クレジット
翻訳責任者: Yukth
翻訳年: 2025
著作権者: J Dune
原題: King Ratthew Splondis XVIII, Bearer of Pestilence and Lord of All Rodents
作成年: 2021
初訳時参照リビジョン: 21
元記事リンク: https://scp-wiki.wikidot.com/scp-6062
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by J Dune

SCP-6062、迷路を用いた知能計測実験中に撮影
| 配属サイト | サイト管理官 | 研究責任者 | 担当機動部隊 |
| エリア-179 | ジョセフ・バロウ管理官 | アンジェラ・スタース研究員 | N/A |
ペンシルベニア州、ブランディ
特別収容プロトコル: SCP-6062は保安施設エリア-179に位置する改良型収容セルで収容状態を維持してください。コミュニケーション用にプレキシガラス製の衝立とインターホンシステムが収容セル内に敷設されています。
SCP-6062の収容セルは週次で清掃され、排泄物の全てはエリア-179の生物学部門に運搬されなければなりません。運搬後の排泄物は焼却、または部門長の裁量により研究を目的として他の財団研究機関へ分配されます。週次の清掃を含め、SCP-6062に物理的に接触する全ての職員は財団支給の感染防護服を着用しなければなりません。
説明: SCP-6062は、Rattus norvegicus (ドブネズミ) 13個体が絡まることで構成される1つの集合体であり、各個体は未知の粘着物資により尻尾部分で結合されています。1
その異常性を除いて、SCP-6062を構成するドブネズミ個体のほぼ全てには非異常の個体との相違が見られませんが、幾つかの個体は損傷や疾患を有しているのが確認されています。骨折・頭部器官の重度損傷・肢体の欠損などが確認されていますが、これらの状態により当該実体の機能が低下することはありません。仮説として、これらの個体間には共有される集合意識が存在しており、この集合意識は実体の機動性・持続性・認知能力の補助として機能していると推察されています。時折、各個体により別々の方向へ引っ張られているかのように、洗練さに欠いた挙動を実体が示すことがあります。
SCP-6062は、必要な器官を持たないにもかかわらず発話が可能であり、英語を理解する様子を呈します。発話の際、SCP-6062を構成する各個体の口全てが用いられるために声量が増幅されることがあります。この声は「けたたましい」「甲高い」ものと表現されており、一方で、実体は妄執的・侮辱的・下品な性格をしています。SCP-6062は "ラチュー・スプロンディス王18世 (King Ratthew Splondis XVIII)" を自称しています。
本文書作成時点で、SCP-6062は82種類の感染性疾病2の病原体を保有していることが確認されており、人獣共通感染症3の病原体を媒介するベクターとして振る舞う可能性があります。SCP-6062は保有する感染症の徴候・病状を軽度に示すことがありえますが、いずれの致死効果に対しても免疫を有しています。SCP-6062は、マラリア・ライム病・西ナイル熱・複数型のペスト4・サルモネラ感染症・天然痘、およびに有史以前に発生したと推定される30種類以上の未知のウイルス性病原体を保有することが確認されています。SCP-6062が媒介する病原体の性質は通常確認されるものと変わりありませんが、その程度が想定されるよりも顕著であるために感染確率が高くなります。SCP-6062が保有する病原体は不規則に発見され続けています。
補遺.6062.1: 発見経緯
ペンシルベニア州郊外の小規模な開発地帯であるブランディでハンセン病の流行が確認された後の2018年4月17日、当該の町よりSCP-6062が発見されました。インシデントの通達を受けた財団は緻密な評価を行うべく即座に部隊を派遣しました。この際、罹患住民の治療のためにSCP-███から供給されるワクチンが利用されました。
以下は、ブランディ収容作戦においてエイミー・ヴェバー博士とアンジェラ・スタース研究員により録音された音声記録の転写となる。当該エリアの日常的探査作業の一環として、両者は雨水排水路に異常がないかを調べていた最中だった。
[[ログ開始]]
感染防護服を着用したヴェバー博士とスタース研究員が狭い地下エリアを四つん這いになって前進する。1箇所に留まれずに、1列になって這う。先導するヴェバーが頭に装着した懐中電灯を点灯する。ほのかに照らされた直下には茶色に濁った小さな水の流れが1本確認できる。
ヴェバー博士:(咳き込み) ひどい臭いだね、こりゃ。
スタース研究員: 下水道だもの、エイミー。
ヴェバー博士: 芳香剤でこいつを掻き消せるってことにならんかね?キャンドルに火でもつけようか?
スタース研究員: その案は水道会社に売り込むべきね。
海綿様に成長した茶色の塊が水道管の右下隅に確認できる。
ヴェバー博士: こいつは?見た目は腫瘍って感じだけど。サンプルでも採って、それから…
SCP-6062: (遠くから) 止まりたまえ!
スタース研究員: (驚く声) ど、どうも~?CDC5からの者です。私たち、サンプルを採っている最中でして。
駆けてきたSCP-6062が視界に飛び込んでくる。無秩序かつ不明瞭な挙動で、視界の端から端へと素早く移動する。
ヴェバー博士: あれは… ラット・キングか?
スタース研究員: 絶対に異常だね。至急で司令部宛てのメッセージを送って、エンティティに遭遇したことを知らせましょうか。
SCP-6062: 言葉を慎みたまえよ、無骨者め。余がラット・キングその人であり、汝らは余の領地に踏み入れたのであるぞ!
SCP-6062が壁にぶつかり、向きを改める。
ヴェバー博士: スタース?君、宣伝広報担当でしょ。これにもお仕事する?
ヴェバーが水道管脇に身をどかす。よりSCP-6062が自身を視認しやすいように、スタースが前方へ身を乗り出す。ヴェバーは茶色の腫瘍を観察することに専心してサンプル採集の用意に取り掛かる。
スタース研究員: もちろん。えっとー どのように呼ばれるのがお望みでしょうか?
SCP-6062: ふむ、ふぅむ、"陛下 (your majesty)"、"殿下 (your highness)"、"官能閣下 (your sexcellency)"、または "我が君 (M’Lord)" とするのが日々の話の交わりでの敬称によかろう。正式な爵号においては、"悪疫の担い手 (Bearer of Bad Flus)"、"社会の災い魔 (The Scourge of Society)"、"ラットマン (Ratman)"、"康福を誅滅チューメツする者 (The Er*rat*icator of Wellness)"、"さけるチーズ (String Cheese)"、さもなくば "クリント・ラット-イーストウッド (Clint Rat-Eastwood)" が常々の余の通り名とされておる。うむ、これらは余が大いに好んでおる爵号であるな。さて、余は如何様に呼べばよかろうか… かような、汝らのような粗野な種族でありながら精巧に形造られた範いがたについて。
スタース研究員: オーケー!私はアンジェラ、こちらはエイミー。私たちはここで—
SCP-6062: おお、なんと穢らわしい、異所の名であることか。ともあれ、汝らの類であればむべなるかな。劣悪なる害獣たる妾を余の閨に招いた覚えはないが、余とのまぐわいを希求するならば直ちに汝らが身一つになることを許そう。汝らの甲冑の一揃いは頑強なれども、何物も通貫できぬという物ではないのだよ、お嬢様方。
ヴェバー博士: (振り向く) なんて言った?
スタース研究員: あー、誤解なされてるかと、陛下。私たちは貴方に呼び付けられたわけでは—
SCP-6062個体のうちの1体が咳をしだす。長時間の奮闘を経て、緑色をしたクモの巣状の痰を吐き出す。
SCP-6062: 詫びよう、続け—
別のSCP-6062個体が咳き込む。喘鳴をあげながら息を切らす。立て続けに血を吐く。
SCP-6062: 続けたまえ。
ヴェバー博士: そいつも採集しないとだな。
スタース研究員: い— いえ、お気遣いなく。科学研究のために私たちはここでサンプルを集めている途中なんです。貴方はこちらを住み処としているのでしょうか?
SCP-6062: むむ、この広い鉄板張りの長靴が踏む場所であれば何処であろうとも余の領地である!これは余の王国であり、彼方もまた一様であり、此方もまた同様である!余は数多の領土を帝国に併呑してきた、だが、余は公正な君主であるゆえ。ネズミとして余への隷属を汝らが誓い、残されし月日を捧ぐことへ首肯する汝らが大義の名の下に、劣悪なる害獣たる汝らが余の領域を通過することを許そうぞ。
スタース研究員: 残念ながらそれは無理な話です、殿下。ご存じで—
SCP-6062: であれば、そのようなおべっかは無用であろうが、サルめ。
SCP-6062が飛びかかり、スタースの顔面部に噛み付こうと試みるが感染防護服のヘルメットに阻まれる。地下路を脱出するべく来た道に向かって2人が体勢を立て直そうとしていると、周囲を動き回る当該実体が鳴き声を上げたり爪で引っ掻いたりする。2人は来た方向とは逆に這い始めるが、SCP-6062は攻撃を継続する。ヴェバーの感染防護服の右脚部分を噛み切ることを試みるが効果は1つとして見受けられない。ヴェバーがブルートゥース内蔵のイヤーピース型通信機を音声起動し、司令部に接続する。
司令部: ヴェバー博士、財団に接続され—
ヴェバー博士: ねぇ、数分後に私たちが這い出る頃にさ、ここまで収容スペシャリストを寄越してくれる?ケージとか必要かも?気色悪いハツカネズミマウス的なクソ野郎がいて、そいつ、私たちを殺すなり犯すなりしてくるんだけど。防護服着てるから、大して— おい!
SCP-6062がヴェバーの背中を這い上がり、ヘルメットの上に覆いかぶさる。同時に4体の個体が排便し、別の2体の個体が黒色をした未知の膿汁を吐き出す。
SCP-6062: 余はドブネズミラットだ!ドブネズミラットである!
ヴェバー博士: このチビ—
ヴェバーがSCP-6062を掴んで放り投げる。結果、SCP-6062はスタースの方へ身を翻す。SCP-6062がスタースの左大腿にしがみついて咳をし始める。
司令部: え、あーっと。承知しました。どなたかそちらに向かわせます。
[[ログ終了]]
エリア-179への収容後、ヴェバー博士とスタース研究員への身体検査が行われました。防護服を着用していたにもかかわらず、両名ともに風疹の病原菌に感染していました。両名は幼少の頃に風疹の予防接種を受けていました。ブランディ収容作戦で頒布された薬剤を使用することで両名は即座に回復し、その直後にSCP-6062へのインタビューが実施されました。心理学を専門としていること・過去に異常実体とのコミュニケーションに成功した実績があることを理由に、インタビュー担当にはスタース研究員が選ばれました。
スタース研究員が収容セルに入室する。収容セル内は強化プレキシガラスで仕切られるようにインターホンシステム外付けの聴取用区画が設けられており、区画はおがくず・パイプ・台座で装飾されている。区画内部にいるSCP-6062が台座の1つに跳び乗ろうと試みているが、後方によろめき続けて一部個体の頭が壁に激しくぶつかる。壁面などの仕切り表面は痰と未知の粘性物質で覆われている。
スタース研究員: 殿下。
スタースがお辞儀をしてからインターホンテーブルに着座する。SCP-6062がセルに付けられたマイクに駆け寄る。
SCP-6062: 一刻も早く余を解き放ちたまえ!余はこれら娯楽を心より遊興しておるが、悪臭匂わす相姦狂いのサルどもに四肢を愚弄されるのは御免だ!忌々しい高楼どもめ、何ゆえに余へ登ることを強いてくるか?
スタース研究員: ですが随分と楽しんでおられましたね。あ、記録しますのでお名前を仰っていただけますか?どうしても必要なことですので。
SCP-6062: 余の名とな?ジーザス・ラット-キリストにもかようなことを仰ぎまいな?
スタース研究員: そんな—
SCP-6062: ラチュー・スプロンディス王18世(King Ratthew Splondis XVIII)、普くネズミの支配者にして死を齎す者である。
SCP-6062個体のうち頭部を損傷した1体が苦しげな声をあげる。当該の個体が青色の痰とともに未知の小型昆虫を1匹吐き出す。暫くして、再び動きを取り戻した昆虫が歩いて消え去る。6
スタース研究員: どうも。それでは、前より伺うつもりだったことなんですけど、正直に仰っても罰は当たらないでしょうから事実を仰ってくださいね。ブランディの、私たちが貴方を見つけたあの下水道で何をなされてたんです?
SCP-6062: 案ずるな、案ずるでないぞ。王とはいつの時にも摯実なものよ!無論、余は征服すべくかの地に座していたのだ!かつてより幾度なく為してきたのと同様に、かの下等なる害獣どもに戦争を仕掛けるべくな。数多の疫災なり!万斛のパンデミックなり!全ては余が指揮棒を振るったことであり、余の僕どもの為したことだ!此度の一撃は豹の胤裔レパードシードのものであろう?全てが余の思惑通りである。
スタース研究員: ハンセン病レプロシーとも言いますけどね。ハンセン病がどういったものかご存じですか?
SCP-6062: (複数の鳴き声) 当然であろう!ハンセン病は… 大層に悪しきもので、善いものではないからに… かのヒトザルどもへ死ぬまでの苦痛を齎すことに適うのだ!素晴らしいスプレンディドことに思う!
スタース研究員: オーケー、オーケー。それでは、罹った人の体がヒツジのものに変化することについて、どのように思われますか?
SCP-6062: それは… それは余が大いにハンセン病を好む所以である!それこそ余が一番に好む効能なのだ!余は腕をこまねき、かの者どもが1匹の雪の獣が如く白い毛むくじゃらに変わりゆくのを目にして憩うのである!地平に這いつくばり、痛みに悶えて「メー」と鳴く。実に愉快で趣深い見世物ではないか!
スタース研究員: ハンセン病で人はヒツジになりませんよ、官能閣下。貴方が仰っていることについて、貴方自身が存じ上げているかを確かめるために作り話をしたんです。
SCP-6062: ならば、汝を堀に放り込み、何世紀もの絶えずに渡って汝の爪先を泥の怪物に齧らせることにしよう。待て。フゥ—
SCP-6062個体のうちの1体に赤色の大きな腫れ物が出来上がる。大きさがSCP-6062全体の1/3に達するまで腫れ物が膨張する。腫れ物が破裂し、濁った白色の固形状の膿が収容チャンバー内に飛散する。
SCP-6062: おぉ、これは心地よいものであったな。
スタース研究員: オーケー。では、貴方が病気の発生源となる可能性はご認識されてますよね?
SCP-6062: 多くの場合でそうであろうな。
スタース研究員: でも、貴方はその病がどう機能するものかはご存じない。貴方の遺伝子構成からは奇妙なものが数多く発見されました。これについてお答えできますか?
SCP-6062: 余はネズミたちの王であるゆえ。
スタース研究員: (動作を止める) えっと… 了解しました。人間を嫌うのは何故でしょう?
SCP-6062: これほどまでに余の容かたちを毀損したのは1匹のヒトであった!'余' が '我ら' でしかなかったあのとき、彼奴は余を縄縛して '彼の者ら' を '余' にしたのだ。驚愕するでない、この事勢の変遷が、地上世界の下等なる害獣たるへの復讐を余に駆り立てたのだ。うむ、此度の事は幸運であったな。1匹のネズミがまた別の1匹と闘鼠汚トウソオして屠ることはあろうが、多数のネズミから成る1匹に挑みかかることなどあろうか?それでは、如何様にして余の権能が生じたものか理解したであろう!
スタース研究員: それは酷い話ですね、陛下。誰が貴方をこのようにしたのか、お憶えですか?
SCP-6062: 1匹のイタリア人だ。ありとあらゆる劣等なる害獣の中でも余はかの匂いを一番に嫌悪しておる。
スタース研究員: それからは?
SCP-6062: 余に思い起こされるのはそれのみ。汝ら地上の掠め取り屋サーフェス・スキマー7は皆、容が似通っておる。名こそ幾千と想起されるが、余の心に留めおく価値ある名はそうありはしないものよ。
スタース研究員: オーケー、教えていただきありがとうございます。貴方は「いる」と仰いましたよね… 確か、僕が。たくさんの配下をお持ちなのですか?
SCP-6062: 遥かに夥しいぞ、娼婦め。遥かに夥しいのだ。余の信奉者の軍勢たるや病挙ヤマイキョにいとまぬぞ!その数は汝らよりも此方が勝り、サルの蔓延るこの惑星に普くネズミとの繋がりが余の内に宿っておるのだ!言葉は既に遣わされた。悪疫が齎されるであろうな!"此方のイーズ(this-ease)" や "彼方のイーズ(that-ease)"8 が齎されるであろう!齎されるのはありとあらゆる "安楽"イーズ である!汝ら奇術師たちの手中に囚われし悍ましき命運から余は済生され、そして統べるであろう!ネズミの時世が到来し、それは何と迅きことか!病魔に対峙し蝕まるるに抵抗するか、それとも余の爪に婚礼を誓い接吻するかね?かような神聖な懇篤を持ちかけるなど、汝ら種族には稀であることぞ。
スタース研究員: えっ。あっ、私もう結婚してるので。ごめんなさい。お友達のままでよろしいでしょうか、殿下?
SCP-6062個体の全てが黄色の液体を目から分泌し始める。実体がヒトのすすり泣きに相当する音を発する。音は2分間継続し、音量と激しさが経時的に増していく。咳をしたSCP-6062から大きな痰の球状塊が最終的に吐き出される。
SCP-6062: うむ、うむ。
スタース研究員: 本当にごめんなさい。こちらに伺ってるのは自分のお仕事のためってだけなんですよ。お望みなら何かお持ちしましょうか?チーズは如何です?
SCP-6062: 嘆かわしや、余がネズミであるからにチーズも好物であると、そう言うまいな?
スタース研究員: 違います!そんなつもりで言ったわけじゃないんです!私、えっと、チーズ盛り合わせがカフェテリアで出されてたんです!全く関係ないんですよ、貴方がネズ—
SCP-6062: チーズの盛り合わせとな?素晴らしいスプレンディド!大盤まるごとこちらに持ち寄せたまえよ、余は美味なるチーズを誠に好物としておるぞ。
沈黙
スタース研究員: えっと… うちの監督官に確認してみますね?
SCP-6062: 即刻チーズを奪回するか、さもなくば、汝が成し遂げるまでは自らの身より排されるものしか余は口にせぬ。このどちらかであるぞ、頭目殿トップサイダー。
[[ログ終了]]
監督官による検討を経て、安全な自然食品を栄養バランスよく摂取することがSCP-6062へ許可されました。収容以降、SCP-6062は文書作成時点では確認されなかった行動を多数示しており、これらを以下に列記します。
- SCP-6062は自身の排泄物や余剰物を頻繁に摂食する。このことについて尋ねられた際には「王家の血統を純粋に保つため」と主張する。
- 実験ないし研究への使用を目的として、財団が自身の余剰物を収集することをSCP-6062は喜びを覚えている。人々がSCP-6062の "偉大さ" に触れることを快く思い、当該の物質から媒介される疾病へ罹患することを望んでいる旨を述べている。
- SCP-6062は長時間の睡眠9を取ることがあるが、それを否定する。SCP-6062は自身には休息を取る必要がないと主張し、睡眠中は「瞑想を通じて齧歯の同朋と連絡を取っている」ことを主張する。
- SCP-6062はスタース研究員へ親近感を抱いており、スタース研究員について他の職員と頻繁に論議する。当該実体はスタース研究員の夫にも興味を示しており、スタース研究員の婚姻状況についてもたびたび尋ねてくる。スタース研究員は件の会話が行われた際に別の話題へと内容を逸らす勤めを果たせていない。スタース研究員は別のアノマリーへの配置転換を拒否している。
- SCP-6062は音楽に敏感であり、音楽の再生中は顕著に無気力な状態となり暗示にかかりやすくなる。音楽の再生に伴ってSCP-6062は苦痛の様子を呈するため、SCP-6062が存在する付近での音楽再生は禁止されている。
SCP-6062により主張される、同種他個体との意思疎通能力の信憑性を検証するための実験が行われました。
実験に使用された検体-12812
SCP-6062が Rattus norvegicus (ドブネズミ) 1個体と共に空の収容チャンバーに入れられる。
SCP-6062: これ程近くに余と王宮の一員とを取り為すとは、実に汝らは勇ましいことよ!
ネズミが徒にチャンバー内を動き回る。SCP-6062に気を向ける様子を示さない。実体がネズミに近づく。
SCP-6062: うむ、貴殿には言伝を頼まねば。おぉ、名をモーリスと申すか?なんと蠱惑的な!モーリス、親愛なる余が卿よ、全戦力をイタリア国と地平のイタリアの皆人へ集結するよう将軍たちに伝えたまえ。ふむ、そうであるな、かような大虐殺を執り行うにはラット-パットン将軍こそ随一に適任であろう!
ネズミがSCP-6062から離れてチャンバー逆側に移動する。おもむろに自身の尻尾へ気を取られて凝視し始める。
SCP-6062: モ、モーリス、こちらに戻りたまえ!話し交わさねばならぬのだ!大層に重要なことであるぞ!余が祝福を卿に授けよう、汝の忠チューする栄光の王の御名において、汝は出立し、汝が探求を成し遂げよ!共に唱えよ、モーリス!ラチュー・スプロンディス王18世、万歳!かの多頭が御身の座する悪疫が王位の常盤たらんことを!劣等なる害獣の悉くに死を!聞こえぬぞ、モーリスよ!
ネズミがチャンバーの壁面に爪を立てて戯れる。タイルの隙間に肢を差し込み登ることを試みる。
研究役注記: 研究用およびに販売用の細菌サンプルの収集にSCP-6062が有用であることが証明されています。当該実体が言及するテレパシー能力に関しては懸念の必要なしと思われます。 - スタース研究員









