Info
タイトル: SCP-6157 - セニョール・ふわふわ
翻訳責任者: C-Dives
翻訳年: 2024
著作権者: HarryBlank
原題: SCP-6157 - Señor Fluff
作成年: 2021
初訳時参照リビジョン: 29
元記事リンク: ソース
最初に記録されたSCP-6157個体の資料写真。
特別収容プロトコル: SCP-6157個体の捜索は、サイト-55常駐のGOI研究グループが所有する奇跡力痕跡トラッカーを用いて、2022年12月14日に再開される予定です。その際、J・エバーウッド博士は自動的にSCP-6157ファイル担当者に再割り当てされます。
説明: SCP-6157は、ベースライン人類に類似するものの、全身が圧縮されたポリアクリル酸ナトリウムで構成されている異常なヒト型実体群の総称です。現在までに記録された12体はいずれも出現地点が特定されておらず、どの個体も24時間以上生存していませんでした。
発見: 最初のSCP-6157個体は2021年12月14日、アメリカ合衆国 マサチューセッツ州 ボストンにあるプルデンシャル・センター・ショッピングモールにて、ある利用客が“ドルビー・トイズ”玩具店の商品補充係にぶつかった際、その補充係が即座に破裂して人工雪の小山に変わった際に発見されました。現場はサイト-55に近接していたため、J・エバーウッド博士が目撃者への最初のインタビューに派遣されました。
インタビューログ
対象: ネイサン・ウォリス、ドルビー・トイズの倉庫管理者
エバーウッド博士: クリスについて教えていただけますか?
ウォリス: いいとも。まぁ、ちょっとしか知らねえけどな。あそこまで単純な奴にお目にかかったのは生まれて初めてだ。あいつはクリスマスについて話すのを絶対に止めないのさ、何度も何度も繰り返す。今日来店した客を一人残らず質問攻めにした。
エバーウッド博士: 止めるように言いましたか?
ウォリス: 俺はそこまで面倒見る分の給料をもらってないが、店長はしっかり注意したよ。3回も。クリスがなんて言ったか分かるか?
エバーウッド博士: 想像も付きません。
ウォリス: 「俺のナビダNavidadでもないくせに」だとよ。1
エバーウッド博士は笑う。
ウォリス: やっぱ笑うよなぁ。
エバーウッド博士: コメディアンの素質がありそうですね。寂しそうでしたか?
ウォリス: そうでもないかな。大家族の出身だと言ってたぞ。正確には「俺は大家族なんです」だった。変な言い回しだよな。
エバーウッド博士: ええ、あまり宜しくないですね。
ウォリス: そうかい? あんた、大家族の出身?
エバーウッド博士: …そういう意味ではありません。
ウォリス: じゃあ、家族がいないとか?
エバーウッド博士: 人間爆発事件に話を戻しません?
ウォリス: 分かった。
エバーウッド博士: この書類によると、クリスは派遣社員だったそうですね。
ウォリス: ああ。コロナ禍の最中でもクリスマスの伝統は守らなきゃな。ラジオにはクソ、商品棚にもクソ、靴下の中にもクソ、従業員にもクソだ。きっと明日にはクビになってただろうよ。あいつは今日、何一つしてなかったはずだ。
ウォリスは間を置く。
ウォリス: 爆発すること以外は。
エバーウッド博士は頷く。
ウォリス: で、その…
エバーウッド博士: 彼はどこの出身かを話しましたか? 個人情報を明かしたりは?
ウォリス: いや。俺たちはあいつの苗字すら知らなかった。店長はきっと裏でこっそり金を払うつもりだったんだろうな。俺たちが知る限りじゃ、あいつはクリス・クリングルだ。2
ウォリスは間を置く。
ウォリス: マジでクリス・クリングルって名前だった説に幾らまで賭けたい?
エバーウッド博士: あなたはこの異常事態を随分と平静に受け止めてらっしゃいますね。
ウォリス: いいか、俺は40時間寝てない。もう何が起きても驚かねえ。こちとらシフト2連チャンで上司と客に怒鳴られ続けてんだ。正直言って、もっと大勢爆発すりゃいいのにな、ぐらいには思ってる。
エバーウッド博士は頷く。
ウォリス: とにかく、クリスは人を探してるとも言ってた。その話も知りたいよな?
エバーウッド博士はメモを取る用意をする。
エバーウッド博士: 勿論です。どんな手掛かりでも構いません。
ウォリス: あいつはエバーウッドって名前の奴を探してると言った。
エバーウッド博士はウォリスを見つめる。
ウォリス: だから多分、そいつを見つけた方が良いと思うぞ。
ウォリスを始めとする目撃者は記憶処理後に解放されました。爆発した派遣社員の残骸を検査したところ、特異な奇跡力痕跡が検出されました。対象の“大家族である”という証言に鑑みて、速やかにトラッキングシステムの開発が始まりました。
その他の手掛かりが欠けていたため、エバーウッド博士のGOI研究グループは、メディア報道や警察の無線通信を監視し、クリスマスを祝うにあたって不審な態度や問題行動を示す人物を捜索することになりました。翌12月15日の朝、地元警察に、ボストンのコプリー・プレイス・モールにいるモールサンタ3の酒気帯び具合を検査するべきだという通報が入りました。警察の出動は阻止され、代わりにエバーウッド博士が容疑者と接触しました。
インタビューログ
対象: 匿名のモールサンタ、コプリー・プレイス・モール勤務
エバーウッド博士: お名前を教えていただけますか?
2番目に記録されたSCP-6157個体。
サンタ: あなたのお名前なら教えられますよ、エバーウッド博士。
エバーウッド博士: 自分の名前はもう知っています。あなたの名前は分かりません。
サンタ: 俺もです! ところで、本当のクリスマスの意味が何なのかを知りたいですか?
エバーウッド博士: どうしてあなたが私の名前を知っていたかを知りたいですね。
サンタ: サンタは常に知ってますよ。サンタはその情報を持った状態で作られた。
エバーウッド博士: あなたは作られたんですか? 作り手は誰ですか?
サンタ: あなたに本当のクリスマスの意味を知ってもらいたい誰かさんです。あなたは本当のクリスマスの意味が何なのかを知りたいですか?
エバーウッド博士: いえ、それほどでも。後で詳しく聞きます。とりあえず -
サンタ: 了解。
サンタが破裂し、エバーウッド博士を人工雪で覆う。
エバーウッド博士: ぐわーっ!
目撃者は記憶処理されました。
奇跡力トラッカーは翌12月16日にサイト-55に届き、ボストン都市圏をスキャンした結果、コーナー・モールからSCP-6157の痕跡が検出されました。エバーウッド博士が現場に向かっている間、モールの警備員は不審な人物を発見し、拘束するように指示されました。1人の警備員がモールの駐車場でエバーウッド博士と会い、この件について話し合いました。
インタビューログ
対象: 警備員、コーナー・モール勤務
エバーウッド博士: やぁどうも。何か見つかりましたか?
警備員: 本当のクリスマスの意味は見つかってない、というのは確かですね。
エバーウッド博士: それはそれは。不審な人物は見つかりました?
警備員: この時期は一年で一番素晴らしいって俗に言うじゃないですか。
エバーウッド博士: そう言われてますね。
警備員: ホワイト・クリスマスの夢を見るって言うじゃないですか。
エバーウッド博士: ええ。正直、そんなこと言うのはビング・クロスビーだけですけどね。それに、言うんじゃなくて歌 -
警備員: And then we got upsot4、おお、ジングルベルって言うじゃないですか。
エバーウッド博士は警備員を見つめる。
エバーウッド博士: あなたでしたか。
3番目に記録されたSCP-6157個体。
警備員: “Upsot”って何なんでしょう? もしかしてこれが本当の -
エバーウッド博士: “Upset”と同じですよ。普通なら“気分を害する”という意味ですが、その歌では -
警備員: 気分を害するのが本当のクリスマスの意味なんですか?
エバーウッド博士: 私もなんだかそんな気がしてきました。
警備員: すごくクリスマスっぽい気分になってきましたか?
エバーウッド博士: あなたの乗っているそりを引っ繰り返してupsettingやりたい気分に -
警備員が破裂し、撒き散らされた人工雪が風でエバーウッド博士の顔面に吹き付ける。
エバーウッド博士: こん畜生。
目撃者はいませんでした。
次の奇跡力痕跡は12月17日、レンサム・ビレッジ・プレミアム・アウトレットで検出されました。今回、モールの警備員は関与せず、エバーウッド博士は当該個体へのインタビューの進め方を変える予定でした。財団エージェントは静かにモールの利用客を退場させ、記憶処理を施しましたが、エバーウッド博士が到着するまで1人の店員が無反応のままでした。
インタビューログ
対象: 店員、レンサム・ビレッジ・プレミアム・アウトレット勤務
店員: エバーウッド博士。本 -
4番目に記録されたSCP-6157個体。
エバーウッド博士: 本当のクリスマスの意味を知りたいです。
店員は素早くまばたきする。
店員: 勿論そうですよね。ええっと、もしそれがプレゼントだとしたら?
エバーウッド博士: 何ですって?
店員: もしそれがプレゼントだとしたら? プレゼントってすごく大切みたいじゃないですか。
店員は無人になった店内を身振りで指す。
店員: この沢山のプレゼントを見てくださいよ。みんな欲しがります。みんな本当のプレゼントの意味を欲しがるんです。クリスマスの。
エバーウッド博士: 随分と単純化しましたね。
店員: 本当のクリスマスの意味は随分と単純化されてます。
エバーウッド博士: まぁ… その通りですが、道徳という観点から見ると、私にとって“プレゼントかもしれない”はいまいちピンときません。
店員: 道徳があるんですか?
エバーウッド博士: 勿論、道徳はありますよ。あなたたちはみんなこぞって“クリスマス・キャロル”みたいな変な騒ぎをやらかして、いったん私が悟りを得るとピタっと止めちゃうじゃないですか。
店員: ダサいプレゼントを貰ったことはありますか? きっとすごく嫌でしょうね。
エバーウッド博士: う -
店員: きっと本当のクリスマスの意味って、すごく嫌じゃないプレゼントを貰うことなんですよ。
エバーウッド博士: “大切なのは気持ち”という言葉を聞いたことが無いんですか?
店員: 無いです。
店員は前のめりによろめき、カウンターに頭を打ち付ける。店員の頭が破裂し、人工雪がエバーウッド博士のズボンと靴に零れる。
エバーウッド博士: 今回はまだマシかな? そうかもね。
12月18日及び19日に出現したSCP-6157は、出現パターンが変化したため、財団の対応が間に合いませんでした。18日の個体は当初、チャールズ川を下っているように思われましたが、機動部隊ガンマ-5 (“燻製ニシンの虚偽”) が凍結した水面を割ったところ、当該SCP-6157個体は恐らく溺死の結果として既に粒子化していたことが確認されました。19日の個体はブリッジ・ストリートで交通事故に巻き込まれました。事故の目撃者は、SCP-6157が市内バスの側面に貼られた広告を近くで見ようとして車道に出ていき、撥ねられて即座に破裂したと証言しました。目撃者は記憶処理され、バスは粒子除去のために押収されました。
12月20日、新たな個体がワシントン・パーク・モールで検出されました。エバーウッド博士が調査に赴きました。
インタビューログ
対象: モールサンタ、ワシントン・パーク・モール勤務
エバーウッド博士: こんにちは。
7番目に記録されたSCP-6157個体。5
サンタ: 外は寒いですIt's cold outside。
エバーウッド博士: お願いですから歌い始めないでください。
サンタ: あなたは間違ってました。本当のクリスマスの意味は屋外にはありません。屋内にあるんです。モールの中にあるはずです。
エバーウッド博士: どうしてあなたはこの教訓にそこまでこだわるのですか?
サンタ: それがこの季節の意義ですもん。
エバーウッド博士はサンタを見つめる。
サンタ: 本当のクリスマスの意味って、本当のクリスマスの意味なんでしょうか?
エバーウッド博士: 成程、あなたたちは実のところ答えを知らな -
サンタ: 知らないということ? 見つけ出すこと? 見つけようと頑張ること? 俺は心臓があるべき場所に穴が空いてるイケメンで、ただ相応しい女の人が現れて氷を溶かしてくれるのを待つべきだということ?
エバーウッド博士は数秒間、返答を頭の中でまとめようとする。
エバーウッド博士: …いいえ? 絶対に違いますね。
サンタ: いいえ? 絶対に違う?
エバーウッド博士: 絶対に違います。心臓があるべき場所に穴が空いている人を解凍したら、その人は死ぬだけです。
サンタは素早くまばたきする。
サンタ: もしかしたら死ぬことかもしれない。
エバーウッド博士: すみません、何ですって?
サンタ: もしかしたら本当のクリスマスの意味って、死ぬことなのかも。
エバーウッド博士: 違います。
サンタ: 俺にとってはそうかもしれません。
サンタが崩れて人工雪になり、座っていた椅子の上や周囲に散らばる。
モールはCOVID-19パンデミックの煽りを受けて既に閉鎖されていたため、記憶処理すべき目撃者はいませんでした。
12月21日の出現は、SCP-6157が異例にもオールド・サウス教会を活動場所に選んだため、深夜になるまで検出されませんでした。境界線が設けられ、聖職者たちが記憶処理のために拘留された後、エバーウッド博士は正面入口で蝋燭の消火と再点火を繰り返しているSCP-6157を発見しました。
インタビューログ
対象: ロシア正教会の神父6
神父: 祈りに来たんですか、子よ?
8番目に記録されたSCP-6157個体。
エバーウッド博士: おお、兄弟よ。演技は止めてください。
神父: 父です。
エバーウッド博士: はい?
神父: 兄弟ではなく父ですよ、子よ。あなたの両親は、あなたがこんな遅くまで起きているのを知ってるんですか、子よ?
エバーウッド博士: ええと。
神父: 夜更かしするのが本当のクリスマスの意味なんでしょうか? あなたはサンタに祈りに来たんですか? あなたはこれまで良い小さな男の子たちや女の子たちでしたか?
エバーウッド博士: 全く訳が分かりません。
神父: あなたもね、ふふ。
神父は残っていた蝋燭の火を消す。
神父: 神様が本当のクリスマスの意味なんでしょうか?
エバーウッド博士: あなたはどう思います?
神父は各蝋燭に再点火する。
神父: いえ。
神父は消失する際、蝋燭の上に崩れ落ち、小規模な火災を引き起こす。エバーウッド博士が消火器を見つける前に、炎は芳名帳を包み込み、芳名帳が置かれていたテーブルをひどく焦がす。
捜索パラメータを拡張し、追加のトラッカーを手配したために、12月22日の個体は速やかに発見されました。この個体はホームレスの男性を装い、ボストン・コモン公園のベンチで寝袋の上に座っていました。
インタビューログ
対象: ホームレス男性
エバーウッド博士がベンチに座る。
9番目に記録されたSCP-6157個体の出現地点、インタビュー後。
エバーウッド博士: もしこの全てに何かしらの筋があるのだとしても、あなたにはその筋を通す時間があまり残されていない。
ホームレス男性: それは本当にその通り。
2人は機動部隊ガンマ-5が通行人たちを公園の外へ慎重に誘導するのを見ている。
ホームレス男性: あなた、家族はいますか?
エバーウッド博士: いえ… その言葉が本来指すような意味では、いません。
ホームレス男性: 俺にもいないんです。俺たち自身を除いてはね。
エバーウッド博士: それはつまり… あなたたちは記憶を共有しているんですか? それとも、一人ひとり違うのですか?
ホームレス男性: そうです。
エバーウッド博士: おっと、両方? どういう感じなんですか、認識能力が個別に独立しているのに記憶を共 -
ホームレス男性: 2つ目の質問の答えは、いいえ。
エバーウッド博士は溜め息を吐く。
ホームレス男性: すみません。俺ってちょっと鈍いんです。何しろ -
エバーウッド博士: 認識能力を共有しているから。
ホームレス男性は笑う。
エバーウッド博士: あなたにユーモアのセンスがあるとは思いませんでしたよ。
ホームレス男性: もしかしたらそれが本当のクリスマスの意味かもしれません。
エバーウッド博士: 多分違いますね。
ホームレス男性: 多分違いますよね。
公園はほぼ無人になっている。
ホームレス男性: あなたは1人だけしかいないんですか?
エバーウッド博士: ええ。
ホームレス男性: それは -
エバーウッド博士: 独りぼっちであることが本当のクリスマスの意味かって話ですか?
ホームレス男性: はい。
エバーウッド博士: そうではないことを望みますよ。
ホームレス男性: 俺もです。
ベンチの上に張り出した木の枝から大量の雪が落下し、ホームレス男性とエバーウッド博士を直撃する。ホームレス男性の身体が崩れる。
目に見えて苛立った様子のエバーウッド博士が雪の中から現れる。
12月23日の個体は早朝、まだ開店前のサウス・ベイ・センター・モールで発見されました。開店が延期され、従業員が拘留されている間に、エバーウッド博士はSCP-6157個体と対峙しました - 当時、SCP-6157はまたしてもモールのサンタクロース交流コーナーに出現していました。モールサンタは椅子に座って眠っており、エルフに扮した係員が彼を起こそうと試みていました。
インタビューログ
対象: モールサンタ
係員: すみませ -
エバーウッド博士: どいてください。サンタに話があります。
係員: でも -
エバーウッド博士は椅子の正面の床にあぐらをかいて座る。
10番目に記録されたSCP-6157個体。
エバーウッド博士: ほらっ! ご老人! 起きてください!
エバーウッド博士が指を弾く。サンタはハッとして飛び起きる。
サンタ: どうしました? 開店?
サンタはエバーウッド博士を見下ろす。
サンタ: あなた、サンタを訪ねるにはちょっと年を取り過ぎてやしませんか?
エバーウッド博士: すぐ本題に入りましょう。本当のクリスマスの意味とは何ですか?
サンタ: 1つだけじゃない。
エバーウッド博士: え?
サンタ: 1つだけじゃないんです。2つでもありません。クリスマスには、そこに意味を見出す人の数だけ異なる意味があります。祭日のような個人的なものが、どんな文脈でもたった1つの特定の意味しか持たないと思うのはバカだけです。
エバーウッド博士: ええ、オーケイ、それは確かにそうですが -
サンタ: 質問自体が幼稚ですよ。子供が訊くことです。なんであなたはその歳になってモールサンタに子供の質問をしに来たんです?
エバーウッド博士: あのですね、そもそもこれは私の質問ではなくて、あな -
突然、係員が前のめりによろめき、エバーウッド博士にぶつかって破裂し、人工雪の雲となって博士を包み込む。
エバーウッド博士: ぐわーっ!
サンタ: なんだっ? 何が起こった?!
目撃者は記憶処理されました。
12月24日、SCP-6157個体は検出されず、エバーウッド博士はGOI研究グループのために、サイト-55で即興のクリスマスパーティーを開催しました。
監視カメラ映像
対象: 休憩室クリスマスパーティー
エバーウッド博士は、助手のレックス・アルケスと共に、オープンバーに座っている。
エバーウッド博士: 私はすっかりのめり込んでしまったみたいだ。
アルケス: 何にのめり込んだんですか?
エバーウッド博士: 例のアノマリーだよ。あいつが私に何かを教えてくれると思ったのか、私があいつに何かを教えてあげられると思ったのか分からないけれど、間違いなくどっぷり深入りしてしまった。時としてこの種のアノマリーには何の意味も無いっていうのを、私は毎回忘れるんだ。
アルケス: でも、たまには意味がある。そうですよね?
エバーウッド博士はプラスチックカップからパンチを一口すする。
エバーウッド博士: たまにはね。ワンダーテインメント絡みのアノマリーには大抵の場合、意味がある… 時代によっては必ずしも喜ばしい意味ではないにしてもね。だけど、これが何であれ… うん。この一件は全く無意味じゃないかって気がする。
アルケス: じゃあ、そうしてそんなに悩んでるんですか?
エバーウッド博士は肩をすくめる。
エバーウッド博士: 多分、私にとって結局はこれが何かを意味し始めたからじゃないかな? つまりさ、私はこういう事件が起こっていること自体を苦々しく思っちゃいない。冬は憂鬱な季節だし、誰だって12月はいつもよりちょっぴりおちゃらけたことをしたくなる。でも… 気の毒なんだ、あいつらが… あいつが… どう呼ぶのが正しいか知らないけどさ。毎日バラバラになって、答えは決して得られない…
アルケス: なんだかあなたに似てますね。
エバーウッド博士は鼻を鳴らす。
エバーウッド博士: それを言うなら“私たちに似てる”だろう、レックス。
アルケス: レックスって誰ですか?
レックス・アルケスが休憩室の入口に現れる。
アルケス: おいっ、俺の白衣を勝手に持ってったのはどこのどいつだ?
実体が崩れ、座っていたスツールの上や周囲に零れる。エバーウッド博士は後ろによろめき、飲み物を身体に零す。
エバーウッド博士: うわうわうわ、マジでか。
最後のSCP-6157個体と推定される実体は、クリスマス当日、サイト-55進入禁止区域のすぐ外側にある、無名の小さな公園に出現しました。エバーウッド博士が当該個体に接近し、他者から干渉されないように財団エージェントが警備にあたりました。
このSCP-6157個体は、厚手の冬用コートとスノーパンツを着用した、目立った特徴のない男性の姿を取っていました。エバーウッド博士が交流を開始するまで、当該個体は地面に積もった雪の上にスノーエンジェルを作っていました。
インタビューログ
対象: SCP-6157
エバーウッド博士: メリー・クリスマス。
SCP-6157: メリー・クリスマス。
最後に記録されたSCP-6157個体。
エバーウッド博士: そして、良いお年を。
SCP-6157: 多分、俺は無理でしょう。
エバーウッド博士: 無理なんですか?
SCP-6157: 無理です。
エバーウッド博士: クリスマスまでの12日間、それっきり?
SCP-6157: ええ。
エバーウッド博士: これが見当違いの12日間なのは分かってますよね? “クリスマスの12日間”は本来、クリスマス当日から1月6日までですよ。
SCP-6157: もう、別にいいじゃないですか。どうせ全く無意味なんですから。
2人とも笑う。
エバーウッド博士: 渡したい物があるんです。
SCP-6157: プレゼント?
エバーウッド博士: はい。あなたが消えたら、代わりに私たちが保管することになるでしょうが、きっと来年また会えますよね?
エバーウッド博士は厚く包装された箱入りのバッグをSCP-6157に手渡す。
SCP-6157: もしかしたらね。
SCP-6157は箱の包装を解く。中には黒いフェルト帽が入っている。
SCP-6157: 魔法がかかってたりします?
エバーウッド博士は首を横に振る。
エバーウッド博士: あなたはそれ無しでも立派な魔法です。ありがとう。
SCP-6157: それは何に対して? 俺はあなたに何も用意していないんですよ。
SCP-6157は帽子を被る。
エバーウッド博士: あなたは私のことを思ってくれました。ここしばらくの間、多分他の誰よりも深く。間違いなく私自身よりも深く。
SCP-6157: それをなんて呼ぶか、知ってますか?
エバーウッド博士: 哀れ?
SCP-6157は首を横に振る。
SCP-6157: ひょっとしたら、それが本当の -
SCP-6157が話している間に、エバーウッド博士は一握りの雪をすくい上げ、言い終わる前にその顔に雪玉を投げつける。SCP-6157は雪の中に倒れ込むが、無傷のままである。
SCP-6157: これも自業自得かなぁ。
エバーウッド博士はSCP-6157の隣に横たわり、片翼のスノーエンジェルを作り始める。少し間を置いて、SCP-6157も反対側の腕で動きを真似始める。消失は約20分後に発生する。
以下のメモがSCP-6157のコートのポケットから発見されました。
ポケットには他にも、手書きのプレゼント名札が付いたコーンパイプが入っており、現在はエバーウッド博士が所有しています (指定された受取人だったため) 。2022年の新たな出現を期待して、フェルト帽はサイト-55の安全ロッカーに保管されています。









