アイテム番号: SCP-6316-JP-J
オブジェクトクラス: None
旧特別収容プロトコル: SCP-6316-JP-Jは財団機密サーバーにhtmlファイルとして保存されています。情報の氾濫を防ぐためSCP-6316-JP-J担当職員のみがアクセス可能になっており、登録された端末以外からのアクセスおよび編集作業は不可能となっています。また特に必要では無い場合、情報流出の危険性を抑えるためレポート内の表記はアイテム番号ではなく製品名またはその略称に置き換えてください。
特別収容プロトコル: 現在SCP-6316-JP-Jは財団機密サーバーに偽装した通常のサーバーにhtmlファイルとして保存されています。データのコピーや印刷による持ち出しは禁止していますが、セキュリティクリアランス1以上の職員は自由にアクセスし閲覧することができます。また新たなSCP-6316-JP-Jを追加するために管理担当職員にレポートを提出することが可能です。また特に必要では無い場合、情報流出の危険性を抑えるためレポート内の表記はアイテム番号ではなく製品名またはその略称に置き換えてください。現在SCP-6316-JP-Jの内容に閲覧制限はありませんが、登録された端末以外からのアクセスおよび編集作業は"博士"追跡のために全て解析されます。
説明: SCP-6316-JP-Jは要注意人物として知られる"博士"の死亡説の総称です。SCP-6316-JP-Jは一見デタラメで強引にこじ付けられた情報の羅列に見えますが、読んだ人物に「"博士"は既に死んでいる」という確信を持たせます。異常性に暴露した者は更なる死亡説に繋がる根拠をデッチ上げ、"博士"の関連するオブジェクトの全ての情報を「"博士"の死亡を示す」という一点に集約しようとします。過去に財団職員の間に流行した際にはクラスA記憶処理薬をサイト-81██全域に散布することで鎮静化を図りましたが、20██年1月現在までに1█回の再発生・流行が確認されています。
SCP-6316-JP-Jは現在までに各"博士"が製作したとされているオブジェクトの報告書に基づき構成されており、SCP-6316-JP-Jによれば初代"博士"と2代目"博士"は死亡し、現在"博士"は3代目であると考えられています。なお、"博士"としての活動は依然停滞してはいないことに留意してください。それぞれの"博士"の特色により"初代死亡期(前期)"、"2代目台頭期(中期)"、"3代目台頭期(後期)"と分けられています。
初代の"博士"は2000年代中盤あたりに死亡したものと見られます。死亡理由については後述のSCP-6316-JP-Jで分析されたオブジェクトの性質などから、内臓疾患による多機能不全であるとされています。
2代目の"博士"は「博士のわくわく大ぼうけん毛布」のインタビューログに見られるような粗暴な人物で、初代の生命維持に使用されたとされる技術を製品に流出させた本人であると考えられています。初代の死亡した年と同時期からオブジェクトへの対応から粗暴な性格が見え隠れし、製品にはワンダーテインメント博士の模倣以外に要注意団体へのなりすましが多く見られるようになってきます。これらは代替わりした2代目の性格によるものと考えられます。2代目はその性格の粗暴さ・初代へのリスペクトの不足・向上心皆無・カリスマの無さなどから研究メンバーに見限られて殺害されたと考えられています。
3代目"博士"は幼女です。理由は後述のSCP-6316-JP-Jで説明します。
初代"博士"死亡期
ワンダーテインメント博士の偽物として博士のスパイなりきりセット!や博士の大爆笑ギャグ250連発大図鑑!のようなオブジェクトを作成していた博士ですが、ある時期から生物の接合や分割保存、まるで高度な外科手術を行うような技術を開発し、製品の性質に偏りが生じてきました。これらは当初、"博士"が誰か近しい人物に施術するためだと考えられてきましたが、それが"博士"自身の死亡につながるものだと考えると途端に共通点が見出せるようになったため、財団職員の間で大流行し、SCP-6316-JP-J "死亡説"としてまとめられることとなりました。
<SCP-6316-JP-J-1 - [年不明]/02/06>
対象: 博士の生きて動く!動物模型シリーズ第1弾『ヒグマ』
根拠: 第4号セットパーツの心臓は「平均的な成人男性のもの程度の大きさの心臓」とされており、元々ヒグマの心臓として機能させるには明らかに小さく、同様にセットパーツの血液は「ほぼ人間のものと成分が合致していた」ため元は人間用に開発されていたのではないだろうかと考えられています。またアイテム番号 SCP-913-JPの数字部分だけをそれぞれ裏返すと"9→d"、"1→I"、"3→E" つまり"dIE(死)"と読めます。アイテム番号を割り振った職員もこの事実に気づいており、わざわざこの番号を振ったのではないでしょうか。
分析: "動物模型シリーズ"は生きた動物を分解した状態で生存できるよう加工したものであり、第2弾以降のシリーズが予定されながらも第1弾の完成を以って開発が中止されています。これは"博士"が生き長らえるために自身の体組織をバラバラにしても長期に渡り保管できるように開発した技術であること、途中で"博士"が死亡してしまったことにより放棄されてしまったプロジェクトであることは想像に難くありません。
<SCP-6316-JP-J-2 - 199█/██/██>
対象: 博士のわくわく大ぼうけん毛布
根拠: 電話対応をした対象の態度からは初代"博士"が死亡したことによる焦りとストレスから来る退行の症状が見られます。この横暴な態度は、初代の死後、製品在庫と技術を盗み取ったとされる2代目であると推測されています。また説明書にある「明日から真の冒険が始まる!」という文面も"真の冒険の始まり=死後の世界への旅立ち"であると指摘されています。
分析: 年代的に2番目に開発されたであろう製品、2度目の睡眠にて被験者が死亡する、2代目の存在、対立や比較を意味する2、この説が2番目であるなど、この製品に"2"という数字が多く関連しています。これらは22=4(死)を意味するほか、キリストが復活する日数や安定を象徴する数として用いられる"3"という数字に1つ及ばないことから、これは"博士"の死を意味しているとされています。
<SCP-6316-JP-J-3 - 200█/██/██>
対象: 博士のできそこないジュラシック・パーク
根拠: ハリボテで幻覚を見せるといった特性は、表に出ることが難しくなった博士の容態を悟られまいとして2代目もしくは助手によって実験的に作られたものだとされています。"博士のできそこないジュラシック・パーク"-1~12(以下"Jurassic-1~12")に分類される動物はそれぞれ当時の"博士"の状態を表していると考えられます。カモフラージュのはずのJurassicシリーズが要注意団体に売却されていたことからも、"博士"の方針の転換、つまり代替わりがあったためと推測できます。
Jurassic-1 ベース: インドゾウ(Elephas maximus indicus)
ガネーシャの逸話になぞらえて復活させる技術を研究していたのではないか。また切り離したものを結合させるという行為は"動物模型シリーズ『ヒグマ』"で述べたとおりの技術の一環でもある。
Jurassic-2 ベース: イリエワニ(Crocodylus porosus)
「がんこちゃん」の着ぐるみの下半身が代わりに縫い付けられているという点について、「ざわざわ森のがんこちゃん」の設定が「人類が滅亡した後の物語」であることから、"博士"という存在が滅亡の憂き目に遭ったことを示唆していることは想像に難くありません。
Jurassic-3 ベース: シロカジキ(Istiompax indica)
多分生前の"博士"の好物だったであろう、病状の悪化した"博士"に少しでも食事を摂ってもらおうと用意された食事の余りか何かで作られたのではないか。
Jurassic-4 ベース: シロサイ(Ceratotherium simum)
ボール紙の裏側には黒の油性インクによって「ミスったけどそのままで」と日本語で書かれていたという点について、"博士"には修正する時間や気力が既に無かったのではないだろうか。 またJurassic-3および4に使用されたシロサイの角が妙薬として有名であることからも"博士"の病状が迷信に縋るほど悪化していたとも取れます。
Jurassic-9 ベース: キジバト(Streptopelia orientalis)
その状態は頭部のみ羽毛が毟られており、とされているため、おそらくハゲであった初代"博士"を模したのか、もしくは製作したのが後の2代目であるならば、2代目はハゲでキジバトの羽毛に嫉妬し個人的な恨みで毟ったのだと考えられます。
Jurassic-12 ベース: ウツボ(Gymnothorax kidako)
背部には緑色のばらんが接着されているのは、出前で取った寿司か何かに付いていたのを使ったのではないだろうか。Jurassic-3での説など、初代は魚類が好物であったことの裏づけです。
分析: SCP-6316-JP-J-3には一部不適切な箇所が見られるため、修正の要請が出されています。
<SCP-6316-JP-J-4 - 200█/██/██>
対象: 博士のだいすき! ハンバーガーマシン
根拠: 博士のだいすき!ハンバーガーマシン(以下"ハンバーガーマシン")稼動停止の言い分は「味が変化した」でしたが、実際には味・成分は変わっていないため"食べる側の人物"が変わった、即ち代替わりしたことの暗示であるとされています。また稼働中に名称が「博士も大好き!〜」や「みんなだいすき!〜」に変化したのも同じ要因であるとされています。
またハンバーガーマシンの外装に用いられている██████社のキャラクターの名前はハンバーガーと"泥棒"を意味するダブルミーニングであり、2代目は模倣や盗作を得意としていることを示唆しています。
分析: 前述のとおり機能停止した200█年以降、"博士"による製品は他要注意団体の模倣品や、ワンダーテインメント博士のミスターシリーズをアイデアを横取りしたような粗悪品が多く見られるようになりました。ミスターシリーズには後述のミスター・いいひと(200█年)や、ミスター・GIJINKA、ミスター・とりっくあんどとりーと(2013年)、ミスター・げろげろ(20██年)、ミス・げいじゅつはばくはつだ(20██年)などが含まれ、この年代を転換点として開発が行われたことが分かります。
特に"ミス・げいじゅつはばくはつだ"の際の対応は、"わくわく大ぼうけん毛布"の対応を行った人物と酷似しており、2代目の台頭してくる時期と一致しています。
<SCP-6316-JP-J-5 - 20██/██/██>
対象: ミスター・いいひと(200█年に博士の-Aが発表、20██年にワンダーテインメント博士の-Bが発表されている)
根拠: これにも"動物模型シリーズ"に見られるような「分解・接合」の異常性が見られます。これはミスター・いいひとの"他人の身体を接合する"という特性自体が、初代の難病を治療するためのプロセスに近いものだったのため、ワンダーテインメント博士の製品を購入し構造を研究していたのではないかと推測されています。しかし時既に遅く初代"博士"は死亡し、後に模造品として出荷販売を決定したのは自身の利益だけを重視する"2代目"の行動であると考えられます。
分析: shAre-nus(2016年)も同様に「接合」の異常性が見られるため、よほどこの分野に関心があったと見られます。逆を言えば、この分野に製品が偏っているのも"2代目"には新技術を開発する力量が無いため・模造品しか作れない2代目時代の特徴であるとも言えます。
2代目"博士"台頭期 〜 失脚から3代目"博士"への交代の根拠
この時期には"博士"が死亡したとされるメッセージが多く発信されています。これは初代の死を知っており"2代目"の所業を良く思わない関係者(後の"3代目"と推測されています)が外部に知ってもらおうと意図的に仕込んだメッセージであると考えられています。またこの時期にはワンダーテインメント博士の日本進出番組:ニセ博士をやっつけろ!(2015年)の放送もされており、2代目"博士"は内輪組織だけでなく各方面からも嫌われていたことが分かります。
<SCP-6316-JP-J-6 - 2011/██/██>
対象: 博士の逆転!ホラー館
根拠: 発表された年代が前後しますが、"博士"を失った後、後続の助手らは独自に平行世界や死後の世界の研究を行っていたとされており、以降のオブジェクトは死者の蘇生などを研究対象とした物が多く見られるようになります。これ以降から"3代目"の台頭する時期に転換していきます。"ホラー館"の発表は年代的には"2代目"の活動時期で、技術開発に興味を持たない2代目が未完成のまま出荷したものと考えられています。
分析: "ホラー館"が発表された2011年以降のオブジェクトは死者の蘇生などを対象とした物が多く見られます。後述の博士のつよーい!パンテラちゃんインナーウェア(2017年)では幽体の物質化、博士のプリンセスなりきりティアラ(20██年)では死者の人格を憑依させるといった技術を開発していることが分かります。
<SCP-6316-JP-J-7 - 20██/██/██>
対象: ミスター・げろげろ
根拠: 嘔吐とは体内の毒性物質を排出する反応つまりデトックス(Detox)を示し、ミスター・げろげろに仕込まれたメッセージに含まれる"博士"製品の常套句、"ワオ!(Cor!)"を合わせて語順を並び替えると、
Detox Cor → ex DoCtor → "元"博士
と浮かび上がります。"博士だったもの"、すなわち"博士"が代替わりしたために以前の"博士"ではなくなってしまったことを伝えようとしているのではないでしょうか。
分析: これも"2代目"の時期に発表された製品ですが、意図的に仕込まれたメッセージであること、外部に伝えようとしていたことを鑑みると2代目のやり方に反発するメンバーが"博士"の組織内にあったと考えられます。これを仮に初代の遺志を継ぐ"3代目"の所業とすると今後の2代目死亡の流れに合致する点が多く見られるようになります。
<SCP-6316-JP-J-8 - 20██/██/██>
対象: 博士のびっくりブーメラン
根拠: "びっくりブーメラン"をキャッチしたときに脳内に流れるポエム(以下Poem-1~4)は一見取り留めのない言葉の羅列に聞こえますが、"博士"が死亡したことを伝えるメッセージが隠されています。内容は詩人の████████氏の未発表原稿とされていますが、"博士"、特に三代目の干渉が無かったとは言いきれず、さらに孫娘である██████氏が"ブーメラン"を隠し持っていたこともあり何らかの隠蔽工作を行った・それに加担していた可能性も指摘されています。
Poem-1: 北の海の人魚
氷に閉ざされた都市の中 這いつくばって熱を求める
我が声が届くのならば 我が声を出すことが出来るのならば
鱗に包まれた我が脚は 再び大地を踏み締める事が出来るだろう
だから何度でも泳いでみせよう この北の海を
解釈:
- 氷に閉ざされた都市の中 = 外部に知らせることも叶わない、閉ざされた"博士"の研究所
- 我が声が届くのならば = このメッセージに気付いてほしい
- 鱗に包まれた我が脚は = 今は歩くこと、前進・状況を打開することが出来ない、ただし泳ぐことはできる(下記解釈へ続く)
- 再び大地を踏み締める事が出来るだろう = 外界へ、日の目を見ることが出来るだろう
- だから何度でも泳いでみせよう この北の海を = (抜け目のない2代目に泳がされているかもしれないと知りつつ、)この状況で足掻く意思がある
Poem-2: 薔薇の涙は
華やかに揺らめくメカニカルキャンサー
明日を知らない無法者にはたどり着けぬオービタルパラダイス
スピリットウィンドウはもう道を照らさない
帰る場所のある者たちよ 月へと向かって走りたまえ
ここには茨の空が生える場所 薔薇の涙はここにはいらぬ
解釈:
- 華やかに揺らめくメカニカルキャンサー = "博士"は癌(キャンサー)に蝕まれており、時と共に着実に進行する癌をメカニカルと形容している。華やかに は命が風前の灯のように揺らめいていることの比喩
- 明日を知らない無法者にはたどり着けぬオービタルパラダイス = 後先考えない2代目には初代の崇高な目的(楽園)が分からない
- スピリットウィンドウはもう道を照らさない = 進むべき方向を示す初代は死んでしまったことを嘆いている
- 帰る場所のある者たちよ月へと向かって走りたまえ = 初代の思想を帰る場所とし、月とは新天地の象徴でありそこへ向かうという意思表明
Poem-3: エマソンズ
赤い川の畔から 甲冑を着込んだ病原菌が飛び出る実家
綿毛の風は山を覆い 未来の柔道着達を谷底へと誘い込む
夕餉に食した液体酸素を 二束三文で売り払い
得られた資金で ファスナー越しの予防接種
エマソンズ 嗚呼彼らはエマソンズ
過去の栄光と言う名の明日の鉢巻を巻いて 今日も高山を走りぬける
解釈: [省略]
Poem-4: 完了されし世界
白い霧に佇む人影と 黒の邸に現れる紳士
メタンガスを吐き出す笑い袋に 文字の概念を奪い取られ
頭を失いし猿は 赤き海を泳ぐ魚を夢想する
木製の星々が 消えた闇を照らすとき
緋の空は 再び玩具の竜を生み出す
解釈:
- 白い霧に佇む人影 = 不安の象徴であり人影は"初代"を表す
- 黒の邸に現れる紳士 = 研究所を示しており、現れた紳士とは初代が死ぬまでは紳士を気取っていた2代目を指す
- メタンガスを吐き出す笑い袋 = 笑い袋とは狂人である2代目を指す。メタンガスは可燃性であり、二代目は初代を火葬=証拠隠滅を行ったとされる。それか単に息が臭かったのを愚痴った
- 文字の概念を奪い取られ = 初代の遺した文書を指し、技術を奪い取られたことを示す
- 頭を失いし猿は 赤き海を泳ぐ魚を夢想する = 頭を失いしとは自分で考えることをしないこと、猿真似ばかりの2代目を卑下した言葉。前述のように3代目は自分を魚に例えている。夢想するとは後述の「目覚まし時計(仮)」の罠にかかり永遠の眠りに就いた2代目を意味する
- 木製の星々が 消えた闇を照らす = 星々とあるので木製ではなく木星。英語における木星の形容詞 jovian は「陽気な、愉快な」を語源としており、博士を象徴するフレーズ「楽しもうね!」を思い起こさせる。そして2代目は闇に例えられ、照らすのは木星、つまりその行いを正すのは正当な後継者である3代目
- 緋の空は 再び玩具の竜を生み出す = 自身のイメージカラーが緋色である3代目が再び"博士"としてオブジェクトを作り出すという宣言
分析: 詩の内容が既存のオブジェクトに似ているのはおそらく気のせいです。また20██年█月現在、Poem-3についての解釈がありません。担当者は至急追記してください。
20██/██/██ 追記:
Poem-3: エマソンズ
解釈:
- 赤い川の畔から 甲冑を着込んだ病原菌が飛び出る実家 = 赤い川は血管、血とともに病原菌が飛び出る、つまり死を表している
- 綿毛の風は山を覆い 未来の柔道着達を谷底へと誘い込む = 谷底へ落ちればさすがの柔道家も受身をしても助からない、つまり死を暗示する
- 夕餉に食した液体酸素を 二束三文で売り払い = 液体酸素を食せばまず高確率で死亡する、つまり死を比喩している
- 得られた資金で ファスナー越しの予防接種 = ファスナーを貫通するような注射針が刺さったら死ぬ、つまり死を示唆している
- エマソンズ 嗚呼彼らはエマソンズ = エマソンズ(Emethons)を分割すると"E meth on s"、ヘブライ語で"sの上のEの死"を意味する
- 過去の栄光と言う名の明日の鉢巻を巻いて 今日も高山を走りぬける = 鉢巻の起源は神話上、アメノウズメ命が天岩戸から天照大神を誘い出す際に額に蔦を巻いたことまで遡ります。太陽の神である天照大神が天岩戸に隠れたことで高天原は闇に包まれました。困った八百万の神は話し合いアマテラスが隠れる岩戸の前で、様々な儀式を行うことになりました。天照大神の興味を引く為、アメノウズメが裸をさらけ出し踊り出しそれを見た神様たちを大笑いさせ天照大神が岩の隙間から顔を覗かせたところを天手力雄神に引き出して貰って、再び世界に光が戻りました。この話のどこが死亡の根拠になっているかというと全く関係はありません。しかし何故こんな話をわざわざ記述しているのでしょうか。現象は原因によって引き起こされ、原因は理由によって発生します。何事にも意味はあり、無駄な話のように見えても意味があるのです。鉢巻を巻いて高山を走り抜けるという記述に意味などあるでしょうか。意味はありません。ただしこれが共通点とも言えます。ここまで死を明示していることは確定的に明らかなのに意味の無い話をするはずがありません。つまり博士は死んでいます
<SCP-6316-JP-J-9 - 20██/07/██>
対象: 目覚まし時計(仮)
根拠: このオブジェクトだけが"博士"の製品名が無く、酩酊街を装った表記が為されています。偽装されたメッセージから浮かび上がった文章「お前は何も無い 甘やかされ堕落だけ抱く」とは"2代目"に当てられた文章であるとされています。
分析: これは"2代目"時代最後のオブジェクトとも言われており、横暴で盗作しかしなかった2代目を亡き者にするために3代目が作成したオブジェクトだと考えられています。当時製品が財団により回収されたり、不良が早期に発見され返品が多く続いたことにより2代目は資金不足に陥っていたのではないかと考えられ、同時に鬱病も発症していたらいいなと期待されていました。その折に精神的疾患を回復する手段として"目覚まし時計"が2代目自身によって使われ、そのことを見越していた"3代目"はオブジェクトを改造しており、事故を装って2代目を亡き者にすることに成功したのではないでしょうか。事実、これ以降の製品は元の"博士"と同じようなワンダーテインメント博士の模倣に留まったオブジェクトの発表が続いています。
3代目"博士"台頭期 〜 3代目の活動の根拠
2代目"博士"の没落後、3代目"博士"の製作物が台頭する時期に入ります。以下は2代目と3代目の作風の違いや3代目の特徴であるオブジェクトの性質についての検証になります。
<SCP-6316-JP-J-10 - 20██/07/██>
対象: 博士のプリンセスなりきりティアラ
根拠: 既に死亡している王妃の人格が乗り移る王冠。死者である"初代"を復活させる研究の一環ではないでしょうか。また『博士のキングなりきりクラウン』なる商品も存在するため、複数パターンに渡って研究が行われていたことが判明しています。
分析: 3代目の製品が世に出始めた頃には、初代とも2代目の出す製品と異なる作風のオブジェクトが多く見られます。"プリンセスなりきりティアラ"といい、後述の"パンテラちゃんインナーウェア"も併せて低年齢層向け、特に女児向けの製品が多いため3代目は重度のロリコンか、それに準ずる存在ではないかと予想されていました。結論は次のSCP-6316-JP-J-11に記述があります。
<SCP-6316-JP-J-11 - 20██/07/██>
対象: 博士のつよーい!パンテラちゃんインナーウェア
根拠: 履いた人物の周囲に幽体を召喚するショーツ。これは幽体の実体化に取り組んだ結果、肉眼で観測することはできないが物理的干渉を行えるようにまでなったのではないでしょうか。しかし動物の幽体にしか適用できなかったのか、もしくは人間のような複雑な精神を持つ者を実体化するに至らなかったのかは定かではありませんが、中途半端な結果に終わったため製品の1つとして出荷されるに留まったと考えられています。
またこの製品には今までに無い「©HAKASE Co.,Ltd. MADE IN JAPAN」の表記があり、3代目の本格的な研究の成果による製品であるとされています。
分析: "パンテラちゃんインナーウェア"は女児向けのショーツであり、"博士"を呼び戻す研究の成果であればこれを穿きつつ試行錯誤を繰り返していたはずであって、これを中年男性が嬉々として穿きながら製作している訳がありませんし想像したくもありません(そもそも女性が穿いたときのみ異常性が発露します)。よって3代目は少なくとも女性であり、むしろ幼女なのではないかと結論付けられました。
<SCP-6316-JP-J-12 - 20██/07/██>
対象: 博士のふわふわ浮遊マシン
根拠: "浮遊マシン"は物体の体積を残したまま密度のみを1.2 kg/m3にまで減少させる装置です。これは人間の魂の重さが21.262gであるという仮定の元、成人男性の体積を0.082m3として計算してみると魂の密度は0.26 kg/m3となるため、1.2 kg/m3という密度は肉体の密度約975.60 kg/m3に比べて非常に魂の密度に近いことが分かります。
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肉体の密度に比べ、魂と"浮遊マシン"の重さに有意差はみられない。 |
分析: この"浮遊マシン"は、この装置の実態は密度を下げることではなく、逆に霊体を肉体と同じ密度まで戻す研究をしていた際の副産物なのではないかと考えられており、かのエジソンも研究したと言われている霊界との通信装置にもにた原理であることが窺い知れます。
補遺: "博士"を名乗る不審人物からのメッセージ
20██年8月に"博士"と見られる人物によるサーバーへのクラッキングが行われた形跡がありました。その折に"博士"はサーバー内にテキストファイルで一言だけメッセージを残しており、"博士"の追跡に繋がる貴重な痕跡として解読班によるメッセージの分析が行われました。メッセージの内容は以下の通りです。
ダメ。つまんね — Dr,
分析: もしこれが"博士"だったとして、アクセス解析のリスクを冒してまでこんな小学生並みの感想を残すためだけに証拠を残していくでしょうか。これにはオブジェクト群と同じように秘められた意味があり、我々に伝えたいメッセージがあると考えられます。
まず文章にミスタイプが見られます。文末の最後に句点が無く、「Dr.」の署名のピリオド(.)がカンマ(,)になっています。当然ただのミスではありません。これらをローマ字に分解してみると、
DA ME o TU MA NN NE D r ,
となります(途中の句点は不自然であるため、"。"ではなく"O"であると仮定します)。そしてこれらを並び替えると、
TUrN ME oN, DEAD MAN
"Turn me on, dead man(死人を生き返らせて)"、つまり"博士"は死んでいるのだと、我々に確証を持たせました。
以下、上記分析を載せた後に再びサーバー上に投稿されたメッセージです。
おーっと! 博士の秘密のメッセージを見つけたみたいだね! 仕込んだ覚えないけどな!
なんと"博士のポックリ死亡説!"は財団のクソ野郎どもが流した悪質なデマなんだ! この博士の足元にも置けない成りすましの二番煎じ野郎だったとは恐れ入ったね!
そんで、東弊の奴らまで知ってるじゃねえか! 俺がニセモノなんじゃねーかって生産を止めやがって、再開させろっつったら足元見てきやがった! おまけに日創研までDNA鑑定させろときた!お前ら本当に賠償責任取らせるからな!!
みんなは嘘を嘘と見抜けられないバカにはならないようにね!
楽しね!
分析: "博士"に東弊重工や日本生類創研とのつながりが確認できました。
追記: これ以降、"博士"と見られる人物からのコンタクトはありません。以上で要注意団体監視用特別プロトコル: "博士死亡説" を終了します。今後はSCP-6316-JP-Jの噂による"博士"の情報の氾濫と混乱を防ぐため、SCP-6316-JP-J "博士のポックリ死亡説!"として公開し、虚偽の内容であることを明記した上で統括管理されます。