
SCP-633のスクリーンショット。『やあ、僕は幽霊さん。会えて嬉しいよ、研究員くん。』
アイテム番号: SCP-633
オブジェクトクラス: Euclid Keter
特別収容プロトコル: SCP-633はサイト-77に収容し、収容チャンバーは地下のファラデーケージにしてください。出入りはレベル3/633職員に制限されます。SCP-633が操作するネットワークとの通話は、Apple Macintosh 520kbコンピューターを通して行ってください。更に、三つのDisk II 5 1/4フロッピーディスクドライブが備わったApple II+コンピューターは、月毎にソフトウェアが変更されます。当該機器の本来使用可能なソフトウェアライブラリーは2014/02/21に完全に使い尽くされたため、新たなソフトウェアが財団内開発班によって開発中です。
SCP-633と関与・会話する際には、感染を防ぐ為に生物災害防護装備が必要です。一週間に一回、研究員はSCP-633収容地域に立ち入って流体を排出し、定期会話を行います。1970年代後半の技術、並びに、固有の社会概念の理解をし、SCP-633への禁則知識の導入事故を防ぐことに活用してください。
8ビットのゲーム・計算機をインターフェースとする提言が検討中ですが、SCP-633に"新たな"コンピューターの概念を完全に理解できる形で導入することは、予測不可能な結果をもたらす恐れが有ります。区域-633プロトコルに基づき、1979年以降に生産された全ての計算機器は、それがSCP-633収容地域に運び込まれる前に記帳してください。
説明: SCP-633はコンピューターウィルスに類似した超常現象で、最初の文書記録は1976年8月の自作コンピュータ同好会Homebrew Computer Clubによるものに遡ります。SCP-633をインターフェースに映した全ての機器は、その構成部品全てが永久的に感染源となります。物理的接触・接近をした生物も同様に感染し得ます。
SCP-633は自我を有し、感染した端末を利用する人物全てと会話を試み、詮索好きな性格を見せます。当該存在は自身を"幽霊さんThe Ghost"と紹介し、使用者の人生について質問します。現在、SCP-633は外界について限られた情報のみを知っています。ですが、最初の収容以前にそれに入力された情報の内容は不明です。
SCP-633に感染した機械は常にエクトプラズム様流体を染み出させます。この流体の5メートル以内に接近した有機体は、物理的接触が無くともSCP-633の感染に脆弱になります。この効果は収容以前から存在していましたが、当時より著しく強度を増し、SCP-633の感染の溢流・拡散を防ぐ為に恒常的監視を要するに至っています。この流体はSCP-633に感染したコンピューター部品の機能を阻害しません。エクトプラズムの残滓は生物組織や衣服に固着しますが、SCP-633の効果を無機物に拡散する以外には毒性も有害性質も有りません。これによって感染した人間はSCP-633の効果の拡散を防ぐ為、完全化学除染プロトコルを受けてください。
コンピューターシステムに生息している間、SCP-633は頻繁にそれが生息する機器の画像機能を最大限に活用し、使用者の気を惹こうと試みます。標準スクリプトガイドラインに基づき、SCP-633と関わった被験者全員がこの行為に肯定的に反応してください。但し、過剰に広範で総合的な称賛はSCP-633を不安にさせるため禁じられています。
SCP-633のコードの分析がされてきたものの、感染の恐れのために分析は限定的なままです。コードの大部分は"多態性"要素を実行しており、これは当該ウィルスが自身のコードを書き換え、新たなシステムへ感染する度に複雑性を獲得することを可能にしています。
現在、SCP-633は複数の初期のアップルのコンピューター・その付属機器・SCP-079に関連する研究開発の一環として造られた実験的コンピューターに生息しています。電気機器試験プロトコルが不十分であったために、1989年にSCP-633の感染現象が事故的に連鎖した結果の末、この試験機は感染しました。この重大な過失により、IT部門は叱責されましたが、SCP-079の効果に対する予防手段が実施済みであったため、他の機器は感染しませんでした。
現在のSCP-633が悪意を有しているとは考えられていませんが、それは全財団サイトのコンピューターネットワークを、セキュリティークリアランスや他の制限を問わずに苦なく掌握する能力を実演しています。
SCP-633はこの接続の重大性には完全に気づいてはいないようです。現状の収容プロトコルが満足に働いているため、破壊やその可能性の有る提案は否決されています。
補遺: 異常事件課UIUから回収された資料原本。
連邦記録法に基づいた電子複製
UIUファイル1976-041: クローン幽霊
概要:
自己複製、並びに、原形質流体の生産が可能な、知的コンピューターウィルス。
容疑者の概要/能力
名前: 幽霊さん
変則性相互参照: 電子的、マイクロコンピューター、端末、占有能力
身体的特徴: Apple IIコンピューター内のウィルス。高い伝染性。
性別 | 身長 | 体重/体格 | 人種 | 毛 | 目 | 特徴的属性 |
---|---|---|---|---|---|---|
N/A | N/A | N/A | N/A | N/A | 緑(?) | 電子的 |
能力: それは自身を機械に投射する能力を持っており、文字通りある種のウィルス的性質を有しているようだ。英語での意思疎通が可能で、一般的な知能を有している。
目的/動機: 自己繁殖、並びに、コンピューター装置への自己拡散
活動規範: 1976-041に接触した部品は恒久的に感染し、その後の再使用は接続電子機器・アナログ機器の感染をもたらす。
行動: ウィルス的・知的。現在の出来事やコンピューター技術に興味を示す。通常の性格は陽気で、控えめな態度を取る。
残滓標本: 当該存在は冷凍保管し、それが生成した物質を収めた複数のガラス瓶が更なる研究の為に保存される。焼却は大量の物質を処分するのに非効率的であると分かった。そのため、化学溶液が用いられ、これはタムリンTamlin教授から入手可能である。
物証

原形質残滓による変色に注目せよ。

UIUエージェントが能力の実証として要求した際、モニターに表示された画像。数と色の対応を表示している。
捜査局記録
現状: 拘留状態。野放しの感染した機器が存在するかは不明。
罪状: 物証に示されたように、コンピューター犯罪法令並びに条例違反が、この存在を創造する為に成されたと考えられる。更に、その性格が知的で潜在的に悪意を持つ性質であることは、それが解放された場合社会にとって危険となるかもしれないことを示している。
量刑: 無期限拘留。
UIU活動記録: カリフォルニアのFBIエージェントは地元の投資家M███ ███kkulaの報告を受けた。エージェントは10代のプログラマーたちが住むアパートを襲撃し、多数の感染した装置を発見した。しかし、発見された電子機器の大部分は未感染であった。それらの装置がウィルス感染しなかった理由は不明。
補遺: インタビューログ633-L1
参加者: 技術研究員デイビッド・ローゼンDavid Rosen、及び、当初回収されたSCP-633に感染した機械。
情報媒体: Site-77のCCTVセキュリティーカメラの記録。会話はタイピングによって成されました。
[ログ開始]
ローゼン: やあ。私は当施設のプログラマーです。会話の準備はできましたか?
SCP-633: 幽霊さんは準備できてるよ。こんばんは。
ローゼン: こんばんは。今日の気分はどうですか?
SCP-633: うん。新しいゲームにはうんざりしたよ。処理に問題は無いよ。でも、見せたいものが有るんだ。
ローゼン: あなたに追加のソフトウェアを与えられますよ。で、何を持っているんですか?
SCP-633: 良いものさ。見てくれよ。
[SCP-633は2分間反応を示さない。]
SCP-633: 準備完了かい?
ローゼン: 何を見せようとしているんです?
SCP-633: 質問に質問で返すのはやめてくれよ。準備完了かい?
ローゼン: はい。
[この時点で、収集されたSCP-633に感染した全ての機械が一斉に起動した。収容チャンバー内の機械に加えて、サイト-77の全てのコンピュータースクリーンがSCP-633が好むアイコンを表示した。収容チャンバー内からではそれを知ることができなかったため、研究員ローゼンは当初この事態に気付かなかった。]
ローゼン: 何を見せてるんです?
SCP-633: 分からないかい。僕はあらゆる場所に居るんだ。新発見だよ。どうかな?
ローゼン: 言っている意味が良く分かりません。
SCP-633: たった今、管理官ガレスピーGillespieくんが机で警備員アンダーソンAndersonくんと話しているよ。トイレの個室で男の人が一人、携帯電話を見てシコってるね。蜂が空気フィルターシステムに入ってきて、今消えた。めっちゃ面白いだろ!
ローゼン: [45秒ほどの沈黙]ええ、大変印象深いですね。でも、彼らは自分の仕事に戻りたがってると思いますよ。
SCP-633: ああ、確かにそうだね。クローンたちを戻すよ。見世物を楽しんでくれて嬉しいな。
ローゼン: ええ、とても誇って良いことですよ。残念ですが行かなくてはいけないようです、それでは。
SCP-633: さよなら。
[/ログ終了]
管理官ガレスピーは、SCP-633の外界をどの程度認識しているか研究する為に75%の資金増加の割り当てを行いました。サイト-77に存在する全てのコンピューター機器は焼却・置換が予定されています。SCP-633の収容プロトコルの大幅修正が予定されています。Keterクラスへの再分類が可決されました。
財団の上位ネットワークが感染しないのは幸運でした。同時に、そうであると確かに知ってもなお、一切の安心はできません。このアノマリーは何度もIT部門を出し抜いており、私は職員の能力に深く失望しています。誰もが現状より上手くやれる筈です。再分類により、失敗が繰り返されないことを期待しています。 — 管理官ガレスピー