SCP-597-JP
評価: +62+x
blank.png
girl.jpg
SCP-597-JP

アイテム番号: SCP-597-JP

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: その特性上、SCP-597-JPの収容は困難です。全国に存在する特別監視システムを用い、SCP-597-JPの出現地点には即座にフィールドエージェントを向かわせ、SCP-597-JPの無力化、ならびに目撃者への記憶処理、カバーストーリー「大道芸人」の頒布を行ってください。

これらの行動時には参加する職員は対象となった物品を移動させることでSCP-597-JPの無力化を最優先し、セキュリティクリアランス3以上の職員3名以上の許可が出ない限り接触は禁止されていることに留意してください。

説明: SCP-597-JPは日本国内を中心として不定期に出現する人型実体であり、アジア系女性と思われる容貌を取っています。また、出現時は笑顔を浮かべていることが多いと報告されます。SCP-597-JPは、現在時点で日本語、英語、フランス語、ロシア語、スペイン語、中国語を用いた会話が可能であることが確認されていますが、各言語を母語とする人間からは、どの言語においても片言だと証言されます。

SCP-597-JPの異常性は、SCP-597-JPが何らかの物品に接触することで発生します。SCP-597-JPが何らかの物品に接触した場合、SCP-597-JPの内部にめり込むようにして取り込まれます。SCP-597-JPは異常な伸縮性を有しており、取り込める大きさの限界は不明です。1物品を取り込んだ場合、SCP-597-JP内部から物品を取り出す試みは現時点で全て失敗に終わっています。選ばれる物品の基準は不明です。

SCP-597-JPが物品を取り込んでから5分後、物品は吐き出されるようにSCP-597-JPから排出され、それと同時にSCP-597-JPは数滴、黒色の液体をその場に残し消失します、この液体は分析の結果、筆記用のインクであることが判明しました。排出された物品には何らかの異常性が確認され、多くはオブジェクト、あるいはAnomalousアイテムとしてとして指定されます。この異常性は、対象となった物品を取り入れる行為に対し何らかの障壁が存在した場合、その障壁ごと取り込んだうえで対象となった物品のみに影響を及ぼします。

また、排出された物品には必ず原稿用紙が付着しており、物品に関わる物語が記載されています。これらの内容は多くの場合、該当物品が異常性を入手するに至った経緯、あるいはその異常性にまつわる種々の事件が題材とされています。財団の調査の結果、過去にそれらの記述に類似する事件が発生していることが確認されています。これらの事案から、SCP-597-JPは過去改変によって、物品へ物語に沿った異常性を付与する性質があるのではないかと推測されています。

以下は、SCP-597-JPによって取り込まれた物品と異常性質、それに付属していた物語及び関連する過去の事象の一覧です。

SCP-597-JPは、人体にとって致命傷となる傷を受ける、あるいは対象となる物品から半径100m外に出ると、上記と同様に消滅します。

以下は、SCP-597-JPの出現時、フィールドエージェントによって行われたインタビューの音声記録です。インタビュー時、SCP-597-JPは素直にインタビューに応じ、敵性行動及び対象となる物品を包み込む行動は見られませんでした。

インタビュー記録597-JP-03 - 日付 20██/██/██

対象:SCP-597-JP

インタビュアー: エージェント足利

<録音開始>

エージェント足利: すいません、そこの貴女

SCP-597-JP: はい、貴女は?

エージェント足利: 警察の者です、お話よろしいでしょうか?

SCP-597-JP: 大丈夫、です。えっと、私、書くことできますが、話すことまだ勉強中です、大丈夫です?

エージェント足利: 構いません、貴女は何をしようとしているのですか?

SCP-597-JP: はい、私、お話書くです

エージェント足利: …お話? 作家、ということですか?

SCP-597-JP: はい、作家、それです。私、作家です

エージェント足利: …しかし、貴女の行為はとても作家のそれとは異なっていると思われますが

SCP-597-JP: はい、あー、私、お話作るです。ものにお話書くです。お話、本当になって、お話なかったものにお話できるです。

エージェント足利: それは、何らかの改変を行っているということでいいのでしょうか?

SCP-597-JP: 改変? 私よく分からないですが、日本のことわざにあります。「事実は小説より奇なり」

エージェント足利: はあ

[SCP-597-JPによる高い笑い声]

SCP-597-JP: 私「事実は小説より奇なり」するです。そうする、大事です。楽しい、嬉しいです

<録音終了>

インタビュー後、SCP-597-JPは機密隠匿の為、一般的な終了措置により上記の方法で消失した。

補遺1: 20██/██/██、SCP-597-JPによって取り込まれた██氏が攻撃を受けました。SCP-597-JPは攻撃においては特殊な方法を用いず、首を絞める、殴るなどの方法を取りました。SCP-597-JPによって加害行動が取られたのはこの事案が初めてです。以下は██氏に対するインタビューの音声記録です。

インタビュー記録597-JP-09 - 日付 20██/██/██

対象:██氏 

インタビュアー: エージェント足利

<録音開始>

エージェント足利: では、すいませんがもう一度襲われたときの話をしてもらえますか?

██氏: はい、警察の方も大変ですね。…えっと、あれが何かはまだよく分からないんですけど、気が付いたら背後に立っていて、次の瞬間には真っ暗な場所にいました

エージェント足利: なるほど、その場所はどういった場所でしょうか

██氏: …どういった、…ううん、表現ができません。何かどろっとしたものに包まれたような感覚があったのは覚えてるんですけど

エージェント足利: そうですか…、では、そこから出た後は

██氏: あとは前に言ったとおりです。気が付いたら吐き出されるように飛び出して、振り向いたらあれがいて…、何故か首を絞められて、殴られて

エージェント足利: 他に何か気づいたことはありませんか? 些細なことで構いませんので

██氏: 気づいたこと…、そうですね、あれの言ったことなら覚えています

エージェント足利: 何と言っていましたか?

██氏: えっと…、「貴方、お話持ってる、みんな、持ってない、私、持ってない」って、何かを訴えるみたいに

エージェント足利: …なるほど、ありがとうございます

<録音終了>

財団による追跡調査の結果、██氏は書籍に触れるだけで、内容を一字一句理解する異常性を所持していることが判明しました。この異常性はSCP-597-JPによって取り込まれる前後で変化していません。また、その異常性は、彼の勤務する図書館内の古書に関連する一連の事象後、現在POIとして指定されている[編集済み]によって与えられたものであることが判明しました。██氏の経歴に由来する記録、物品は一切の紛失が確認されず、[編集済み]も██氏の主張する事案に関与をほのめかす証言を行っていることが判明しています。

補遺2: 以下のインタビュー記録は、SCP-597-JPによって取り込まれた██氏に対し、その異常性及び過去の経歴を調査したうえで再度行われたものです。██氏は目視した人物の犯罪歴を正確に把握するという異常性を持っており、その異常性は少年時の経験に由来するものであることが判明しています。

インタビュー記録597-JP-12- 日付 20██/██/██

対象:██氏

インタビュアー: エージェント足利

<録音開始>

エージェント足利: では、すいませんがもう一度貴方の持つ能力について説明していただけますか?

██氏: 何回もご苦労だね、まあ、信じてくれる人間が一人でもいてくれるからいいんだけどさ。俺はまあ、人がやった犯罪ってのが分かる。見たところ、刑事さんもずいぶんヤンチャしたんじゃない?

エージェント足利: …その能力に制限は

██氏: 一応正式に、下されたっていうのか? そういうのしか分からないみたいだな

エージェント足利: そうですか…、では、その能力を得るに至った経緯を

██氏: 何度も言ってるけど、俺が小学生の頃だよ。まあ、仲間と神社に忍び込んで賽銭泥棒。それをしたわけだ。…って、流石に時効だよな?

エージェント足利: 私の管轄ではありませんからどうとも、そして?

██氏: そこでまあ、バチっていうのかね、それが当たったわけだ。もう何日も高熱で寝込んで、そうしたら夢の中に神様が出てきて怒った。で、俺は慌てて謝って、神様の言う通り、神社に色々お供え物して。そしてまあ、一生忘れんようにってこの力をくれた

エージェント足利: 何か証拠は存在しますか?

██氏: おう、友達に聞いてくれれば、同じ神様の夢を見たって奴がいる。で、物的証拠は神社に俺の奉納した達磨だな。それに神様からもらった櫛も、この前言った場所に置いてただろ?

エージェント足利: それなんですが、当時の証言、医療記録は確認できました、しかし、██さんの言う達磨や櫛は確認できませんでした

██氏: え? 何だそりゃ。まるで俺が嘘ついてるみたいじゃねえか、本当に調べたの?

エージェント足利: 私たちとしても最善は尽くしましたが…、もちろん、██さんの言葉を疑っているわけではありません

██氏: ただでさえ安っぽい漫画とか、素人の考える小説みたいな話なんだからさ。…ううん、でも、まあ、何の理由もなしにこんな力持ってたら気持ち悪いよなあ。…記録はあるんだろ? じゃ、俺はそれでいいかな。で、もう話はこれでいいの?

<録音終了>

注記:インタビュー終了時まで、██氏は、自らの記憶と事実の齟齬を頻繁に主張していた

補遺3:20██/██/██、SCP-597-JPが出現した際、SCP-597-JPが目標とした██氏を事前に確保することに成功しました。確保された██氏は財団の調査の結果、異常性を持つオブジェクトであることが判明しました。確保以前に目立った現象を発生させていなかったことから財団はその異常性を認知していませんでした。また、確保された██氏は生まれつき異常性を所持し、過去に異常性が絡む事件を起こしたことはないと証言しました、その証言は種々の記録の面から信憑性が高いものと思われます。この事案を考慮したうえで、SCP-597-JPの異常性について議論が行われています。

補遺4:20██/██/██、SCP-597-JPが出現、約五秒間言葉を発した後、物品を取り込まず消失しました。SCP-597-JPが発した言葉は下記の通りです。

「小説は事実より奇なり」。みんな、お話なく生まれたバケモノでさみしくないですか?

この事案のみ、消失された際に確認された液体の量は通常時の約10倍ほどであり、また、人間の体液が含まれているため、筆記には適さないことが確認されています。

特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。