アイテム番号: SCP-6405
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-6405は鋼線ロープで現在の位置に固定した状態を保ち、ロープは毎年2回、または司令部が必要と認めた際に交換します。巡視船でSCP-6405の周囲5kmの境界を維持し、認可無き接近を阻止します。環境条件の都合上、全ての財団職員は防寒着を着用しなければなりません。SCP-6405-1の叫び声は聴力喪失を引き起こし得るため、耳栓の使用が義務付けられます。
低温環境、遠隔地という性質、直射日光の欠如、SCP-6405-1の絶え間ない発声による生理的・心理的なストレスのため、職員は3ヶ月ごとに入れ替えられます。
SCP-6405への乗船は、追って通知があるまでは厳密に禁止されています。
説明: SCP-6405は全長134.16mのクルーズ船です。起源を調査したところ、この船舶は有名な便宜置籍船国1であるバハマの海事局に匿名で登録されていたことが判明しました。財団は取引記録とバハマ海事局職員への尋問を通して、SCP-6405の所有権が映画監督である第五教会の高位メンバー、ルーファス・ドレッチャーにあることを突き止めました。
赤外線検査の測定値から、SCP-6405下部の船倉には、発見以来SCP-6405-1と指定されているヒト型実体が存在することが判明しています。SCP-6405-1は150デシベル以上の声で絶え間なく発声しています。これらの発声や観測された動き方は、SCP-6405-1が永続的に苦痛を感じており、自分が現在いる部屋を退出できないことを示唆します。SCP-6405-1は超高エネルギー宇宙線(UHECR)2と同等の放射線バーストを断続的に発します。これは極めて致死性が高い3ものですが、未知の理由ですぐに消散します。これらのバーストは約9分おきに発生します。SCP-6405に持ち込まれた電子装置は、バースト事象の発生に関係なく即座に動作不能に陥ります。限られた探査時間で情報収集を行う手段として有効なのは非デジタル写真です。SCP-6405から除去された物は急速に崩壊するため、写真は船上で発見される物品や文書から情報を収集する唯一の手段です。
SCP-6405は1979年9月22日、アメリカの衛星4が座標47°S 40°Eにおいて検出した“二重の閃光”の調査中に発見されました。この事件は公には、南アフリカ共和国が治めるプリンスエドワード島の近くで行われた、南ア共和国とイスラエルの共同核実験であると仮定されました。財団は異常事象の可能性を疑い、調査を進めました。
SCP-6405から回収された乗客名簿と関係書類は、かつて多数の乗員乗客が存在したことを示します。しかしながら、言及されている1,892名のうち、SCP-6405で発見された文書以外で確実に実在が証明されているのは1名のみです (SCP-6405-1を参照) 。社会保障番号や銀行口座は、生死を問わず、あらゆる人物のものと合致しませんでした。船内で見つかった日誌や手紙は、SCP-6405が第五教会の信者 (及び元信者) の再教育センターの役割を果たしていたことを示唆します。一般的な居室は窮屈かつ外部から施錠可能であり、刑務所の独房に酷似していましたが、第五教会の高位メンバーが住んでいた部屋は十分な広さと贅沢な内装を備えているのが確認されました。人間の遺体は発見されていませんが、衣服が船内に散在しています — これらは明らかに丸ごと脱ぎ捨てられており、起源不明の黒い残渣に覆われています。
SCP-6405-1は、ヴォックス・エテルナ歌劇団所属のソプラノ歌手であり、裕福かつ有力な第五教会信者 カルロス・サラザールの妻でもあるソフィア・サラザール (旧姓エフロン) だと考えられています。ソフィア・サラザールは一時期、第五教会との関わりを持たない友人や家族から失踪届が出されていました。ロサンゼルス市警はこの件の調査を表明した後、カルロス・サラザールのハリウッドの邸宅を訪問し、ソフィア・サラザールは無事だったと宣言しました。彼女は1974年以来、公の場で目撃されていません。
工作員の報告と撮影された写真は、SCP-6405の各所に財団支給の制服や装備が存在することを示します。IDカードは生死を問わず記録されている職員と一致せず、当初は偽造品と見做されましたが、第五教会がどのようにして偽造に必要とされる機密情報を得たかは未だに不明です。この問題を更に複雑にしているのは、最近になって、SCP-6405の収容後に開発・採用されたはずの財団装備品が発見されていることです。このような物品は数千点あると見積もられており、SCP-6405の一部はこれらを掻き分けなければアクセスできません。
回収された文書:
補遺: 1991/06/21、SCP-6405に派遣された (最初の) Dクラス職員が1枚の写真を撮影し、財団の船へと無事に持ち帰りました。写真には1枚の観察窓が付いた金庫室用の分厚いドアが写っていました。写真の独房は無人でしたが、赤外線測定値に基づくと、そこはSCP-6405-1が存在する部屋であるように思われます。これはSCP-6405-1が肉眼では観察できない可能性を示しています。写真のより緊密な分析は、独房の奥の壁に文字が刻まれているのを明らかにしました。文字は判読困難ではあったものの、画像復元ソフトウェアを使用したスキャンで解読されました。
“ヤツラ ノ ナマエ ト キオク ガ マッショウ サレマスヨウニ”5
最近の船内の写真は、オレンジ色のDクラス職員用のつなぎの数が、私服と工作員装備を上回っていることを示唆します。加えて、SCP-6405に廃棄されたカメラの量が突然急増していることが指摘されました。
O5評議会は、追って通知があるまで、全てのSCP-6405関連の探査と実験の停止を命じました。