<転写開始>
<O5-█はポケットアラームをセットして机の上に置く。>
O5-█: C5会議が始まるまで時間があります。有意義に使いましょう。
ベイリー: 送った要約からお分かりでしょうが、私はマイケル・ベイリーです。サイト-37の補助管理官をしています。
O5-█: はい、覚えています。SCP-6086のそれでしたね?
ベイリー: はい。アノマリーの取り扱いに関して告発するために これは理由の一部ですが 連絡を取らせていただきました。
O5-█: この面談がそれについての正しい窓口だと思っているのですか?通常の被収容者に関するプロトコルは私の責任より下のレベルにあります。なぜ君はより…… 適切なアプローチを試さないのですか?私に連絡を取るのも簡単ではなかったと思われますが。
ベイリー: もちろんしましたが、良くても丁寧に拒否されましたし、悪ければバカにされました。
O5-█: ではなぜ君はそれでも追及することを選んだのですか?
ベイリー: これが1つのアノマリーの1つの問題だとは思いません。SCP-6086と創造しているそれは、この先何年も、いえ、何十年も先から来るものの先触れなのです。この…… 人物に対してしてきたこととこれからすることは、ほとんどの人が無視しているレベルにおいて財団に影響するはずです。
O5-█: 意味はわかります。研究チームがこれまでしてきたことを誤りであると考えるに至った切っ掛けはなんなのでしょうか?
ベイリー: 「我々と対抗する彼ら」という物語を創造しており、アノマリーが敵であるかのように取り扱われています。それは敵対的不信感を醸成します。そこでは私たちは客観的に悪役と見られるようになりましょう。そこでは喜んで我々の所に来たかもしれないそれらアノマリーは、当然そうするのを恐れるようになるでしょう。
O5-█: 既に我々は多数に対して敵ではないのですか?ここではなにが異なると言うのでしょうか?
ベイリー: モラルというものです、マム。
O5-█: くわしく。
ベイリー: 疑わしい利益のためにSCP-6086に対して私たちは甚大な暴力を振るっています 他の選択肢を求めることもせずに。私たちは邪悪であることを選んでいます 善良であることに失敗した後という訳でもなく第一選択として。私たちが常にモラルの裁定者になれると考えるほど私はナイーブでも理想主義でもありませんが、フェアなものであることは義務だと信じています。最終手段に代わる道徳的に忌まわしい行いが開始地点になりつつあります。極論を求める人が皆を納得させずともよく、そうではない人がそうせねばならないという地点に。
O5-█: より手緩い態度ではリスクがあるのではないですか?
ベイリー: もちろんあります。ですが私たちの、特にあなたの業務ではいつものことではありませんか?リスクを秤にかけ、できることとしなくてはならないことの狭間の線を歩むのでは?
O5-█: 事実に基づく議論に留めてください。
ベイリー: もちろんです。つまりリスクそれ自体は決断するに相応しい物差しではないのです。私たちがどれを実行可能であるのかを判断できるように、他の可能な選択肢の背景を作るために使われるべきです より道徳的に受け入れられるアプローチを執れる特権的地位にあろうと非道徳的なそれを強制されていようとも。ラジカルな選択肢を調べなくてはならない状況も確かにありますが、間違いなく常にそうであるというわけではありません。
O5-█: SCP-6086の状況においては?
ベイリー: 可能な限り最も明るくそれを説明すれば、サイト-37職員全体の誤判断です。彼らは認めたがりも正したがりもしないようなリスク計算のミスです。そしてなお悪いことに、今や正すことは不可能です。
O5-█: くわしく。
ベイリー: 通常のアノマリーは本質的に影響を与えることなくあらゆる収容の対象となりえますが、命ある、あるいは人間のアノマリーは扱われ方に応じて変化することがあります。SCP-6086の取り扱いは監禁以前の彼の精神を破壊するという精神的傷跡を残しました。これは元に戻せません。
O5-█: このようなアノマリーへの取り扱いに関して君は何をしてほしいのでしょうか?
ベイリー: 一番の問題は、私が思うに、このような問題を扱うインフラが存在しないことです。接触時点の失敗後、サイト-37では、サイト役員会にアピールすること以外の他の行動をしようがありませんでした。既に役員会で合意に達していたのですから。仮に他の部門 研究・物流・収容やその他 内で誤った決定がなされるならば、次の段階では問題をそれに適した部門に持ち込むでしょう。そこでは告発を検討し、必要があれば問題を正すための手段を執るでしょう。SCP-6086の場合では、訴える先の機関は存在せず、他部門は何もできませんでした。なぜなら、彼らの立場からすると規則違反は何も発生していなかったからです アノマリーは安全に収容され適切に研究され、技術的問題は存在していなかったからです。これは問題が実務的なそれではなくモラルの問題だからです。もう一方では他の財団施設も何も行動できませんでした。それは彼らのサイトの管轄を超えて統制を円滑に進められるようになったからです。
O5-█: では、もう一度繰り返しますが、組織の現在の仕組みでは道徳的ジレンマの解消を手助けできるようになっていない、と君は言っているのですね?
ベイリー: はい、マム。
O5-█: それでは君はなにを提案しますか?
ベイリー: 財団の道徳上の問題を監督する独立評議会の設立を提案したく思います。
O5-█: この「評議会」はどのような権限を保持するのですか?
ベイリー: 可能な限り高く。必要があれば、情報への完全アクセス、そして全研究プロジェクトと収容プロトコルに対する完全な統制です。O5評議会直属の、ある種の諮問機関です。
O5-█: 君に教えなくてはいけませんね。セキュリティ上の理由から君やこの提言に関して大いに協力した人は、予算案が通過したとしても、誰もこの評議会に加わることは許されません。
ベイリー: 私と仲間は皆覚悟しています。
O5-█: よろしい。君の提言は大変革命的なものです。
ベイリー: わかっています。そうでもしないと無意味になるでしょう。道徳を押し付けようとする機関が実行手段を持たないだなんて。
<アラームが鳴る。>
O5-█: これで終わりとしましょう。今週中に連絡します。もしアイデアが受領されたなら、君はO5評議会に評価される正式な提言を書類で作成するよう求められます。通知が来た時に必要な情報を提出できるよう準備をしてください。
<O5-█は部屋から退出する。>
<転写終了>