SCP-6086

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以下の記事には物理的拷問、感情を掻き立てかねないトピックの描写及びゴア表現が含まれます。

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以下の文書は1906年6月12日に初めて編纂されました。1912年10月2日の異常実体の無力化以後、ファイルのデジタルフォーマットへの転写を除いて文書に変更は加えられていません。

上記理由により以下のファイルはアーカイブ済に分類されており、財団の行う現代及び現在の収容基準を表しているという訳ではありません。

SCP-6086に対して執られた行いとアノマリーの取扱に関する倫理委員会へのあらゆる苦情は受理されません。

特別収容プロトコル: SCP-6086は人間大の実体が容易に出入りし運動できる部屋に収容されます。扉は耐衝撃素材からなり、室内を見渡せる覗き窓を持ちます。収容室には窓やそれに類する物品があってはなりません。

部屋の推奨される家具は以下の通りです。

  • ベッド
  • 自動洗浄トイレ
  • 道具を使用せずに取り外せない排水溝付きシャワー
  • 机1つ
  • 椅子2つ

室内の電灯は常時点灯されます。電源故障のような緊急事態では消灯しても全く問題ありません。

自傷または他者の攻撃に潜在的に使用しうる物品を収容室内に保管することは許されません。そのような物品を室内に持ち込む必要がある場合、可及的速やかに除去されねばなりません。

SCP-6086に与えられる栄養と水分量は、実験を目的として、アノマリー主任研究員の管轄にあります。

説明: SCP-6086は人間高度に生物学的にHomo sapiensに近似した実体であり、イングランド南部のコーンウォールに起源を持ちます。対象の身長はおよそ1.76m、体重は1日平均48kg1であり、記載時点で約71歳であると信じられています。

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SCP-6086, 1910/07/17

対象は複数の起源不明な異常な性質を保有しています。これら性質は主に実体の体内の細胞の超自然的成長に由来していると信じられています。結果として切り傷や軽い火傷のような小さな組織損傷に対するほぼ即時の治癒から数時間を掛けた四肢全体の再生治癒まで含む高度な再生能力をSCP-6086は呈します。対象はその身体のあらゆる部分を再生可能であると信じられています。身体の自然免疫系と同様にがん細胞の形成の可能性に対しても増強細胞増殖は影響しているように見え、しばしば腫瘍結節が作られますが速やかに崩壊します。

多くの見かけ上の付属器がSCP-6086の身体に見つかりますが、そのほとんどは調節されていない細胞分割の結果であり、黒く硬い突起物またはうろこ状の被覆物として表れることがほとんどです。切り開けば体内の異なる部分に実際の生理機能を何も果たしていない複数の疑似臓器が存在しているとわかります。

増強細胞増殖が表出する際に、身体は必要な臓器を創造するために大量の栄養を消費します。増強細胞増殖が間断なく行われた場合もしくは広範な身体部分にて行われた場合、重度の体重減少をきたします。結果としてSCP-6086は再生に用いる脂肪と筋組織の使用に伴って大量の栄養摂取を必要とします。このプロセスを維持するため、体重に比して通常の20倍の量の物質を消化可能な異常な代謝機能を実体は持つと信じられています。2

SCP-6086の2番目の主要な異常効果は生物学上の死への抵抗能力であり、見かけ上の不死性を齎しています。この効果の限界は不明ですが、細胞再生を通常終了させ、アノマリーを終了できるであろうプロセスの後であっても、この能力により完全に生物学的に機能する状態に復帰できることが示されています。その手段とはたとえば頸部切断、重度全身焼灼、または強酸性物質への溶解などです。SCP-6086の細胞は成長し続け、通常の存在でそのような効果が発生する際に必要とする前提条件を満たさずとも再生します。死後状態における再生に用いられる物質をいかなる場所から実体が入手しているのかは不明です。終了以前の状態と比較して、このイベント中にSCP-6086の全身質量は縮小せず、それどころか増大すらします。部分的に、または大部分が破壊された細胞が未だ再生可能であることも観察されています。

それにも関わらず、高水準の機能を果たすには睡眠と水分及び栄養摂取をSCP-6086は未だに必要としています。それら要素の剥奪は実体の緊張病性混迷を引き起こします。

死後蘇生を迂回しうる潜在的効果が恐らく存在すると判断されていますが、SCP-6086は標準の容易に入手しうる手段では無力化できないと信じられています。高齢故に実体が最終的に自己終了するか否かはわかっていません。

SCP-6086の発見

SCP-6086は1906年6月2日にプリマス3にて発見されました。実体には存命の家族または親しい友人はなく、不規則な労働時間かつ不安定な雇用の下、自営業の大工として働いてきたと信じられています。異常効果は街に駐留していたフィールド・エージェントがSCP-6086の関与する労災を目の当たりにした際に発見されました。無関係な火災が商業ビルのほとんどを破壊した後、「パーキンソン・アンド・マクスウェル・ユナイテッド・レストレイション」による修復作業を補助する契約を実体は結びました。事前にはわからなかった構造的脆弱性により、上述の日に支柱が倒壊してSCP-6086に重大な怪我を負わせ、瓦礫の下に生き埋めにしました。実体は倒壊した建物の下から脚と左手及び顔面の骨と皮膚の一部を失いつつも逃れることに成功しましたが、一部始終を偶然フィールド・エージェントに観察されていました。

SCP-6086はアルヴィントン通りの自宅に戻り、そこで失われた肉体部分を再生しました。このプロセスは工夫して家に侵入したエージェントに目撃され記録されました。サイト-37に駐留していた財団職員は通知を受け、収容手順が開始されました。

財団の管轄下にこれまで人間様異常実体がいなかったため、このようなシナリオに対するプロトコルは存在せず、何も実施できませんでした。SCP-6086に関する行動指針を決定するための危機解決会議がサイト-37の最高レベル職員により行われました。会議の転写は以下のファイルにて入手できます。

5人の追加フィールド・エージェントが実体を収容するために派遣され、1906年6月8日の午前2時に家に接近しました。担当職員たちは物理的手段を用いてSCP-6086を失神させ、その拘束に成功しました。その後実体は確保されてサイト-37の待機房に移送されました。

会議参加者:

  • サイト-37総合管理官: ドナルド・ミラー
  • 補助総合管理官: ジョシュア・ベイリー
  • 研究管理官: ファビアン・ターナー
  • 警備管理官: サイモン・リドリー

収容記録


ベイリー-ローゼンの提言


事前資料

以下の提言ではコンテキストが重要であるため、事前資料が添付されています。読み進める前に読者はそれらを知悉しておくことを強く勧めます。




提言要約

以下の提言は「倫理委員会」と呼ばれる独立した財団部門を創設するよう唱えます。倫理委員会は主に監督評議会の諮問機関として働き、可及的最高度にその義務を果たすために必要な全ての資源を有します。

倫理委員会の全構成員は「内部委員会」と呼ばれる行政体の全面的承認を必要とする内部の投票処理を通じて選出されます。倫理委員会構成員を内部委員会以外の者は強制的に解任することはできません。もし倫理委員会構成員にある人物が選ばれた場合、当該人物は現在の全ての任務を中止し、可及的速やかに指定された会合に参加してください。倫理委員会への任命に疑問の余地はなく、選出された個人の意志とは無関係です。

倫理委員会に10年間勤めた後ならば、構成員はいかなる時であろうと辞職を選択できます。このような行動が執られた場合、当該人物は標準退職手続きに従い財団の指揮系統から除外されます。財団職員としての以前の業務への復帰は認められません。

内部委員会の仕事は財団および倫理委員会の規則への内部違反を取り締まり、そして組織に与えられた権力を濫用する構成員を取り除くことです。

「道徳委員会」は倫理委員会の外部の違反を監督する行政体です。道徳委員会の仕事は、最も許容できる方針を決めるために財団の全活動を監督し監査することです。

倫理委員会の全ての構成員は、委員会に加入し次第自動的に第5レベルクリアランスを与えられ、財団の過去と未来の行いについて安全に閲覧可能である全ての情報に対する完全な閲覧権を提供されます。

違反が観察された場合、道徳委員会の構成員が派遣され、当該人物に対してその罪について通知します。合理的な期間内に適切な行動が行われなかった場合、道徳委員会の派遣された構成員の選ぶ必要な手段全てにより、倫理委員会は裁定を執行します。

潜在的に曖昧な道徳的背景を持つ財団職員により行われる全ての将来の行動は、実行前に道徳委員会から承認されねばなりません。

監督官票決要約

状態
承認

倫理委員会命令

倫理委員会創設に続いて、SCP-6086と当該アノマリー関連職員についての裁定が道徳委員会の構成員たちにより議論されました。本命令の示す情報は独占的ではなく、明らかに宣言された問題に関するものに限られています。言及された全職員の容疑が晴れた訳ではなく、表明されていない事柄は将来訴追される根拠となりえます。

本命令に対して不服申し立てはできず、以後30年間他の規則の根拠として利用可能です。

倫理委員会による最初の裁定として、私たちはSCP-6086の事例を取り扱う際に特別な関心を寄せていると表明したく思います。過去数ヶ月、私たちは実体と関連問題全てに入念な調査を行い、SCP-6086の収容と研究に参加した職員に32回のインタビューを行いました。

本委員会が裁定した最初の問題は、SCP-6086を事実上人間とみなしうるかというものでした。人間であることを支持する意見は以下の通りです。

  • 実体が、臨床検査以外では区別の付かない肉体的外見を持つこと。
  • 実体が、収容以前に人間として生活し、人間社会に参加していたこと。
  • 実体の精神が、人間と区別が付かない働きをしていると信じられていること。収容前後で乖離が見つかっていないこと。
  • 実体が自身を人間であると見做していること。

反対に人間ではないことを支持する意見以下の通りです。

  • 実体の存在全体がアノマリーに依存していること。底流する実体の生理が異常な効果により形成されていること。
  • アノマリーが外部の影響ではなく実体の固有の要素であること。

これら全ての意見を真実であると受理し、私たちはSCP-6086が人間ではない、そしてこのような存在が将来の文書及び規則において人間であるとみなされてはならない、という結論に達しました。

それでもなお、この裁決の後に問題が生じました。SCP-6086が人間ではないならば何であるのかという問題です。目下の所、人間の収容に関する規則とSCPの例は存在しませんが、本裁決が宣言するように実体は人間ではありませんので、この疑問は本事例において重要ではないことが明らかです。

代わりに生体標本の収容に関する規則が使用されます。特定の規則を別として、所定の標準プロトコルが「収容されている実体の生存を十分に注意して保証する」ものとして制定されています。それに基づくと、SCP-6086の取り扱いはあらゆる定められた基準に違反していません。それ故に、実体の研究と収容中にファビアン・ターナー博士の行ったあらゆる行動をあらゆる懲戒処分の根拠として用いることはできません。

もう一方では、トーマス・ローゼン研究員もまた全ての嫌疑が晴れました。規則に違反していましたが、ローゼン研究員の行動はサイト、市民、あるいは財団職員の安全を何も脅かさず、また実施中の実験を脅かしもしませんでした。彼の行動の理由は妥当であり、手段自体も財団の利益を懸念して行われたものでした。

多数の財団職員が懸念するため、SCP-6086はサイト-37から退去し、将来の研究をサイト-17にて始めます。加えて、ファビアン・ターナー博士はSCP-6086研究プロジェクトから除名され、サイト-17の適切な職員が割り当てられます。


収容更新

サイト-17への移送中、SCP-6086は合衆国東海岸、より詳細にはボストン、に貨物船「トレローニー」号で移送されていました。

旅行中、SCP-6086は扉に鍵を掛けられ、船舶の第2デッキの一室に監禁されていました。これまでの実体に関する経験から実体のすぐ隣の扉の他に警備手段はありませんでした。不明な手段により、船舶が至近の海岸から約450海里離れた時に、実体は扉から完全に錠と上部のヒンジを取り外し、脱走を試み始めました。

実体はただちに財団職員に発見され警備員に通報されました。SCP-6086が海に身投げをする潜在的リスクがあったため、デッキ外への通路は全て武装職員により封鎖されました。身投げした場合の結果がどのようなものとなるのかは不明です  実体は生存可能であり最終的に海岸まで帰還するか、あるいは海底に囚われることとなり、SCP-6086の回収はほぼ不可能となるでしょう。

警備員がデッキに近付き逃走経路を遮断するにつれて、実体は下の貨物室の方向に移動し始めました。実体が船底に進行しているという事実を勘案し、職員は上部デッキ全てへの経路を遮断していた間に、実体は積荷でバリケードを構築しました。「トレローニー」の設計図によると、外部デッキの他に船外への経路は存在しません。

警備員がバリケードを突破した時、彼はSCP-6086と遭遇しました。SCP-6086は扉の横で待ち構えていました。入室するなりすぐに、実体は物理的闘争を開始しました。アノマリーを傷付ける恐れから、警備員は実体を制圧できず、実体はエンジンルームに向けて逃走しました。

警備員は続けて実体を追跡しました。他の3人の警備員が追跡中に合流し、SCP-6086は最終的に追い詰められ、SCP-6086は船舶のエンジンに落下する様を目撃されました。これが意図的な自殺試行であるか事故であるかは不明です。

実体はエンジンピストンと接触し、四肢が千切れ、その身体のほとんどの組織を引き裂かれるか潰されました。同時に身体の再生を開始し、絶えず組織を再結合しては切断される結果になりました。26分間のプロセスの後、エンジンが停められ、実体を引き出せる程度に減速しました。極端な力、高温、過剰な体重量(追加の余計な手足と器官を含みます)、そして一定の再生サイクルが原因である可能性が最も高いのですが、回収直後のSCP-6086はその身体を適切に再生せず、代わりに曖昧な肉塊を産生しました。

現在、実体の体重は約162kgであり、体積は6m³です。ほぼ全ての身体の部分が相互に癒着していましたが、ある程度の運動能を未だに有しています。ランダムな筋肉の痙攣と口と目であると考えられているものの動きとしてほとんどの場合表れます。ターナー博士により収集されたデータは、このプロセスを逆転させることがほぼ不可能であると示しています。

少量の細胞の腐敗が全身にわたって観察されました。この影響を停止または加速しうるプロセスは不明です。SCP-6086は5~10ヶ月以内に完全に死ぬ可能性が高いです。

現段階では、我々は彼にもう意識がないことを願うことしかできません。

サイト-37補助管理官
ジョシュア・ベイリー





























監督評議会通達

1906年6月2日に財団は大きな課題に直面した。そして多くの人の言う所では、この課題に上手く対処できなかった。人間として現れた最初のアノマリー、少なくとも我々が直接対面した最初のそれは我々の任務の節目であり、我々の組織や世界全体の方向性を否応なしに変化させる新たなる潮流だった。

1912年10月2日に、公式にはSCP-6086として知られるアノマリーがneutralizedに指定された。一番最初に収容された者は、同様に一番最初に失われた者だった。この実体の存在は、財団の論者たちの間で侃侃諤諤の論争と争論の火付け役となり、今なおその死の恐怖はさらに語られる話題となっている。結局の所、この存在が我々の道をその先に導いたのだ。恐らくは生きているよりは死ぬことによって。

監督評議会としては、我々は人間様生物  意思伝達の簡明さと容易さのために「人型実体」と改称する  に関連する新しい規則と規制を導入する。

「独立生物学的実体決議」  IBE Actとしても知られる  により定められた基準は、生物学的かつ独立的であるだけでなく知的で認知能力のある存在に対処するには不十分であると明らかになった。安全な収容の基本は、生存する最低限度の基準だけではなくその状況に応じた生きるのに十分な基準を提供せねばならない。最低限度の生理学的欲求を考慮に入れねばならないが、それだけではなく精神的欲求も同様に考慮しなくてはならない。不必要な危害は利益よりも問題を生じるためである。

宣言しなくてはならないこととしては、この変更の根拠は功利主義的背景であり、道徳的背景ではない。全財団職員はアノマリーを人間よりも優先することは、それが収容されているか否かに関わらず、厳に禁じられており最高度の違反である。

人型実体たちは困窮している集団ではない。

人型実体たちは共同社会の隣人ではない。

人型実体たちは犠牲者ではない。

人型実体たちは脅威である。

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