これは実話です。
当文書に描写されている異常現象は1996年のミネソタ州で最初に発生しました。財団のポリシーに従い、名称はいずれも変更されていません。事件の内容は発生したとおりに正確に説明されています。
アイテム番号: SCP-5910
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: 財団はSCP-5910が発生する高速道路沿いの農地200エーカー(暫定サイト-96)を買収しています。機動部隊イプシロン-6(“村のアホ”)はこのエリアを巡回し、あらゆる無許可の活動に対処します。SCP-5910関連物品の継続的な出現を防ぐために、職員は頻繁な対抗ミーム接種を受けます。
問題の場面の実際の撮影場所を隠蔽するための偽情報活動が行われています。この隠蔽工作を維持するために、映画製作に関するオンラインの証言を削除、または改変するウェブクローラF1N.Kが配備されました。現在発生するSCP-5910事象は、“ファーゴ”の撮影に関連する物理メディアが原因だと推定されています。これらを発見する試みが進行中です。
SCP-5910事象を完遂した疑いがある人物からは、税務調査を装って資産と預金を差し押さえます。
説明: SCP-5910は1996年のスリラー映画 “ファーゴ”に関連する現象です。SCP-5910事象を発生させるには、以下の条件が満たされなければいけません。
- 対象者は少なくとも一度“ファーゴ”を視聴し、及び/または同作の物語とプロットの大部分を思い出すことができる。留意点として、対象者は映画全体を見る必要は無く、SCP-5910事象を開始するのに不可欠と思われる場面は2ヶ所のみ — オープニングタイトルと、スティーヴ・ブシェミ演じる登場人物の“カール・ショウォルター”が身代金を雪に埋める場面である。
- 対象者はこの映画の制作過程、とりわけ撮影場所についての調査を積極的に行っており、ショウォルターが身代金を埋めた実際の場所を正確に特定できる状態である。
- ミネソタ州で7インチ以上の積雪が確認されているか、今後数日以内に同程度の降雪が予測されている。
- 対象者は撮影場所を取り巻く町のいずれにも居住していない。
影響を受けた人物は — 例えそうではないと示す証拠が存在しても — “ファーゴ”の作中展開が実際の事件に基づいており、“ショウォルター”の身代金がまだミネソタ州に埋まっているという強固な確信を抱きます。オンライン配信サービス、気象予報、検索エンジンのトレンドから収集されたデータは、いつ如何なる時でも、視聴者の最大4%がSCP-5910の発生条件を満たしていることを示唆します — しかしながら、ミネソタ州への移動を試みる人物の数は僅か0.002%です。実験によって、この現象に強制力は伴わないことが示されています。
影響者が雪解けの前に問題の場所へと移動すると、影響者が半径3km以内に入った時点で、自動車のフロントガラス用雪搔き(作中で埋蔵金の目印として使われる小道具と同じ外見)が道端に現れます1。出現後、影響者やその他雪搔きの出現に興味を覚えた人物は、“ファーゴ”について最低限の知識しか持たない場合でも、SCP-5910現象との相互作用が可能になります(“発見”を参照)。地元住民や映画の撮影に関与した人物は、SCP-5910事象を直接発生させることはできませんが、他の人物がSCP-5910事象を発生させた時に出現する物品との相互作用は可能です。
SCP-5910の発生時に雪搔きがある位置の雪を掘り返すと、90万米ドルが入った革のブリーフケースが発見されます。取得者が発見から1時間以内に消費または預金しなかった場合、この金は消失する傾向があります。このため、SCP-5910事象に関する口伝えの報告が真剣に取り上げられることは滅多に無く、一般社会における信用は最小限に抑えられています。
事案ログ 2017/02/11: 2017/02/11の朝、アメリカ人俳優 スティーヴ・ブシェミに似た容姿の白人男性が、定期巡回中のMTF イプシロン-6隊員によって発見されました。当該人物は発見時に“無我夢中で雪を掘り返して”おり3、顔面には銃撃と一致する傷痕があったと説明されています。当該人物は攻撃的に振る舞い、警備員に捕縛されました。ヒト型生物収容チャンバーへの拘留から2分後、当該人物の消失が確認されました。
事案発生当時、現地は財団の管理下に置かれてから約15年が経過しており、2005年1月の実験完了以降、完全なSCP-5910事象は発生していませんでした。