SCP-6076
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アイテム番号: 6076
レベル3
収容クラス:
euclid
副次クラス:
{$secondary-class}
撹乱クラス:
keneq
リスククラス:
danger

scpmenhir.jpg

かつてSCP-6076収容室の上に位置していた、墓標の役割を果たすものと思われる構造物。


配属サイト サイト管理官 研究責任者 担当機動部隊
サイト-202 ジョアン・キング サミュエル・グリーン 機動部隊ゼータ-39 (“カラティン氏族”)

特別収容プロトコル

SCP-6076は現在、回収地点の周囲に後付けで建造された収容室に保管され、石柱に鋼索で縛り付けられています。

洞窟の内部もまた鋼鉄で裏打ちされ、当初存在した石造りの門は補強された金庫室用ドアに置換されています。SCP-6076の観察は、設置された監視カメラを介して遠隔から実施されます — 職員は定期的な給餌の際のみ、収容室に入ることを認められます。自動砲塔2基が常時SCP-6076に照準を合わせた状態を維持し、活性化時に発砲を開始します。直近の活性化期間の出来事に鑑みて、追加の砲塔の設置が現在進行中です。

SCP-6076への給餌は3ヶ月ごとに行われます。SCP-6076にはイヌの肉のみを与え、その給餌は女性職員のみが実行しなければいけません。有事の際の犠牲者数を抑えるため、給餌中に収容室内にいる職員は 1 名のみとします。

SCP-6076が活性化した場合、機動部隊ゼータ-39 (“カラティン氏族”) が収容室の入口に待機し、完全な収容違反の発生時にはSCP-6076と交戦します。SCP-6076は既に死亡しているため、殺害は不可能です — 代わりに、四肢への狙撃による無力化を重視した攻撃が行われます。不活性状態に戻った後、SCP-6076は再び収容室で石柱に拘束されます。

SCP-6076の監視者を務めていた一族の最後の生き残り、ルーシー・L・レイノルズは、収容プロトコルを修正する必要が生じた場合のコンサルタントに指定されています。


説明

SCP-6076はアイルランドのラウス県に存在する、重大な生物学的異常性と、一時的な自然蘇生能力を有する人間男性の死体です。

外見上、SCP-6076は身長2.72mで、胸部に残された多数の裂創など、死亡する前に重傷を負った形跡があります。最も顕著な傷痕は、かつて心臓があったと思われる位置に空いた大穴です — 分析結果は、この傷がある種の槍の穂先によって生じたことを示唆しており、SCP-6076の本来の監視者たちが残した口承記録で裏付けられています。

SCP-6076の活性化期間に続いて採取された遺伝物質の試験で、SCP-6076は遺伝的には普通の人間と変わらないことが証明されています。それにも拘らず、多数の生物学的な異常が明白に示されています。具体的には:

  • SCP-6076の両手足には7本ずつ指があり、爪は伸長・硬化して鉤爪のようになっています。
  • SCP-6076の両足は180度ねじれています — 足先と脛は後方、踵とふくらはぎは前方を向いています。
  • 脈管系が極度に膨張しているため、SCP-6076の身体には血管が目立って浮き出しており、特に額とこめかみでそれが顕著です。
  • どちらの目にも鮮やかな赤色の瞳孔が7つ存在します。
  • 片方の目は、専用のカメラを眼窩に挿入しなければ観察できないほど奥深くに引き込まれています。もう片方の目はSCP-6076の頬までぶら下がっています。
  • SCP-6076の頬は顔面に沿って剥がれ、顎の筋肉が露出しています。更に、SCP-6076の肺は喉元まで押し上げられており、SCP-6076が口を開ける際に直接見ることができます。
  • SCP-6076の頭部に残る全ての頭髪は激しく逆立ち、接触した物質を穿刺するほどの剛性と引張強度を有しています。

1年の大半を通して、SCP-6076は死んでいます。しかしながら、8月のある時期になると、SCP-6076は自然に蘇生し、不定な期間にわたって暴れ回ります。この活性化状態の間、SCP-6076に知性があるとは考えられていません — 得られた証拠や口承記録はむしろ、SCP-6076が本能と筋肉記憶だけで近くの生物を殺害していることを示唆します。SCP-6076は概して一般的な人間の限界を上回る体力と速度を発揮し、両手の鉤爪で敵を引っ掻いて殺傷しますが、時には反射的に手近な即興武器を使うことも確認されています。活性化期間が終了すると、SCP-6076は生命活動を停止し、その場に倒れ込みます。

記録によるとSCP-6076は最低でも2,000年前に死亡していますが、分析結果は約50年相当の細胞劣化を示します。この腐敗はSCP-6076の蘇生時にある程度まで治癒するらしく、移動と攻撃が可能になりますが、SCP-6076が不活性化すると以前の状態に逆転します1。SCP-6076が不活性状態の間、腐敗は著しく抑制された速度で、しかし活発に進行していることが確認されています。

SCP-6076による他の人間への相互作用はほぼ全て思考を伴なわない殺害行為ですが、不活性状態の間に人間女性が接近した時のみ、特異な行動が観察されています。女性がSCP-6076の 1 m以内に入った直後、SCP-6076は口を大きく開けるため、給餌が可能になります。SCP-6076のかつての監視者が提供した記録では、イヌの肉を与えることが推奨されていますが、この慣習の由来は未だに不明確です。また、これらの記録は、この形式でSCP-6076に給餌すると暴れ回る期間の平均時間を短縮できることを示唆しています2

過去には、活性化時の収容を容易にするため、不活性状態のSCP-6076から先制して行動力を奪う案が提言されていました — このような試みは全て、SCP-6076の副次的な異常性によって失敗に終わりました。不活性状態のSCP-6076を損傷しようと試みると、SCP-6076の体内で眩いオレンジ色の光が輝き始めます。同時に、SCP-6076は極度の高熱を発し始め、その激しさと範囲は脅威が無力化されるまで増大し続けます。


歴史

SCP-6076の正確な起源は不明ですが、ある監視者役の血族 — 最終的には地元のレイノルズ家となった — によって約2,000年間収容されていたと考えられます。この間、監視者たちは洞窟にSCP-6076を閉じ込めるための防御の強化に 1 年の大半を費やし、8月中は洞窟を完全に放棄するのが慣例となっていました。歴史的な記録が示す限り、この措置は活性化状態のSCP-6076を概ね十分に幽閉し続けられたようですが、“怪物”が田園地方を移動しながら殺戮を行ったという散発的な報告から、必ずしも成功ばかりではなかったことが伺えます。

2014/08/03、財団に収容される前にも、SCP-6076はそのように洞窟を脱出しました。SCP-6076はその後、近隣にあるケニー村へと移動し、13名の民間人を殺害してから不活性状態に戻りました。SCP-6076の監視者一族の最後の生き残り、ルーシー・L・レイノルズは混乱に乗じて大型トラックでSCP-6076を洞窟に持ち帰ろうと試みましたが、SCP-6076関連の通報に対応した財団エージェントに阻止、拘束されました。その後間もなく行われた交渉において、レイノルズはSCP-6076収容を財団へ移管することに同意しました。

SCP-6076収容室の後付け工事の最中に、以下のメッセージが洞窟最奥の壁に貼られた金属板に記されているのが発見されました。

ここは名誉の場所である
尊敬厚き死者がここに祀られている
ここにあるものはかつて賞賛に値し、私たちを鼓舞したものだった
このメッセージは危険の警告です

ルーシー・L・レイノルズと連絡を取ったところ、このメッセージは滑稽な効果を狙って配置されており、収容とは無関係だと確認されたため、建設スタッフによって撤去されました。


補遺 6076-1 (活動ログ)

以下は、財団の収容下に入った2014年以降全てのSCP-6076活性化期間の記録です。完全版の映像記録と、目撃者の証言記録は、要請に応じてサイト-202アーカイブで閲覧可能です。

日付 活性化期間の長さ 詳細
2015/08/29 30:28 SCP-6076は蘇生直後、自動砲塔2基によって、石柱から即座に身を振り解けないほどの勢いで砲撃された。再装填のために砲撃が停止すると、SCP-6076は束縛から抜け出し、素手で片方の砲塔を引き裂いたが、もう片方の砲塔に無力化され、やがて不活性状態に戻った。
2016/08/08 19:09 SCP-6076は蘇生して束縛から抜け出すと、極端な高速移動で砲撃を回避し、片方の砲塔を繰り返し踏みつけて破壊した。それが終わると、SCP-6076は第 1 砲塔の残骸を第2砲塔に投げ付け、動作不能に陥れた。SCP-6076は活性化期間の残りを通して金庫ドアを殴り続け、ドアを破って間もなく不活性化した。
2017/08/01 00:11 SCP-6076が8月中にも給餌を受け付けるか否かを断定するための試験が行われた。SCP-6076は女性Dクラス職員が提供したイヌの肉を消費した — そして直後に蘇生し、身を乗り出し、Dクラス職員の頭部を大きく齧り取ってから再び不活性化した。
2018/08/19 14:56 SCP-6076は蘇生して束縛から抜け出すと、砲撃を避けるため、高速で時計回りに収容室内を走り始めた。この最中に、SCP-6076は壁から鋼鉄のパネルをもぎ取り、それを即興武器として両方の砲塔を破壊した。その後、SCP-6076は金庫ドアを破ろうと試みたが、ほとんど損傷を与えないうちに不活性化した。
2019/08/07 00:06 SCP-6076は蘇生して束縛から抜け出したが、砲撃が始まる前に不活性化して地面に倒れ込んだ。
2020/08/29 01:11:23 SCP-6076は蘇生して束縛から抜け出すと、その鋼索を原始的なフレイルとして使用し、両方の砲塔を破壊した。その後50分間に、SCP-6076は金庫ドアを破り、機動部隊ゼータ-39 (“カラティン氏族”) と交戦した。機動部隊員3名が戦闘中に死亡したが、SCP-6076もまた身動きが取れないほどの損傷を受けた。SCP-6076は更に10分間、生存者に這い寄って歯で引き裂こうと試み続けた後、不活性化した。

インタビュー 6076-1

SCP-6076が財団に移管された数ヶ月後、研究責任者のサミュエル・グリーン博士と、ルーシー・L・レイノルズの間で行われたインタビューです。インタビューに先立ち、レイノルズは改装された施設内を軽く案内され、SCP-6076を扱ってきた経験に鑑みて、更なる改善に向けた助言があるか否かを訊ねられました。

[記録開始]

グリーン博士: さて。何か意見はありますか?

ルーシー・L・レイノルズ: (笑う) もう私の浅知恵じゃ何も言えないと思うな — こんなので多少なりとも参考になればいいけど。

グリーン博士: まぁ、気持ちは分かります。あなたが講じた策よりも若干改善されましたからね。

ルーシー・L・レイノルズ: (鼻を鳴らす) 若干改善? 私はドアをゴミのバリケードで塞いで、突き破られないように祈ってたんだよ。もっと早くボロが出なかったのが奇跡みたい。

グリーン博士: 例のアノマリーへの取り組みにあまり熱心ではなかったようですね。

ルーシー・L・レイノルズ: 誰でもそうじゃない? 死んだ男の喉に犬の肉をねじ込むのに人生を捧げるだなんて。私の前はママの仕事だった — 餌やり。きっとママはあの甘い時間が大好きだったんだろうね。

グリーン博士: ええ、あれが代々継承されてきたのは理解しています。

ルーシー・L・レイノルズ: 13歳の誕生日、パパは私を起こす。ママの具合がすごく悪いんだ、と言い出す。お前にやってもらいたい仕事がある。 私の手を取ってあの忌々しい洞窟に連れて行く。犬肉を渡されて、これから一生やらなきゃいけない仕事を教えられる。素敵なプレゼントでしょ?

グリーン博士: その、ええと、犬の肉ですね、はい。我々の収容スペシャリストは、あれが本当に必要か否か議論しています — その件について、御父上は亡くなる前にもう少しこう、理由を説明しましたか?

ルーシー・L・レイノルズ: (肩をすくめる) どうもあいつ、ある種の呪いに掛かってるみたいなんだ — 犬の肉を食うとヤバい事になる呪い。ぶっちゃけ犬の肉なんか食ったら誰でもヤバい事になると思うんだけど、魔法には詳しくないからよく分かんない。私はただ… パパの言う通りにしてただけ。 (溜め息) …ああいうのは、いつも簡単に手に入るもんじゃなかった。

グリーン博士: 呪いですか? スペシャリストたちの意見を聞くために報告しますよ。御父上は他にも何か、有益かもしれない情報に言及しましたか?

(レイノルズは頬を指で軽く叩く。)

ルーシー・L・レイノルズ: 君たちがあそこに設置した例の砲台? あいつが動き出す前に使っちゃダメだよ — さもないと英雄の光で皆殺しだから。

グリーン博士: (溜め息) はい、我々も、その、もう既に気付いています。

ルーシー・L・レイノルズ: 他にパパが話してくれたのは大体あのアレ、伝承だけ — それだって何処までホントか分かんないし。あいつは半分神様で、半分人間だとか — だからあんな化け物じみた見た目なんだと思うけど — 沢山の人を殺した後、信じざる者の槍とかいうのをブッ刺されて死んだ。誰にとってもめでたしめでたし。

グリーン博士: 少し憤慨しているように聞こえます。

ルーシー・L・レイノルズ: 言うほどの… 鬱憤なんかは抱えてないと思う、あの死体に対してはね。あいつはただ、ああいうもんだから。私が憎もうが憎むまいが気にもかけない。こう… 有毒廃棄物と同じ。毒を撒き散らすのを止めるまでは、上に座って抑えつけるしかない。ヒロイズムの半減期って死ぬほど長いんだね。

グリーン博士: 私ならSCP-6076の行動を“英雄的”ヒロイックとは呼びません。

ルーシー・L・レイノルズ: ま、それは定義によるでしょ。英雄って何だと思う?

(グリーン博士は椅子の背にもたれる。)

グリーン博士: そうですね… 不正を改めたり、罪無き者を保護したり、そういう事をする人でしょうか。他の人々が目指す理想像とか、概ねそんな感じです。

ルーシー・L・レイノルズ: 大昔だと、英雄ってのは敵を殺すのが上手って意味だった — 大筋ではね。賭けてもいいけど、地下のお友達はそれがとっても上手かったはず。2,000年後も死体が未だに殺し方を覚えてるぐらいに。 (鼻を鳴らす) 誰かさんに槍で刺されたのも無理ないよ。

グリーン博士: 興味深い見方ですね。

ルーシー・L・レイノルズ: 英雄の墓を一生ずっと見守ってると、嫌でも腐臭に気付く。 (溜め息) 2,000年間隠し続けてきたのに、私のせいで何もかも台無しになった。典型的だね?

グリーン博士: あなたはこのような状況で出来る限りを尽くしました。

ルーシー・L・レイノルズ: このような状況で。うん、そうかもしれない。

(沈黙。)

ルーシー・L・レイノルズ: 13人。何人か顔見知りもいたんだ。ケニーは広い村じゃない。葬式も開かれた。

グリーン博士: ご愁傷様です。

ルーシー・L・レイノルズ: 私さ、君たちが“記憶措置”だか“記憶処理”だかについて話すのを聞いたんだ。具体的にどういうのかは知らないけど、話の流れからするに、記憶を弄る薬みたいな何かでしょ?

グリーン博士: かもしれません。

ルーシー・L・レイノルズ: ちょっと訊くけど… もしそれを私に注入したら、今までの事を何もかも忘れさせてくれる? あの夜パパが私を起こしたのも、あいつを何年も閉じ込め続けなきゃいけなかったのも、あの… あの肉をあいつの喉に詰め込まなきゃいけなかったことも? せめて、普通の人生を送ってきたと思わせることができるかな?

(沈黙。)

ルーシー・L・レイノルズ: できるかな?

グリーン博士: 残念ながら。

ルーシー・L・レイノルズ: (鼻を鳴らす) だと思った。

[記録終了]

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