SCP-6420
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財団記録・情報保安管理局より通達

査読者へ: 本文書には身体の切断、暴力、自殺念慮、クモ形類動物に関する明白な描写が含まれます。

— マリア・ジョーンズ、管理官、RAISA


アイテム番号: SCP-6420

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-6420-1の周辺は常に警備する必要があります。一般人がこの一帯に進入した場合は追い返し、SCP-6420-1は危険かつ不安定な状態にあると知らせてください。

タル・キニグルの死体は補助研究施設-19の冷凍保管庫に保管します。

財団の管理下に置かれ次第、SCP-6420-2は高セキュリティ人型実体収容室に収容されます1

2体のSCP-6420-3個体は個別の高セキュリティ動物収容セルに収容し、オーチャードグラスヘイとハエを毎日給餌します。SCP-6420-3個体の死体は安全冷凍保管庫に1体のみ収容します。財団の管理下にないSCP-6420-3個体は例外なく焼却してください。

説明: SCP-6420は、ミシガン州農村地域の廃屋を含む一帯に所在するアノマリーの総称です。SCP-6420-1はタル・キニグルとアイザ・キニグルの旧宅です。タル・キニグルはSCP-6420-3個体に侵された人間の死体です。

SCP-6420-2はSCP-6420-3に侵された生きた人型実体です2。SCP-6420-3は、lagomorphae3およびarachnea4と共通するゲノムや表現型の特徴を帯びた寄生性の子ウサギです。SCP-6420-3の体長は約0.7 cmです。

SCP-6420-3は知性を有する人型生物の首の後ろに定着すると、その部位に嚙み付き、首から脳幹へと潜り込みます。SCP-6420-3は脳下垂体に到達すると未知のホルモンを分泌します。

発見経緯: 2021/02/17、財団がSCP-6420-1の一帯で低いヒューム値を検知したのを受け、エージェント ジョセフ・クルリクとマッケンジー "マッキー"・コニーンが調査に向かいました。

調査ログ2021/02/17

場所: SCP-6420-1

調査員: エージェント ジョセフとエージェント マッキー

<ログ開始>


[映像に田園地方に所在する2階建ての家屋が映し出される。大きなモミの木が家屋を貫いて生えている。外では白いウサギの群れが飛び跳ねている。雪がうっすらと降っている。]

マッキー: ウサギがどうこう言ってたのは冗談じゃなかったのね。

ジョセフ: ウサギは嫌いか?

マッキー: 好きだけど、たまに邪魔になる時があるのよね。

[2人が家屋に接近する。ウサギの群れは動かずにいるが、エージェントらを観察している。家屋に押し入った形跡が見られる。ジョセフがドアの外に何かが落ちていることに気付く。]

[ジョセフが2つの小さな物体 (のちにメズーザー5とハムサ6であると特定) を拾う。]

[ジョセフが深呼吸しながら足を踏み入れる。進入とともにエージェントらが懐中電灯を点灯する。]

マッキー: (囁き声で) めでたし 聖寵充ち満てるマリア —

[マッキーとジョセフが赤外線ゴーグルを装着し、ビデオ映像を切り替える。エージェントらが正面玄関に進入する。階段と廊下は枝葉やクモの巣が密集しているためにほとんど視認できない。]

[ジョセフが玄関に向かって赤外線カメラを左右に走らせる。廊下と2階への階段の双方にウサギの群れの熱反応が映っている。]

[冗長な映像は削除済。]

[エージェントらが2階に到達する。天井に空いた穴から雪が降っている。エージェントらが残されてまだ間もない大きな痕跡を発見し、その後を追う。痕跡は開いたドアへと通じており、その先には大きな熱反応がある。2人が接近すると、熱反応が直立したウサギの形状を取る。ドアの蝶番は取り外され、破壊されている。マッキーが入室前に赤外線をオフにする。彼女が部屋の中を覗き込む。]

[室内は外窓から照らされている。窓は木の枝で割れている。吹雪が接近するにつれて、室内に雪が積もっていく。]

[SCP-6420-2は部屋の隅で死体 (のちにタル・キニグルと特定) に覆い被さっている。SCP-6420-2はヒトの手で顔を覆っている。]

[マッキーが次いで入室するようジョセフに促す。]

マッキー: こんにちは、ウサギさん。

SCP-6420-2: (微かにすすり泣く)

マッキー: 大丈夫よ、ウサギさん、私のことが分かる?

SCP-6420-2: (振動し、すすり泣く)

[ジョセフがマッキーの後について行く。]

マッキー: あなたを傷つけるつもりはないから、もし私たちのことが分かるのなら、いくつか訊きたいことが —

SCP-6420-2: (足を床に激しく叩きつける)

[マッキーとジョセフが静止する。そのまま1分が経過し、次いで衝撃音が家屋を震わせる。喉を鳴らすような音7が記録される。]

[エージェントらがドアの方に振り返ると、カメラに多数の凝視するウサギが映る。]

[マッキーの背後で大きな歯擦音が聞こえる。SCP-6420-2が飛び掛かる。マッキーが悲鳴を上げ、雪溜まりの上でSCP-6420-2と格闘する。ドアの外のウサギがジョセフに突進する。彼がウサギの群れを蹴飛ばしたり打ち飛ばしたりしながら銃を取り出す。]

[マッキーのカメラが闘争中に雪溜まりへと落下する。SCP-6420-2がマッキーの首からロザリオを引きちぎる様子が記録される。ジョセフがウサギの群れに発砲するも、ウサギが再び集合し、突進を試みる。]

[SCP-6420-2がマッキーの首の付け根に子ウサギを押し込み、マッキーが悲鳴を上げる。ジョセフが振り向き、SCP-6420-2を蹴飛ばしてマッキーから離す。SCP-6420-2が開いた窓から飛び去るところで、ジョセフがアノマリーの大腿部を撃ち抜く。]

ジョセフ: マッキー!?

[反応はなく、ジョセフがマッキーを持ち上げる。]

[カメラがマッキーの首の付け根にある赤紫色の窪みと、突き出たピンク色のポリープを映す。ジョセフがフィールドナイフを取り出してポリープの切除を試みる。背後から歯擦音が聞こえる。彼がナイフから銃に持ち替え、窓の方に顔を向ける。]

ジョセフ: クソッ。(マッキーを肩に担ぐ)

[ジョセフが窓の方を見て、接近するウサギの群れに発砲し、窓に向かって走る。下を覗くと、窓台の下に1階の屋根が一部存在する。]

[血痕が屋根から家屋の正面に続いている。ジョセフが自身とマッキーのバランスを保ちつつ窓から這い出る。彼が家屋の脇へと続くSCP-6420-2の痕跡を辿る。]

[ジョセフが屋根から飛び降り、衝撃に備える。マッキーが雪の中を転がり、ジョセフが仰向けに落下する。降雪の勢いが強くなる。彼が悪態を吐きつつ立ち上がり、マッキーを持ち上げる。ウサギの群れが屋根から飛び降りる。ジョセフが苦痛に呻きつつ車に向かって疾走する。]

[歯擦音と喉を鳴らすような音が次第に大きくなる。ジョセフが振り向くと、2人の数メートル後ろにウサギの群れが見える。彼が銃を取り出し、疾走するウサギを数匹射撃する。それにより接近中の群れが怯え、ジョセフが車との距離を縮めるのに十分な時間ができる。暴風雨前線が接近するにつれて吹雪が激しくなる。視界が遮られる。]

[苦し気な呼吸音がする。車のドアが開き、勢い良く閉められる。]

ジョセフ: (大声で) 大丈夫だからな、マッキー。

[車のエンジンが掛かり、ジョセフが車を走らせるとともに走行音が鳴る。]

[放棄されたマッキーのカメラの映像が雪溜まりに埋もれるまでさらに1時間続く。その間、カメラにはウサギの群れが雪の中で飛び跳ねて8おり、遊んでいる様子が記録される。]


<ログ終了>


エージェント マッケンジー・コニーンとの協力により、SCP-6420-3症状と感染の段階に関して重要な観察がなされました。

以下は感染段階にあり、なおかつ手術を受けたエージェント コニーンが記録した日誌です。

エージェント マッケンジー・コニーンの日誌

2021/02/18
14:08

目が覚めたら病院のベッドの上だった。曰く、私はSCP-6420-2の攻撃を受けて感染したらしいのだけど、ジョセフと一緒に家を調査した記憶がほとんどない。頭がふらふらするし目まいもする。首の後ろを触ってみると、あの生き物が残したかさぶたの感触がした。

デイビス博士がやって来てこのラップトップをくれた。そして私の活動と思考を毎日記録するようお願いされた。私が思うにこれは最悪だ。つまり、これで終わりじゃなくてまだ何かあるんだ。ショックを受けることかもしれない。私が最後に覚えているのはジョセフと一緒に階段を上ったところだ。

ラップトップはインターネットと繋がっていない。退屈だからラップトップにゲームが入ってないか探した。チェスは好きだ、そして私が好きなゲームはそれしか入ってなかった。


2021/02/19
22:01

皮膚が本当に痒くて乾燥してる。医療スタッフにそう伝えたら、何かしらの水薬をもらった。少し助かる。この感染症がどういうものかはまだ分かってないけど…… これも症状の一つなんだろうか?


2021/02/20
01:08

腕の毛が長くなって、毛深くなってきた。今はチェスで遊んだり執筆したりして掻きむしることも毛を抜くこともしないようにしてる。自分が信じられないほどにチェスが下手だったのを忘れてた。

03:06

痒みが我慢できないし、そのことを訴えるためにこれをタイピングしてる。あとがんばって気にしないよう務めている。1時間前に掻き毟り過ぎて血が出た。スタッフが手当てをして私を監視している。両手を縛らきゃならなくなるかもしれない、この痒みは…… 言葉で表現できない。


2021/02/20
06:28

毛が 毛皮がますます生えてきて、スタッフは私をベッドに縛り付けなきゃいけなくなった。今これを書いてるのはさっきようやく痒みが治まったからだ。

ウサギのことから気をそらし続けるためにこれからチェスで遊ぶ! 分かる? ウサギ! 自分が何か恐ろしい生き物に少しずつ変わっていってるのは分かるけど、それでも笑っていないと!

07:10

今はチェスに集中できない。頭が割れるように痛い、頭の後ろを触ったら瘤が2つあった。泣き出してしまいそうだ。

スタッフを呼んでデイビス研究員に頭の検査をしてもらった。彼の話だと、私の痛みを最小限に抑えたいのは山々だけど、何が起こってるのか分からないから慎重になってるってことらしい。


2021/02/20
07:43

壁の中を虫が這いまわってるのが聞こえる。音が頭の中に響く。両耳を気にしないようにしてる。両耳を気にしないようにしてる。でも気になってしょうがない。あらゆることが聞こえる。外のスタッフが別のアノマリーについて話してるのが聞こえる、私について話してるのが聞こえる。

彼らの話はひどく冷たく聞こえる。今の私は、私たちが箱に閉じ込めてるおかしな化け物の一体にすぎない…… ここで働き始めて数年、私は何のために入ったのか分かってたつもりだけど、本当に何のためだったのか分かってたんだろうか? 想像もつかなかった……

クソッ、また頭が痛くなってきた。


2021/02/22
14:10

口から血が流れ始めて、頭蓋骨から押し出てくる歯を両手で抑えた。私は叫んだ。新しい歯が歯茎を突き破った。スタッフが到着した。

デイビスが私に何を書いてほしいのか分からない。何が起こっているのか分からなくて怖い。


2021/02/22
17:12

めをあけてるのもむずかsくてへやのあかりにあっとうさrれる。かおはまひしてるけどさっきまでそうじゃなかったあはは、もるひねうってもらった。

もうわからないでいびすはわたしになにかいてほしいの??わたしになにがおきてる?わたしのかおはもうぜんぜんちがう、これおおきくなるとはながかおからおしだされるようなかんかくする。でもめ、わたしのこのめ。あたまのりょうがわにやけつくいたみがはしるしりょうめをうごかすと?いたみはつめたくってうごくさきざきではなひらいた

いまのわたしばけものとおなじみためなのまちがいないだろけどもうそのことはかんがえれない。

なんでじょせふはやってこないのかすたっふにきいた、かれはいまのところくりあらんすもってないからていわれた

これもくだらないきまりってやつ?


2021/02/23
14:01

すたっふよんでおんがくでもかけてもらおとしたらこえだせなかった、それにきづいたときわたしはさけんでた。「こえだせなかった」あたりですたっふがとうたyくした。でいびすがやってきてかんたんなてすとをした。

たいくつだ、なにもみえないはなせない

へやになにかきょくかけといてってたのんだ


2021/02/23
20:34

ほねがおれるおとしてけんととしんけいがはりつめた — いたみがうずいたほのおとこおりみたいに — べっどからおちてすたっふのさけびごえしたのぼんやりおぼえてる。おきたらりょうあしにこぶのかんしょくがした。いわかんがある。でいびすはわたしのりょうあしがうさぎのうsろあしみたいだってれいせいにいった。

これについてこめんとない、からだまだいたい、まだもるひねうってもらってる、まだしゃべれないしなにもみえない。

もういたみのことかんがえたくない。でいびすわたしのたいぷしてほしいのわかぅてるけどじーざす、まりー、よせふもうことばであらわせられない!!!!


2021/02/27
15:27

ふくぶがふくらんでいてまるでつららをつめこまれたみたいにかんじる。たいくつだしいたみからきをそらせないでいる

こんないたみはいままでかんじたことない

すたっふがしらべたあとろうかからきこえたけどえむあーるあいのけっからんのうできてるみたいわたしのいかふくぶかどっあkひくいちょうのとこに??もうなみだでないつかれすぎた

ひるねするからつづきあとでかく


2021/04/15
23:11

わたしはくらいはいいろのうみにいた。りくにむかっておよぐとくちびるにしおがついたけどぬけだせなかった、わたしはおぼれて、めがくらむほどまっしろなへやでめざめた。さむかった。じょせふのこえがきこえてまばゆいひかりのなかわたしのまえにうさぎのしるえっとがたってた。

じょせふのこえがまたきこえてわたしはふたたびめざめた。あつでのあたたかいびょういんのしーつのかんしょくがした、じょせふいってる「かのじょめざめた!かのじょがめざめた!」かれはわたしがどんなきぶんかきいた。

だまってたらかれがこれにきづいてらっぷとっぷわたしてくれた…… わたしはないて、なにがあったのかここはどこなのかわからないてかれにいった

……わたしはさいと85のしゅうちゅうちりょうとうにいる、でいびすのけんきゅうちーむがらんのうとりのぞくしゅじゅつをやった

じょせふはわたしがいっかげつはんもいしきうしなってたっていった。わたしがいきててかれはよろこんだけどこっちはなみだがとまらない。こんなことならしんだほうがましだった

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