
SCP-607-JP。
アイテム番号: SCP-607-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-607-JPの周囲には携帯火器で武装した職員を配置し、部外者の立ち入りを禁止してください。カバーストーリーは基本的に「解体工事の為立ち入り禁止」を適応しますが、カバーストーリーの変更を行う場合、レベル3以上の職員の許可を得てください。SCP-607-JP内に存在するSCP-607-JP-1および白骨は回収チーム("エクスプローラー")が回収を行っています。回収されたものはサイト-8123へ移送し、同サイトの標準収容コンテナにそれぞれ保管してください。
空白
説明: SCP-607-JPは和歌山県████市に存在する廃墟です。外見的な老朽化が進んでいるにもかかわらず、外壁や骨組みは頑強であり、衝撃耐久実験においても極めて高い数値を示しています。
SCP-607-JPの異常性は、2階と3階と4階に存在します。その内部は明らかにSCP-607-JPの外部から推測される面積より広く、一つの階層の総面積は約55万平方m1です。
各階層は「迷路のような」と形容される廊下と4003個の部屋で構成されています。部屋は縦8m×横8m×高さ8mの立方体で形成され、扉のみが存在し、窓はありません。
廊下とほとんどの部屋には、未知の生物の白骨が散乱しています。多数確認されているものでは以下の種類等です。
種類 | 考察 |
---|---|
小人型 | 身長は50cmほど。身長に比較して頭部が極端に大きい。廊下、部屋の両方で多数確認されている。 |
蝙蝠型 | 翼長は推定3m以上。ほとんどが廊下で確認され、部屋内で確認された例は少数。 |
獣人型 | 頭骨のみが狼に似た生物のもので形成された人型の骨。身長は2m以上あったと考えられる。主に部屋内で発見されている。 |
他、多種の白骨が発見されていますが、風化の進行が激しいものが多く、詳細な研究は進んでいません。
また、4階の一室は、日光が差し込む作りとなっており、その内部には土が敷き詰められ、高さ1mほどの樹木が存在しています。樹木は梨(学名:Pyrus pyrifolia)とよく似た未知の果物(以下、SCP-607-JP-1)を3個から5個ほど不定期に出現させます。SCP-607-JP-1は高い栄養価を持ち、生物が経口摂取することで身体に良好な効果をもたらします。
- 睡眠障害の若干の回復
- 含有されているストレプトマイシン (streptomycin) による結核の回復2。
等の効果がDクラスを用いた実験によって確認されています。20██年現在、副作用といった悪影響も確認されていません。
SCP-607-JPは2010年7月12日、エージェント・████によって偶然に発見されました。同エージェントが私用での行動中、雨宿りにオブジェクト内へ入ったことがその発端です。その後、財団によって現在の収容体制が整えられました。
SCP-607-JPは1972年に[編集済み]を目的として建築されましたが、利用者の減少から廃棄され、解体されないまま1980年以降放置されていたことが判明しています。財団の調査の結果、少なくとも2009年までは異常性を発揮していなかったことが分かっており、正確な時期を求めるため、現在も調査が継続されています。
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補遺: SCP-607-JP内3階の一室から、古期英語によって書かれた冊子が発見されています。公開されている内容は以下の通りです。
██の日
本日も大漁。人間の心臓は実に美味だ。
肉の部位など硬くて食っていられぬ。食べている者は何が良いのだか。
邪神も良いところに召喚してくれたもの。我らはここから出られずとも、生涯食うに困らぬのだから。
██の日
最近、来る人間が少し減った気もする。人間どもに何か動きがあったらしい。
矮小な人間が何をしようが無駄なことよ。あの病魔を祓うにはこの果実を食べる以外にない。
病魔がある限り、我々は永遠に繁栄するのだ。
███の日
今日は人間が来なかった。まぁこのような日もあろう。
人間は病魔を祓う薬を開発したらしい。
くだらん。人間が作る薬などであの病魔が祓えるものか。
「これからは人間を塩漬けにすべきだ」という意見が配下から出た。馬鹿馬鹿しい。
保存食など不味くて食えたものではない。
███████の日
今日も人間は来ない。
なぜだ。あの病魔を祓う方法は、この果実以外にないはず。
あれだけ醜く群がってきた人間どもが、なぜ来ないのだ。空腹で腕が震える。筆を上手く持てない。
思い出すのは「不味い」と捨てていった人間の部位のことばかり。
私はなぜあんなことを。いやだ、死にたくない。誰かここから出してくれ。