SCP-6432
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なぁ、ちょうど今この瞬間に君が何を考えてるか、俺にはわからない。自分をつまらない奴だって思ってるかもしれない、けど聞いてくれ。君はよくやってるし、俺らの事を手ひどく扱おうとする奴なんていないんだよ。いいかい?聞こえてるかい?おいおい、時々君は自分のことを深刻に考え過ぎる。一度でいい、少しの間でいい、楽に構えていいんだ、そうでもなきゃ死ぬぞ!








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SCP-6432-1

アイテム番号: SCP-6432

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: 現在、SCP-6432とSCP-6432-1はサイト-51所在のオブジェクト収容ロッカーに隣り合って保管されています。SCP-6432の収容ロッカーの監視職員は2週間ごとに交換されなければなりません。実験以外でSCP-6432と物理的に直接接触することは許可されていません。SCP-6432と直接接触した人物は15日間、またはSCP-6432からの効果が無くなるまで隔離状態の監視下に置かれます。SCP-6432-1実例は、1体を除いて全実例が焼却処分されています。

説明: SCP-6432は鳥型生命体の死骸であり、嘴から尾までの体長110cm、翼開長130cm・80cm・50cmを呈します。多くの点で鳥類と外観的に類似していますが、6枚の翼を持つ・脚部を持たない点でSCP-6432は異なります。その終了以前、SCP-6432は各翼部肘関節にある10cm程のかぎ爪で地面を飛び跳ねて移動する観測例が僅かに報告されていました。これらの6本のかぎ爪およびSCP-6432の嘴は通常の猛禽類が

獲物prey


の狩りに用いるものよりも著しく鋭利です。

SCP-6432は物理的に直接接触した生物に異常な効果を及ぼします。アノマリーとの物理的接触により強烈な幻視が引き起こされ、通常であれば被影響対象の生育環境に特異な動植物や重要な記憶に関連する場所が幻影となります。当該の幻影に加え、被影響対象は非実体的な感覚の受容を経験し、これは1つの感覚のみで知覚されることが最も一般的です。報告されている経験の例は以下の通りです。

  • 木や花の香りがする
  • 不明瞭な話し声やささやき声が聞こえる (往々にして至近距離でなされる)
  • 被影響対象が物理的に位置する気象と一致しない天候を感じる

SCP-6432-1実例はSCP-6432の被影響対象の死体であり、SCP-6432についばまれたことにより体中に擬似ポータルが開けられています。当該の擬似ポータルは極彩色の眩い光を帯びた領域として出現し、特殊レンズ越しに目視した際に不詳の森林地帯に繋がる窓として機能します。SCP-6432-1実例はSCP-6432が最初に現実性を不安定化させた領域内から5体発見されており、各実例の顔面および胸部には擬似ポータルが存在していました。SCP-6432は目を優先して攻撃するという仮説が立てられていますが、死体の眼窩に位置するポータルがいずれも最も完璧な状態で実体化されていたこと、およびにアノマリーの回収を

試みたattempted


際の目視観測から、この仮説が提示されています。

経緯: SCP-6432はメイン州ミリロケット近郊の廃屋中心に存在する微小な現実断片の発生源として見つけられました。機動部隊ラムダ-5("シロウサギ")が調査に割り当てられましたが、

生きたalive


アノマリーの回収は失敗に終わりました。






回収ログ転写


チームリーダー: スティーブン・コンリー中佐

チームメンバー: ライアン・パウエル、キャサリン・リード、アレクサ・ヒューイット、アイラ・ワッツ

注: SCP-6432の非現実領域により他隊員からの映像が大きく破損していた。そのため、当該の映像はパウエル隊員のボディカメラから撮影されたものとなる。


[ログ開始]

コンリー: 無線チェック。

リード: チェック。

パウエル: ウーラ。1

ヒューイット: チェック。

ワッツ: チェック。

コンリー: 良さそうだな。準備は?

リード: 万端!

コンリー: コイツに相見えるのは俺たちが初めてになる。何をあの中で目にするかわかったもんじゃない、だから眼ん玉ひん剥いて幻影に警戒しろ。

パウエル: 全員にとって最恐の姿を取るんだろうよ。ペニーワイズみたいに。

リード: わぉ、パウエル、あんたお父さんにもう一回会えそうじゃん!

ヒューイット: ナイス。

パウエル: ざけんな、リード、お前― お前は、このチビが。

リード: 仰るとおり、半分もデカくないかもね、あんたの話にでてくるあんたのナニの―

パウエル: てめえ!

ヒューイット: 怒った。

コンリー: 今日の持ち単語は8つまでだが、ずいぶんと出し惜しみなく使ってるな、ヒューイット?

ヒューイット: うん。

コンリー: 大丈夫か、サーティーン?2

ワッツ: 大丈夫だよ。

コンリー: よし。お前ら全員、よく目を凝らせよ。騙されるな。リードとヒューイットは俺と来い、パウエルは上の階の南ホールだ。ワッツ、パウエルに付いてけ。一番に見晴らしのいいところにいてくれ、狙撃できるように、万が一な。

ワッツ: 了解。

パウエル: はっきりと理解した。

[応じてラムダ-5が2組に分かれる。]

[幻影によるものか非現実性によるものか、家屋内部は外観よりも広く見える。壁面および床面から植物が生えている。]

パウエル: 階段を見つけた。向かって― いや、横を進んでいくことにする。階段の上か下か、おいおい会おう。

コンリー: 了解。

[映像が乱れる、階段は一部のみが視認できる。]

ワッツ: うぇ。こういうことされるのって大嫌いだ。

パウエル: 俺らはそうでもないぜ、新米くん?

ワッツ: 俺、ここに入隊して長いよ、リードやヒューイットよりも。

パウエル: そりゃ初耳だ。

ワッツ: これまで失敗もしてないし。

パウエル: どんなことにも初めてがあるってもんだ。

リード: ちょっかい出すなって、パウエル。ったく。

ワッツ: 実際に銃を撃つのも初めてだろ、君は。

コンリー: ガキども、おしゃべりは車の中でやってもらって構わんぞ。集中しろ。

ワッツ: ごめん。

パウエル: 了解した。

リード: コンリー、何か見つけた。死体だ、おそらく。

コンリー: 近づいてみろ。慎重にな。

ヒューイット: 現実錨を用意?

コンリー: 当然だ。

リード: 生命兆候の確認。ネガティブ。

ヒューイット: ご尊顔。

[パウエル隊員は天井の高い開けた広間に進入する。壁面にある複数の木製ドアは閉ざされている。]

リード: 何かに喰われたみたいだね。

ヒューイット: 眩しい

コンリー: そいつから情報を解析中だ。現時点で相互影響は最小限。見つめ過ぎるなよ。

リード: 了解。すぐタグ付けする。

ヒューイット: ポータル覚えてる?███████████のやつ。

リード: 確かに似てると思う。

[直後にパウエル隊員の背後にあるドアが音を立てて閉まる。]

[パウエル隊員が振り返る。下に続く階段が直前まで存在したが、この時点で平坦で硬質な壁に変化している。ワッツ隊員の姿はカメラに映っていない。]

ヒューイット: おい、コンリー?

ワッツ: パウエル、ドアに閉め出されたみたいだ。そっちで掴めるか?

パウエル: ドアって?ドアなんて無いぞ。お前どこだ?

コンリー: 全員、目を凝らせ、空間変動に巻き込まれてる。止まるな、現実錨を準備しとけ。

ワッツ: 現実錨はパウエルが持ってるから。

パウエル: ああ、ワッツは持ってない。

リード: わたしも持ってない。

ヒューイット: 了解、リード。

コンリー: ワッツ、お前の優先事項はパウエルに合流する道を見つけることだ、いいか?

ワッツ: 了解。

[パウエル隊員のカメラが男性の死体に向けられる。顔面全体が欠落している。傷口から白い光が発せられる。]

パウエル: なあ、さっきのそっちの死体って光ってるか?

ヒューイット: 喰い穴が複数と― それだけ。

パウエル: それならこっちのやつにもある。

コンリー: 見つけた死体にタグ付けしたらワッツに折り返せ、パウエル。

リード: 3人目を見つけた。

ワッツ: おいウソだろ。

コンリー: 4体目を見つけたか?

[パウエル隊員が応答を待って静止する。]

パウエル: 応答しろ、ワッツ。

ワッツ: 子供がいる。

コンリー: アノマリーを見つけたか?

ワッツ: ただの女の子だよ、パウエ―

コンリー: 気をつけろ、ワッツ、この手の輩はそういった姿を取りがちだ。

ワッツ: 何が目の前にいるかは分かってるよ、そうだろ!?

リード: ワッツ、そこでじっとしてて、そいつを刺激しないで―

ワッツ: やぁ、大丈夫だよ。

[ワッツ隊員のマイクからの短いノイズ。聞こえる音声が僅かに小さくなる。]

ワッツ: ほら。君を痛い目に合わせようってわけじゃないんだ。ここから安全に連れ出すために来たんだよ、ね?

リード: …あんた、ヘルメット脱いだの?

パウエル: マジかよ、ワッツ、クソメットは着けとけって!

[即座にパウエルが走ってホールにある複数のドア内部を確認し始める。]

[各ドアは1つのポータルに通じているようであり、様々な角度でパウエル隊員が映る。]

ワッツ: ただの子供だよ!怖がらせたくない!

コンリー: ヘルメットをかぶれ、ワッツ、これは命令だ!

リード: アノマリーを発見!ワッツも!繰り返す、アノマリー発見!

ヒューイット: 現実錨で固定しろ、リード!

リード: わたしは持ってないって!

パウエル: なら応戦しろ!

ワッツ: 子供は撃たない!

リード: そいつはガキじゃないって、ワッツ!

ワッツ: 俺はこの―




[ワッツ隊員のマイク




止 する ]































































































































































映像転写


サイト-19医務室監視設備より引用


[ログ開始]

リード: よぉ。

ワッツ: やぁ。

[10秒の静止]

リード: どんな感じ?

ワッツ: 痛いよ。

リード: 大丈夫all-right

ワッツ: ふふ。

リード: 面白いよね、そう言ってよ。このジョーク、あんたの持ちネタになると思う。今すぐ使ってくれていいよ。

ワッツ: ばね指trigger fingerにはならなかった。だから、君も気をつけた方がいい。

[リードが静かに笑う。]

ワッツ: コンリーはどうだった?

リード: あー、半年から1年だね。

ワッツ: おや、思ってたよりかは悪くないね。

リード: あんたの眼に何も起きないことを確認する必要があるって、あの人たちが。

ワッツ: 道理には適ってる。

[15秒の静止]

ワッツ: …どうした?

リード: あんたはラムダ-5には戻れない。

ワッツ: どういうことだ!?

リード: あんたは任務にふさわしくないんだよ、ワッツ。

ワッツ: 確かに、今すぐは無理だ、けど半年?それでも長いよ。その頃には顔も治ってるだろうし、コンリーにはバイオニックアームを1機もらえるだろうし、みんなが使ってるような高性能の―

リード: あんたを解任するってあの人たちは話し合ってる。

[27秒の静止]

ワッツ: いやだ。

リード: ごめん。

ワッツ: いやだ、俺はまだできる。やらかしたこともわかってるんだ。

リード: あんたは片目しかない、腕も1本だけ。

ワッツ: 俺ならうまくやれる。

リード: いいや、ワッツ、できないよ。

ワッツ: 他の部隊でもか?

リード: 分からない。あの人たちが肯定的には思えなかった。

ワッツ: 俺が唯一知ってる生き方はこれだけなんだ、リード!これだけなんだよ、他にどこへ行けばいいっていうんだ?一度でもしくじったら、チャンスは永遠に取り上げられるってことか?

リード: 手伝うよ、あんたが―

ワッツ: いやだ、まだ終わってない。コンリーに戻るって伝えてくれ。完治したら、高機能の義肢を注文する。二度とヘマはしない、絶対、約束するから―

リード: わたしたちで採決済みなんだよ。

ワッツ: 俺の分の投票は?君と、俺と、それにヒューイットでなら俺を―

リード: 皆同じ意見だった。

[33秒の静止]

リード: 死んでくあんたを危うく見送るところだった。葬式を挙げる気はないから。

ワッツ: 俺が悪いと思うか?

リード: え?

ワッツ: ミッションだよ。俺のせいだと思うか?

リード: そんなこと言ってないってば。

ワッツ: 思ってるだろ?

リード: 違うよ、あんたのせいじゃないと思う。

ワッツ: 違うね、触れたがらない大きな問題事について、チームの皆が俺に面と向かって嘘を吐くのに嫌気が差してるんだから。分かるだろ?

リード: 何のこと?

ワッツ: "13A"。

リード: ワッツ―

ワッツ: 皆から弱点に思われてるって俺だって知ってるよ。君たち本当にわかりやすいから。

リード: あんたは "弱点" じゃないよ。

ワッツ: 違うのか?それなら、俺は何なんだ?俺に求められてたのはガキのようにしてることだったのか!

リード: あんたのせいじゃないって、わかる?あんたはチームの適性基準内にいるし、たくさんのスキルを持ってて―

ワッツ: 俺のせいなんだよ。台無しにした。がミッションをしくじった。

リード: 絶対あんたのせいじゃないって、ワッツ!

ワッツ: 君はそう思ってないだろ!

リード: わたしに何を言わせたいわけ!?

ワッツ: 俺が弱点なんだって認めてほしい!

リード: いやだ!

ワッツ: 言えよ!

リード: わかったよ!

あんたが

弱点だ!

あんたが

弱点に

他ならないんだ!

あんたが

ミッションを

台無し

にした、

今回の

あんたは

ただ

上手く

やれなかった

だけ。

でも、

それは

あんたの

せいじゃない。

その

頭が

そう

機能

したのが

原因

ってだけで、

あんたが

悪い

わけ

じゃない。

あんたは

こういうのに

向いてないし、

ずっと

そう

だった。

わたし、

あんたを

別の

部隊に

異動

させようと

してた。

何か月も。

そっちの

方が

あんたに

とって

良い

だろうって。

でも、

あんたは

ここ

数年間

うちで

迎え入れた

中で

最高の

射撃手

だったし、

コンリーは

あんたを

手放したく

なかった。

いつか

こういう

結果に

なるはず

だったんだ。

あんたが

生き残った

のは

凄い

奇跡。

あんたが

好きだよ。

あんたとの

仕事は

いつも

楽しかった。

あんたを

大事に

思ってる。

それでも

あんたは

ここに

いちゃ

いけないんだよ。

あんたは

弱点だよ、

アイラ。

しかも

情にも

脆い。

でも、

それは

あんたの

せいじゃない。

ハナから

失敗

するように

そう

生まれて

きたんだ。




























[57秒の静止]




























ワッツ: 俺はベストを尽くしたよ、キティ―

リード: 今回のに十分なだけのベストを尽くしてほしかったんだよ。











[26秒の静止]











リード: あぁもう。こんなつもりじゃなかったのに、ごめん。寝れてなくて、もう4日も―

ワッツ: どうして俺を撃たなかったんだ?

リード: …ごめん、なんて?

ワッツ: 俺たちの第一優先はアノマリーだったろ。アイツを生きたまま持って帰ることもできたはずだ。

リード: そう?えっと―

[9秒の静止]

リード: もしかしたら、弱点はあんただけじゃないのかも。

ワッツ: 君のおかげで手間が省けたよ。

リード: アイラ、神にかけて誓―

ワッツ: 冗談だよ。ほとんどね。

リード: あんたを見といたげる。わたしを試してみて。

ワッツ: おいおい、俺が君を見張ってた時の復讐か?

[5秒の静止。リードが静かに笑う。]

リード: そうだね。

[7秒間の静止。]

リード: それにさ、魔法の鳥がこれ以上に必要かな?あんたの方がずっと大事なんだから。

[ワッツは鼻で笑う。]

ワッツ: そりゃ、財団にとってか?

リード: 違うよ。











[20秒の静止。]











ワッツ: どうしたらいいんだろうな、キティ…

リード: わたしたちも同じだよ、

そう

だなあ。


何か

































[ログ終了]

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