アイテム番号: SCP-6425 | Level 2/6425 |
オブジェクトクラス: Keter | Classified |
特別収容プロトコル: SCP-6425の治療法が開発されるまで、超常生物サイト-39は外界との接触を最小限に留めます。発見されたSCP-6425-1個体は外科的手法によって速やかに切除されます。摘出されたSCP-6425-1個体はその後焼却されます。
サイト-39の尽力は信頼性の高いSCP-6425の治療法に関する研究を中心に行われます。これが達成されたならば、さらなる研究が必要となった場合を見据えて2個体が極低温冷凍状態で保管されます。
説明: SCP-6425は感染したヒトの体内に大型の腫瘍(SCP-6425-1に指定)を形成する能力を有する一本鎖RNAウイルスです。SCP-6425の唯一の形態学的特徴は核酸をカプシドタンパク質が包み込んでいることであり、外部の影響から自身を防御するエンベロープとして他種のものを一切持ちません。SCP-6425は身体由来のものを含む液体を介して伝染することが知られているほか、現時点では未特定の感染経路が存在するとされています。
SCP-6425-1はSCP-6425感染の結果として発生し、ヒトの体内の既存の臓器に接続している状態で発見される一連の腫瘍および有機的“異物”です。これらの腫瘍は大型であり、複数のケースで1mを上回っています。免疫系はSCP-6425-1個体を識別することができないため、SCP-6425よりも異物塊を優先して攻撃を始めます1。したがって免疫系はウイルスの増殖を速め、最終的にはさらなるSCP-6425-1個体の発生を促進することとなります。この過程は、処置されなかった場合常に多臓器不全を引き起こし、結果として感染したヒトはその後死亡することとなります。
現時点で唯一の有効な処置は発見後すぐのSCP-6425-1の切除からなっています。これはSCP-6425の唯一の防御機構が失われるためです。これにもかかわらず、感染者の治療において手術は全ケースの30%でしか成功しておらず、手術を原因とする死亡者数は異常なほどに高くなっています。これはSCP-6425が有する不明な第二の能力の結果であると推定されています。
発見: SCP-6425は超常生物サイト-39で発生したアウトブレイクの直後に財団に認知されました。財団の医療スタッフは感染が他の人口密集地やサイトに広がる前に感染症を発見することができたものの、この時点ではアノマリーの性質が不明だったことにより現地職員の感染や損耗を防ぐことはできませんでした。アノマリーの発生地点を辿ったところ、サイトの使用されていない棟に達しました。以下にSCP-6425患者に対して実行された剖検の記録の要約が添付されています。
SCP-6425の初期のアウトブレイクの直後、その影響、伝染、SCP-6425-1個体の発生プロセスをよりよく理解するために一連の実験が行われました。結果の概略を以下に掲載します。
実験対象種 | ヒトと共通のDNAの割合 | 実験結果 |
キイロショウジョウバエ (Drosophila melanogaster) | 60% | 影響なし。さらに、感染した実験対象がアノマリーの感染媒介として働くことはなかった。 |
アフリカツメガエル (Xenopus laevis) | 80% | SCP-6425は非異常性の同種のウイルスに想定されるものと同様の振る舞いを見せた。大半のケースではアノマリーは自己防御のための-1個体を作成できなかったため、対象の免疫系がその排除に成功した。 |
ブタ (Sus Domesticus) | 98% | 当初は、SCP-6425実例の形成が可能となる前に対象の白血球が感染症を排除できた。このため、ブタ群には免疫系の働きを減弱させる目的で多量の抗生物質を投与したのちに再びSCP-6425に感染させた。これに続いてほぼ瞬間的にSCP-6425-1個体が形成されたが、MRIはその出現の瞬間を検知することができなかった。形成されたこれらの構造物のうち最大のものは長さ20mに達しており、対応する対象は切除の数日後に死亡した。 |
ボノボ (Pan paniscus) | 99% | ヒト対象者と同様の影響。記録されたSCP-6425-1個体には次が含まれる; カルシウムを主成分とする細長い構造物、血が流れ出す豆形の腫瘍、塩酸を内包する激しくただれた袋状の構造物。 |
ラット (Rattus norvegicus domestica) | 97.5% | SCP-6425は対象の体内ではSCP-6425-1個体を形成しなかったが、ラットのリンパ球はSCP-6425を攻撃しなかった。実験対象の白血球とSCP-6425を強制的に相互作用させようとする試みは、白血球がSCP-6425を脅威として認識することができないように思われるために実を結ばなかった。SCP-6425は通常通りにラットの身体全域に蔓延し、結果としてラットは曝露の数週間後に死亡した。対象の死骸はウイルスの感染媒介として機能した。顕微鏡を用いたヒトによる直接の観察では対象の細胞に感染の様子を認めることはできなかったが、記録でははっきりと視認可能だった。 |
補遺: 現況報告 2022/12/12
SCP-6425に対する研究結果は、現時点では結論が出されていません。その起源、-1個体の形成、信頼のおける治療法、いずれに関しても現在知られているものを上回る新しい情報が得られていないのです。加えて、犠牲者、施設全域における強い悪臭の発生、多数の実験対象の消失などを主な原因として、研究チームの能率が著しく低下しており、当アノマリーに対する研究の継続がほぼ不可能となっています。
しかし、ラットに対して行われた実験によって得られたデータは、当アノマリーが認識性、あるいはミーム性の効果を有することを示すものである可能性があります。この方針での研究は現在のところ進められていないため、このアプローチに基づいた研究に重点的に取り組むことで成果が上がるかもしれません。
- アナ・ヒメネス管理官
上記の文書は財団が所有する未使用の施設で発見されました。超常生物サイト-39、そこに所属する職員、SCP-6425のいずれに対する言及も、いかなる財団データベースからも発見されていません。建造物の内部からは、大まかに人型をした動物組織の集塊が多数発見されました。さらなる調査は反ミーム部門によって行われる予定です。