アイテム番号: SCP-6272
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-6272への既知の入口は全て封鎖されています。内部の活動を監視し、必要であれば探査を実施するべく、職員用の施設が既知の各入口地点に設置されています。これらの地点に接近しようとする人物がいた場合は、拘束した上で尋問し、必要に応じて記憶処理を実施してください。
SCP-6272から回収された死体は、適切な廃棄のために外部へ送られます。
本稿執筆現在、SCP-6272-2の探査は禁止されています。
説明: SCP-6272はインディアナ州ニューボーンの広大な洞穴であり、多数の異常現象の発生源となっています。SCP-6272の入口のすぐ外側にいる人物は、SCP-6272の性質を知らない場合であっても、内部を覗いた際に恐怖や疑念、幸福感が生じると報告しています。しかし、これらの感情効果は容易に無視できるものであるため、SCP-6272が異常領域ではなく収容対象のアノマリーとして指定された主な要因は、SCP-6272-1の存在にあります。
SCP-6272-1は10〜12歳と見られるヒトの男児の死体です。試験により、SCP-6272-1は外部からの刺激で損傷しやすいと判明していますが、その一方で自然に起こる経年劣化の兆候を示しません。
現時点で、SCP-6272内にはSCP-6272-1の複製体が約185,000体存在します。
SCP-6272-1のほとんどはSCP-6272の辺り一面に散在していますが、小山や壁、(64例の) 建物といった、原始的な構造物を形成しているものも観測されています。建物の外形は、様々な長さの黒いロープでSCP-6272-1群を縛り付けて固定されているように見受けられます。本稿執筆現在、30,000体のSCP-6272-1群の回収と処分に成功していますが、SCP-6272内部の総質量は減少していないように見受けられます。これがただ単に多数存在するためであるのか、SCP-6272内にSCP-6272-1の複製体を追加で生成する機構が存在するためであるのかは現状不明です。
SCP-6272-2はSCP-6272内に存在する、数kmに及ぶ巨大な穴であり、下方に未だ不明な距離続いています。光はSCP-6272-2に差し込まないと見られており、それが原因で内部は全くの暗闇であることから、現場の職員による目視検査は不可能です。これまでにSCP-6272-2を探査する試みは全て失敗しています (補遺6272-2参照)。
SCP-6272内の作業員からは、苦痛を思わせる大きな叫び声がSCP-6272-2内から聞こえたと何度か報告されています。この音の発生源はまだ特定されていません。
補遺6272-1 (構造物ログ)
以下はSCP-6272内で発見された標準外の全構造物から抜粋した記録であり、その内部で発見された全ての物品についても合わせて記録されています。完全版の記録はサイト-83で保管されており、要請すれば閲覧が可能です。
構造物6272-12 (2020/02/03)
構造物の説明: SCP-6272-1群で構成された小さな小屋。内部にある家具は椅子2脚とテーブル1台であり、同様にSCP-6272-1群で構成されている。
上述したテーブルの上には、子供向けの絵本に似た物品が置かれていました。表紙と内ページは白紙でしたが、1ページ目にのみ以下の文章が書かれていました。
昔々ある森に、ビッグ・ジョリー・ドラゴン (Big Jolly Dragon) が幼き仲間と暮らしていました…… 彼らは幻想の国 (the Land Fantastic) で共にはしゃぎ、共に遊び、笑顔を浮かべながら冒険を繰り広げていました!
「これからもずっと友だちでいようね、BJD!」幼き仲間がそう言うので、彼は喜んでうなずきました!
彼らはずっと一緒にいるはずでした。
構造物6272-19 (2020/04/14)
構造物の説明: SCP-6272-1群のみで構成された、3部屋の小さなコテージ。内部には本箱やテーブル、椅子が多数存在し、いずれも同様にSCP-6272-1群で構成されている。
上述した本箱のうちの一つには、子供向けの絵本に似た物品が収められていました。表紙と内ページは白紙でしたが、2ページ目にのみ以下の文章が書かれていました。
ところがそんなある日、お日様の輝きから不思議さ (Wonderful) が少しずつ失われていきました……
空のお月さん (Mr. Moon) は顔を失くしていき、お花さん (Mr. Flower) は言葉を失くしていったのです!ビッグ・ジョリー・ドラゴンは、ビッグ・サッド・ドラゴン (Big Sad Dragon) と化しました。
「きっと世界はもうドラゴンを望んでなんかいないんだ…… 」ビッグ・サッド・ドラゴンは泣き出してしまいました。「そんなことないよ! 大丈夫だって!」
構造物6272-33 (2020/07/21)
構造物の説明: 5階建てのアパートメントに似た建物。全ての部屋にSCP-6272-1群で構成された家具が完備されている。この構造物は発見から間もなくして安定性を失い、倒壊した結果として探査チームのうち2人の命が失われた。
有機物の残骸から、子供向けの絵本に似た物品が回収されました。表紙と内ページは白紙でしたが、3ページ目にのみ以下の文章が書かれていました。
「心配しないで!」幼き仲間がそう言いました。「とにかく、君が安全で幸せに過ごせる場所に行かなきゃ!」
彼はビッグ・サッド・ドラゴンの手を引いて、国で一番大きなほら穴へと導きました……「ここ、なんだか怖いよお!」ビッグ・サッド・ドラゴンは泣き出しました。「大丈夫だって! そんなことないよ!」
そんなことがありながらも彼はそのほら穴に留まり、そうして長い年月が過ぎると、そのきれいなウロコはすっかり闇に包まれてしまいました。ビッグ・サッド・ドラゴンは幻想と不思議の友ではなくなり、別の何か (Something Else) と化しました。
構造物6272-62 (2020/11/04)
構造物の説明: 発見当初、探査チームはこの構造物が何を模しているのか断定できなかった。しかし、調査を進めた結果、この構造物はSCP-6272の入口の一つをSCP-6272-1群のみで模造したものと判明した。
構造物の開口部には、子供向けの絵本に似た物品が置かれていました。表紙と内ページは白紙でしたが、4ページ目にのみ以下の文章が書かれていました。
ある日、幼き仲間が友だちに食べ物をあげに帰ってきました! ところが彼が戻ってきたとき、そこにいたのは別の何かだけでした。
「こんにちは!」幼き仲間は言いました。「ビッグ・ジョリー・ドラゴンを探しているんだ! どこかで見かけなかった?」
「うん」別の何かは答えます。「うん、かれならここをとおっていった。こっちきて。もっとちかくに」それから別の何かはこの本にはとても書けないようなことをしました。
構造物6272-64 (2021/02/01)
構造物の説明: SCP-6272-1群のみで構成されたアーチ道。SCP-6272-2へと直接通じており、結果としてSCP-6272-2の発見に至った。その後の調査により、各SCP-6272-1には "HARBINGER" という単語が身体の至る所に焼き付いていると判明した。
このアーチ道の内側には、子供向けの絵本に似た物品が縛り付けられていました。表紙と内ページは黒く塗りつぶされていましたが、最後のページにのみ以下の文章が書かれていました。
あるひ別の何かはせかいでいちばんおおきいあなをみつけました
そしてあるひかれはだれもよそうだにしないことをしました
そしてあるひ別の何かのすがたは (判読不可)
補遺6272-2 (ドローンでの探査):
SCP-6272-2の場所までの安全な道のりを確立したのち、探査を幾度か試みたものの、いずれも失敗に終わりました。SCP-6272-2に進入した途端に人間の被験者との交信は途絶し、探査用ドローンとの交信でもほんの10〜12秒しか継続しませんでした。
以下はドローンでの探査から回収された、最も欠損の少ないログです。今後の探査は現在保留されています。
ドローン番号: IK-821999
ドローン操縦者: ジェームズ・オリファント=ハーパー
日付: 2021/04/12
交信開始。
報告: SCP-6272-3が真正面に見える。
ドローン前進。
報告: ドローンが開口部へと機動。
ドローン前進。
報告: ドローンが完全にSCP-6272に進入する。
ドローン前進。
報告: 何も見えない。
ドローン前進。
報告: 何も見えない。
ドローン前進。
報告: 何も明瞭には見えない。
ドローン前進。
報告: 笑顔がない。
交信途絶。