SCP-6358


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評価: +9+x
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アイテム番号: 6358
レベル3
収容クラス:
keter
副次クラス:
none
撹乱クラス:
keneq
リスククラス:
warning

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SCP-6358を販売している書店。


配属サイト サイト管理官 研究責任者 担当機動部隊
サイト-43 A. J . マッキンス L. リリハンメル博士 κ-43 (“メディエーターズ”)

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SCP-6358実例。

特別収容プロトコル

財団はカナダのバンクーバーで小説“メサイア”を発売禁止処分としました。機動部隊カッパ-43 (“メディエーターズ”) のエージェントは、実例の出現に備えて、全てのショッピングモールと書籍取扱店を監視します。

全ての実例は押収され、処理のためにサイト-43へ移送されます。書籍が店舗に自然に出現したという報告は調査されます。4冊の実例がサイト-43のセクター14に収容され、その他の余剰分は全て焼却処分されます。

説明

SCP-6358は“メサイア”と題された小説であり、通常はGOI-5889の変名である“VKTM出版”によって頒布されています。SCP-6358実例はこれまでのところ、カナダのバンクーバー市内でのみ発見されています。

実例は様々な書店で自然発生的に出現しますが、書店がそれらを入荷した記録は生じません。大半のSCP-6358実例はペーパーバックであり、通常は内外にいかなる類の損傷もありません。

裏表紙には次のような記述があります。.“メサイア”という映画の記録は存在しません。

MESSIAH

一人の男の人生を綴る魅惑的な物語。

アカデミー賞受賞作品 “メサイア” を我々VKTMの専門家たちが編纂したこのノベライズ版では、本作の内幕についての独占情報.そのような情報はどの実例にも収録されていません。を皆様にご紹介いたします。

エステル大陸のラエン国で働く平凡な農夫、ヤヌス。しかし、自分がセズズの生まれ変わりであることを彼が悟る時、物事はそう単純ではなくなり、ヤヌスは世界を団結させなければならなくなる。

いかなる困難に直面しようとも…

“素晴らしいね。本を手放せなかったよ-"

伝説の男
2006年10月23日 VKTM新聞

"愉快な傑作-"
ロバート・ジョーダン

2007年9月24日 VKTM新聞

"はい いちりゅう ほん とても おもしろい とても ばいおりん-"
とくめい

2008ねん8がつ26にち vtkmしんぶん

監督: ロッシュ・イニアー 主演: アンセル・ショー、マルコ・ポーロ、ジェフリー・ブラウン、ディーン・コーンウェル、ネルソン・マンデラ、C. S. ルイス

VKTM出版 あなたが生まれる前に創業

SCP-6358を読んだ人物は全員、結末に近づくにつれて、圧倒的な罪悪感と恐怖心を感じると報告しています。

補遺6358.I: 発見

12月19日、バンクーバーのあらゆるラジオ・テレビ放送が、未知の発信元からの放送によって中断され、以下の映像が流れました。この映像を視聴した人物は、人類の存在という信念の深刻な喪失に苛まれ、自分たちはネコの一種だと主張しました。全ての被害者は後ほど記憶処理されました。

画面に“毎日のニュース放送を中断し、VKTMから皆様に、冥王アクバル・シヤの緊急メッセージをお届けいたします”という文言が表示される。

映像は軽快な音楽と共に始まり、SCP-6358の写真が映し出される。

不明人物: ハロー、よし、動いてるな? よし、よし。テレビはとても楽しい、実に楽しい、もちろん俺ほど楽しくはない、うん、うん。ああ、それに本だ。本は読むもの、本は楽しい、読書はお前たちを俺のように賢くする、俺に匹敵するほどじゃないが賢くはなる、うん、うん。この本は素晴らしい本だ、とても面白い本だ、この本には—

画面は突然、戦場、爆発、お互いに向かって発砲する兵士たちの映像に切り替わる。音楽が次第に歪み始め、かすかな笑い声が聞こえる。

不明人物: 冥王の話をしようぜ、ベイビー! 彼のやり方こそが唯一のやり方だってことをな! そしてそれに賛成しない奴は誰でも咎人だ! 粛清されねばならない!

画面は雷雨の映像に切り替わる。黒い月が空に浮かんでおり、遠吠えが聞こえる。

不明人物: そうだ、そうだ。他にはどんな信仰もどんな文化もあっちゃならない、我らが冥王アクバルの掌の下に生きるのみ! 彼だけが存在し、それ以外は全部幻想なんだ! 彼のやり方だけ! 彼のやり方だけだ! 何故って、他のやり方は怖いもんな。お前らみたいに!

遠吠えが大きくなる。

遠吠えが止む。

不明人物: さぁ、早くこの本を買ってアクバルと彼の世界統治の全てを知ろう、なにしろ始まってからもう200年経ってるんだ。知っておくべき事は俺たちが徹底的に書いておいた! この本を持ってない奴は誰でも咎人だ! (合間) お前、この本持ってるか、リリー? そうだ、お前だよ、リリー・リリハンメル。今このコマーシャルを見てるんだろ。いいえ? 持ってないって? だったらすぐ買いに行け、クソボケ! 忘れるなよ…

画面は夜間の家の映像に切り替わる。

不明人物: (囁き声) …俺はお前んちの壁の中に居るんだ。

沈黙。

不明人物: 俺たちは売るsell。俺たちは騙すcon。俺たちはお前の墓に小便するpiss。冥王とその同胞たちに万歳。SCP財団に万歳!

音楽はクレッシェンドに達する。笑い声が絶叫に変わる。映像が終了する。

これに続いて、SCP-6358実例がバンクーバー市内の書店に出現し始めました。

補遺6358.II: プロットの詳細な概要

注記: ミーム的な異常性を示す文章は全て削除されています。ただし、アノマリーの影響を感じ始めた場合はサイトの医療職員に速やかに報告しなさい。 — リリアン・リリハンメル博士

この小説は主人公のヤヌスを読者に紹介するところから始まり、2章にわたってヤヌスの普段の生活を追います。記述によると、ヤヌスは“どこでもない地”の只中に暮らす農夫です。

(…) ヤヌスは、どこでもない地の真ん中でのたった一人きりの暮らしが嫌いだった。山々が、羊たちが、目の前に咲き誇る森が嫌いだった。彼は全ての小道、全ての大路を知っていた。彼が滅多に足を運ばないニュー・ダエーワに通じる西方への道も、彼の生まれ故郷であり、衰退して朽ちゆくイッポスビルの町に通じる道も、沢山延びていた。

しかし、ある日、余所者が姿を見せ、文中で“存在しない”強大な魔術師とされる人物、“マルコ”であることが判明します。

彼はいない、しかし彼はいる、しかし彼はいない。彼は虚無の中で叫ぶが、万物の中にいる。彼は存在しないが、存在する。

マルコは、ヤヌスは転生した“セズズ”であり、“冥王アクバル・シヤ”.أخبار سيئة. アラビア語で大雑把に“凶報”を意味します。に対抗して世界を団結させなければならないと語ります。ヤヌスは主に、かつて姦淫の罪でイッポスビルの住民たちに追われ、殺害された両親の仇を討つのに都合の良い口実として、この話を即座に信じ込みます。ヤヌスはマルコを追ってイッポスビルへ向かい、そこで信者を集め始め、世界を団結させることになります。

34ページからの抜粋は次の通りです。

「お主はまず、ここで信者たちを見つけねばならん」とマルコは言った。

ヤヌスは当惑し、町を包み込むように聳え立つ広い山々を見つめながら言った。「どうすればそんな事ができますか? 私は単なる定命の人間だし、仲間はあなた一人だけです」

マルコはこう返した。「おぉ! しかし、お主は人間の心がどこまで言葉を受け入れるかを見くびっておる! お主の神々しさ、神聖さ、偉大さを語れ! 全てを説明するが良い、ただし儂については除外せよ。全能の造り手からのお主の降臨について語るのじゃ!」 そして、巨大な外套をはためかせ、彼の存在は叫びと共に消え去った。

彼は初めからその場にいなかったのだった。

小説の視点は、冥王アクバル・シヤに切り替わります。シヤは同情の余地ある登場人物ではなく、子供を喰らう歪曲した悪意ある怪物として描かれています。この章は、シヤがとある王国の人々を自らの軍勢に引き入れようと説得する場面から始まります。

56ページより抜粋:

「レールの民よ、我が声を聞け!」 アクバル・シヤはそう言い、大きな台座の上に立つそれの影が、恐怖に身を寄せ合う人々の上に投げかけられた。それは深淵でのたうつ、捻じれ年老いた卑劣な生き物であり、純粋な暗黒で形作られた冠を頭上に浮かべる歪な怪物であった。

「私はお前たちが力を欲しているのを知っている。お前たちが剣の平和、闇の平和を望んでいるのを知っている。お前たちが互いを八つ裂きにし、髄をすすり、肉を引き裂きたいのを知っている。お前たちの魂に宿る儚い息吹の全てを振り絞ってそれを求めているのを知っている。私はそれを知っている」 レール人たちは皆、熱烈に頷き、全く新しい見地からシヤを見つめた。

「私はお前たちにそれを与えることができる」 シヤの声は滑らかな甘い響きとなり、全ての聴衆の心へと届いた。「我こそは天上の闇の王である。我こそはお前たちの救い主である。私と共に行進せよ、さすれば私はお前たち一人一人に剣の平和をもたらすことが出来る。私を何よりも強く崇め、女族長メイトリアークの血の玉座よりもなお上に高めよ。さすれば私はお前たちにその平和をもたらす」

「でも — でも、あたしたちは怪物じゃない」 シヤの残忍な赤い眼を向けられると、まだ若い女漁師は息を呑み、汗をかいた。「あたしたちは怪物じゃない。こいつに耳を傾けちゃダメよ!」

「お前の価値を示すが良い」その声は突然冷たく死んだものとなり、あたかも太陽に巨大な影が落ちたかのように、漁師娘の心に恐怖をもたらした。「お前たちは心の中でそれを望んでいるのを知っている」

漁師娘に向かって、誰もが自らの冷たく死んだ指を伸ばした。

一方その頃、ヤヌスはイッポスビルで説教を開始し、誇大妄想の域に達するほど長大な自分語りを行います。これは小説中に詳細に記録されています。

120ページより抜粋:

彼は人並みの背丈の巨人となって台座の上に立ち、畏敬の念を込めて彼を見上げる人々の上に影を投げかけた。彼は息を継ぐ間も取らずに話し続けた。

「私はセズズ」 彼はそう言い放ち、その叫びは人々が息を呑む音を圧して響き渡ったが、その息を呑む音からして相当に大きかった。「私は諸君の救い主だ! この世界で最も偉大な者、全能の造り手の息子だ! 見よ、私からしか、造り手の光を目の当たりにすることはできない! 私は彼の栄光の化身である! 私は大いなる者であり、それを否定する者は全て愚者である! それを否定するのは即ち冒涜である! 彼の光輝を知る者だけが悟りを得るだろう! 全ての咎人は真理を拒む!」

「どうしてあなたがセズズだって分かるの?」父親に肩車された幼い少年がそう返した。「あなたはそうだって言うけど、僕たちはどうすればそれが嘘じゃないって分かるの? 証拠は?」

「静かにしろ、無知な子だ」 恥じ入った父親が言った。

「その子供の言葉は尤もだ」とヤヌスは宣言した。「では証拠を示そう! 私はあたかも固体であるかのように水上を歩いた!」 人々は驚嘆の声を上げた。「私は蜂蜜を真水に変えた! そして、私は唯一、冥王アクバル・シヤに立ち向かうに相応しい者である! 私に従うが良い! 私はシヤに対して世界を団結させねばならない!」

人々は皆ヤヌスに拍手を送ったが、ただ一人、幼い少年だけはこう叫んだ。「そんなの口だけじゃないか! 嘘かもしれない、もっと証拠を見せてよ!」

少年はヤヌスの怒りに火を点けた。

「私の言葉を疑うつもりか?」 彼は吼えた。「私の言葉を疑うとは! 私の言葉は全能の造り手のものだ! 私は大いなる者であり、私の言葉は全て聖なる真理である!」

「でも —」

「全ての咎人は粛清されねばならない!」彼は聖なる指で少年を指した。「全ての咎人は粛清されねばならない! 全ての咎人は粛清されねばならない!

誰もが怒りに満ちて少年を見つめ、自らの冷たい指を伸ばした。

視点は再び、ニュー・ダエーワに向かって進軍中のアクバル・シヤに切り替わります。

133ページより抜粋:

「お前は何一つ食べてはならぬ」 シヤは眼前で震える男に唸った。

「で- ですが —」

何一つ食べてはならぬと言ったのだ! それが私を失望させた罰となる。己の身から罪を清めるが良い。私を通してのみ、お前は平和を知ることができる。私を拒めば、お前はセズズの弱さに屈することになるぞ」

「も- 申し訳ございません、お許しください、私めは —」 それの残忍な視線に魂を貫かれ、男は口ごもった。

「それとも粛清を望むか?」

男は身を震わせ、首を横に振った。どこか人間の微笑みに似たものがシヤの顔に広がった。なんと惨めな愚か者どもだろうか。この痛ましいほど哀れな種族は、自分に仕えるためだけに存在するのだ。なんと惨めな民であることか。シヤは支配を満喫できそうだった。

“セズズ”を名乗るようになったヤヌスは、分断されていたイッポスビルの派閥をまとめ上げ、町議会を打倒し、ニュー・ダエーワに向かって旅を始め、弟子たちに教えを説く時だけ足を止めます。ヤヌスは“全能の造り手”の重要性、彼のみが“偉大にして強大”であること、彼の説く方法が“光輝と慈愛に至る唯一の道”であることを長々と語りつつ、彼の統率を拒む者たちを“粛清”します。

199ページより抜粋:

(…) 「何も殺してはいけない、もちろん人間は除く」 ヤヌスは調理されたウサギを食べながら言った。

「しかし、我々はたった今 —」

「— 殺しても良い、と私が言った時は別だ。私の言葉は法である。我々は全ての者に寛大でなければならない、もちろん咎人や異教徒の類は除く。私に耳を傾けない者は誰でも異教徒にして咎人であり、粛清されねばならない。私を通してのみ、諸君は全能の造り手の光輝を見ることができる。私を通してのみ、諸君は光を見ることができる。私は大いなる者だ。何者も私を疑うことはできないし、疑うべきではない。私こそが聖なる真理であり、私を拒めば光をも拒み、シヤの誘惑に屈することになるだろう」

彼は弟子たちを見て微笑んだ。なんと哀れな愚民たちだろうか。彼らの唯一の存在意義、造り手が彼らに与えた唯一の目的は、彼のような高位の者たちに仕えることなのだ。彼は今になって、紅血将軍ブラッドロードたちがいかに支配を享受しているかを知った。彼も確かにそれを楽しんでいた。

視点は、息子をヤヌス信者にしようと説得する無名の母親に切り替わります。

「さぁ、あんたも加わるんだよ」 彼の母は言った。「ダエーワ人ダエーバイトの奴隷になんかならないでおくれ! 奴らは親切じゃない、奴らは死と踊るんだ!」

「あの救世主が恵んでくれるのよりはマシな人生だ」 彼はそう吐き捨てた。「紅血将軍どもですら、あいつより親切だ」

「あの方はあんたが思ってるよりずっと優しいんだよ!」母は怒りに身を震わせた。「それにね、あの方は本当に救世主なんだよ。蜂蜜を真水に変えた! 水の上を歩いた! そして異形のアクバルを打ち倒せるのはあの方だけなんだ!」

「本気でそんな嘘を信じてるのか?」息子は冷笑した。「じゃあ教えてくれ。あいつがそういう手品をやってるのを見たことが一度でもあるか?」

母は黙っていた。

「ここに来て以来、あいつが何をした? ささやかな行軍にみんなを集めて以来、何をした? みんなが腹を空かせてる間、一人だけ豪勢に飯を食って、自分語りをしてるだけじゃないか。みんなの前では“聖なる業”とやらを一度も見せないし、疑う奴は全員粛清される」 彼の唇が嫌悪感に歪んだ。「アクバルはまさにそういう事をするって聞いてるぞ。本当にあいつがアクバルよりまともな奴だと思うのか?」

それでも母は黙っていた。

「頼む、俺と一緒に来てくれ」 息子は懇願した。「紅血将軍どもはあの馬鹿よりも寛大だ。俺と一緒に誓いを果たしに行こう。奴らはもう俺たちの村を占領してる」

「あんたは私の息子じゃない」 かつて彼の母だった女が言った。「息子と同じ顔をしてる。でもあんたは汚らわしい奴隷だよ」

一瞬、彼の顔に苦痛が走った。そして彼は頷き、立ち去った。

ヤヌスは、彼やその命令に全く疑問を抱かず、熱心に従う信者を多数集めることに成功します。やがて“ニュー・ダエーワ”に到着したヤヌスは、統治者たちへの謁見と“シヤを震撼させる軍勢”の提供を要求します。

213ページより抜粋:

彼は紅血の門に向かって立ち、前衛たちに呼びかけた。

「我こそは聖なる真理!」 彼は叫んだ。「我こそは全能の造り手の息子! 私を通してのみ、諸君は光を知る! 私はシヤを震撼させる軍勢を必要としている、紅血将軍たちよ! もしこれを差し出さないならば、私が大いなる者であることを知るが良い、私は偉大なアムスンがかつてそうしたようにこの地を引き裂くであろう! 諸君を一人残らず粛清するであろう! 我こそは無敵の—」

それに応じて、前衛は一本の矢を放ち、彼の顔を割った。

混乱が巻き起こり、ヤヌスの弟子たちの多くが“紅血の門”をヒステリックに攻撃し始めると共に、それ以外の多くがその場を逃走します。戦闘が発生すると、ヤヌスの弟子たちは前衛を圧倒し、“ニュー・ダエーワの要塞”を攻撃し始めます。

小説の視点はここで突然、ヤヌスを射殺した前衛、クムランに切り替わります。文章では、クムランは命令に従っただけの奴隷だとされています。彼がニュー・ダエーワを照らし出す火災を遠方から見つめていると、正体不明の人物がその前に立ちはだかります。

小説の最終ページである220ページからの抜粋は次の通りです。

「愚か者!」 その姿は叫び、捻じれ、翻った。クムランは時折、その姿がまるで存在しないかのように透けて見える気がした。時折、その場には誰もおらず、空気に話しかけているようにも感じた。それはまるで自分自身の声を聞き、自分自身に語りかけているような、或いは虚無の中での叫びが反響し、高まっては衰えてゆくような感覚だった。その焼けつく黄色の目が、彼の目を燃やした。

「何故あの男を殺した? 儂がこれだけ骨を折った後で、何故?」

彼は呆気に取られていたが、どうにか口を開いた。

「僕は命令に従っただけだ」 クムランは呟いた。

「命令に従った!」 金切り声が響いた。「命令に従ったじゃと! シヤを食い止め得た唯一の男を阻み、殺したことをそれで正当化できると思ってか!?」

「奴はセズズじゃなかった」 クムランはこれ以上無いほどの確信を持って言った。「セズズは無敵だ、奴は—」

「セズズ!」 それが叫ぶと、クムランはその存在自体が漣立ったように感じ、また実際その通りであった。「目を覚まさんか、矮小な、無知な人間よ! セズズなど初めからおらぬわ! 造り手もおらぬ!」

「でも —」

「預言は嘘なんじゃ! もし造り手がおったなら、彼は何故シヤに自ら向き合おうとせんのだと思う? アクバル・シヤは大いに現実的な脅威じゃ、儂らが奴に立ち向かうにはヤヌスしかなかった! 全ての国が争っている今、彼らに耳を傾けさせる唯一の手段として儂が知っていたのは、誰かにセズズを名乗らせ、彼らを団結させることじゃった。彼らは相手が自分より高みにいると思わなければ話を聞こうともせんのだからな!」

それは更に激しく波打ち始めた。「さぁ、これからどうなるか見届けるがいい…」

補遺6358.III: 事案6358.A

SCP-6358がヴェールの維持にもたらす脅威を鑑みて、SCP-███を利用した無力化が試みられました。.SCP-███は特定の場所で奇跡論エネルギーの発生を遮断できる装置、リクエット反奇跡論エンジンです。当時、SCP-6358の性質は奇跡論的なものだと考えられていました。 試験のため、SCP-███のエネルギーがリグビー・ショッピング・コンプレックスの書店に向けられました。

この試みは失敗しました。試行直後、SCP-6358実例は空から降り注ぎ始め、影響地域の書店や民間人の住宅にも数百冊が出現しました。また、何冊かの実例はその場にいた財団職員の体内に出現しました。全ての目撃者が記憶処理され、実例群は処分のために回収されました。回収版を調査したところ、それまでの実例には無かった序文が含まれていることが明らかになりました。

序文の内容は次の通りです。

やぁどうも!


きっと皆さん、これを見て衝撃を受けていることでしょう! これはあなた方の善行を讃えるためのメモです!

な~んてね、もちろん違いますよ。

御伽噺は素敵ですよね。誰もが読める楽しい物語を伝えてくれる。そして何より大切ですが、無知な子供たちに有用な道徳的教訓を教え込むのにも使えます。それでは、もしそのために子供たちを怖がらせる必要があるとすれば? 私たちVKTMはその種の物語に誇りを抱いているので、あなた方のような子供たちに教えるための御伽噺を作りました! もっと綿密に研究すべきだったのではないでしょうか。

あなた方は決して学びませんね?

今頃はもう、私たちの実績が物語っているはずです。いつになったら私たちを信用することを学んでくれますか? そうすれば、きっと良いことが沢山ありますよ。

ご一考くださいね。

- アノン・E・マウスAnon E. Maus

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