SCP-6004
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サイト管理官アラン・ティバルズによる声明文(2020年6月5日)

情勢は良いとは言えない。オーストラリアの陥落、SCP-6004が人間を飲み込み動物として吐き出していることの発覚、そして一般社会に対する情報隠蔽が崩壊し始めているという事実。こう考えると、過去数か月はひどいものだった。

この状況を打破することなど不可能だと思うだろう。しかし、そうではない。

過去どんな状況においても、財団は優勢を取り戻してきた。収容不可能と思われた存在をいくつも収容し、脱走されたら再収容を成功させてきた。何度も人類を滅亡から救ってきた。怒り狂った神々の気まぐれをどうにか抑え込んできたし、世界各国の政府の決定を捻じ曲げてきた。一度だか二度、世界を作り直してしまったことだってある。

だからこそ私は言う。あのヘビが破壊したものの全てを、我々は再建すると。あのヘビの弱点を発見し、収容すると。かつての世界が取り戻されるまで、異常物品を使ってでも復興を進めるのだ。そして全てが終われば、過去数か月間の悪夢を、世界中の人々が忘却してしまえるように、手助けをしてやろう。

しかし、今は大きな仕事が目の前に残っている。兵器開発と、収容方法の実験はこれからも進められる。日々、SCP-6004に関する新たな情報を我々は学んでいる。そして、我々の求める答えにも近づいている。どうか、諸君には、とにかく全力で情報を集め、あの怪物をどうにかする手助けをしてほしい。

確かに、我々がこれまでに行ってきた努力はいずれも無力だった。SCP-6004は既に、地球規模といっていい範囲で都市を襲っている。

現在をもって、一般社会への隠蔽は終了する。

最早、手加減をする必要は無い。持っているものを全て出し切れ。この文書に書いてあるどんな些細な情報でも、奴を打ち倒すための武器として使って構わない。

SCP-6004の活動範囲の拡大について


オーストラリアのシドニーが壊滅してから数週間後、SCP-6004は他のオーストラリア国内の大都市を襲撃するだけでなく、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、南極でも同様の活動を行うようになりました。SCP-6004を停止・無力化・破壊・収容するために、財団とGOCによって数百回に及ぶ様々な試み1 が行われました。しかしSCP-6004はそれらを無視して人間の集落を襲撃し続け、現在死亡者数は数十億人にのぼっていると推測されています。

SCP-6004は、現在までに地球全体の平均気温を0.7℃低下させ、氷河や南極・北極の氷を再生させており、さらに枯渇した川や湖の水を地球規模で満たして回っています。森林伐採が進んでいたエリアのほとんどはかつての状態に戻り、数十種類の生物種が絶滅危惧または絶滅状態から脱しました。SCP-6004による効果の範囲内に入ったことで、地球上の街(人口6万人以上)の40%以上が居住不可能な状態になったと推測されており、新たな居住地への移動が優先課題となっています。電力ニーズに応えるため、仮設の太陽光発電所や原子力発電所の建設が世界中で進められています。これは、SCP-6004はダム・石炭火力発電所・大都市を狙う傾向があるためです。また、財団と世界オカルト連合は、異常物品を利用した食料の生成によって避難民への食糧支援を行わざるを得なくなっています。

SCP-6004に対する軍事的防衛の姿勢が世界各国でとられ始めたため、各国の政府への対応が優先課題となりました。世界オカルト連合は、米国とのパイプを利用してこの問題に対応すると申し出ました。これは、SCP-6004に対する軍事的攻撃は、良く見積もっても無意味であり、最悪の場合SCP-6004を激怒させる可能性があるため、軍事的防衛を構築するよりも避難所の建設と人民の救助を優先すべきという考えからです。

SCP-6004の出現から数週間は、非常に難しいながらもメディアへの隠蔽工作ができていました。しかし、SCP-6004の攻撃対象となる地域が拡大するにつれて、現状を世界の人々から隠すのは不可能になりました。現在、情報統制は完全に失敗したと見做されており、SCP-6004の存在や被害を隠蔽することに財団資源をこれ以上使うのは無駄と判断されています。

地球の人口が減少したため、SCP-6004の収容または無力化後の記憶処理計画は比較的容易になるものと考えられます。

補遺 6004-4:


インシデント 6004-Beijing


序文:
長江三峡ダムの壊滅後、中国政府内部に侵入している財団職員から、状況の著しい緊迫化が報告されました。洪水の被害を受けなかった軍の部隊は、SCP-6004に対抗するため即座に招集されました。財団による平和的解決への試みが行われたにも拘らず、中国の軍事兵器の多くは北京に集められました。招集された兵器には、少なくとも80発の核兵器が含まれます。
ガンジス川におけるインド軍の壊滅と、核兵器による破滅的影響の可能性を示し、財団と世界オカルト連合の渉外部門は中国共産党にSCP-6004との敵対・交戦をやめるよう何度も説得を行いました。しかし結果は上手くいかず、中国政府との討論は禁じられました。複数名の潜入工作員が中国政府内部に残留し、財団とGOCの連合部隊に情報提供を行うこととなりました。
中国との交渉に資産を使うよりも、SCP-6004の収容およびプロジェクト・マングースの進行を優先させるべきだという決定が行われました。

2020年10月27日 午後4時23分、財団の人工衛星が、飛行しながら京津冀(Jingjinji)7 都市圏に接近するSCP-6004を感知しました。その後すぐ、中国政府に潜入していたエージェント・周 薇(Zhou Wei)から、サイト-40へ以下のメッセージが送られてきました。

SCP-6004が北京に接近してきているのを情報局が検知して、緊急事態宣言が発令されました。政府は混乱状態で、軍事的緊張は高まるばかりです。役人たちは核兵器がどうこう話しています。指示を要求します。

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SCP-6004を妨害するための航路にいるSCPS インドミナス。試作型兵器「マングース」の影響で映像は乱れている。

エージェント・周は核兵器使用の中止を試みるように指示されました。さらに、プロジェクト・マングースの初期型試作品が、SCPS インドミナス8 を用いて南シナ海へ運搬されました。また、試作型マングースを使い、SCP-6004が京津冀都市圏に到着する前に無力化する試みが行われることになりました。マングースは最大出力の37%で運用されることになりましたが、それでもSCP-6004を不活性状態または休眠状態にすることが可能だと考えられていました。

サルベージされた軍の映像記録:
大勢の兵士が、ラサ市外で攻撃準備を行っている様子が映る。豪雨の中に火砲やロケット発射台が複数確認できる。雷光が頻繁にあたりを照らしている。
SCP-6004が、南西に約8km離れた雲の中から接近してくるのが見える。映像の中の目立つ位置で、軍曹が無線を使って航空支援を要請している。
SCP-6004が接近するにつれて、頭部が雲の下に突き出る。SCP-6004は姿を変え、様々な種類のヘビに似た形態をとり、大声で唸る。複数のロケット発射台の準備ができているように見える。
軍曹が数人の兵士にジェスチャーを送ったのち、高速で接近するSCP-6004を指差す。複数のガンシップがSCP-6004に接近し、砲撃を行っている様子が映り込む。それに対してSCP-6004は反応を示さず、北東へ進み続ける。
SCP-6004のとぐろの一部が雲から飛び出し、一機のガンシップが回避運動を余儀なくされる。SCP-6004が動いた結果、回避運動をとったガンシップと衝突し、機体は爆発する。
軍曹の無線から発射命令が聞こえる。
18発の弾道ミサイルが陸から発射され、雲の中に入っていき、雲上で爆発する様子が映る。
何人もの兵士が雲を見つめている。SCP-6004が死んだかどうか、お互いに聞きあっている者もいる。
SCP-6004は雲の中から高速で出現し、唸りながら北東へと進み続ける。複数発の雷撃があたりに降り注ぎ、ほとんどの兵士が一瞬で殺害される。

中国国内の財団サイトに駐留している機動部隊は、SCP-6004の予測進路上に位置する民間人の避難サポートをするように指令が下されました。避難が進行したのち、中国空軍の部隊にSCP-6004への攻撃命令が下るようになりましたが、ほとんどの攻撃は無視されていたという目撃報告が多数上がっています。

SCP-6004は、通過した地域に異常な植物の生長を残しながら、広範囲の雷雨を伴って北東の北京へ移動を続けました。財団とGOCのメンバーは、中国全土の様々な被害を受けたエリアに対し、避難民の治療と集団化を開始しました。

第341特別作業班には、民間人の北京からの避難をサポートするという任務が割り当てられました。しかし、部隊は京津冀都市圏郊外にて武装した一団に引き留められ、都市圏を離脱するよう指示されました。交渉が幾度か行われましたが、第341特別作業班は撤退させられました。都市圏からの離脱時、部隊からサイト-40へ以下の通信がありました。

北京からの避難は不可能だ、国家主席からの命令で軍隊が街を閉鎖している。彼らは財団が国家の敵だと宣言している。中国国内では注意しながら活動するよう伝えてくれ。

この時点で、SCPS インドミナスはSCP-6004のいるエリアまで約40分の地点にいました。財団とGOCの部隊に対する軍事攻撃が行われているという報告が、サイト-40に複数寄せられ、全部隊は撤退することが決まりました。この決定に対して反対意見を述べる者もいましたが、全軍撤退は行われました。

午後5時3分までに、中国北東部における全ての財団の活動は中断され、隊員たちは最小限の被害で元のサイトに帰還しました。監視カメラおよび衛星からの映像には、激化する軍の抵抗を受けながらも北京への接近を続けるSCP-6004が映っていました。

午後5時9分、エージェント・周から、以下の通信がありました。

彼ら核兵器を撃とうとしてます。私では止められません。

この通信を受けて、SCPS インドミナスは可及的速やかにマングースを照射するよう指示されました。インドミナスは指示を了解し、12分以内に射程範囲内に入るとしました。

映像ログ: インシデント 6004-██████


日付: 2020年10月27日

備考: 午後5時14分、SCP-6004は京津冀都市圏郊外に到達しました。以下に示す出来事は、多数の財団および民間のカメラ・監視衛星によって撮影されました。


[記録開始]

17:14: 空襲警報が町中に鳴り響き、路上にいた民間人は屋内へ逃げていく。南西から、SCP-6004の本体を内包した巨大な嵐が接近してくるのが映る。軍の航空機部隊がSCP-6004と交戦しているが、効果は無い。

17:14: エリア上空に、素早く雷雨が生成される。豪雨が降り始め、地面や建物から大量の植物が生え始める。植物の影響で、建造物は深刻なダメージを受ける。何発もの雷が高層ビル群に落ちている。

17:14: SCP-6004の到着が、サイト-40からSCPS インドミナスへと伝えられる。インドミナスは接近を続ける。

17:15: SCP-6004は保定市上空でとぐろを巻きながら街を見下ろしている。落雷がやむ。

17:15: SCP-6004が保定市に攻撃を行い、高層ビルを7棟破壊する。SCP-6004は地面に激突する前に軌道を上方修正し、地上の車両や構造物を根こそぎ飲み込んでいく。防犯カメラにはSCP-6004の喉に消えていく民間人が映っている。この時に映り込んだSCP-6004の口腔は、非異常性のヘビのものと変わらないように見える。

17:17: SCP-6004は着陸し、街を取り囲むように渦を巻きながらゆっくりと地面や建物を飲み込んでいく。一部の建物は非攻撃対象のようであり、防犯カメラにはSCP-6004が損傷を与えずに通り過ぎる様子が映っている。

17:17: 軍の航空機がSCP-6004への爆撃を開始する。何発もの爆弾がSCP-6004の背中で爆発するが、効果は無い。SCP-6004の眼球へ体当たり攻撃を行った機体が大爆発を起こす。SCP-6004はそれを気にも留めず、保定市を飲み込み続ける。

17:18: 複数の竜巻と落雷が京津冀都市圏を襲う。SCP-6004が通った跡、特に高層ビルを狙って攻撃が行われているように見える。

17:19: SCP-6004は保定市を消費し終え、空へと頭を向ける。空軍の攻撃は無視される。SCP-6004は北京の方を向き、保定市の残骸から素早く飛び出す。

17:20: 空軍の部隊がSCP-6004と北京から離脱する。SCPS インドミナスは、射程範囲に入るまであと70秒と報告する。

17:20: SCP-6004が近づくにつれ、夥しい数の警報が北京市内に鳴り響く。町内放送用の大型スピーカーから国家主席の声が発される。内容は、「中国全体の勝利のためならば、北京は玉砕する覚悟だ」というもの。

17:21: SCPS インドミナスがマングースの照射可能距離に到達し、照射許可を要求する通信がサイト-40の司令部へ届く。

17:21: 複数発のミサイルが中国国内で一斉に発射される。衛星画像から、発射されたのは12発の核弾頭であることが分かった。

17:21: 竜巻と落雷によるエリアの攻撃は続く。廃墟となった建物には、巨大な植物が生成される。

17:22: 12発の核弾頭は、SCP-6004の胴体の別々な部分へ同時に着弾する。この時、SCP-6004の頭部は北京から南西に43kmの位置。爆発から推定される弾頭の威力は5メガトンから16メガトン。これを受けてSCP-6004は怯む。半径68km以内の窓ガラスが砕け散る。

17:22: SCPS インドミナスは、北京の方角から放たれる閃光を報告する。エリア内の降雨、竜巻、落雷がおさまる。SCP-6004の上部はキノコ雲で覆われて見えない。

17:22: マングースをチャージするよう、O5からSCPS インドミナスへ命令が下る。船上のカメラは、マングースの砲塔がSCP-6004の方へ向けられ、緑色の発光とともに高音の叫び声があたりに聞こえる様子を映す。

17:23: SCP-6004は唸り声をあげ、北京上空へ上がる。頭部と胴体の大部分が炎上しているが、火傷の兆候は一切見られない。SCP-6004は再び唸り声を上げると、頭部を激しく振り回して火を消し、北京の方向を見る。SCP-6004は叫びながら様々な色の電撃を放ち、北京へと突っ込んでいく。これにより、街は絶大なダメージを受ける。風速450km/hを超える嵐、竜巻、強風があたりに生成され、顕著なダメージを与える。

17:23: SCP-6004は地面に突っ込み、あたり一帯を尾で叩きのめす。攻撃の影響で巨大なクレーターがいくつもできる。SCPS インドミナスから、マングースがもうすぐ照射できるという報告が届く。

17:24: 戦闘機が再び現れ、SCP-6004と交戦する。何機もの航空機がSCP-6004に体当たり攻撃を行っている。落雷によって航空機を攻撃しながら、SCP-6004は地上への襲撃を続ける。SCP-6004の衝突でできたクレーターから、溶岩が染み出し始める。

17:24: SCPS インドミナスに乗船しているプロジェクト・マングースの担当技術者が、照射手順を開始する。マングースが、更に激しい叫び声と、暗緑色の閃光を放ち始める。

17:25: 空軍の最後の一機がSCP-6004から撤退する。

17:28: SCP-6004は攻撃をやめ、あたりを調べ始める。竜巻と嵐は消え去り、溶岩の影響を受けなかったエリアには植物が育ち始める。北京とその周辺エリアは完全に壊滅し、建物は一つも残っていない。SCP-6004は何度も唸り声を上げる。

17:28: マングースの担当技術者が、照射準備の完了を告げる。O5によって照射許可が与えられる。

17:29: SCP-6004の座標が確定したのち、マングースが照射される。SCPS インドミナスの全乗員が、照射と同時に死亡する。叫び声と同時に、[データ削除済]で構成される巨大なビームがマングースから放たれる。衛星からの映像は、マングースの照射に伴って喪失する。

17:30: マングースの内部で不備が発生し、エネルギーの問題からビームと叫び声が止まる。

17:30: 叫び声が収まると同時に、衛星からの映像が復旧する。SCP-6004はビームに気づいたような素振りを見せる。

17:31: SCP-6004は雲の中へ隠れたのち、マングースから放たれた光線を目で追いながら軍都山へ突っ込み、約32km2の領域を破壊する。

17:32: SCP-6004は低い唸り声をあげながらSCPS インドミナスへ近づく。SCP-6004は南シナ海へ潜水し、頭を水上へ出した状態で、試作型マングースを調べる。4分後、SCP-6004は海面下へ消え、エリアを後にする。


[記録終了]

SCP-6004の離脱後、京津冀都市圏における救助・捜索活動は一切行われませんでした。このインシデントによる死亡者数は、1億4000万人を超えると推定されています。北京にあったサイトの調査から、未知の植物、未知の動物、そして人間の残骸の三層からなる堆積物が発見されました。SCP-6004が深海に消える直前、太平洋上に位置していたのが確認されています。

数時間後、SCPS インドミナスと試作型マングースは安全に回収できると判断され、更なる調査と開発が進められることになりました。

あなたが現在読んでいるのは、SCP-6004の活動領域の拡大についてです。その後の出来事については、こちらを参照して下さい。

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