺らの到達した最高にハイな境地だった。あんなにパンキッシュでラウドな演奏を俺らがやるだなんて誰も考えすらしてなかったんだ。演奏を終える頃には街1つが全て灰に埋もれててさ。メタルだったねぇ。それからの俺らはその高みを追い続けてるみたいなもんさ。だが最後の演奏は白けるもいいところだった。俺らがった最凶の災厄はセント・ヘレンズ山4かねぇ。山のてっぺんが崩壊するだなんて知りもしなかったんだ。誤解しないでくれよ、ありゃクールで趣深いものだった、けれど俺らの楽器は完全にダメになった。でも、1つプランがある。マジに素晴らしいヤツだぜ。

メルツバウ博士: それは?詳細に教えてくれるかね。

SCP-5895-1: イエローストーンさ。

メルツバウ博士: 成程。そのような度肝抜く行為を、どのようにしてやってのけるつもりかね?

SCP-5895-1: やっぱ知りたい?このインタビューは終わりだ、親愛なる博士。俺らはラウドloudプライドproudを以て演る。ワイオミングに着いたら?クッソ爆発してやるぜ。

> 自身の座る椅子の底面を用いてSCP-5895-1がドラムビートのようなリズムを刻む姿が捉えられる。部屋内に突入した機動部隊がSCP-5895-1を拘束すると同時にマイクからの音声が途切れる。いかなる場合においても、SCP-5895がイエローストーン国立公園から700km圏内に位置することは許可されない。海洋サイト-Alpha-7への移転は保留中となる。

[ログ終了]

俺らのライブ見に来いよ!
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