SCP-6021
アイテム番号: SCP-6021
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-6021は現在、実質的に収容不可能だと判断されています。SCP-6021が居住する土地は既に購入されており、無許可の徒歩通行 (特に近隣のクリスタル・クリーク分譲マンションからの侵入者) を防止するため、半径5km圏内に封鎖線が設置されています。SCP-6021-1は常に入場を許可されます。
説明: SCP-6021はテキサス州ニューブローンフェルズ近郊の丘陵地帯に位置し、在来種のシロガネヨシ (Cortaderia selloana) が群生する5エーカーの草原です。SCP-6021は、起源不詳かつほぼ全知全能の神格の住処であるか、もしくはその本体です。
SCP-6021は音声による発話を行わず、1人の司祭相当の人物 (以下SCP-6021-1とする) を通して意思疎通を図ります。SCP-6021-1は、SCP-6021が世界的な政治・経済・生態系に頻繁に介入し、個々人の生活にも影響を及ぼしていると主張しています。SCP-6021はこれらの主張の裏付けとなる奇跡を起こし、精巧な幻視を喚起する能力を有します。SCP-6021は物理学、時間、人間の行動、解剖学、天候、熱力学、その他多くの現象を完全またはほぼ完全に制御できることを実証しています。
SCP-6021の願望は現時点では不明です。広範な影響力を行使しているものの、その行動パターンの確立は困難です。供物、悪名、信奉者などの獲得には動機づけられていません。財団を含む1あらゆる人間や異常現象を自らへの深刻な脅威と見做していないため、自己保存のための行動も起こしません。
SCP-6021-1はこれまで幾度もSCP-6021の性質を説明しようと試みていますが、その知識は主観的かつ伝達不可能である神聖な啓示を通してのみ得られるとされています。ごく少数の人物はSCP-6021-1との交流を通して啓示を受けたと主張していますが、その体験を他者に伝えられた者はいません。
更なる研究が進められています。
補遺-6021-A: 儀式ログ
<記録開始>
SCP-6021-1と、戦術神学部門の分析官 セリア・ケント博士が、SCP-6021に接近する。SCP-6021-1はケント博士が日課の礼拝儀式に同行することに同意している。ケント博士はカメラを持っており、その光が早朝の薄明りの中で背の高い草を照らしている。
SCP-6021-1: もうすぐナゲキバトが起きる頃合いだな。
ケント博士: ふむ。
(徒歩移動が続く。)
ケント博士: それで、今は境界線に近付いているんですよね?
SCP-6021-1: 直に分かるよ。
(徒歩移動が続く。後ほどアメリカフクロウと特定される物体が頭上を横切ってゆく。SCP-6021-1はフクロウの飛行を指し示すが、ケント博士は気付かない。)
ケント博士: SCP-6021はこの一帯をどの程度制御しているんですか?
SCP-6021-1: 完全に。他のあらゆる場所と同じだ。まぁでも大したことはしてねえ、在りのままが気に入ってんだよ。
(SCP-6021-1が立ち止まり、草の塊をかき分けると、小川の平坦な石を積んで作られた小さなケルンが現れる。ケント博士が突然立ち止まる。テープにはいかなる現象も記録されていないが、彼女の呼吸は速くなり、震え始める。)
SCP-6021-1: ここだ。
ケント博士: あ - うう -
SCP-6021-1: 落ち着きな。危険はねえからさ。
ケント博士: きょ… 巨大ですね。
SCP-6021-1: すぐに薄れる。今はあんたに姿を示させてやりな。
(ケント博士のパニックは次第に収まる。遠方で、メキシコオヒキコウモリの一群が細い列となって分譲マンションへと帰還し、軒下に止まる。)
ケント博士: 何と言っていますか?
SCP-6021-1: 何も言ってねえ。ただあれが動き回る音だけさ。世界中に伸びていく。
(SCP-6021-1は屈み込み、枯れ草の下から折り畳み式の芝生椅子を2脚引き出す。SCP-6021-1は椅子をセットし、ケルンと分譲マンションがある東側を向いて着席する。)
SCP-6021-1: よっしゃ、始めようぜ。
ケント博士: これからどうするんですか?
SCP-6021-1: 日の出を見届けて、耳を澄ます。
(両者は着席し、ケント博士はカメラを膝の上に置く。東の空が少しずつ明るくなってゆく。キリギリスが鳴く。)
ケント博士: あれは今、何をしていますか?
SCP-6021-1: 数限りない事をしてる。さっきは東シナ海で地震を起こした。今はアンカレッジ上空でボーイング747の墜落を阻止してる。
ケント博士: 数百万人の命を左右している。
SCP-6021-1: それ以上だよ。
(SCP-6021-1は、傷つけないように気を配りつつ、指の間で1枚の草の葉を優しく擦る。)
SCP-6021-1: 離婚。卒業。自動車事故。癌。結婚。破産。
ケント博士: 未来を弄んでいるんですか。
SCP-6021-1: 他の神と大差はねえよ。煎じ詰めると、大抵の物事には手出ししてねえことになる。
(約10分の沈黙が続く。ナゲキバトが目覚め、空気が時折柔らかな鳴き声で満たされる。)
ケント博士: 誰の権限に基づいてですか?
SCP-6021-1: 何だって?
ケント博士: 我々は人々の人生を四六時中狂わせている組織です。私が知る限りでは、SCP-6021以上に。でも、我々には権限があります。世界中の誰もが、自覚の有無に依らず我々に与えた許諾です。だから、つまり… 正当化の余地がある。
(沈黙。)
ケント博士: …それで? この神には、何が権利を与えているんですか?
(SCP-6021-1は草の葉を千切れないように持ち上げ、裏返す。裏側には黄色の昆虫が多数付着している。)
SCP-6021-1: これを見な。この6マイル圏内にしかいねえ金色のアブラムシの一種だ。誰も探しに来やしねえから、発見されたことがねえ。でも、ここにいるんだ。
(SCP-6021-1は身振りで分譲マンションを指す。マンションの窓に、1つまた1つと灯りが点ってゆく。)
SCP-6021-1: 連中があれを建てた時、俺は最初のうち心底むかついた。日の出を遮っちまうと思った。でもな、あのビル群は長い影を落とす。あれの足元の川床に冷気が溜まって、微気候の温度を下げてる。今じゃここら一帯は周りの田園地帯よりざっと2度も涼しいんだ。
(SCP-6021-1は遠方を指差す。オジロジカの雄1頭と雌2頭がSCP-6021の遠端で草を食んでいる。)
SCP-6021-1: 動物たちはそれが気に入ってる。
ケント博士: さっぱり分からない。途方もない苦しみが -
SCP-6021-1: ご覧よ。
(太陽の頂部がビルの間の地平線に顔を覗かせる。あたかも雲が燃え上がっているかのように見える。)
SCP-6021-1: 俺がどれだけ説明しても、あんたたちがピンときてねえのはこれだ。こいつは本当にただの草原なんだ。それだけのことだよ。
ケント博士: …ただの、草原。
SCP-6021-1: さあ、静かにしよう。そろそろセミが鳴き始める。
(セミが、まずは穏やかに鳴き始める。高層ビルの影が草の上で揺らめく。そよ風が吹く。)
ケント博士: …おお。
<記録終了>



