アイテム番号: SCP-602
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-602は動かず、ニューヨーク市グリーン・ストリート██のアパート・███に位置しており、SCP-602の収容は一般人から隔離し、SCP-602がアパート・███から拡大、または移動しないように確保することに努めます。しかし、人口密度の高い都心(マンハッタン)に位置しているため、SCP-602は収容のために特別な配慮を必要とします。
アパート・███は機械式錠と隠蔽した電子錠によって、外部から施錠を維持しなければなりません。レベル4の認可無しにアパート・███からの出入りは禁じられています。
アパート・███の1階と地下全体、全てのグリーン・ストリート██の無人の部屋を収容サイト-28と指定します。建物内の残りの部屋は、SCP-602が最初に収容された時から生活している一般人が使用しています。これらの部屋が空き部屋となった場合、財団は獲得しますが、直接アパートから居住者を追い出すことはしません。しかし、一般人をサイト-28に侵入させないために、非致死性の武力やクラス-A記憶処理の利用等の致死性を伴わない行動は認められています。現在までに、財団は建物内の██部屋中、█部屋を獲得しています。より詳細な情報は文書602-S28を参照してください。
説明: SCP-602はアパート・███内にいる、物体を操作することのできる目に見えない存在です。SCP-602は人を倒して、束縛するほどの十分な力を振るうことができます。SCP-602はアパート・███内にあるどの物体に対しても影響を与えることが可能ですが、玄関口が閉まっている場合、アパートの外にある物体に対して影響をあたえることはできません。従って、アパート・███を外部から施錠することでSCP-602を効果的に収容することができます。
アパート・███には標準的な家具がありません。その代わり、非常に歪曲した人間に類似する多数の彫刻がアパート中に置かれています。これらの彫刻は大理石、花崗岩、木材、金属、磁器、[データ削除済]等の様々な材料で創作されていると思われます。[データ削除済]。玄関には2枚の扉があります:左側の壁にある扉は封鎖されており、これまで開放されたことはなく、背面の壁にある扉(198█から199█年の間に追加)は通常閉じられています。後者の扉は、より多くの彫刻が置かれた部屋へと繋がり、そこには[データ削除済]を彫るための多くの道具が並べられた机もあります。また外側に面した窓があり、常にブラインドが下がっています。これら彫刻、道具、机をアパート・███から搬送させようと試みると、SCP-602からの暴力的な抵抗を受けます。
アパート・███内にいる人間はSCP-602の攻撃の対象になります。未知の手段によって、SCP-602は生きている人間を、アパート・███内に存在する彫刻と類似した、様々な彫刻の材料へと変形させます。この変形を行うとき、SCP-602はアパートの玄関口を内側から閉じて施錠し、この期間の間アパートの出入りを完全に妨害します。SCP-602はアパート・███内で組み立てられたどんな観測機器を破壊または無効化し、実験被験体が隠し持った監視装置は、被験体が変形する前に必ず破壊されました。
補遺1: 文書602-S28、サイト-28の確立
SCP-602は[データ削除済]の失踪の後、198█年後半に財団の関心を惹きました。財団は、その後まもなくグリーン・ストリート██の建物を獲得しました。監督官は一般人の部屋に対して収用を行うよりも、この建物の残りの部屋を目立たない程度の頻度で獲得する方が財団の利益にとって最善であると判断しました。
一旦SCP-602は正式にSafeとして分類され、収容処置が制定されると、財団が確保したこの建物の区画は収容サイト-28として指定されました。機動部隊パイ-1 ("シティ・スリッカーズ")は一般人をサイト-28区画に侵入させないために設立されました。[データ削除済]が建物の1階のフロント企業として設立されました。
サイト-28は発見以来その範囲を拡大させ、アメリカ北東部の財団活動の拠点として利用されており、一時的または長期の財団職員の滞在や、いくつかのSafeクラスのSCPの収容としても用いられています。パイ-1は機動部隊として格上げされ、人口過密地域の異常物体の獲得と収容を専門として活動を始めました。またパイ-1の隊員はサイト-28での都市部作戦の訓練としても活動します。都市部作戦の詳細な情報は、文書パイ-UrbOpsを参照してください。
補遺2: 文書602-L01、実験記録
メモ: 特に明記しない限り、SCP-602に関連する全ての処置で、被験体はメンテナンス業者の格好をしており、SCP-602と同じ階、またはその上下に住む住人はアパート・███の外に居ます。これら一般人はパイ-1によって監視されています。
探査記録1、198█/██/██
人材、機材:
- 被験体D-602-01、TVカメラと送受信無線機を装備。
- 三脚の第二カメラ。
手順:
被験体は部屋にある各彫刻の映像を記録します。被験体は左側の壁にある扉を開けようと試みますが、できず、"封鎖"されていると報告します。侵入の約12分後、被験体は何かが壊れる音を聞き、振り返るとカメラと三脚が粉々に壊れているのを目撃します。被験体は[データ削除済]。
ビデオケーブルが切断され、玄関口が閉じて施錠されると、被験体は隣の部屋へと移動し始めます。無線は数秒間、被験体との連絡が途絶えます。以降のアパート探査で、この被験体と内部へ持ち込まれた機器の痕跡は見られません。
分析:
映像は、居間に11体、2番目の部屋に少なくとも4体の彫刻を示しました。また2番目の部屋には道具が置かれた机があります。デヴォン博士は[データ削除済]等の数件の失踪者といくつかの彫刻との類似性を示唆しました。
探査記録2、198█/██/██
人材、機材:
- 2機のカメラとマイクの付いた遠隔操作できるモーター付きベース。
- 開いた玄関口を向くよう配置された1台のカメラ。
手順:
1機のカメラはまっすぐ2番目の部屋に向かった一方、もう1機は玄関口で立ち往生しました。先行したカメラが2番目の部屋に到着する直前に、両カメラは突然見えない力によって同時に見えなくなりました。それから10分間、これ以外には何も起きず、この時点でモーター付きカメラの残骸はビデオケーブルで引き揚げられます。
分析:
温度分布映像は、各カメラの上部に一瞬現れた強烈な寒さの柱によってカメラが破壊される前に、アパートの温度が一瞬7から15℃の間にまで減少したことを示しました。2機のカメラは互いに20分の1秒以内に押しつぶされました。
探査記録3、198█/██/██
人材、機材:
- 被験体D-602-02、TVカメラと送受信無線機を装備。
- 軍用鉄鋼で作成した、4機のカメラとマイクの付いた遠隔操作できるモーター付きベース。
- 開いた玄関口を向くよう配置された1台のカメラ。
- 窓を向くように配置された2台の温度分布映像。
- アパート・███に隣接する面に準備した(アパートの隣の壁、アパートの上の床、アパートの下の天井)マイク、地震計、ガイガーカウンター、[データ削除済]等の様々な観測機器。
手順:
被験体は玄関から2番目の部屋を可能な限りズームして映像に記録するよう指示され、モーター付きカメラは残りの部屋を観察しました。16分後、被験体は左手の扉を開けるように指示されます。被験体は、この扉は動かず、開けることができないと報告します。
より多くの映像記録を撮るために被験体が2番目の部屋に入ると、玄関口が突然閉まって施錠し、全てのカメラは同時に映像信号を失います。予備分析はケーブルが探査1と同様に切られている事を示します。扉が解錠されると、アパート内には被験体や機器の痕跡はありませんでした。
分析:
信号が失われる直前、1台のカメラは玄関口にて何かを記録しました。映像の解析でこの物体は玄関口の内面に付けられた長さ約15cmのワイヤーラックである事を示しました。外部カメラは予想通り気温の低下を記録しますが、窓のブラインドが下がっているために正確なデータは得られませんでした。数分後、外部カメラは遠紫外線の持続したスパイク波形を記録し、これは約40秒続きました。これ以外の異常な発信は検知されていません。
メモ、198█/██/██: 監督官は、我々が極めて高価な現代技術を用いずに調査できる限界に達したことを主な理由として、現在のSCP-602の探査を中止した。少なくとも、我々にはより強固な機材とより操作性のあるロボット技術を必要とし、ケーブルを必要としない安価な映像信号を送信する方法もまた求められている。
私は███に住むヤンコヴィッツ夫人が再び疑いを持ち始めていたことを懸念していたので、むしろちょうど良かったと言える。彼女がどのようにして知ったのか、何をしているのか、私には分からないが、いずれにせよ、多くの記憶処理を施すことは誰にとっても良いことではない、特にある女性の年齢を考慮すれば。私は彼女を潜在的なSCPとして調査するよう提言する。 —デヴォン博士
198█/██/██の対象者との面談において、特異能力の疑いは示されなかったため、クラス-B記憶処理を施しました。 –█████博士
199█/██/██、アパート・███は████年の初頭に開かれ、ちょうど玄関口の外側からビデオ映像を記録した。'8█年に記録した映像と比較すると、いくつかの違いが見られた。まず、現在は封鎖されていた扉が玄関とその部屋の間に、机と共に置かれていた。我々はその扉に錠があるか見分けることが出来なかったが、602は強力な力を生み出すことを鑑みれば、おそらく必要がないと考えられる。しかし、より顕著な点は玄関の彫刻だ。それらは以前と同じ人々の彫刻のように見えるが、その殆どは変化しており、幾つかは大幅に変形していた。
最後に、そして最も顕著な点として、玄関扉の内面に付けられているワイヤーラックに鋭いナイフが置かれていた。写真の解析から、このナイフはほぼ確実に'8█年の探査でビデオケーブルを切断したものであると考えられる。私は602が2回目の探査の後にラックを取り付けたのだと確信しており、さらに言えば602に知性がある証拠として考えている。 —デヴォン博士
補遺3: 文書602-L02、接触記録
接触記録1、20██/██/██
人材、機材:
- 被験体D-602-03。
- 1台の子供用ワゴン(モデル:ラジオフライヤー)。
- ヘンリー・ムーア作品、オーギュスト・ロダン作品、アレクサンダー・カルダー作品、イタリアのルネッサンスの彫刻家、中世のゴシック彫刻等を収めた10冊の完全な図解付きの本。
- 注文書が付属されている、芸術作品提供会社向けの3冊の通信販売カタログ(彫刻のページへの栞付き)。
- "誰もが噂する、ソーホーの神秘で新しい芸術的感覚"のギャラリーを記載した半製品のプレスリリースと、"これは貴方の事かもしれない(しかし、勿論貴方が了承した場合のみに限ります)"と手書きで書き加えられた1枚の紙。
- 太く、黒く、高さ30cmの文字で"壊す前に読んでください"と書かれた1枚のプラカード。
手順:
ワゴンに以下の順序で慎重に荷を積みました:底から順にプレスリリース、芸術作品提供カタログ、彫刻の本、最後にプラカード。アパートの扉が開かれ、D-602-03はワゴンを中に押し入れると、素早くアパートから退出しました。ヴォクト研究員はアパート向かって大声で"さあ、友よ!私達は24時間で戻ってくる!"と叫んで、アパートを閉じて施錠しました。
結果:
24時間後、アパートは再び開かれました。ワゴンは動かされましたが、特に損傷は見られませんでした;D-602-03による回収の際に、プラカードが細かく切られている事、彫刻の本が無くなっている事が確認されました。芸術作品提供カタログには集中的に調べられた痕跡が見られ(いくつかのページは切り取られ、潰されていました)、注文書には未知の流体(後の解析でこの流体が████████と██████であると判明しました)で粗い模様が記されていました。注文書の調査により、SCP-602は新しいノミ、新しい木槌、小型の窯、[編集済]を望んでいることが判明しました。最後に、プレスリリースは細かく切られた後に未知の接着剤でつなぎ合わされ、それから潰された後に再び平らに開かれていました。
分析:
SCP-602の知性と交渉の意思が確認されました。
メモ、20██/██/██: いえ、私は私達がこのSCPに対して望んでいるものを何でも与えるように提案しているわけではありません。しかし、私達はこの調査を通じてこのSCPとの半平和的な接触を、以前の探査の試みの1つよりも20分の1のコストを確立しました。
私達は古いツールと新品の交換を材料に、説得させることさえ可能なのかもしれません(もちろん[編集済]の提供は完全に問題外ですが)。—ヴォクト研究員
補遺4: 文書602-CP1、接触規約
接触002から017の結果(詳細はそれぞれの接触記録を参照)、SCP-602との意思疎通を成功させるために以下の規約が制定されました;"成功"とは"生存率>90%"と定義します。
- 常に、入場する前に扉に向かって自身を名乗ります。
- 彫刻に触れてはいけません。
- 彫刻や芸術的価値に対して否定的な発言をしてはいけません。建設的な批判は許容されるようです。
- 彫刻に用いる道具に触れてはいけません。換えの彫刻用の道具を提供した場合、SCP-602は扉にあるバケツの中に破棄する道具を置きます;このバケツはアパートから退出する際に回収することが可能です。
- 全ての監視装置は導入前に告知しなければならず、またそれらの機能も説明しなければなりません。SCP-602は隠された、または認知していない監視装置を即座に発見して破壊し、その破片を投射します。正式に告知した監視装置は、SCP-602が彫刻の創作または修正を望む時間まで無傷で使用が可能で、創作及び修正する時間になると全ての監視装置は同時に不能になります;終了すると、監視装置を復活させます。
- 決して1人でアパートに入場してはいけません。
- カメラのフラッシュを焚いてはいけません。
- 喫煙してはいけません。
- 唾を吐いてはいけません。
- ガムを噛んではいけません。
ページリビジョン: 6, 最終更新: 29 Aug 2021 16:41