SCP-5914
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アイテム番号: SCP-5914

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-5914はサイト-141のEuclid棟にある頑丈な昆虫型生物用容器で飼育します。給餌の際には認知抵抗値6.7の職員3名が立ち会う必要があります — 1名は生きたコオロギを容器に入れ、他2名はSCP-5914の位置を観察・再確認します。現在、容器内には10匹のSCP-5914個体が存在します。

更新: 試験チャンバー0772は追って通知があるまで封鎖されます。

説明: SCP-5914はキマダラコガネグモ (Argiope aurantia) の異常種です。顕著な特徴としては、非異常なキマダラコガネグモと比較して不自然な大きさや1、後肢に脛節が無いことなどが挙げられます。

SCP-5914は周囲の生命体に受動的な認知影響を及ぼします。SCP-5914を見た生物は、短時間目を逸らすと、その正確な位置を認識できなくなります。この効果は観察者が支援 (口頭での指示など) を通してSCP-5914を発見できるまで持続します。

SCP-5914試験ログ: 収容後、SCP-5914の異常な影響を検証するための初期試験が開始されました。試験手順は、Dクラス職員1名を試験チャンバー0772に待機させ、そこにSCP-5914を解放する形式を取りました。観察と試験後の回収のため、サイト-141職員6名が立ち会いました。

<記録開始>

00:00: D-2012は目隠しをして試験チャンバーの中心に座らされる。観察職員がデジタルDigital認知バイパスCognitive-BypassスキャナーScanner (DC-BS) で最終チェックを行った後、SCP-5914個体解放の合図を出す。

00:05: SCP-5914個体が警備員によって室内に持ち込まれる。警備員はケージを下ろして速やかに退室する。D-2012はケージが床に当たる音で驚く。

00:06: ケージが観察職員の遠隔操作で開く。D-2012はインターコムで目隠しを外すように指示され、その通りにする。

00:07: D-2012は座ったまま明白に身じろぎし、両脚を床から離す。D-2012は今回の試験が不快であると叫び、退室を要請する。要請は却下される。ロスロップ博士はD-2012のクモ恐怖症について口頭で記録し、後ほどD-2012のプロフィールに追記する。

00:09: ロスロップ博士はD-2012に対し、SCP-5914から目を逸らすように求める。D-2012は拒否する。再び同じ要請が出されるが、D-2012は拒否し、SCP-5914個体の大きさについてコメントし、僅かに座席の上で身を縮める。

00:11: 職員2名が試験をどのように進めるべきか議論している間、残りの職員らがSCP-5914を観察している。SCP-5914は身動きしていない。

00:12: 周辺地域で激甚雷雨警報が発令される。

00:13: ロスロップ博士はD-2012に対し、試験への全面的な協力と引き換えに、独房への設備追加要請を認めると提案する。D-2012は一瞬躊躇するが、やがて新しいベッドを要求する。ロスロップ博士は許可する。

00:15: D-2012はSCP-5914から目を逸らすように求められる。D-2012はこれに従い、目を閉じて顔を逸らす。D-2012の呼吸が荒くなる。

00:18: ロスロップ博士はD-2012に対し、目を開けるように指示する。目を開けたD-2012は室内を見回す。D-2012はSCP-5914の居場所を訊ねる。ロスロップ博士はある程度時間が経過してから教えると返答する。D-2012はSCP-5914がまだ室内にいるかを訊ねる。

00:20: DC-BSを操作している職員は、SCP-5914が室内にいることを確認し、そのように通達する。D-2012は椅子の上でうずくまる。

00:23: 職員たちはSCP-5914の異常性に関して意見の一致に至り、D-2012に居場所を伝える準備をする。

00:24: ロスロップ博士はインターコムでD-2012に実験完了を伝える。彼がSCP-5914の居場所を明かす前に、サイト-141の近隣で落雷が発生し、サイトが停電する。

00:25: 予備発電機が作動し、非常灯が点灯する。D-2012は椅子の上でうずくまったまま喘いでいる。職員たちはSCP-5914の正確な居場所を特定できない。ロスロップ博士が問い詰めるものの、自信を持って返答できる職員は現れず、全員が暗すぎて見えないと述べる。

00:28: 1人の職員がDC-BSの再起動に着手する。ロスロップ博士はD-2012に対し、“技術的問題が解決する”まで冷静に待機するように求める。D-2012はどの程度かかるかを訊ねる。誰も返答しない。

00:31: DC-BS起動シークエンスが15%に達する。D-2012の脚が目に見えて震える。D-2012は同じ行動を繰り返し、いつまで室内にいればいいのかを訊ねる。誰も返答しない。

00:35: DC-BS起動シークエンスが30%に達する。D-2012は試験チャンバーからの退室を要求する。ロスロップ博士は、ドアを開けると収容違反のリスクがあると述べ、要請を拒否する。

00:38: DC-BS起動シークエンスが40%に達する。D-2012は片脚に何かを感じたと述べ、脚を引っ掻く。

00:42: DC-BS起動シークエンスが55%に達する。D-2012は両腕を引っ掻き始める。D-2012はSCP-5914が自分の身体の上を這っているかもしれないと述べる。ロスロップ博士はD-2012に対し、そのようなことは無いと伝え、落ち着くように求める。

00:45: DC-BS起動シークエンスが65%に達する。D-2012は腕と脚を引っ掻き続けている。D-2012は喉が乾燥したように感じると述べる。誰も返答しない。

00:48: DC-BS起動シークエンスが75%に達する。D-2012は咳込み、喉と頭を引っ掻く。目には涙が浮かんでいる。D-2012が静かにすすり泣いているのが聞こえる。

00:50: DC-BS起動シークエンスが80%に達する。

00:54: DC-BS起動シークエンスが85%に達する。

00:59: DC-BS起動シークエンスが90%に達する。D-2012は両手で口を覆っている。インターコムを通してくぐもった嗚咽が聞こえる。

01:01: DC-BS起動シークエンスが95%に達する。ロスロップ博士はD-2012に対し、再起動までそう長くはかからないと保証する。D-2012はゆっくりと頷く。

01:03: DC-BS起動シークエンスが完了する。オペレーティングシステムが立ち上がり始める。D-2012は椅子の上でうずくまった姿勢を維持するのが困難になり、脚が震えている。

01:04: 操作担当職員が速やかに試験チャンバーのスキャンを実行する。SCP-5914はD-2012の椅子の左前脚にいると特定される。確認後、立ち会っている全ての職員がSCP-5914を明確に視認できるようになる。警備員がD-2012の回収に派遣される。

01:09: 警備員が試験チャンバーに入る。D-2012の嗚咽が大きくなる。D-2012はクモが見えないと述べる。ロスロップ博士が指示する前に、警備員はSCP-5914の位置を公然と口に出す。

01:10: D-2012は椅子の脚を見下ろす。D-2012は絶叫して椅子から飛び降り、椅子を試験チャンバーの奥に向かって蹴り込みながら警備員に走り寄る。D-2012は速やかに退室させられる。

<記録終了>

試験完了後の室内をスキャンした結果、SCP-5914個体は椅子にしがみついたまま動かされたため、椅子と壁の衝突時に押し潰されたことが判明しました。これを受けて、生存中の個体数は10匹から40匹に修正されました。

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