特別収容プロトコル: サイト-56に配置される職員は、その年度の6月30日前までにSCP-6354について通知されなければなりません。部屋C114とB106は倉庫として使用されます。
説明: SCP-6354は故マヤ・ウォーレン博士に類似する非物質の人型実体です。実体は年に一度奇跡論研究サイト-56に出現し、2015年6月30日にウォーレン博士の取った一連の行動を実行します。ある程度の干渉が可能ですが、与えられた干渉が実体の手順を妨害することはありません。施設を出ると同時に実体は消失します。
補遺6354-01: SCP-6354の取った行動のリスト。
07:02
SCP-6354がサイト-56正面玄関に出現し、C廊下へ向かって歩行する。
07:14
SCP-6354が部屋C114に到着、着席する。タイピング動作の模倣に移行。
08:05
SCP-6354が部屋B106まで歩行し、不確定な行動を連続して実行する。
12:33
SCP-6354はサイトのカフェテリアに入り、急いで食事を済ませる。
12:46
SCP-6354は休憩室に入室し、ポケットから携帯電話を取り出す。実体は微笑みながらテキストメッセージを送信する動作を行う。
13:10
SCP-6354が部屋B106に戻る。
17:31
SCP-6354はサイト-56正面玄関に到達し、消失する。
補遺6354-02: ウォーレン博士とフィービー・クック博士のテキストメッセージ。
06/26/2015 18:04
ウォーレン博士: フィービー
ウォーレン博士: フィービーは聞いた?
クック博士: ?
ウォーレン博士: 最高裁は50州全てで同性婚を合法と宣言
クック博士: やったー!
ウォーレン博士: 何かお祝いしようよ
クック博士: 週末はずっと忙しい
ウォーレン博士: 火曜日は?
クック博士: いいよ
クック博士: 細かいことは後で考えよう
06/27/2015 16:23
クック博士: あざらし

ウォーレン博士: アザラシね
ウォーレン博士: そこはどこ?
クック博士: カリフォルニアのどっか
ウォーレン博士: かわいい!
06/29/2015 06:31
ウォーレン博士: いつこっちに着くか教えて
クック博士: 30分
06/29/2015 06:59
クック博士: 着いた
ウォーレン博士: 👍
ウォーレン博士: C120に来て
06/30/2015 12:30
クック博士: いま何してるの
06/30/2015 12:46
ウォーレン博士: 休憩中
ウォーレン博士: 今夜が楽しみ!
クック博士: 渡すものがあるよ
ウォーレン博士: 後で受け取らないとね
クック博士: ♡
06/30/2015 14:21
クック博士: 今夜は遅くまで仕事しなきゃならない
クック博士: 現地集合で
06/30/2015 17:40
ウォーレン博士: 了解
06/30/2015 18:45
クック博士: どこにいるの
クック博士: 隠れてもむだだよ
クック博士: マヤ
クック博士: 大丈夫?
クック博士: マヤ
クック博士: マヤ返信して
ウォーレン博士は2015年6月30日に重大な交通事故で亡くなった所をクック博士に発見されました。初期の現場捜査で奇跡論儀式の証拠が明らかになり、捜査は現在も行われています。
補遺6354-03: 出現イベントの終了を捉えた監視カメラの録画映像。
[記録開始、06/30/2018 17:32]
[SCP-6354はサイト-56正面玄関に到達する。クック博士がSCP-6354に駆け寄る。]
クック博士: 待って! 止まって!
[SCP-6354は立ち止まり振り向く。]
クック博士: 今いられない? ほんの……少しだけ。
SCP-6354: 少しだけなら。ずっとはいられないわ。
[クックはSCP-6354の手を握ろうとするが、彼女の手はすり抜ける。]
クック博士: なんで何回も戻ってきてくれるの?
SCP-6354: さあ……分からない。
クック博士: 本当にごめん。もしあたしがあの時
SCP-6354: あなたのせいじゃない。私たちはみないつかは逝くものよ。
クック博士: でも、あの時じゃなくたって! もしあたしが一緒に行ってたら、マヤは……
SCP-6354: いいの。
クック博士: さよならを言えなかった。言えなかった……
[クック博士は左手を開き掌中の指輪を示す。]
[沈黙。]
SCP-6354: 私……ごめんなさい。
[SCP-6354がドアに向き直る。]
クック博士: ダメ、お願い、行かないで! まだダメ!
SCP-6354: 愛してるわ、フィービー。
[SCP-6354はドアに到達し消失する。]
[記録終了、17:34]