by PlaguePJP, AnActualCrow, & J Dune

SCP-6003-1.
配属サイト | サイト管理官 | 研究責任者 | 担当機動部隊 |
サイト-NULL | トーマス・スウェイン医学博士 | エミリー・クラーク | MTFゼータ-67("錨を上げて") |

SCP-6003
特別収容プロトコル: 財団施設サイト-NULLは、島に関連する異常現象の観察、研究、収容を目的として、SCP-6003の海岸線から西に5.5キロメートルの海面上に建設されました。
SCP-6003の隠蔽的な性質は、十分な自己収容状態であるとみなされています。部外者による侵入があった場合、その個人は拘束され、その時のサイト管理官の裁量によって記憶処理が施されます。
更新-1969/3/14: インシデント-6003-KURBANのイベントのため、SCP-6003での全活動は、化学的崩壊を防ぐよう設計されたACaD1保護スーツを着用して行わなければなりません。活動の終了後、サイト-NULLに帰還した職員は、生物学的試験によりその職員らにSCP-6003の影響が存在しないことが示されるまで、超無菌室に隔離されます。その後、スーツは焼却されます。
説明: SCP-6003は、太平洋上の地理位置座標58°33'31.0"N 20°57'57.0"Eに存在する余剰次元ポケットに位置する島であり、一連の基準に沿わない人物にはアクセス不能です。
SCP-6003へのアクセスは、島および/またはその座標の知識を有する者にのみ制限されています。十分な船舶航行の技術やSCP-6003の座標の知識がなくとも、SCP-6003へ到達する意図で海を航行すると、詳細不明の2点間の非ユークリッド的移動によって航行者は島を発見する結果となります。45分から8時間通常の航行を継続した後、島の海岸線から10キロメートル離れるまでに、個人は航行器具が機能停止したことおよび船が短時間で一面の霧に覆われたことを報告します。
この現象はSCP-6003から個人の出発地点までの距離とは無関係に発生し、航空移動によって航行する個人には発生しません。SCP-6003で自然に発生している生命体は植物のみであり、種々の植物はSCP-6003およびSCP-6003-1に固有のものです。
SCP-6003-1はSCP-6003の中央にある滑らかな、木製の高さ50メートルの柱であり、1940年代初期の灯台の形状をしています。SCP-6003-1は起動状態ではありません。SCP-6003-1は単一の中空の木材であるように見え、最高部は彫られ灯籠ガラスになっています。SCP-6003-1の入口はいまだ発見されておらず、その構造は内部へ侵入しようとする試みにおける力に対し抵抗力があることが判明しています。
基底は、SCP-6003-1の周囲に木の根のように、土壌と周囲の多量の膨張性土に最低でも15メートル埋没しており、類似した構造は発見されていません。SCP-6003-1の放射性炭素年代測定は紀元前12000年から発見の3年前までの、一定しない結果を示します。
SCP-6003には以前の居住していた痕跡が存在し、それには複雑な遺跡や、文書記録や、高度な技術や、生活用品が含まれています。放射性炭素年代測定および人類学的分析では、以前SCP-6003に居住していた文明は2000年以上前のものであると測定されました。異常かそうでない歴史資料では、この文明の存在を裏付ける追加の証拠は発見されていません。同様に、SCP-6003から回収された文章には識別可能な貿易の証拠は記録されていません。それにもかかわらず、島から回収された、布や、道具や、像や、宿屋といった多数の物体や資源は、SCP-6003に自然に存在する素材では構成されておらず、それらの収集の起源は不明でです。
現在、SCP-6003では肉体の残留物は発掘されていません。
補遺6003.1: 回収された資料
SCP-6003は1968/4/03にO5-6が通過したことにより財団の注意を引きました。さらなる調査のため財団に引き渡された個々人の所有物の中に、水により激しく損傷した、おそらくより大きな作品から切り出された原稿がありました。この文章の起源は不明です。原稿は以下に再現されています。
而して彼はロトスLothosに言った、「海the Seaを、世界の大海the Waters of the Worldを征け、然れどもかの地へ行く勿れ!」
「夜Nightと限ある憎悪から作れ、孤独なる楽園Paradiseを」
「彼の不毛なる王国は永劫の静謐、木々に覆わる玉座the Wooded Throneの下」
「苦悩の静寂Silenceの広まる所、崇敬Reverenceは持たなかった」
「静穏の果てなる地、眠れる巨人Giantは残る」
ヴァンタルラVantallaは主の忠告を心得、嘆いた。
さらに、上記の節から数秘術を用いて導出された前述の座標を含む文書もまた、財団による保護のため引き渡されました。調査団が財団により委任され、1968/8/29にSCP-6003に上陸しました。
補遺6003.2: 初期調査および発見
1968/8/29、機動部隊ゼータ-67("錨を上げて")の隊員および財団研究員トーマス・スウェイン、エミリー・クラーク、ローザ・ハムは、事前調査のためSCP-6003に配属されました。研究チーム責任者であるスウェインは、彼の考えと発見についての日誌を付けるよう指示されました。
トーマス・スウェインの個人日誌の抜粋
1968/08/29
財団が我々を派遣する時は、普通とりわけ何かを望んでいる。アノマリーの捕獲だとか、要注意人物だとか、そんなものだ。その一方で、事前調査のため派遣されるのは、自分がパチンコ機の玉のようだと思わせる。財団は我々を投げて上陸した場所を見るだけだ。今回、我々はその地を総なめすることと皆が無事に脱出できるのを確実にすること以外具体的な命令は受けていない。
あれらが互いに衝突する可能性は常にあったが、お偉方は決してそのコミュニケーションスキルで尊敬されはしなかった。
最初の海岸を越えると、環状の岩がちなシルトの積もった平原がある。堆積物の間を少し歩くと、草の生い茂った谷に至った。風景の変化は違和感があったが、到着した環境を考慮すると、それは信じがたいことじゃない。道理に合わないだけだ。そして遺跡があった。多くの遺跡が、見渡す限り谷の空地の至る所にあった。それぞれの建物は1つの長い部屋が水平面に仕分けられたものだった。ああ、斜めの柱だった。建物は、各部屋がその前の部屋より少し高くなっていて、大きな螺旋階段のようだった。コロッセオが分かるか? そいつが灰色で、数百年間自然に崩壊してバラバラになって、そして千倍の大きさになったものを想像してくれ。
ソース: トーマス・スウェインのボディカメラで撮影された映像
日付: 1968/08/29
<ログ開始>
複数の遺跡からなる区画が現在映され、スウェインはその周辺で先導している。他の事前調査チームの隊員は映されていないが、ローザ・ハムは音声が聞き取れる距離にいる。
スウェインはその区画の中心近くの砂岩のようなもので構成された荒廃した建物に近づく。その遺跡は通常のものより大幅に広く、2つの区画にまたがっている。入口の右側は、肩の高さまである特筆すべき点のない石柱である。石柱の上端は、手で何度も触れられたかのように周囲の構造より非常に摩耗している。スウェインは遺跡に入る。
スウェイン: 今ここにある集落の構造との類似点がいくつかあるな。石のベンチであると思われるものの列があって、また段々と高くなっている。それらは実際に列をなしているようだ。俺の一番もっともらしい推測では、ここは一種の共同スペースだったんだろうと思うが、確かなことを言う前にここの文化をより良く知る必要がありそうだ。特にこういうことを断言する時は—
スウェインはややよろめきバランスを取り戻す。底部から2インチより小さく砕かれた石の円柱が、地面から突き出ている。
スウェイン: 何 — どうしてこれがここに?
スウェインはかがみ込み円柱を調べると、2つのベンチの間に2つ目の石の円柱が見える。それは一方の端が砕かれており、もう一方の端にはプリズムが埋め込まれている。スウェインは2つ目の円柱を回収する。
スウェイン: 地面にあるかけらとは完全には一致しないな。多分小さなかけらがいくつかなくなったんだろう。じゃあ、少々……
スウェインは片手で円柱を支える。彼は懐中電灯でプリズムを照らすと、光線が回折し小さな光線になり、胸の高さほどに光の帯を作り出す。
スウェイン: (静止)面白いな。原始的な光源のようだ。日光がここに入射してきたら……ああ。これで部屋全体を明るくできるな。
スウェインは円柱を置き、前室を通って遺跡の後壁に近づく。その中に6本の乱雑に彫られた柱が置かれている。最初の5本は頂点に木製の箱があるが、最後の柱は厚い石のような物質で覆われ、箱は存在した場合完全に隠されている。
スウェイン: こいつは丸々 — こいつを理解したいが、どれも古すぎるし……めちゃくちゃだ。こいつを見てくれ!
スウェインは最初の箱を開き、蓋を取るとほこりが流れ出し咳をする。彼はその中に粗雑な絵が描かれた大きな石を発見する。
スウェイン: ここで調査しないといけないことすら分からないな。これは……壁画のかけら?損傷がひどくてイメージできないな。取れるのがもう5つ—4つあるな。運がよければ、お偉方がこの映像を見つける前に、我々がいま目にしているものについてうまく理解できるかもしれん。何枚か近接で撮るか。
カメラのシャッター音が聞こえる間、ボディカメラは遺跡の後壁に近づいている。スウェインはそのようにして後壁のおよそ3分の2を検査した後、中断し入口に向かう。SCP-6003-1が遠距離に見える。
彼はもっとも近い石のベンチで休息し、その時スウェインの呼吸は静かに聞こえる。ボディカメラは入口を向き続けている。スウェインは数分間動かず、時折ぶつぶつ独り言をしている。
クラーク: (スウェインの手持ちの受信機を通じて)ローザと私は遺跡を一周し終えました。オーバー。
スウェイン: うん? 俺は……俺のためにもう一回繰り返してもらってもいいか、いや構わないか? オーバー。
クラーク: この遺跡は島全体で円形に平たく広がっています……我々はその全体を一周したところです。中央部に何があるか見てみます。オーバー。
スウェイン: いいぞ。俺もそこに進む。オーバー。
<ログ終了>
後書き: 本ファイルの前回の改訂(1977/11/15)以降、SCP-6003の環境状態(詳細は続く補遺を参照)によりさらなる調査が妨げられているため、遺跡の残りの1/3に対する近接での調査は行われていません。
トーマス・スウェインの個人日誌の抜粋(続き)
1968/08/29
一番外側の部屋には、かつて40センチメートルくらいの階段だったであろうものがあった一方で、一番内側の部屋には土から突き出ている石の屋根があった。接近できた高さの低い建物には下り階段があったため、明らかに少なくとも部分的には地下になっていたと考えられる。
かつてここに住んでいた人に起こったことの手掛かりを与えてくれたであろうディティールは、役立たないものに壊れてしまった。ここに住んでいた人がドアを使っていたとしても、我々の到着する前にはドアは全て消えてしまっていた。その上、植物が彼らのいなくなった間に進出してきたのだ。草はブーツの半分の丈で生えていて、ローザは危うくツルにつまずきかけた。2回もだ。クローバーは比較的大人しかったな。それぞれの遺跡の正面にはどれにもドアがあったであろう場所に隙間があり、後ろを(時折)除いてどこにも開口部はなかった。

スウェイン管理官が描いた地図の再現。
最終的に、ローザはそれぞれの区画の後方の家は前方のものより広いことを指摘した。区画は完全な碁盤目状にはなってなくやや角度が付いていて、あるエリアに向いていた。我々は建物を少ししか見てなく、それ以上は霧に隠れていたから、周りを歩いて扇形の遺跡がどれほど広いか把握しようとした。
エムは建物1棟の後ろに、ローザは別の建物の端に行って、反対の端に着くまで一番外側の遺跡に沿ってそれぞれ反対の方向に進もうとした。しかし着く代わりに彼女たちはもう反対側で出会った。遺跡が大きな環状になっていたから、我々は中央に何があるか見ることにした。霧が濃く懐中電灯が全然利かなかったから、そこにあるものを把握するために近づかなければならなかった。それが灯台であることに気づくのに歩き切る必要はなかった。
モノリスがそびえたち、巨大な樹木の根元のように空へと突き刺していた。それと比べると周りの遺跡は矮小に見えたが、にもかかわらず島の中央に近づくまで誰もこの建造物に気が付かなかった。今や見落とすなんてできない。
この塔はある種の木材で作られていた。我々の誰も、機材でさえも、何の種であるかは判別できなかった。それは灰色で、一見すると信じられないほど滑らかだったが、細かく見るとまるで職人の手によって彫られたかのように表面が反りカーブしていると分かった。それは息を呑む光景であると共に恐ろしいものでもあった。動力源も入口もなかったが、それでもその巨体は立っていて、我々より以前に何かがここにいたことの否定しようのない証拠であった。そんな存在感の強いものに気づけなかったと考えると、別の不安な暗示が想像された。
補遺6003.3: さらなる発見
1968/09/04、階級組織的に重要であったと考えられているエリア2の遺跡のもっとも内側の円に設立された発掘サイト-Cが、壁に吊られている巨大で円形の彫刻の背後に以前に気づかれていなかった通路を発見しました。
そのトンネルは、入り組んだ縞模様や複雑なタペストリーによって壁に装飾がなされた華美な前室に通じていました。この玄関の先にはデザインの類似した大きな部屋があり、6つの石製の長方形の箱が存在していました。それらの箱には、内容が識別可能な状態である絵が描かれた石のかけらが入っていました。それらは、SCP-6003の初期地表調査で発見された概ね理解不能な壁画のかけらと類似していると考えられています。ハム研究員による視覚的分析が以下に表示されています。
箱1: 黒い厚手の毛皮に身を包んだ、ヒト型の霊長類である可能性のある人物が、腕を大きく広げて誰もいない土地に立っているのが描かれている。その人物の正面に、黄色の閃光で目立っている木が、その形状が歪曲し変化しているのが見える。
箱2: 島の北端の港に入る2隻のロングシップが描かれている。その島の中央にはSCP-6003-1がある。灯籠は起動状態であるように見える。その建造物の近くに、おそらく箱1の図案と同種である骸骨が存在する。
箱3: 金色の塗料で描かれた、部族の首長か社会的重要性の象徴である可能性の高い人間の図案が、SCP-6003-1の正面で、最初の壁画と似た体勢で腕を広げている。光線がその人間に向けられている。
箱4: SCP-6003-1が、木や、動物や、生い茂った草や、食料に囲まれている。部族の成員がそれと首長に対してひざまずいており、首長はSCP-6003-1の正面に位置し、今やその頭に灰色の王冠を着用して描かれている。
箱5前部: SCP-6003-1を囲む遺跡が描かれている。首長がSCP-6003-1に向かって祈っており、部族の他の成員が農業や、会話や、舞踊といった種々の仕事をしているのが描かれている。
箱5後部: 部族がSCP-6003-1を囲んでいる。彼らは悲嘆、厳粛、あるいは苦悩の表情をしている。首長がSCP-6003-1の正面にいるか埋め込まれているように見える。光線が首長から放たれている。背景はより豊富に繁茂している。
箱6: 接触不能である。粘性のある樹液様の、除去する試みに抵抗力のある物質に覆われた灰色の物質に包まれている。
以下の文書はインタビュー対象者の個人的要請により公開されました
SCP財団は本文書に記載されるいかなる主張も検証や是認を行っていないことに留意してください。
プロジェクト移転要請
インタビュー担当者: トーマス・スウェイン博士
インタビュー対象者: ローザ・ハム研究員
<08:23 ログ開始>
スウェイン: あー、俺はグランドキャニオンに行ったことはないが、君がどうしてそのことを訊くのか分からない。
ハム: しかし、グランドキャニオンを見たことはありますか。
スウェイン: これが訊きたいことだとすれば、写真でなら。
ハム: ならば、ものごとにどれだけ時間の重みが掛かっているか分かっているでしょう。それがどう世界を擦り切っているか分かっているでしょう。それで地面は形作られます。それで建物は形作られます。ああ、その上それで人々は形作られます。
スウェイン: そうだな。
ハム: あの灯台のほとんどは木製の円柱です。まるで木のようですが、木には年季が入ります。木々には虫が木肌に掘った穴だとか、昔の火事で付いた焦げ跡だとかがあります。あの灯台は滑らかなのです。あの忌々しいやつは手を付けられていないのです。さらに実際の根もないのです。あれはある種の変化を暗示しているのからです。それは、あの灯台が他の風景と影響しあっていたということを意味するでしょう。しかし、あの灯台とあの風景は完全に関わっていないのです!
スウェイン: あー、そうだな。俺は途方もなく丈夫な木でできてるのはアノマリーの一部だと思うが。
ハム: 丈夫な木どころではありません! 生けるものは古くなります。死せるものは朽ちていきます。あれはどちらもしていません。さらに、あれは存在していないのかもしれません。私はあれに触り、体重を掛けましたが、まだあれが存在するかさえ定かではありません。
スウェイン: 君が正しいにせよ間違っているにせよ、さらに調査をする必要がある。
ハム: 何を調査するんですか? 虚無の塔の隣のどこでもない島に住む小さな共同体は跡形もなく消えたのです。あなたも私のように石を見たでしょう。あれらはアートのために作られたわけではありません。人々に何かを伝えるために作られたのです。
スウェイン: それは承知の上だ、ローザ。まさにそれだからさらに調査する必要があるんだ。
ハム: 勝手に調査してもいいですが、彼らがどこに消えていたとしても私はそこには行きたくありません。
スウェイン: 彼らがどこに行ったか我々は分からないんだぞ。君の言うように、あらゆるものは朽ちるか死ぬ。この場所は古のものだ、ローザ。そして何か仮説立てる前には隅から隅まで調査する必要がある。
ハム: そのために私はここに来るつもりはありません。何か良くないことが起きることが分かります。あなたも分かるでしょう。なぜそこまでして無視するのか全く分かりません。
スウェイン: 聞いてくれ、プロジェクト移転の資格に必要なのは—
ハム: 私がここに送られたのは — 初期調査だけするためで、そうです、あなたが進めているサイト-NULLの死の罠3のどれでも — 私たちは全員生存して帰還するよう命令されました。これこそが全員を生存させるものです。これで資格を得るのに十分ですか?
スウェイン: 君がある種の高いリスクにあることを証明できなければ、移転の承認はできない。
ハム: ああもう、あなたはあそこにいましたね。あなたは灯台を見ましたね。あなたは石を見ましたね。何を見ましたか?
(静止)
スウェイン: 俺は人々を見た、ローザ。理解できないものに取り憑かれた人々だ。
<以降のログはインタビュー対象者の要請に基づき除外>
他のサイト職員との協議の後、ハム研究員の移転の要請は最終的にスウェイン研究主任により承認され、彼女はプロジェクトから脱退しました。ハムの報告にもかかわらず、配属された他の研究者や機動部隊員はいかなる悪影響やSCP-6003プロジェクトからの脱退の要求を示していません。
補遺6003.4: サイト-NULL
サイト-NULLは1968/09/28に竣工し、サイト-NULLは確保施設として公式に設立されました。
確保施設ファイル: サイト-NULLからの抜粋

サイト-NULL
サイト-NULLはSCP-6003の海岸から5キロメートルに位置する固定式プラットフォームであり、海底に固定されている8本の鋼鉄の脚の上に建設されています。初期調査チームおよび財団考古学部門を元とする16名の職員が、サイト-NULLに配属されています。チームの長であるトーマス・スウェインがサイト管理官に任命され、エミリー・クラークが研究部門を統率し、SCP-6003に関する現象の分析を行います。
サイト-NULLの主要任務はSCP-6003で行われる考古学的作業と連携して機能することです。島のうち、SCP-6003の以前の居住者が所有していた道具が発見されると考えられている場所の6か所に発掘サイトが設立されました。
1968年の10月1日から10月10日の間、サイト-NULLに配属されている多数の職員が、数多くの異常なイベントを報告しました。影響を受けた職員へのインタビューにより、以下のファイルが作成されました。
- カモメがサイト-NULL上空を繰り返し旋回しているのが発見されています。通常のカモメの外形や行動からの逸脱は記録されていないにもかかわらず、カモメは繰り返し「ハゲタカのような」と形容されています。SCP-6003には自然の動物相は存在しないため、それらの動物がどのようにして島の場所に至ったかは不明です。
- 荒波が異常に島付近に形成され、サイト-NULLに衝突しました。これにより3名の職員が負傷しました。
- サイト-NULLに存在する蛇口から繰り返しヒトの血液が排出されています。その流体の化学分析により、血液は海水によって大幅に希釈されていることが示されました。
- サイト-NULLの運営に使用される複数の無線周波数が同時に撹乱されました。撹乱されたチャンネルを使用していた職員は、不明な言語で会話する複数の声が聞こえたと報告しました。
- 遺跡の植物の成長が異常に加速し、2名の発掘調査員が数時間植物に絡められました。チームは成功裡に回復しました。
- SCP-6003の海岸線付近の霧の濃度が大幅に上昇しています。職員は、財団の船舶の座礁を防ぐため細心の注意を払うよう忠告されています。
- 粗い息遣いと、湿った常に変化するノイズで構成された通信を、2週間にわたって毎夜サイト-NULLが傍受しました。それらの通信はSCP-6003から発生していると確認されました。
- SCP-6003の山を調査していたチームが、「巨大な、ヒトの目が並んだ、朽ちている木」が、近づくと地面に崩れ大きな泣き声を発し消滅したのを見たことを報告しました。
- 娯楽のためサイト-NULLの埠頭から釣りをしていた2名の職員が、中央で封がされ、上半分に複数の穴が開けられた枝編みのかごを釣り上げました。解体すると、意味不明なシンボルが彫られた、さまざまな布地や樹皮の小片が中から発見されました。
- 発掘サイト-Dの職員が地下にいた際、地表から陽気な音が聞こえ、壁に炎により投影されているかのように揺らめく踊っているシルエットが見えたと報告しました。音は「つかの間の」と形容され、またその経験を想起することは職員の精神的苦痛を引き起こし、しばし涙も見られました。
- MTF隊長ライアン・ラングレーが、SCP-6003-1が彼女を監視し「判定して」いると主張し、3日間自身の営舎から出ることを拒絶しました。4日目に、ラングレーは短期記憶を喪失し、1週間分の出来事を想起できなくなりました。以来、彼女はサイト-NULLでの職務を解任されています。
- 4名の考古学チームが、SCP-6003-1の正面で8時間立っているのが観測されました。各個人は柱周囲の4つの主要な方向の1つに位置していました。質問すると、職員はその行動を異常だと認識していませんでした。
- サイト-NULLは、黒い湾曲した木から作られたロングシップと描写される船が、水平線に通過したのを観測しました。その船のへさきには、口が開けられ目が石に置換された類人猿のようなものの大きな船首像が固定されていました。その船は10分以内に通過し、サイトのレーダーから消失しました。
- サイト-NULLおよびSCP-6003において、職員が絶えず見られている感覚を報告しています。
- エミリー・クラーク博士が、突発的な躁病に陥り、死後永遠の罰を受けると完全に妄信しました。彼女は、ツルが自身を地面に押さえつけ引っ張っていると繰り返し叫びました。数時間後、クラーク博士は平静を取り戻しました。以来彼女のふるまいからは顕著なストレスが確認できますが、彼女は続く心理アセスメントテストに全て合格しています。
- SCP-6003に駐屯している数名の職員が、底面に大きなヒトの目が埋まっている穴を地表に見たと報告しました。それらの目は泣いていると表現されました。
- 絶叫で構成された20秒間の単一の通信を、サイト-NULLが傍受しました。その通信はSCP-6003から発生していると確認されました。
- SCP-6003-1の化学成分を分析していた職員が、柱に接している周囲の土地に限定された小規模な地震を経験しました。全職員は、自身の下半身を手でつかまれ引っ張られた感覚を報告しました。
- サイト職員のポール・チャンドラーが、現地で卒倒した後治療を受けました。体の複数箇所を刺され続けていると訴え、長期間におよび悶えた後、彼は息を引き取りました。検死では、彼の神経系が繊維質の木の根に置換されていることが発見され、その結果として彼の内部の生理学的構造が重篤な損傷を受けたことが明らかになりました。
- 1968/10/10、嵐が島に上陸したため、SCP-6003の異常な気候の形態である霧が初めて撹乱されました。このイベントはいまだに収束していません。さらなる通知があるまで、全活動はサイト-NULLのみに制限されています。
これらのイベントの要因は不明であり、目下調査中です。
補遺6003.5: SCP-6003-1の分析
サイト-NULLの建設に続き、複数の主要活動拠点が建設されました。それらの前哨基地は、遺跡の最東端および最西端に位置しました。そのころ、スウェイン管理官がSCP-6003-1に焦点を当て始めました。サイト-322の異常な遺跡や建造物の専門家であるジョセフ・ラグが、SCP-6003-1の調査を要請されました。
出席者
トーマス・スウェイン
ジョセフ・ラグ
ソース: トーマス・スウェインのボディカメラから撮影された映像
日付: 1968/10/15
<ログ開始>
職員はSCP-6003-1の基底から数メートルの位置に立っている。島を覆う嵐の音が記録の一部始終で聞こえる。
ラグ: これは木、ですか?
スウェイン: ああ、珪化木だ。入ろうとする試みに全て抵抗力がある。こいつを石化させたのが何であれ異常なまでに弾性がついたのかも知らん。
ラグ: 放浪者の図書館では棚を石化させていると聞いたことがありますが、それらの棚には色がついています。それは……これではないですね。
スウェイン: 灰色が特徴的だからな。
ラグ: 非常に特徴的です。これが放浪者の図書館からのものとは思えません。これはとても目につきます。他の何より、ここに住んでいた人のための灯台である可能性が高いですし、その人々がこれを建てたのでしょう。
スウェイン: まだそれに関する証拠は発見されていない。我々が考えるには彼らは—
ラグ: —彼らはこれを中心に建築した。おそらくそうでしょう。しかし、彼らの指導者がこれを召喚した可能性もあります。
スウェイン: 彫刻物があって — それらはまだ研究中だ。彼らはそれを信仰していたように思える。ほとんど、まるでそのために、あるいは少なくとも関連した理由のために持ち込まれたかのようだ。
ラグ: ではそれは偶像なのです。偉大なるものでもあります。何かこれが死者を敬うための構造物であるという証拠は?
スウェイン: 必ずしもそういうわけではない。
ラグ: 何かさらなる調査ができる時は、あなたに折り返し連絡します。
スウェイン: 感謝する。
短時間静止。
スウェイン: 本当に自分がちっぽけに見える、そう思わないか?
ラグ: ええ、そうだと思います。あなたにそういわれるまであまりそのことは考えていませんでした。
スウェイン: これは何かか誰かに向けられていたんだろうな。彼らはこれを見たことがあるんだろうか。
かすかにガラガラと鳴る音が聞こえる。2名の職員の上空の霧が、まばゆい白い光によって明るくなり、光はゆっくりと回転し始める。ラグ博士は光を眺めるスウェインの元を離れる。ラグはSCP-6003-1の基底に接近する。
スウェイン: 何だ。こ — こいつはまだこんなことをしていなかったのに。
ラグ: トム、こっちに来てください。これを見てください。
スウェイン: うん?
SCP-6003の周囲の草が次第に色あせてくる。草はゆっくりと鮮やかな緑からくすんだ灰色に変化する。
スウェイン: 理解できない。
ラグ: 標本を取っています。
ラグ博士は草のヨシに手を伸ばす。指がそれに触れた瞬間、草は崩れ灰になる。
<ログ終了>
後書き: 本イベント以降、SCP-6003-1の灯籠は継続的に起動しています。
続く5日間、植物の退色現象はおよそ時速0.5メートルの速さで広がりました。その増加速度は、次の1週間をかけて一定の割合でゆっくりと増加しました。
ラグ博士により回収された物質により、草のヨシは分子レベルで破壊されていることが判明しました。その細胞は無傷でしたが、停止状態で活動していませんでした。この発見の後、収容努力が開始されました。
収容努力の提言 | |
---|---|
異常な退色現象の拡大を制限するため、野焼きによって影響を受けた植物を焼却する。 | |
結果 | |
効果なし。拡大は焼かれた植物を通して加速を続けた。 |
収容努力の提言 | |
---|---|
島から全職員を退去させる。 | |
結果 | |
効果なし。退色現象は島全体で続き、遺跡や財団前哨基地に至るまで拡大した。 |
収容努力の提言 | |
---|---|
SCP-6003-1の解体Decomissioning。SCP-6003の、SCP-6003-1の基底で核爆弾を起爆する。 | |
結果 | |
スウェイン管理官により拒否。 |
現在研究員は本インシデントの原因を調査しています。現時点では、拡大は島の端で停止しています。MTFゼータ-67("錨を上げて")が、潜在被害の評価のためのSCP-6003の調査のため配属されました。隊員は、標準有害環境装備およびボディカメラが支給されました。
補遺6003.6: 機動部隊による調査
全人員
トーマス・スウェイン博士 — 通信司令官
ζ-67 ホワイト — 隊長
ζ-67 マコ
ζ-67 ブルー
ソース: ζ-67のボディカメラから編集された映像
日付: 1968/10/20
<ログ開始>
ζ-67 | ホワイト: 上陸した。
隊員が1歩歩くごとに小さく割れるような音が鳴り、また雨音も聞こえる。時折、雷鳴も聞こえる。
ζ-67 | マコ: 雪の上を歩いているようです。これは草ですか?
スウェイン: かつてはな。
霧を通して、遠方にSCP-6003-1の光が回っているのが見え、遠くの遺跡と隊員を短時間照らす。
スウェイン: 遺跡まで進め。そこに以前は入れなかった主要な建物の区画がある。
ζ-67 | ブルー: 了解しました。
ζ-67 | マコ: 今から接近します。
ブルーは建物の外壁に沿って手を滑らせる。外壁は剥がれ落ちる。
ζ-67 | ブルー: ここで組織が崩壊する危険は我々にありますか?十分強く引きちぎれば破片をもぎ取れそうです。
スウェイン: 十分な力で連鎖崩壊が起こる可能性はある。そのまま進み何にも寄りかかるな。探している部屋はあの最北の前室の先にある。
ζ-67 | ホワイト: 了解。
隊は前進する。
ζ-67 | マコ: 標本を取ってます。静止。なんとも奇妙ですね。
ζ-マコは丸石の床の1層をはがす。
ζ-67 | マコ: 乾いた砂のようです。
ζ-67 | ホワイト: あるいはチョークか。
ζ-67 | マコ: 司令官、他に行く必要のある場所は—
全隊員は静止し、すぐさま耳に手を当てる。雨音を除いて10秒間の無音。
スウェイン: 状況報告を、ホワイト。聞こえるか?
司令官は無視される。
ζ-67 | ブルー: 一体何だったんでしょうか?
ζ-67 | ホワイト: まるで分らない。
ζ-マコは身震いする。
ζ-67 | ブルー: あれはどこから来たんでしょうか? マコ、大丈夫ですか?
ζ-67 | マコ: ええ、ええ。問題ないです。
スウェイン: 説明しろ、ホワイト。
ζ-67 | ホワイト: ああ、聞こえるぞ。マイクは拾ってなかったのか?
スウェイン: 何、何か聞こえたのか?
ζ-67 | ホワイト: ああ。石同士でこすれるような音だった。
ζ-67 | マコ: 黒板をひっかく爪のような。
SCP-6003-1の光は建造物の窓から差し、隊を短時間照らす。
ζ-67 | ホワイト: 帰還したら記録を精査する。続行の許可を、司令官。
スウェイン: 許可する。
ゼータ-67は前室を通過し6つの柱が見える部屋に入る。6つ目の柱は石灰化した石のような物質に覆われている。
スウェイン: 3時の方向の東の壁だ。6番目の柱。
ζ-67 | マコ: ラジャ。
ζ-ブルーは抜け出す。彼は西の壁に近づき、1つ目の箱を検査し始める。
ζ-67 | ホワイト: これか?
スウェイン: そうだ。その壁面のどこかにもう1つ刻銘があるはずだ。ナイフを使って壁面をこそいで刻銘を見つけろ。
ζ-67 | ホワイト: ラジャ。
ζ-67 | マコ: ラジャ。今から始めます。
ζ-ホワイトとζ-マコは塗装の一部をはがし始める。
スウェイン: 一体ブルーはどこにいる?
ζ-67 | ホワイト: は?
ζ-67 | マコ: 司令官、質問をもう一度言ってもらえますか?
スウェイン: 3人目の仲間のブルーだ、彼はどこにいる?
ζ-67 | マコ: 誰ですか?
ζ-67 | ホワイト: ここには我々だけだ、サー。何も問題はないな?
スウェイン: 君は何を—
ζ-67 | マコ: 何かつかめました。
ζ-マコのボディカメラから石製の箱の一部が見える。
スウェイン: 俺は — 続けてくれ。
ζ-マコとζ-ホワイトは同じ場所から離れ始める。
スウェイン: ブルー、聞こえるか?
ζ-67 | ブルー: そして彼はロトスに言った、「海を、世界の大海を征け—
スウェイン: ブルー? ブルー、聞こえるぞ。俺が聞こえるか? 隊に戻ってくれ。
ζ-67 | ブルー: —されどもかの地へは行くな!」「夜と限りある憎悪から作れ—
スウェイン: ブルー、こちらトム・スウェインだ。君は俺の命令を無視している。
ζ-67 | ブルー: —孤独なる楽園を」
ζ-マコとζ-ホワイトははるかに速いペースでこそいでいる。
スウェイン: マコ? ホワイト? 介入しろ、今すぐにだ!
ζ-67 | マコ: 我々はここでの任務はほぼ完了しました。
ζ-67 | ブルー: 「彼の不毛な王国は永劫の静謐だ、木々に覆われた玉座の下に」
スウェイン: これは命令だと言っているんだ、マコ。君の仲間が窮地にあるんだぞ。
ζ-67 | ブルー: 「苦悩の静寂の広まるところに—
今や石製の箱のおよそ半分が見えている。
ζ-67 | ブルー: —崇敬は保たない」
スウェイン: ホワイト? ホワイト! ホワイト、聞こえるか?
ζ-67 | ブルー: 「静穏の果ての地、眠れる—
ζ-67 | ホワイト: 聞こえる、サー。
ζ-マコとζ-ホワイトは速度を上げる。
スウェイン: 俺が聞こえるか? クソ。ブルーが今隊に戻っている。
ζ-67 | ブルー: —巨人は残っている」
ζ-67 | ホワイト: 大きい声ではっきり言ってくれ。我々はここでの任務はほぼ完了した。
スウェイン: クソが。ブルー — アンソニー、聞いてくれ。君の問題は解消されるだろう。
ζ-67 | ブルー: —ヴァンタルラは主人の警告を心にとめ、
箱が明らかになる。
ζ-67 | ブルー: —悲嘆に暮れた。
ζ-ホワイトは箱をこじ開ける。その中には別の装飾された石がある。その石はSCP-6003-1の外に並ぶ文明の構成員が描かれている。SCP-6003-1に最も近い一人は、それに入っているように見える。
スウェイン: ブルー?
ζ-ホワイトは振り返り、ζ-ブルーが完全に静止しているのを発見する。
ζ-67 | ホワイト: ブルー? なんてことだ。ブルー?
ζ-67 | マコ: どうして。
ζ-ブルーの体は、まるで彼から全ての色が不明な力により吸い取られているようにくすんでいく。7秒間で、ζ-ブルーは完全に色が抜ける。彼の足元から、体を構成する物質はチョーク質で、薄片状の様相を呈するようになる。この崩壊は彼の体をゆっくりと登っていき、体全体がその物質に変容する。
スウェイン: もしもし? ホワイト、聞こえるか? マコ?
ζ-ホワイトはζ-ブルーに近づき、肩に手を当てる。体は灰の山に崩壊する。
ζ-67 | ホワイト: き — 聞こえる。
スウェイン: マコ? もしもし?
ζ-ホワイトはマコの元に戻るが、マコは侵食を受けている。彼女は変容の最終段階に陥っており、その後崩壊する。
スウェイン: なんてことだ。
<ログ終了>
SCP-6003からの撤退は続いています。サイト-NULLは現在遠隔収容プロトコルを通して機能しています。職員はもはやSCP-6003への移動は許可されていません。
補遺6003.7: トーマス・スウェイン管理官から回収された資料
機動部隊の派遣から3日後の1968/10/23に、スウェイン管理官が行方不明であることが判明し、クラーク博士が暫定サイト管理官に任命されることになりました。
続いて調査が行われましたが、この事件の発生原因はいまだ不明です。前述の調査の間に、ローザ・ハムの脱退や、同時期のスウェインからの職員追加についての多数の要請の後に付けられ始めた多数の日誌の記載が発見されました。日誌は以下に時系列順に表示されています。
05/09/1968
俺がローザをあんなように辞めさせたのが信じられない。彼女は技量も可能性もあった優れた研究者だった。そのことを彼女は知っていたけれども、それで彼女は恐れていたのだろう。この島には何もない — 俺が見られて恐怖を感じるようなものはない。その平和は、穏やかな静寂は他のどこでも見られない、特に俺の職種では。俺は彼女のやったあらゆることを見たが、全く反対に感じた。もしかしたらそれに全く気づいていないのは俺の方なのかもしれない。もしかしたらとても色鮮やかで猛烈で頭を使うような何かがあるのかもしれない。ローザが賢いのなら、俺はバカなのだろう。
俺は彼女の検査したものと同じ石を検査して、彼女と同じことを理解した。俺は何を見落としているんだ? ここにはかつて人がいた。彼らはここに住んで、彼らに与えられた神を崇拝していた — 神は今や存在しない、彼らと同じように。
俺は彼女を引き留めるのにもっと努力すべきだったのだろう。俺は彼女があれほど固執していたものを理解すべきなのかもしれない。俺は耳を傾けるべきなのかもしれない。
日付: 1968/05/08
要請内容: 追加の職員
補足:
ローザ・ハム研究員(lvl 3)が他プロジェクトへ異動しました。代替職員が必要です。
状態: 拒否
日付: 1968/10/4
要請内容: 追加の職員
補足:
異常活動により我々のチーム(元から最小限の職員のみで構成されている)は撹乱されています。多くの人が残業して働いていますが、睡眠不足が我々全員に広まり始めています。さらに、先の追加職員の要請はいまだに対応されていません。転任が切実に必要です。
状態: 拒否
10/10/1968
エミリーが先ほど神経衰弱に陥った。彼女は俺にしきりに許しを乞うていた。俺はその立場の理解ができない。誰もこのようなことをする心の準備は本当になかった。結局全員の生活や健康は俺の手に懸かることになったが、彼らが俺の指から漏れて滴り落ちることになってしまった。エミリーは、しきりに堕ちて蛇に巻き付けられて絞られるなどとまくし立てていた。
エミリーを鎮静した後、俺は全員を集合させた。全員で解決策を考えたが、誰も思いつかなかった。俺は皆に灯台が起動したと言って — 皆は俺を狂人かのように見た。明らかに、誰も灯台を見なかった。俺は皆にビデオを見せると、皆はどこでそれが撮影されたか訊いてきた。ジョセフについても誰も気づかなかった。
会議はどこにも帰着しなかった。ジョセフは、我々が発掘サイトを建設した時に引き金を引いたのだと考えている。我々は島に上陸できる時はいつもそこに立ち寄っている。俺が得られた唯一の一致した意見は、我々は皆2インチ後ろに誰かか何かがいるが、振り向いた時はそれはいつもいなくなるようなことを感じているということだけだ。我々が、ゆっくりと迫ってくるような、逃げることのできない悪夢にはまっているような恐怖。
より多くの人員が必要だ。我々を正気に保ち、これの対処の助力になるような人が必要だ。
10/22/1968
今日、俺は唯一の防衛を死にに行かせてしまった。俺は自分に責任があるのか灯台にあるのか見当もつかない。皆は俺がこのことを話しても決して信じないだろう。これを書いている間、あれはまだ俺を見ている。エミリーは、俺がパラノイアになっていて、ここでは皆安全だと言っている。この神の見放した土地の近くの場所で我々は安全なのか? 俺は部下を見捨てなければならず、彼らはチョークへと変容してしまった。灰へと。何でもなくなって、
日付: 1968/10/22
要請内容: 追加の職員
補足:
我々は全員石油掘削リグに閉じ込められ、地獄のように精神が燃え尽きています。サラ・ハクスリーの大腿骨は数週間前から荒波のせいで骨折し、いまだにふたたび働ける準備はできていません。私にはローザが異動の担当者と話したのか分かりませんが、彼女には何の差し迫った危険もありませんでした。私は、彼女はあまりにも正気がないのでもし残ったとしても何の仕事も終えられないと気づいたため、ただ彼女を異動させました。
我々の唯一の機動部隊員は亡くなってしまいました。我々は、さらなる人員がいないとあの島に満足に上陸することはできません。その時まで、あなた方は我々の生命を危険にさらすことになります。
状態: 拒否
日付: 1968/10/23
要請内容: 追加の職員
補足:
お前らはこっちがどうなっているのか知ってるか? 俺が解職した「不要な職員」がまさにサラのことで、彼女はとてもオキシコンチンを乱用してわけが分からなくなっているのを知ってるか? 万一お前らがどこにも隠しマイクを置いてない時のために、ここにお前らのサイト書類を載せてやる。
サイト-NULLは滅茶苦茶になった石油掘削リグです。ローザ・ハムが数名のレベル5にベラベラと話した後、そいつらはサイトに人をよこすのを止めました。思うに、そこで働いていた人全員をどん底に落とすのです。研究員が負傷しつつある? アノマリーがより一層危険になっている? それは問題ではありません! お偉方が手をこまねくのに忙しい間、サイト-NULLの全職員は野生に戻り、週に100時間働き水よりエスプレッソを多く飲む、疲労困憊の動物になりました。サイト管理官トーマス・スウェインは自身の営舎で働いているか、食べているか、寝ているのを発見されるでしょう。彼はチームの残りが暴動を起こした時のためにドアをロックしていますが、暴動はかなり近くに発生するでしょう! 彼は、もし追加の職員が異動してこなければ、「インサージェンシー」か「蛇」か「アンダーソン」か、あるいは他の異常に詳しい人を大変必要としている誰かが数か月以内に新たな数人の構成員を得ることになると予測しています。そうでなければ彼らは全員死ぬでしょう。
我々はさらなる職員が必要だ。これは要請ではない。要求だ。
状態: 保留中…
こうするしかなかった。
その夜、サイト-NULLの監視ドローンが、不明な人物がSCP-6003に上陸したことをサイト司令部に通報しました。以前存在した前哨基地を通したこの人物への接触の試みは崩壊と持続する嵐による天候状況のため失敗しました。12分後、この人物は、自発的にボディカメラを用いて通信でサイト司令部と接触しました。
ソース: トーマス・スウェインのボディカメラで撮影された映像
日付: 1968/10/25
<ログ開始>
スウェイン管理官はSCP-6003-1の正面に立っている。嵐の音が彼のマイクの音をかき消しており、彼の返答に深刻なフィードバックを加わっている。
クラーク: あなたは一体何をしているんですか?
スウェイン: 申し訳ない。これを見なければならない。
クラーク: トム、戻ってきてください、今すぐに。それは非常に危険です。
スウェイン: ハムは正しかったな。彼女はこの全てにおいて正しかった。彼らはあそこに入った。なぜかは知らない。あれが彼らに求めたのかもしれないな。あれが命令したのかもしれない。ただ、彼らはあれを愛していた。
カメラが上にパンする。SCP-6003-1の光線が回転しているのが見える。スウェインは3分32秒間この映像のまま沈黙する。クラークのスウェインと会話する試みは無意味であり、簡潔のため本記録から削除された。
スウェイン: 俺はこれについてよく考えている。この世界にとって完全に不自然なこれらの植物と、この島にとって不自然な付けたしであるこれらの遺跡がある。だがここにいつもあったものを知っているか? これだ。あれはこの島を見守っている唯一のものだ。我々を見守っている。
カメラが正面の反対にパンする。SCP-6003-1の光線は静止しているように見える。カメラのフィードは露出過度になっている。
スウェイン: ここにいた人々もこのことに気づいた。彼らはあそこだけが安全だと知っていた。
大きなこする音が聞こえる。
スウェイン: 君がただ理解しなければならないのは—
フィードがふたたび見えるようになる。SCP-6003-1の壁に大きな隙間が見える。内部は漆黒である。
スウェイン: —ならば、あれは君を受け入れるだろう。
スウェインはそこに入る。フィードは3秒間停止する。
スウェイン: 俺はこれを知っていた。
スウェインは今や荒野に立っている。雪か灰が彼の上から降りしきっている。空間全体グレースケールである。スウェインは静かに前進し始め、複数の足跡をたどる。
スウェイン: これらは我々のために残る。
[簡潔のため14分間編集。スウェインは補遺6003.1の節を独り言で静かに途切れ途切れ暗唱する。]
スウェインの正面およそ5メートルに、もつれたツルや根のように見えるものがある。それらは色が鮮やかな茶色である。
スウェイン: あれは全て筋が通っている — あの詩だ、あれは正しい。あれは警告だと思っていた。本当にそう思っていた。
スウェインは今や巨大な根の束の近くに立っている。最低でも200体の死体がその中に絡まっており、同様に着装されている。それらは全て同時にゆっくりと息を吐き出し吸い込んでいるのが見える。映像の比較により、それらの呼吸のパターンはそれぞれのSCP-6003-1の光の回転と一致していることが判明した。
3体の死体が顕著であり、他より外側に近くなっている。スウェインはそれらに近づく。それらは他の死体と同一の服装であるが、右の二頭筋にMTFゼータ-67の徽章を帯びている。
スウェイン: —そうではなかった。本当に違っていた。あれはその監視下では他の誰も死なせない。あれは死を止めた。あれは死に勝利した。(スウェインは泣き始める。)それが、あれが島を取り戻し、エージェントを連れて行った理由だ。あれは — あれは彼らを保護している。我々はあれを覚醒させ、そして — そしてあれは俺を保護しようとしている。
俺には分かった。何でも、広がりや、無知や、もがきよりは良い。そして、何のために? 称賛のため? 長くは続かない至福の時のため? 我々は来ては行き、その過程で苦しむが、あなたは — あなたはこの灯台が立っている限りここにいるだろう。
それは美しい。それは—
中央に、より華美に着装された死体があり、根がその胴体部に巻き付いている。灰色の王冠がその頭の左側に載っている。
スウェイン: これがあなたの — 我々の玉座だ。
ボディカメラは取り放され、地面に落下する。フィードは今や不明瞭になっている。張る音と滑る音がおよそ12秒間聞こえ、その後締め付ける音と湿った移動する音が聞こえる。
フィードはさらに3時間続く。特筆すべき唯一の音は呼吸音のみである。
<ログ終了>