クレジット
タイトル: SCP-6004 - 七色の大蛇
著者: Dr Balthazaar
訳者: Mgy32768
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サイト管理官 アラン・ティバルズによる声明文 (2021年1月15日)
ここ数か月、かなり大変な状況が続いている。
街の数々が壊滅させられた。人の気配が消えた国々もある。サイトは壊滅し、アノマリーは脱走し、平和な状態はすぐに失われた。友や家族が、殺されるか動物に変えられるかして、二度と会えない存在となった。財団による情報の隠蔽は崩壊し、失敗したプロジェクトに大量の資産が使われてしまった。知っての通り、最早世界は破滅の一歩手前だ。
だが、ヤツによる攻撃もまた終わりを迎えようとしている。
SCP-6004は自身が休眠から目覚めた場所に戻った。ここ数週間SCP-6004による街への攻撃は発生していないし、降雨による森林の生成も止まった。今、我々には暗いトンネルの先に光が見えている。それは、ヤツが休眠状態に入るという希望だ。そして、休眠状態にあるものを休眠させたままにするのは、我々の得意分野だ。ヤツを二度と目覚めさせることはないと保証しよう。
やらなければいけないことは山積みだ。街とサイトを建て直し、新しい世界を作らねばならない。食糧や物資を、これまでにない画期的な方法で供給できる施設を建造せねばならない。記憶処理の対象者は数十億人にのぼる。一連の出来事を記録した書物は書き換えねばならないだろう。言ってしまえば、世界を作り直すようなものだ。運が良いといっていいのか、我々が世界を作り直したのは今回が初めてではない。今回が最後にもならないだろうがな。
我々ならできる。君たちならできる。これは我々が君たちに課す、過去最大の難題となるだろう。しかし約束する。きっと、君たちは報われる。
サイト-40 管理官 アラン・ティバルズ
SCP-6004収容プロトコルに対する改定案
アボリジニの洞窟壁画、SCP-6004の過去に関する追加調査、様々なコミュニティ1 への聞き取り調査、そしてSCP-6004の活動時に確認された生態から、地球における人類の開発活動および習俗を大幅に変更することで、SCP-6004は収容可能であるという結論が出されました。
SCP-6004レベルの大きさを持つ生物を眠らせることができる設備の開発と並行して、財団は人間の文明活動に対して指導を行います。これには、未開拓のエリアへの進出制限、太陽光・風力・原子力等のクリーンエネルギーの使用、そして持続可能性に欠ける農業に対する依存の低減が含まれます。社会の発展を維持するために、異常物品を使いながら家畜・建築材料・生活設備を供給する試みが、財団および世界オカルト連合を含む各組織によって行われています。これは土地の使用面積を抑えるためであり、人間の居住地においては上空および地下、すなわち上下方向に活動領域を広げていくよう勧告しています。未開拓のエリアへの進出をするかどうかは状況に応じて決められますが、地球全体で見たときに人類の活動領域が30%未満になるようにしなければなりません。
上記の目標を達成するため、現在財団では集落の再建、難民への住居の提供、攻撃を受けた地域での電力の復旧を試みています。SCP-6004からの襲撃を受けなかった地域は、必然的に難民が集まる場所となりました。SCP-6004が太陽光発電所や風力発電所を一切攻撃しなかったため、発電力の乏しさにもかかわらず世界中でそれらの発電所が使われるようになりました。原子力発電所も同様です。前述の未襲撃地域と発電システムは、SCP-6004収容プロトコル案を実現する際、拠点に使うエリアおよび電力源として理想的であるとされています。街や財団施設を再建するための場所として、既に多くの候補地が見つかっています。
上記の手順は多大な労力を伴うものであり、世界政府や要注意団体との協力が不可欠です。よって、財団がSCP-6004を完全に収容できるようになる日まで、SCP-6004活性化時における要注意団体の活動は容認されます。
SCP-6004の敵対性の減少について
2021年以降のSCP-6004の活動について
By ケイト・ロイド博士
概要:
初期の活動と比較して、SCP-6004は2021年末から明らかに落ち着いた様子を見せています。これは、以下に示す二つの要因が重なったためだと仮説が立てられています。第一に、財団による改定後の収容プロトコルがSCP-6004を「宥めた」こと、そして第二にSCP-6004の目的が本質的に達成されたことです。SCP-6004の観察結果と、インタビューで得られた証言から前述の仮説は正しいとされています。SCP-6004が続けている行動と、上記の二つの要因から、SCP-6004はもうすぐ休眠状態に戻ると予測されています。
改定後の収容プロトコルの影響:

サイト-40内部からの眺め
アボリジニに伝わる創世神話をもとに、SCP-6004を鎮静化させるための新しい収容プロトコルが考案され、2021年終わり頃に財団によって実行されました。この収容プロトコルの履行が始まって以来SCP-6004は著しく落ち着いており、財団の施設再建を妨害することがなく、また人間の集落を一度も襲撃しておらず、非敵対的な様子を見せています。下記の事例から、このようなSCP-6004の行動は改定後の収容プロトコルによるものであるということが示されています。
2022年1月19日、SCP-6004は海側からサイト-40へ現れ、海から頭を出して6分間サイトを観察していました。この出来事は、訓練に参加していた調査部隊-40のアーウィン・ポロサス伍長によって目撃されました。出来事の概説をポロサス伍長に聞いたところ、彼は以下のように述べました。
アレが海の中から現れた時、私はチームの仲間とともに丸太を持ち上げているところでした。アレはずっと建物を見つめていて、まるで姿を現す前から実はこっちを見ていたんじゃないかというくらいで。サイト-19とGOCの基地で起こった出来事は私たちも知っていました、だからここでも同じ惨劇が起こるんじゃないかと皆怖がっていました。でも、SCP-6004は何もしませんでした。ただ、私たちを見つめてきたんです。施設本棟から観察し始めて、次に発電棟、そして監視塔にいるサイト管理官、最後に自身へ向けられている大量の銃口という順番で。ただただ、全てをじっと見つめるばかりでした。こっちはまるでアレに何かを審査されているような気分でしたよ。目から入ってくる情報だけじゃなくて、何というか、審査されていると。そう感じたんです。それから少しして、SCP-6004は舌を出して振り返って、どこかへ泳いでいきました。
上記の出来事に加え、SCP-6004がGOCの改良型兵器研究施設の跡地に長時間滞在している様子が確認されました。川があった場所や湖底にて発掘作業が行われていたにもかかわらず、SCP-6004が生成した雨雲は川や湖を満たすことはなく、他の地域で見られたような植物の発生も確認されませんでした。また、SCP-6004によって吐き出された野生動物は、いずれも出現後数時間で死亡しました。これまでの活動記録から、雨雲生成などの行動はSCP-6004が暴力的行動に出る前兆とされていましたが、SCP-6004はただエリアを離脱するのみでした。
その後SCP-6004はアマゾンの熱帯雨林へ移動し、そこで三日間過ごしました。
SCP-6004の「目的」の達成:
財団による収容プロトコルの履行以外にSCP-6004の敵対性が減少した理由として、SCP-6004が目的を達成したことが考えられます。SCP-6004は、人類が文明を築く前の状態まで地球環境を戻し、絶滅危惧または絶滅状態の植物・動物の個体数を増加させることを目的としていたようです。地球の平均気温が低下するにつれて、SCP-6004は落ち着きを見せるようになりました。同様の反応が、野生動物個体数の増加と、大気汚染の減少についても見られています。
SCP-6004による襲撃の回数が減ったのち、2022年2月13日以降、SCP-6004は植物の生成・野生動物の吐き出しを一切行っていないことが確認されています。人間の建造物や集落への襲撃はSCP-6004の攻撃的意思によるものであり、森林・野生動物・河川の生成は地球環境を人類が存在しなかった頃の状態まで戻すためのものです。それらの行動が止まったということは、SCP-6004は現在の地球の状態に満足しているのだと考えられています。
SCP-6004によるその他の行動:
アマゾンの熱帯雨林を訪れて以来、SCP-6004が広い湖や海の中で休んでいる様子が複数回確認されています。SCP-6004の移動速度は大幅に低下し、欠伸をするなど疲労した様子を見せています。SCP-6004は一貫して西南西方向へ進んでおり、これはSCP-6004が最初に発見された地点であるウォレマイ国立公園へ向かっているものと予想されています。
結論:
予想外の出来事やSCP-6004に対する挑発が無ければ、SCP-6004は2022年10月末までに初期発見地点まで戻り、休眠期間に入ると予測されています。プロジェクト・マングースで得られた研究内容は、SCP-6004を休眠状態に留めておく技術を開発するために使われています。準備が整い次第、休眠状態維持装置は配備されます。その後世界中の人類に記憶処理を行うことで財団による情報隠蔽状態を復活させ、これまでの任務を継続することができるといえます。
補遺 6004-6:
SCP-6004の収容後、野生動物による人間への攻撃はSCP-6004発見前よりも非常に頻繁に行われるようになりました。攻撃は新しく生成された未開拓エリアの中で行われ、その動物に本来可能なはずのレベルを超えたチームワークを見せています。いくつかのケースでは、複数種類の動物が協力している様子が確認されました。
しかし、時間が経つにつれて動物による攻撃の頻度は低下しました。目撃者によれば、かつては未開拓エリア内で発見された人間は誰であれ攻撃されていたところを、現在はただ遠くから見つめてくるのみ・少し待てば引き返していくとのことです。野生動物による攻撃は、自発的攻撃・挑発への怒り・防衛反応・捕食目的・何者かによる命令 の五つのカテゴリに分類されます。最初の四つは普通に見られるものであり、財団による対処の対象とはなりません。ですが、最後の「何者かによる命令」は、SCP-6004の影響下で発生すると考えられています。
このような野生動物の行動は、一部または全部がSCP-6004の影響によるものであるという説が考えられています。これは人類が環境に悪影響を与えるのを防ぎたいというSCP-6004の願望が、野生動物への影響という形で残留しているという説であり、現在は信じられています。以前は誰が動物に見つかっても襲撃されていましたが、現在は収容プロトコルで推奨されていない行為2 に加担した人間のみが襲われているようです。攻撃の前に動物からの観察が行われるようになったことから、環境への影響を抑える限り、人類は建築などの行為を安全に行えるようになると予想されています。
あなたが現在読んでいるのは、地球規模でのSCP-6004の活動の減少と、収容プロトコルの改定案についてです。その後の出来事については、こちらを参照して下さい。