SCP-6345
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by J Dune


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アイテム番号: 6345
レベル2
収容クラス:
euclid
副次クラス:
none
撹乱クラス:
keneq
リスククラス:
caution

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SCP-6345


配属サイト サイト管理官 研究責任者 担当機動部隊
MXHGPC-サイト-10 I. サルミエント B. オダンダ N/A

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SCP-6345

特別収容プロトコル: SCP-6345はサイト-10の標準的なヒト型生物収容室に収容されます。

説明: SCP-6345はメキシコのイダルゴ州でプロレスラーとして活動していたヒト型の骨格です。

SCP-6345の体格は活動性を有するヒトの骨格に類似しますが、自我と知性を有しており、その体質量で本来可能な範囲を大幅に上回る体力を発揮できます。必要とされる内臓器官が全く無いにも拘らず、SCP-6345には発話能力があり、更に視覚と聴覚を有します。

SCP-6345の服装は、黒い“ルチャ・リブレ”1マスクと、白い骸骨風のモチーフをあしらったボディスーツから成ります。SCP-6345はボディスーツに藁、綿、雑多なゴミなど多数の材質を詰め込んでいます。この行動は、骨格のみの身体を隠蔽し、人間的な目立たない姿に見せかけることを意図しています。

SCP-6345は“ロス・ウェソス・マロス”Los Huesos Malos2というリングネームを自称しており、自らはエルネスト・マーキンという元プロレスラーの霊魂で、人間の身体を取り戻すために所属共同体への“善行”を積まなければならないと信じています。この主張は検証不可能ですが、エルネスト・マーキンという名のイダルゴ州民に関する記録は発見されています。詳細は補遺を参照してください。

収容以前、SCP-6345はイダルゴ州の独立系レスリング興行を訪れ、飛び入り参加を試みていました。この試みの成功度合いは様々ですが、これによってSCP-6345は小規模なファン層を獲得しています - これらのファンはSCP-6345の異常性質、SCP-6345が役を演じていないこと、飛び入り参戦がイベントにとって予定調和ではないことのいずれも認知していません。SCP-6345は試合中に暴力を行使し、しばしば入院が必要になるほどの危害を対戦相手に加えることが知られていました。

補遺.6345.1: 発見とインタビューログ

SCP-6345の異常性は2018/08/13、イダルゴ州パチューカ・デ・ソトで開催されたレスリング興行で明らかになりました。この試合の抜粋を以下に転記します。解説はスペイン語から翻訳されています。


序: 当該事案は、興業の“メインイベント”の試合開始から8分後、レスラー2名編成のチーム2組 - ロス・カタストロフェス (エル・シクロン/エル・トルネード・ジュニア) 及びNACION (マヌエル・ティエラ/ナンバーズ・ウニダ) - の対戦中に発生した。


<記録開始>

エル・シクロンがエル・トルネード・ジュニアの試合に加勢し、マヌエル・ティエラに連続攻撃を加える。

コメンテーター-A: シクロンの猛攻です - 1、2、3、4、5,6! 繰り返します、チョップ6発です!

ティエラが反撃し、シクロンに関節技をかける。

コメンテーター-A: 立場が逆転! ティエラがシクロンを押さえつけました!

コメンテーター-B: 先程も言ったように、ロス・カタストロフェスとの合意の一環として何週間も辱めを受けた後、ティエラは自分の力を証明するという決意に燃えています。ロス・カタストロフェスは彼の全てを奪い取りました! 自由意思、家族、イダルゴ州王者の称号さえも! 彼は自由出場枠であるナンバーズ・ウニダとチームを組まねばならない状態まで追い込まれています! 私たちはかつてないティエラの姿を目の当たりにしています - 今の彼には尊厳を取り戻すまで手を緩めない覚悟があります。誰もが彼を応援していますよ!

コメンテーター-A: ええ、全くその通りです。今朝、ビルの外に集まってティエラの到着を待っていたファンの大群衆を無視することはできません。最前列をよく見るとティエラの母親がいます、彼女は1日目から息子に寄り添い、彼がロス・カタストロフェスの魔の手によって精神的虐待を受けている間も傍を離れなかった! 今、このビルの中に、席から身を乗り出していない者は1人もおりません!

ティエラはシクロンの頭を後方に抱え、得意技の1つ “デリボ・マンチュリアーノ” を繰り出す準備を整える。群衆が歓声を上げる。

コメンテーター-A: いよいよです! デリボ・マンチュリアーノ

上方から投げ付けられたガラス瓶がティエラの後頭部に命中し、その勢いで砕ける。群衆が息を吞む。ティエラが床に倒れ、周囲に血溜まりが広がる。審判が両手を挙げて医療スタッフに合図する。ゴングが鳴る。観客席が静まり返り、バルコニーから声が響く。

SCP-6345: お前ら、本当にこんな雑魚を応援してやがったのか? 呆れるぜ。

酒瓶を手にしてバルコニーに立つSCP-6345に気付き、群衆が怒りの叫びを上げる。SCP-6345は手すりを乗り越え、腕を広げて床に落ちていく。2人のコメンテーターが身をかわし、SCP-6345の墜落によって彼らのテーブルが破壊される。1人の警備員がSCP-6345に向かって走り寄り、リングに入るのを阻止しようとする。

SCP-6345: とんだタフガイのお出ましだ、えぇ? (笑う) ペイントボールベストに安物の汎用ベルト、完全武装じゃねぇか!

SCP-6345は両の平手で左右から警備員の頭を叩き、一瞬よろめかせる。SCP-6345は更に警備員のベルトから催涙スプレーの缶を取り上げ、目に向けて噴射する。SCP-6345は警備員が床で痛みに悶えながら叫ぶのを見て笑い、警備員を蹴って攻撃し続ける。警備員の子供が現場に走り込み、SCP-6345に攻撃を止めるよう懇願する。

子供: お父ちゃん、お願い。お願い止めて! お父ちゃんをいじめないで! お前なんか嫌いだ、止めて!

SCP-6345は攻撃を止め、子供に近寄る。子供は恐怖から後ずさりする。

SCP-6345: 父ちゃんか、ん?

子供は頷く。

SCP-6345: (笑う) お前の父ちゃんなんざ、スコーン食ってババ抜きして黒パンのスライスでもしてる方がお似合いの弱虫さ、ガキンチョ。なんでお前を守ることさえできねぇ男を尊敬する? お前は負け犬の息子だ。それに向き合え。

SCP-6345は酒瓶からアルコールを一口含み、子供の顔面に吹き付ける。子供は叫びながら逃げる。SCP-6345は笑うが、リングを離れてSCP-6345に叫び始めた3人のレスラーによってすぐに中断される。

SCP-6345: 来い! かかって来やがれ、畜生ども!

ナンバーズ・ウニダ: 殺す、ぶっ殺してやる!

SCP-6345: やってみろよ。

レスラーたちはSCP-6345に詰め寄り、攻撃する。SCP-6345は自らの胸板を叩き、各レスラーを続けざまに殴打する。格闘はしばらく続き、SCP-6345はその増強された体力を発揮している。SCP-6345がウニダを殴るのに集中している間、シクロンが近くのプラスチック椅子をSCP-6345の後頭部に叩き付ける。SCP-6345は動じない。反撃に転じたSCP-6345はシクロンをチョークホールドの態勢で抑え込み、ウニダとトルネード・ジュニアに投げ付けて、3人全員を転倒させる。SCP-6345はレスラーたちに近寄り、シクロンを肩に担いでリングへ向かう。

SCP-6345: テメェはただじゃ済まさねぇぞ、マザーファッカー。とんでもねぇクソ野郎め。

SCP-6345はシクロンをリングの中央に放り投げ、繰り返し顔面を蹴る。その後、SCP-6345はシクロンの背中に両膝を突き、シクロンのマスクを引っ張って外す3。群衆が息を呑む。SCP-6345は笑い、ボキッという音が聞こえるまでシクロンの腕を肩の後ろへと引き続ける。シクロンが気絶する。

SCP-6345: これがラ・トリトゥラドラ・デ・ウェソス4だ、お前ら!

ウニダが背後からリングに走り込み、SCP-6345の注意を逸らす。トルネードが別方向から接近し、SCP-6345をナイフで刺突する。SCP-6345は一瞬気を取られた後、笑う。トルネードが斬り付け、SCP-6345のボディスーツに裂け目が生じる。詰め物の綿や藁が裂け目からこぼれ落ち、SCP-6345はパニック状態でそれらを元通りに詰め込み、ボディスーツの形状を保とうと試みる。トルネードは目に見えて困惑している。

SCP-6345: 待て、止せ! 止めろ! この馬鹿どもめ。なんてこった、マズい。

注意が逸れたSCP-6345をウニダが攻撃し、より多くの材質がボディスーツの穴からこぼれる。SCP-6345はウニダを押し退けてリングから走り去る。SCP-6345は群衆の間を通り抜け、出口のドアから逃走する。

<記録終了>


結: 逃走後、SCP-6345は近隣の酒屋に侵入して数リットル分の商品を強奪した。財団の収容チームは数時間以内に到着し、目撃者へのインタビューと記憶処理を行った。間もなく、SCP-6345はガソリンスタンドの駐車場に無意識で倒れているのを発見され、街の数キロメートル郊外に位置する暫定セーフハウスで財団の拘留下に置かれた。シクロンは両腕骨折、ティエラは深刻な頭部外傷でそれぞれ入院した。数日後、シクロンは引退を表明した。

関係者:

  • ベンジャミン・オダンダ博士
  • SCP-6345

序: 軽い抵抗の後、財団スペシャリストはSCP-6345をサイト-10へと移送し、収容室に監禁した。ヒト型異常存在の記録に取り組んだ経歴があるオダンダ博士がインタビュー担当者に選ばれた。SCP-6345の骨格全体を露出させる試みは抵抗に直面した。


<記録開始>


*文中の全ての会話はスペイン語からの翻訳である。

オダンダ博士がインタビュー室に入室し、着席する。SCP-6345は暫定収容ユニットの内部にいる。SCP-6345は両腕を組み、破れたボディスーツを着て無言で座っている。上肢と胴体の骨格が露出している。マスクは付けたままである。

オダンダ: SCP-6345ですね? 私はオダンダ博士、今日のインタビューを担当します。いやぁ、なかなかイカしたコスチュームじゃないですか!

沈黙。

SCP-6345: 失せろ。

オダンダ: もっと快適に過ごしていただくために、我々にできる事はありますか? 水とか? それとも食べ物? (合間) あなた、物を食べられますか?

SCP-6345: 恩着せがましくすんな。

オダンダ: できるだけ円滑に話し合いたいのです。あなたが従わないならお互いのためになりませんよ、SCP-6345。

SCP-6345: ふざけやがって。俺には名前があんだよ。それとも俺はヒト扱いすらされねぇのか? だから俺を身ぐるみ剥がそうとしたのか?

オダンダ: 失礼しました。ロス・ウェソス・マロスさん、でしたね? 私はただ話したいだけです。

SCP-6345: 俺は話したくない。こうしてとっ捕まるまで随分長くかかったが、もう覚悟はできてる。こういう研究機関じゃ、第二の人生を使い潰すのに十分な時間があるだろう。だから黙って俺が朽ちていくのを見てろよ。どっちみち俺はそうなるんだ。

オダンダ: 第二の人生? あなたは… 一度死んだのですか?

SCP-6345: とぼけんな。俺の姿が見えてるだろ。そうとも、今じゃ誰もが知ってる。俺はクソ忌々しい骸骨だ。アンデッドの怪物だ。どうしてそうなったと思う?

オダンダ: 教えていただけますか?

SCP-6345: 嫌だね。よく聞け、この手の誘導は俺には効かねぇぞ。取調べだの、良い警官と悪い警官だの。昔経験した。俺の物語に聞く価値はねぇ。もしそんなもんがあったらビックリ仰天だ。酒瓶と逃した機会とやりかけの仕事で満ちた売春宿の空き部屋の物語さ。語る価値もなけりゃ、救う価値もありゃしねぇ。

オダンダ: (合間) 私自身にも同じ経験があります。保証します。

SCP-6345: (首を振る) いいや、まさか。誰かがアンタの眉間に銃弾を撃ち込めば、アンタは死んだままだ。誰かが酒瓶を脳天に叩き付ければ、アンタは血を流す。アンタが誰かを痛めつけようとすれば、頭の中のちっぽけな声がそんな事は止せと言ってくれるし、アンタはその通りにする。これでも俺たちが同じだと思うか?

オダンダ: ウェソス、あなたが自分から言おうと言うまいと、我々はこれを理解しようと努めます。あなたを痛めつけるような無駄な事はしません。おやすみなさい。

SCP-6345: 俺は眠らねぇんだよ、馬鹿が。

<記録終了>

補遺.6345.2: 調査

収容後、SCP-6345の関連情報を収集するための調査が開始されました。個人的な証言、法執行機関の報告書、SCP-6345の活躍を記録した映像などが、財団によって一斉に集められました。特筆すべき証言や出来事が以下に時系列順に並べられています。


証拠の種類: 証言
回答者: 独立系プロレスプロモーター アルロ・ホレズ
事件発生日: 2014/8/12
説明: 最初に注目されたSCP-6345出現事例。ホレズによると、この興行のメインイベントは、1分ごとに1人の選手がリングに入場する“ロイヤルランブル”形式の試合でした。SCP-6345は建物の出口から侵入し、ロッカールーム・エリアへと向かい、別な選手の代わりに試合に参加しました。ホレズの証言の一部が以下に再現されています。

“ 何よりも私たちが一番混乱しましたよ。彼は何処からともなく現れたかと思うと、リングに飛び込み、レスリングを始めた。観客は大興奮でした - 見覚えのない選手とは言え、格好良かったし、圧倒的な強さでしたからね。やがて彼はリングを降りると、えー、ドクロの形をしたロリポップを子供たちに配り始めたんです。大きな袋に入れて持ち運んでいました。そうやって彼は子供たちを味方につけ、レスラーたちはただショーを続けようとしていて、私たちはあの怪人がいったい何処のどいつか突き止めようと裏で慌てふためいていました。 ”

SCP-6345がレスラーの1人 “ラプター” をロープ越しに放り出して排除するまで、試合は何事もなく進行していました。

“ ええ、ラプターが勝つはずだったんです。好調子だった彼が脱落した時点で、誰もが何かおかしいと悟りました。もっと早く警備員を呼ぶべきだったんでしょうが、正直な話、ウェソスは良い試合をしていましたし、観客は彼に釘付けでした。私は何が起こるかを見届けたかった、それが間違いだった。それと、あの夜のウェソスは何かが違いましたね。ただ現れて、暴れるだけ暴れて、去ったりはしなかった。彼はショーの一部を担い、パンチを繰り出し、子供たちと関わり、楽しんでいました。今の惨めな有様とは雲泥の差です。 ”

ラプターは速やかにリングに上がり、SCP-6345を攻撃し始めました。両者の争いは試合全体を中断に追い込みました。

“ 酷いものでしたよ。2人ともリングを降り、全員の目を試合から引き離して、本気の喧嘩を始めたんです。あれが私の知っているウェソスです。夜の終わりまでに、誰もが彼のやり方を知りました。ラプターは胸郭を粉砕骨折し、ウェソスが味方に引き入れた子供たちはみんな泣きそうになっていました。私たちは観客を早めに家に帰らせなければいけませんでした。警備員がウェソスを捕まえようとしたんですが、彼は警備員たちも同じように叩きのめしました。私の携帯には今でも、ラプターの返り血塗れになったウェソスが、半分潰れたロリポップを怯える子供に手渡そうとしている写真が保存されています。悪夢そのものです。 ”


証拠の種類: イダルゴ州法執行機関の記録
事件発生日: 2015/02/19
説明: 報告書によると、SCP-6345は木に登った猫を救助しようと試み、公衆の注目を集めていました。この救助試行中に、SCP-6345の異常な膂力によって木が倒され、猫は逃げ出しました。駐車されていた自動車が押し潰されました。

後ほど、SCP-6345が“救助”を試みる数時間前に野良猫を樹上に配置する様子を捉えた監視映像が発見されました。


証拠の種類: イダルゴ州法執行機関の記録
事件発生日: 2015/07/01
説明: 報告書によると、イダルゴ州のバー “ザ・スポット” において、1人の成人男性が繰り返し女性にハラスメントを行い、好ましくない注意を払っていました。SCP-6345はこれを目撃し、男性を暴行しました。複数の目撃者が2人を引き離そうとしたものの、SCP-6345はこれを撃退しました。バーの外に出たSCP-6345は、ハラスメント男性に着火する目的でライターを振り回し、誤って電柱を破損しました。数名の常連客がSCP-6345に負わされた怪我で入院しました。


証拠の種類: 証言
回答者: 独立系プロレスプロモーター セバスティアン・ランパルト
事件発生日: 2016/03/28
説明: SCP-6345がチャリティー・プロレス興行で売店の利益を盗んだという証言。

“ 奴は人間のクズだ。試合の1週間ぐらい前に、大型ゴミ容器の中で、高尚な文学作品か何かみたいにポルノ雑誌を読んでるのを見つけた。金に不自由してるのは知ってたが、あそこまで酷いとは思ってなかったよ。俺たちはあいつに助けの手を差し伸べたんだぜ。ウチに所属してるフェイスたち5が寄ってたかってウェソスを叩きのめす試合なら、きっと大勢観客が詰め掛けると思ったからな。ウェソスはごく少額で同意したから、俺たちは対戦カードを組み直して奴が入る余地を作った。チャリティー試合だから、プロレス好きの子供たちも観戦に来た - つまりウェソスが大嫌いな子供たちだ。ウェソスは実際、試合に参加して、ボコボコにされて負けた。その時、病気の子供たちの1人がリングに飛び上がって、剣道の竹刀で奴をひっぱたいたんだ。まぁな、試合中に変な事をしでかさなかった時点で、何かおかしいと思うべきだったかもしれない。俺たちが後片付けを終えるや否や、ウェソスは屋台の売り上げを全部入れてた箱と一緒に雲隠れしやがったんだ。あれはチャリティー試合だったってのに。 ”


証拠の種類: 法執行機関の記録
事件発生日: 2017/04/09
説明: 報告書によると、SCP-6345はイダルゴ州にあるカトリック系の寄宿学校 “ナーチャリング・マザーズ” の従業員1名を暴行しました。この際、SCP-6345はイサベル・マーキンという女学生が眠っていた部屋の窓の外に、金銭の入った袋を置いていく様子を目撃されていました。監視映像から、SCP-6345が約2年間にわたって2週間ごとにこの行動を繰り返していたことが発覚しました。イサベル・マーキンは聞き取り調査の際、SCP-6345や金銭提供者について何も知らないかのように装い、その時点でまだ手付かずだった全ての余剰金を問題なく引き渡しました。

イサベル・マーキンに関する公記録の調査の結果、彼女は犯罪歴を有するプロレスラー、故 エルネスト・マーキンの遺児であることが判明しました。エルネストは麻薬の乱用によって家族と疎遠になり、2014/04/17の夜に家を出てそのまま帰宅せず、失踪しました。


補遺.6345.3: インタビューログ

関係者:

  • ベンジャミン・オダンダ博士
  • SCP-6345

序: 財団の調査と並行する数週間に行われたインタビュー試行に対して、SCP-6345は非協力的な態度を維持した。SCP-6345のボディスーツを脱がせようと試みた職員3名が暴行を受けた。スーツが明らかにSCP-6345の安心感を保っていることを受けて、SCP-6345にスーツの着用を認めることが決定された。その他の特筆すべき活動は記録されなかった。


<記録開始>


SCP-6345は収容室のベッドに無言で横たわっている。8時間以上、身動きする様子は観察されない。オダンダ博士が収容室の窓を軽く叩く。

オダンダ: ウェソスウェソス

SCP-6345は沈黙している。

オダンダは収容室に入室する。警備員が懸念を表明するが、オダンダは無視する。彼はSCP-6345のベッドの向かいにある椅子に座る。

オダンダ: あなたのことを調べましたよ、ウェソス。実に多くの情報が掴めました。何故あなたの存在がもっと早く我々の監視網に引っ掛からなかったのか、そちらの方がよっぽど異常です。暴行、麻薬、窃盗。随分と罪を重ねてきましたね、エルネスト?

SCP-6345: 俺に何を求めてる? ショックか? 背中を軽く叩いて褒めりゃいいのか? 無尽蔵のリソースがあって州内の全部のデータベースにアクセスできる組織サマは色々と考え併せて結論を出した、上出来だ。それで?

オダンダ: あなたにその隙間を埋めてほしいのです。

沈黙。

オダンダ: 私はあなたが悪人だとは思っていません。

SCP-6345: 間違いだ。

オダンダ: 好きなだけ悪人を装えばいい。あなたはまだイサベルを気に掛けている。

SCP-6345はベッドから飛び起き、オダンダの喉元を掴んで壁に押し付ける。警備員が収容室に接近するが、オダンダは身振りで彼らを下がらせる。

SCP-6345: 何様のつもりでそんな口を利く。俺のことを知らねぇくせに。イサベルの… ことを…

SCP-6345はオダンダを放し、ベッドに座る。SCP-6345は両手で頭を抱える。

SCP-6345: こんな風にはなりたくなかった。クソッたれ。とっとと帰れ。

オダンダ: あなたはそうである必要はない。私は10年以上前に離婚しました。育ち盛りの息子を恋しく思う時もあります。誕生日や祝日だけじゃありません。ごく些細な事です。息子の興味関心、一緒に過ごした時間、息子が一人前の大人に成長するのを見届けること。あなたはそれを全て恋しく思っている。言ったでしょう、エルネスト。ごく一部に過ぎないとしても、あなたの苦しみが何処から来るのか、私には分かります。

SCP-6345: 家族よりもヤクを優先してきた。中毒は冷酷で無慈悲だ。俺がどう感じてようと、自分自身にどれだけ嫌気が差してようと関係ねぇ。必ず中毒は戻ってくる。それだけじゃねぇ。他にもある。俺は友人を言いなりにしてヤクを買う金を集め、プロモーターを脅して俺を勝利させ、孤児院を10年間運営させ続けるのに十分な数の父無し子を作ってきた。

オダンダ: どうして… このような姿に?

SCP-6345: どう死んだか? 俺にも分からん。路地裏で目を覚ました時、全身が骨だけになってたのは覚えてる。頭の中で声が聞こえた - 明るくて美しい声で、姿は見えないし理解できないが、どういう訳か女の声だと分かった。アンタらが科学系の連中なのは分かるが、誓って言う、あの女は天使だった。俺は幸運だ、2回目のチャンスがあると声は言った。全てをもう一度やり直す機会。十分に善行を積めば、肉体を取り戻せるってな。

オダンダ: そして?

SCP-6345: 文句の付け所しかねぇ大層な活躍ぶりを見せつけてきたのさ。記録を見たんだろ。俺だって頑張ったよ。俺は自分流のやり方しか知らねぇし、他人はそれが好きじゃねぇ。性根が根本から曲がってると、そいつにどれだけチャンスが与えられたって関係ねぇんだ。機能不全の人間だから、必ず何処かでしくじる。

オダンダ: 気持ちはお察しします、エルネスト。私からあなたのために何ができるか考えてみますよ、いいですね?

SCP-6345は叫び、ベッドを殴ってマットレスに穴を開ける。

SCP-6345: 俺は優しさを見せてくれたたった一人の女を裏切った。俺自身の子供を裏切った。あいつらが恋しい。あいつらの温もりを感じてぇだけなんだ。もう一度会いてぇんだ。

オダンダ: セラピー・プログラムに顔を出してみませんか? 我々のサイトでは-

SCP-6345: セラピストなんかに用はねぇよ。また家族に会いてぇ。畜生、俺はもう二度とここを出られねぇんだろ? 2年だぞ。人間に戻るための時間を、今まで通りの馬鹿な真似をして棒に振っちまった。もうどうしようもねぇ。

オダンダ: …残念ですが、それがあなたの状況の現実です。飲みますか?

オダンダはSCP-6345に酒のフラスクボトルを差し出す。

SCP-6345: マジか?

オダンダ: 今回は“感情的な慰め”ということにしておきましょう。

SCP-6345はフラスクを掴み、飲む。

SCP-6345: ありがとよ、先生。知っての通り、飲み食いする必要はねぇんだが、こいつは骨に染みるんだ。やれやれ。

オダンダ: エルネスト、私からは何も保証できませんが、あなたが自分の役割を果たしてくれるなら、我々も力を尽くすと約束します。そうすれば、ここの物事はずっと円滑に進みます。数多くのサイトが、様々な形式で、信頼できるアノマリーを内部構造に統合しています。あなたにもこのサイトで何かしら善い行いをする機会はあります。本当ですよ。

SCP-6345: 馬鹿馬鹿しい。

沈黙。

SCP-6345: 瓶よこせ。

オダンダはSCP-6345に再びフラスクを手渡す。

<記録終了>

補遺.6345.4: 行動報告

行動報告: SCP-6345


ベンジャミン・オダンダ博士による


SCP-6345の言動は過去2ヶ月で大いに改善しています。かつてのSCP-6345は敵対的でしたが、今ではインタビュー中に職員と頻繁に対話し、実験にも協力しています。特筆すべき出来事の記録や、交流の一部抜粋を以下にまとめます。


日付: 2019/9/14

最初の収容室外実験。SCP-6345は異常性の検査目的で研究室へ連れ出されました。SCP-6345はスーツを脱ぐ必要がある試験には協力しませんでしたが、体力と耐久性の計測試験には強い興味を示し、自らの増強された不屈さを誇示しました。試験セッションの終わりごろには、SCP-6345は職員と軽く会話し、試験機器の詳細について訊ねていました。

SCP-6345はサイト-10の屋外にある野原の真ん中に立つ。実験の準備が整ったことを研究員2名が確認する。

SCP-6345: (笑う) おうおう、ガリ勉ども、お次は何だ? 俺の骨をガタガタ鳴らせるかな?

財団支給P-13J9ロケットランチャーを持った研究員が登場する。

SCP-6345: 嘘だろ。

研究員: 発射!

ランチャーが発射される。SCP-6345が地面に倒れる。煙が晴れても、SCP-6345は立ち上がろうとしない。間もなく、研究員たちは微動だにせず横たわるSCP-6345に近寄る。

研究員: どうしよう、まさか-

SCP-6345は笑いながら地面から跳ね起きる。スーツはボロボロに裂けている。

SCP-6345: 引っ掛かったな、お前ら! (笑う)

SCP-6345は実験データを不正確にした可能性があったとして叱責されました。


日付: 2019/10/05

SCP-6345はサイト-10の建設作業員たちを手伝い、3階廊下の壁タイルを張り直しました。SCP-6345が仕事中に居眠りをした後、監督者とSCP-6345の間で短い口論が起こりましたが、オダンダ博士が介入して緊張を和らげました。SCP-6345は自らの活躍について語り、建設作業員たちを楽しませました。

SCP-6345は熱心に話を聞いている作業員たちの一団の中心に立っている。

SCP-6345: で、その孤児院の連中が俺を見つけたんだ、いいな? 銃を突き付けて、古いウェソスを身体から吹っ飛ばす気満々さ。別に怖くはなかったが、ちょっと警戒したな。

作業員: 待ってくれ、君は孤児院で盗みを働いたのか?

SCP-6345: (頭を掻く) それがよぅ、やったかどうか覚えてねぇんだわ。2、3人の文無しから盗んだことは確かにある、だがその孤児院に関しちゃ記憶が曖昧なんだ。多分酔ってたんだな。ともかく、奴らは俺を木っ端微塵にしやがった、だが俺は生き延びた

群衆は沈黙している。

SCP-6345: その晩、俺は1人の男を半死半生になるまでぶちのめした。

穏やかで不安げな笑い声。


日付: 2019/10/24

SCP-6345はサイト-10の農業部門を手伝い、財団職員間の仲間意識を育むことを目的とするチームビルディング活動において、サイトの庭の手入れを行いました。具体的な指示を受けたものの、SCP-6345は植栽方法の実行に困難を感じていました。

サルヴォ研究員が適切な雑草の抜き方をグループに指導する。彼女は実践のために身を屈める。

SCP-6345: (口笛を吹く) いいねぇ、ネェちゃん! (大声で笑う)

数名の研究員が息を呑み、SCP-6345に向き直る。オダンダ博士がSCP-6345の腕をきつく掴み、咳払いする。

SCP-6345: すまん。すまん。悪かった。

サルヴォは発言を無視して説明を続ける。

SCP-6345: 俺は女を尊重する。

これ以外の点では、作業中のSCP-6345は協力的でした。後ほど、SCP-6345は他者に促されることなくサルヴォ研究員に謝罪しました。


日付: 2019/10/28

SCP-6345は警護部隊同伴の下で、サイト-10のフィットネスセンターの利用を許可されました。SCP-6345は速やかに、施設を利用していた機動部隊隊員たちの一団の注目を集めました。SCP-6345の体力に挑む幾つかの友好的な競技が行われました。

SCP-6345とサイト-10駐屯機動部隊の隊員 ブランドン・スターが腕相撲をしている。SCP-6345は腕を動かしておらず、スターは勝利しようと力んでいる。SCP-6345は同時に職員たちと会話し、スターや腕相撲には興味が無いかのように装っている。

SCP-6345: 俺はオースティンのケツに熱々の石炭を叩きつけて、ザ・ロックには破傷風をくれてやるよ。奴らはイカサマ師、守銭奴、企業のおべっか使いだ。正真正銘のレスラーってのはこの俺、たった一人だけさ、ベイビー! プロレス界で誰よりも本気のマザーファッカー、クソッたれの骸骨男だ! 第一、ああいう独立系のアホレスラーどもの半数は生前の俺を嫌ってたんだぜ!

SCP-6345は明らかに苦戦しているスターに目をやる。

SCP-6345: あぁ、見ろよ、このチビ助の頑張りよう! (笑う)

SCP-6345は勢いよくスターの腕を倒す。ボキッという音が聞こえ、スターが悲鳴を上げる。

SCP-6345: ヤベェ!

スターは橈骨骨折の治療を受けました。SCP-6345は叱責されましたが、フィットネスセンターの利用を継続しています。


言動が改善されたため、SCP-6345には娯楽活動に費やす時間も与えられており、監督者同伴の下でサイトの食堂、フィットネスセンター、中庭エリアへのアクセス権を付与されています。数名の職員はプロレスに関する議論を通してSCP-6345と親しくなりました。報酬として、SCP-6345の収容室にはプロレス番組の配信サービスにアクセス可能なテレビが設置されました。

関係者:

  • ベンジャミン・オダンダ博士
  • SCP-6345

<記録開始>


オダンダがインタビュー室に入る。SCP-6345はプロレス番組を視聴している。

SCP-6345: 先生。

オダンダ: エルネスト、今日の調子はどうですか?

SCP-6345: 良いね、実に素晴らしいよ。今は世界の頂点に立ってる気分さ、本気だぜ。インタビュー室は洒落てるし、骨はうずいてねぇし、マスクもそんなに痒くねぇ。

オダンダ: 本当ですか? それは良かった。

SCP-6345: そうとも! ちょうど、アンタがあれやこれやと支えてくれたことを考えてたところだ。アンタは俺がここに根付くのを助けてくれた。このデカくて骨張った心の底から感謝してる。 (笑う)

オダンダ: 笑うとはまた珍しい。

SCP-6345: 笑わずにいられるかよ? あともう… 4日でイサベルの誕生日になる。幼い娘のために喜ぶのさ。もう12歳だぜ。

オダンダ: ふむ、それは… 良い事です。動揺してはいませんか?

SCP-6345: なんで動揺する必要がある?

オダンダ: あなたは以前、イサベルの誕生日に顔を出せないのが辛いと言っていました。何か変化があったのですか?

SCP-6345: その答えは簡単だ、先生。今回は顔を出そうと思う。

オダンダ: 何ですって?

SCP-6345: 俺の話を理解できてねぇな?

オダンダ: 理解できたと思います。

SCP-6345は立ち上がり、オダンダに近寄る。オダンダは僅かに身を引く。

SCP-6345: 悪く思わんでくれ、ベン。俺はアンタに喧嘩を売るほど骨のある男じゃねぇ、ただ全てを正す時間が欲しいんだよ。

オダンダ: 警備-

SCP-6345はオダンダを持ち上げ、インタビュー用テーブルに向かって投げ倒す - テーブルはこの過程で破損する。SCP-6345がインタビュー室から走り出る。

<記録終了>

補遺.6345.4: 事案-6345-1


03:03: SCP-6345がオダンダ博士を攻撃する。保安警報が鳴り始める。SCP-6345はインタビュー室から逃走しようとする。

03:05: 室外に待機していた警備員2名がSCP-6345に発砲するが、効果は無い。SCP-6345は両方の警備員を攻撃し、1名が殴られて意識を失い、もう1名が逃走する。SCP-6345は銃器を回収する。

03:11: サイト-10に駐留している駐屯機動部隊所属警備員7名の分隊がSCP-6345を包囲し、制圧しようとする。SCP-6345は銃器を持っているにも拘らず格闘戦を開始する。数名の財団職員が負傷し - 頭からオーブンに押し込まれて重度の火傷を負った者が出た他、警備員2名が階段の吹き抜けから投げ落とされるなどした - SCP-6345はロビーを去る。

03:15: SCP-6345がサイトの外縁部に到達。ここでSCP-6345は職員1名を自動車のフロントガラスに投げ付け、ガソリンとバーナーを用いて別な職員1名に放火する。SCP-6345はその後、フィールドエージェント用の自動車で逃走し、パチューカの街へと向かう。財団航空部隊が追跡する。

03:44: SCP-6345は盗難車両を降りて大聖堂へ向かう。この過程で神父2名が暴行を受ける - 1名はステンドグラスの窓を突き破って投げ出され、もう1名は木製の信徒席に叩き付けられる (信徒席は命中時の勢いで破損) 。財団のヘリコプター1機と地上機動部隊が大聖堂を包囲する。

03:48: SCP-6345は神父1名を引きずりながら大聖堂の屋根に現れ、肩に担ぐ。SCP-6345は以下に書き起こされた長い独白を開始する。SCP-6345の話し方は顕著に苦しげで動揺している。

SCP-6345: SCP財団! 好き勝手にここいらをチョロチョロ走り回って、何でもかんでも操って、何か怪しいからって檻に閉じ込めた奴らを引っ叩いて、そんな事が許されると思ってんのか? そいつが図体のデカい悪党の骸骨親父ってだけでか? 見ろ、俺は逃げ出した! 脱出した! 俺はお前らの誰一人として一瞬たりとも思いやったことなんかありゃしねぇ、何もかも芝居だったのさ、そうとも! 俺はこれから娘に会いに行き、身体を取り戻すぞ、マザーファッカーども! 俺はイサベルのために、ウェソス・マロス印のTシャツとスウェットバンドを身に着けた難病の子供のために、そして俺自身のためにこうする! もし俺がヤワになったなんて勘違いしてたんなら、考え直したほうが身のためだぜ。祈りを捧げな、神父さん!

03:54: SCP-6345は神父をスープレックス6の要領で担ぎ直し、大聖堂の屋根から、下方に待機している財団職員の群衆目掛けて飛び降りる。

04:15: SCP-6345は財団職員と格闘し、大勢の野次馬や法執行機関が到着した際に逃走する。財団職員は群衆の中からSCP-6345を発見できず、回収のためにパチューカ全域で大規模な捜索を開始する。


補遺.6345.5: 回収試行

SCP-6345は現在、2ヶ月以上にわたって財団の収容を回避しています。この間、SCP-6345は財団から直接観察されていませんが、複数の人物が対象を目撃したと主張しています。証言の要約と出来事の時系列は以下の通りです。


証拠の種類: 証言
事件発生日: 2019/10/14 (SCP-6345の収容違反から5時間後)
説明: 民間人 レアンドロ・アグヤが以下の体験を地元の法執行機関に伝えました。

“ 裏道は真っ暗闇で、危うくそいつを轢きそうになったんだ。最初は動物かと思ったけど、よく見るとルチャドールの衣装を着た男だった。かなり取り乱している様子で、酷いパニック状態だった。窓を開けて何か必要な物はあるかって訊いたら、とっとと失せろと言われた。体調も全然良くなさそうだったね。衣装は何処もかしこも破れてた。数時間後にまた通りかかると、男は道端に座って身体を丸めてたよ。泣いていたんだと思う。 ”


証拠の種類: 録画、証言
事件発生日: 2019/10/29
説明: SCP-6345の衣装と似たスーツ姿のルチャドールが、パチューカの路上で大道芸を行う様子を、複数の人物が目撃しました。この大道芸人は炎を“飲み込み”、見物人たちと写真を撮り、音楽に合わせて踊りながら募金を受け取りました。大道芸人は財団エージェントが現場に到着すると逃走したため、SCP-6345の可能性が高いと思われます。

翌日、地元の孤児院 “ヴェンディエンシの家” は、前述の説明と一致する大道芸人からの接触を受け、全ての収益を寄付されたと報告しました。


証拠の種類: 録画、証言
事件発生日: 2019/11/17
説明: SCP-6345はある独立系レスリング興行の開演6時間前に姿を見せました。警備員や他のレスラーたちはSCP-6345を施設から退去させようと試みたものの、プロモーターのグアネン氏はSCP-6345が話すことを許可しました。SCP-6345は謝罪のスピーチを行いました。抜粋は以下の通りです。

“ 大して変わりゃしねぇだろうが、俺は前に進みてぇんだ。だからこうして来た。もしお前ら三下どもの中に、そいつは捨て置けねぇと思う奴がいるなら、内々でケリを付けよう。俺はもう二度と、何があろうとお前らの試合には首を突っ込まねぇよ。お前らみてぇな低能にはこれで十分か? ”


証拠の種類: 法執行機関の記録
事件発生日: 2019/11/21
説明: 民間人2名によると、武装強盗がコンビニエンスストアを襲撃した際、SCP-6345がそこに立ち寄り、強盗を鎮圧してから現場を逃走しました。この事件は短期間、一般社会で報道され、ソーシャルメディアで注目を集めました。


証拠の種類: 財団の調査
事件発生日: 2019/12/14
説明: ナーチャリング・マザーズ寄宿学校に潜入中の財団エージェントは、SCP-6345が2019/12/14にイサベル・マーキンを訪問しようと試みたと報告しました。SCP-6345はマーキンの部屋の窓の外で30分間落ち着きなく歩き回った後、躊躇いがちに学校を立ち去りました。その後、SCP-6345は学校の外にキャンディと衣服が入った籠を置いて逃走しました。この贈り物にはマーキンの母親の署名がありました。オダンダ博士はマーキンが籠を受け取るのを看過しました。


補遺.6345.6: 収容


序: 2019/12/15、SCP-6345は財団施設サイト-10の入口に現れました。SCP-6345は無抵抗で収容されました。その後間もなく、インタビューが実施されました。


<記録開始>


SCP-6345は最高度セキュリティ収容室の中に座っている。武装警備員2名がオダンダ博士に同行している。

オダンダ: SCP-6345、正気に戻ってくれたようで安心しました。

SCP-6345: おう、おう。好きなだけ罵ってくれ。でももうこれっきりだよ。約束する。

オダンダ: 我々は同じ過ちを2度犯さないというのは、説明するまでも無いでしょうね。

SCP-6345: アンタは自分の仕事をやってるだけだ。俺はそいつがどんなもんか確かめたかっただけでな。

オダンダ: 実はですね、あなたの活躍を見届けてきました。敢えて態度を崩しますが、少し感心しましたよ。あなたはどう感じましたか?

SCP-6345: 間違ってる気がした。俺がやるべき事じゃねぇように思えたな。

オダンダ: それでもあなたは成し遂げた。

SCP-6345: 昔みてぇな面倒を起こすつもりじゃなくて、この世から姿を消す前に全てを白紙に戻したかったんだ。アンタたちがここで俺のために色々してくれて嬉しかった。おかげで、まだ俺にもチャンスはあるって思えるようになった。アンタの信頼を裏切ったとかそういう話じゃねぇ。笑顔で世界に背を向けることができるって意味さ。

オダンダ: その謝罪を受け入れましょう、SCP-6345。

オダンダは背を向け、収容室を立ち去る準備をする。

SCP-6345: 先生? もう1つだけ。

オダンダ: はい?

SCP-6345: アンタの部下の1人が俺の娘を見守ってるのを知ってる。もしできれば… 時々、娘がどうしてるか俺に教えてくれねぇか?

オダンダ: 断る理由はありませんね。確認しておきます。

SCP-6345: ああ、恩に着るよ。

沈黙。

SCP-6345: 俺は自分にできる事をやった。

SCP-6345はベッドに倒れ込む。収容担当職員が収容室から退室する。

<記録終了>


更新: 収容から3週間後、SCP-6345の身体の一部はヒトの臓器系と筋肉組織を成長させ始めた。成長が同等の速度で続いた場合、SCP-6345の肉体は435日以内に完全に復元されると予測されている。


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