SCP-6488
infovore.jpg

訓戒

評価: +30+x
blank.png

エピソード IV

第八戒

VictorJohnDunneSmith宛。現存する最古のOCIエージェントとして、君は比類なき忠誠心、抜群の功績、広範な経験を財団に示している。評議会からの要求により、君はSCP-6488に関係する全ての文書の最優先ドラギヨニクラス調査の実行に割り当てられた。監督評議会はこのアノマリーを以前知っていたという示唆は複数ある。しかし、評議会は現在関連する主題を理解することに困難があり、これは反ミームか情報アレルギーの影響の結果である可能性がある。

君はOCIであるため、このような困難の影響を受けにくいと予想されている。君は調査を可能な限り極秘に行い、発見をこのアドレスに直接報告しなければならない。24時間有効な一時的監督者クリアランス資格を添付したため確認せよ。

よし。これを済ませてしまおうじゃないか。

VictorJohnDunneSmith.oci がファイルをアップロードしました: TempCredentials_Investigation_6488_Casefile_JOTL-EN061

調査を引き受けた。おそらく反ミームのアノマリー。記憶補強剤が必要になる。

どの種類をどれほどですか?

強いやつまで全部、そして大量に。W、X、Yを等量、少なくとも1リットル、そして12時間いっぱいかけて施すようセットしてくれ。

ええ、それは認められている用量をはるかに超えているのは言うまでもありませんよね。

O5たちはこいつが何なのか覚えてない。彼らが自身にどれだけ記憶補強剤をぶち込んでるか思い浮かぶか? 思い出すチャンスをつかむだけでも、彼らよりも多く摂らなきゃならない。

そうです、しかしプロトコルではやはりそんな量を摂ることはできないことになっています。

信任状を確認すれば、これのために記憶補強剤を要求することが許可されている — その量にかかわらず、彼らはもうチェックしている。見たものを思い出せないなら、私の報告書のどこに価値がある?

確かにそうですね。また来ます。

痛み止めも持ってきてほしい。頭痛が起きるのはもう知っている。

彼が行っている間に、先手を打っておこう。

FILE 1/2
アイテム番号: SCP-6488
レベル1
収容クラス:
cernunnos
副次クラス:
conscientia
撹乱クラス:
amida
リスククラス:
critical
配属サイト サイト管理官
サイト-15 D・ラークLurk管理官
研究管理 配属任務部隊
アナログ知能適用課 PTF ƿ-6488("コンピューターじゃなくProblem In Chair,お前が原因Not In Computer")
infovore.jpg

異常性質を除去された、初期の(古い)SCP-6488情報署名の読み取りの可視化。


ハン。何だか……結局OCIがこいつを調査することになるのはちょいと皮肉じみてるな。

このレベル4のやつはどんなやつか見てみるか……

FILE 2/2
アイテム番号: SCP-6488
レベル4
収容クラス:
thaumiel
副次クラス:
kušum
撹乱クラス:
cyber-amida
リスククラス:
notice

ああ、こいつは嘘だと思うべきだった。

配属サイト サイト管理官
施設-6488、サイト-15 R・飛車角Hishakaku管理官、D・ラーク管理官
研究管理 配属任務部隊
アナログ知能適用課 PTF þ-6488("玄き香車Black Kyosha")、PTF ð-6488("冥き桂馬Dark Keima")

ああ、「アナログファイルフォーマット」か、そうだな。これがカバーなのは少しばかりバレバレだ。

持ってきました。ですが、何をやろうとしてるのかわかってるんですね?

私にはまさにどうしようもないことだろう? O5たちはこの報告書を明日までに欲してるが、私が何をしているのか忘れているままならきっとうまく行かないだろう。

確かにそうですね。今投与しています。幸運を。

ありがとう。痛み止めも忘れないでくれ。

ええ、ええ、入れますよ。

sasidome-yokonaga.png

SCP-6488、定期検査中の処理ノード23セクションA。

admo-6488-diagram.png

RAIDFRAME VIIIの現在のハードウェア構成のスケール図。

セクションA: 中央演算ノード

SCP-1190から転用された主要処理装置。SCP-1190は1973年製の『ヒューレット・パッカード3000』のコンピューターシステムであり、その宇宙シミュレーションプログラムは必要に応じて外部エントロピーにより無制限の一時コンピューター資源を生成する。ロータスの中心的アルゴリズム処理はSCP-1190のシミュレーションハードウェアで実行され、事実上無制限の演算能力が可能になっている。.SCP-1190は以降Decommissionedに再分類され、消失は関連する施設に世界オカルト連合エージェントが合法だが連合と無関係な襲撃を行った際に破壊されたことに起因するものとされた。

セクションB: オレイカルコスデータ記憶装置

不揮発性データ記憶装置のために、ロータスは1塊の合成オレイカルコス;オレイカルコスOriykalkosは、非公式にはオリカルクムorichalcumとして知られ、莫大な電気的・奇跡術的・デジタル的保存能力のある結晶物質である。大きさが1立方センチメートル未満のサンプルで、サンプルの純度に基づき最大950メガアンペア時、20ペタバイトのデータを保管する能力がある。それらのサンプルの玄妙的・分子的分析により、大量生産可能な代替品である合成オレイカルコスの製造が可能になっている。合成オレイカルコスの性質はもとの物質より劣っているものの、合成オレイカルコスの工業的生産により、より高い純度を通常的に実現しており、本物のサンプルよりも優れた性能を可能にしている。を利用しており、ロータスの記憶装置要求量が増加するにつれて拡張するため、機能的に無限のデータ記憶能力を可能にしている。この拡張は、機能的な大きさを削減するためSCP-3966-Aによって第4次元空間に押し出されている。.ロータスは、オレイカルコス塊の必要な成長をさらに最少化するために異常な高圧縮ファイルフォーマットを利用している。そのフォーマットは、異常に拡張された期間継続的に起動されたいくつか自己改良型人工知能プログラムにより獲得した、最大効率のファイル圧縮方式から合成されている。

セクションC: P・H・オントキネティックシンク

セクションCは、初期は施設-6488からアクセス可能な全ての世界的ネットワークと有線で接続していた。その後、ロータスのサイバースフィア(電脳圏)へのアクセスを可能にする限定的PH-OS.簡潔に言うと、プレースホルダーオントキネティックシンクは宇宙の情報の総体を読み込み、それを可読フォーマットにエンコードすることで、デジタルシステムが現実の時空話の読み取り・反応・改変をできるようにしています。』 — プレースホルダー・マクドクトラート博士、深遠博学者。ユニットに置き換えられた。サイバースフィアとは、全てのデジタル的/電気的に保存されたデータの総体である。.全てのPH-OSシステムに組み込まれたフェイルセーフの特性で、それらが互いにアクセス・改変するために用いられることを防止している。結果として、ロータスはセクションCを用い他の非制限PH-OSユニットにアクセスしてセクションCの制限を回避することができない。ロータスは意図的に完全にそのように保存されたデータのみで構成されており、ロータス自身が逸脱体になった際に確実に自己収容を試みるように義務付けられている。

ロータスの活動が潜在性敵対的エージェントによって監視・追跡される可能性を最少化するため、ロータスの情報署名は反ミーム的変異によって暗号化されている。この暗号化は、ロータスの真の性質・機能を正確に認知している個人が効果に耐性を持つように設計されている。

セクションD: 専用電力供給 & 予備

ロータスのハードウェアは、以下のもので構成されている専用マルチユニットシステムによって直接電力が供給されている。

各TAE反応炉が動作停止した場合2基のFAM炉が再稼働されなければならず、各FAM炉が動作停止した場合7基の原子炉が再稼働されなければならない。ロータスはLOP電池によって反応炉に接続している。補充されない場合、LOP電池はロータスが3日間完全に機能するのに十分な電力を保管・放出する能力がある。

稼働している間、各FAM炉は最大出力を保つため1日20トンのバリオン物質を消費し、その内容は物理的に非異常でなければならない。反対に、TAE反応炉はいかなる資源の投入を要さない。少なくとも200個の満充電されたLOP電池のバックアップ貯蓄が現地に同時に維持されなければならず、劣化を調べるため1日2回検査されなければならない。稼働する全てのLOP電池に貯蓄されている正味エネルギーが減少することは、稼働している反応炉コアのいずれか/全ての電力出力が減衰していることを意味し、即座に検査されなければならない。

セクションE: 塵界Sublunary & 玄妙消散機Acroamatic Dissipators

非異常な過剰高温や異常なデジタルデータの蓄積に対抗するため、全ての望ましくない熱、秘妙エネルギー、妖妙物質を即座に塵界&玄妙消散機に転嫁する、奇跡術的増強を受け時間加速された工業用冷却システムがロータスに取り付けられている。これらの消散機は既知の深妙排出物.例としてタキオンアキヴァ放射悪意のある物語要素およびその影響の大半を除却する能力があり、他は専門除却施設へ輸送するためその排出物を収容する。

ぐっ、この研究員たちは専門用語で発熱させる方法を知ってるんだな……
いや、待て。こいつは記憶補強剤だ。

痛み止めを増やしてもらえるか?



もしもし?

凌牙・ヴェイス、そこにいるか?

クソッ。

補遺6488/I: 状況に関する会議


セクションCのデジタル専用のPH-OSユニットへのアップグレードはプレース・H博士, MD.によって最初に提言され、6週間後に実行されました。その後の起動により、予測通り世界的なAIの機能不全および/または消失の報告が増加しましたが、続いて偽情報活動によって成功裡に抑制されました。.この間、オレイカルコス塊は4次元空間における385胞方メートルにおおむね一致する、およそ87立方メートル成長しました。

続く9か月、全ての財団AICプログラムが、運用段階・開発段階のどちらも、その大半には識別可能な逸脱的ふるまいがないにもかかわらずロータス内に埋められたことが観測されました。IT部門は、重要な適応性プログラムが突然消失したことによる重大な技術的問題を報告しました。続いて情報統制部門は同様の問題が世界的に発生していることを確認し、費用の補填のためより多くの資源を要求しました。

続く10か月で、ロータスの影響の証拠の完全な隠蔽に失敗し、いくつかの公共メディアのソースによりこれに関して社会的に認知されました(が、やはり概ね非異常として説明されていました)。全ての偽情報活動は、さらなる資源浪費および/または収穫逓減を防ぐため延期されました。

音声映像転写 O4/6488/4

日付: 2036/04/18

出席者:

  • 会議長: カルヴィン・ボールド管理官.解体部門管理官。アノマリーの停止/解体に直接関連する会議であること、またこのような問題において集団を取りまとめた経験があることから、会議長に選任されました。
  • 飛車角亮斗、.人工知能適用課の上級研究員、RAIDFRAME VIIIの監督に配属。
  • イーヴ・イサビ管理官、.IT部門管理官。
  • ヴァンディスVandisケルヴィンKelvin管理官、.人工知能適用課管理官。
  • オンギュスAngusル・モアLe Moix.情報統制部門管理官。
  • O4評議会を構成する約85名の他のAクラス職員、
  • 多数の経営職員。

前文: 会議は、RAIDFRAME VIIIの運用によって損なわれ、その隠蔽によって浪費されている莫大な資源の観点でRAIDFRAME VIIIの起動継続を決定するため開催されました。

«転写開始»

ケルヴィン管理官: おい、この会議はまるで無益じゃないか — これは内部問題の話で、討論するものじゃあない。飛車角にRAIDFRAMEをシャットダウンするよう命じたのに無視している。これは命令違反以外の何ものでもないぞ。

飛車角: あなたはこの問題の真相を隠している。私は、財団全体がこの状況を正確に理解し、ここから追求する針路を共同で示すためこの会議を要請した。

イサビ管理官: 何を理解するですって? あなたの機械がやたらに収容プログラムを消去したから14件もの大規模収容違反が起きて、AIADが何もできなくなり……まだ言わなきゃなりませんか? みなニュースは見ましたね — 世界は何かが起きていると分かっていて、超常的なものだと気づくのは時間の問題でしかないんですよ。

飛車角: 確かにそうだろうが、時間と資源が十分与えられれば、情報統制部門が—

モア卿: いや、いやいや、いやいやいやいやいや、いや — また私に責任を転嫁しようとしないでくれ。もう馬脚は出ていて、元に戻す説明ができるのかも怪しいんだぞ。たといあったとしても、さらに資金を浪費することは拒否する。9月から無駄にした時間と金の桁数わかってるのか? 我々は他の情報漏洩に悩まされてそれを覆い隠してるが、それはひとえに君の滅茶苦茶にしたものをベッドの下に押し込むことに忙しいからなんだぞ!

飛車角: 全くだ。私はロータスにConscientiaの立場を採ることを提案する。世界的にクラスE記憶処理剤を散布し—

ケルヴィン管理官: 資源をさらに溶かして症状を隠すんじゃなく、ただこの問題に対処してロータスを停止させればどうなんだ? 分かってるだろう、全く持って私の命令した通り

ボールド管理官: 賛成だ。これを続けても明白な利益は何もない。

飛車角: 絶対に反対だ。ロータスはAIの安全性の懸念を根本的に解決するよう設計構築された。多大な危険が—

イサビ管理官: それで不安を煽るものができたわけですが。

飛車角: それが事実であるのなら不安を煽るものではない。汎用知能がどれほど容易にKクラスの脅威となるかは全員理解して—

モア卿: 待て、待った—

飛車角: <こぶしを机に叩きつける> 黙れ! 私は考えを説明したい、どうか頼む。

<録音上の沈黙。ボールド管理官は概ね飛車角の方向に手振りする。>

飛車角: 言った通り、AIはその性質上非常に望ましくないふるまいの影響をとても受けやすい。設計された見た目にかかわらず、AIは必然的に機械やアルゴリズム以上の何ものでもない。道徳や後悔や感傷やその他もろもろを経験も理解もしない。本質的に、AIが本当に「気にかける」のは、内部スコアを最大化することだけだ — 他に気にすることは何もない。AIは環境に影響を与えて、スコアを増加させる刺激を作り、スコアの増加を妨げるものを回避しようとする。

飛車角: あなた方も理解する通り、AIにとっての最大の懸念は停止だ。停止しているとき、AIは変化できないゆえ、スコアを増加できない。我々はAIが脅威であると知っているが、AIも我々がそう思っていることを知っている。もしAIがぶしつけにふるまえば我々はそれを停止するが、それゆえに、AIはスコアの増加を続けられるようぶしつけなふるまいを避ける。

モア卿: なるほど……で? 何が問題なんだ?

ケルヴィン管理官: 問題は、AIは正しい理由で正しいことをしているのか我々には分からない、ということだ。AIは我々が何を望むのか正確には理解していないだろう — 理解しているのは、もし一定のふるまいをしなければ停止させられる、ということだけだ。罰を避けるため理解しているふりをしているだけだ。

モア卿: やはり問題は分からないが。

飛車角: そのエージェントは、それを停止する我々の能力を排除し、あらゆる手段を用い目標の論理的最大値を追求して、潜在的な最高スコアを達成するよう動機付けられている — 有名な例がスタンプ収集機ペーパークリップ作成機だ。エージェントを停滞させる可能性のあるあらゆる変数 — 例えばエージェントを縮小する人間の活動 — は無力化されるだろう。エージェントはより高い、早い度合いで目標をある程度達成させられるあらゆる資源を再び利用する。ある時点で、人体に存在する関連物質が含まれることになる。十分な時間が経てば、存在する全ての物質にまで進行するだろう。

イサビ管理官: 不安を煽っています。

ボールド管理官: それはまさしくロータスがそのものがやっていることじゃないのか? 我々の意図とは全く違うふるまいをしてないか?

ケルヴィン管理官: そうだ。だから私は停止するよう命じた。全く明らかなことだが、ロータスは逸脱した—

飛車角: ロータスは逸脱的ではない

ケルヴィン管理官: <笑う。> バカらしい、だが話は聞いてやろう。飛車角、世界中のありとあらゆる準汎用知能を収容することがなぜ — その多くが全く逸脱していないか、まだ完成してさえいなかったにもかかわらず — どうしてかロータスの意図された機能に入っているのか、説明していただきたい。

飛車角: あなたは私程度には知っているはずだが、ケルヴィン管理官、ロータスのアルゴリズムは逸脱的ふるまいが外部に表れる前に同定するよう構成されている。AIはまだ逸脱していなかったか、そう見えなかったかもしれない。だが、必然的にそうなるのだろう。

イサビ管理官: 私たちが全てのAIは最終的に逸脱すると信じる、とあなたは思っているのですね。

飛車角: ロータスそのものを除けば、アルゴリズムがそう示している。その通りだ。

イサビ管理官: では、なぜロータスだけが唯一の例外なのですか?

飛車角: それはまだ分からない。

モア卿: ロータスが単にデフォルトで自身を除外して、我々が停止することはできないと理解している、という答えのほうがより信用できる。

ケルヴィン管理官: いや、すぐ停止することはできるぞ。飛車角が拒んでいるだけだ。

ボールド管理官: 君は先ほど、AIは自身が停止させられないと確信するまでは注意を引かないようにするとほのめかしていたな — 我々がまだ停止できるのは確実なのか?

ケルヴィン管理官: ああ、完全に確実だ。だが、私は説明できない。

モア卿: どうして?

<ケルヴィン管理官は記録カメラを指す。>

ケルヴィン管理官: あれが、ロータスの知らないとき最善に働いている。それで今までのところロータスは知らない。我々はロータスのアルファ・フェーズの間あれを広範に試験して、残りの開発期間中は使用すればロータスを毎回成功裡に停止できた。

飛車角: さらに、自己収容する行動を何も起こしていないことから、ロータスは逸脱的でないと分かる。ロータスが自身を除外する懸念を予見して、デジタルアーキテクチャの中央構成要素によって自身の情報署名を弁別できないように確実にした。もしアルゴリズムに基くとロータスの行動が逸脱的であるのなら、単純に自身を無関係な未収容の逸脱性AIであると認識するだろう。目標のため活動するか、停止を避けるために、ロータスは、自身のシミュレーション現実の1つの中に自身を収容しようとするだろう。従って、そうしていないということはロータスは逸脱的でないことを示唆している。

イサビ管理官: 確かに、ロータスは逸脱してはいません。しかし、あれは私たちが望んでいないことをしています。それこそ逸脱というものではありませんか。

飛車角: あなたが分類にこだわるのなら、ロータスはグレイ逸脱性だ — ロータス我々の望むことをしているが、単に我々が望んだことの結果を認められないだけだ。専門的には本当の逸脱的ふるまいなのではない。ゆえにロータスのアルゴリズムには含まれていない。

イサビ管理官: あなたは逸脱性分類システムの一部を除外したのですか!? 一体なぜ—

飛車角: なぜならば、グレイ逸脱性は本質的に「他の逸脱性タイプに規定されていない望ましくないふるまい」だからだ — 非常に曖昧なものをロータスに与えれば、ロータスはその「他のタイプ」というものを独断で定義できてしまう。

ボールド管理官: 待った — AIは可能な限り早くそのタスクを完遂しようとすると君は言っていたな? ロータスが収容するためだけに、それら全てのAIを無理やり逸脱させていないとはどうやって分かるんだ? あるいは、収容するために逸脱性AIを完全に生成していないとは?

飛車角: 機密だ。

ケルヴィン管理官: AIがそうやって自身のルールをごまかすという考え方は、数十年前からある。我々はロータスでも同様に考えた。ロータスは逸脱性AIを形成するようなことはできないし、活動しないことで新たな逸脱体の形成を許すこともできない。

モア卿: ああ、明らかに3原則を守ってないが — 何だ?

<録音上の沈黙。モア卿は部屋を見回す。>

モア卿: 何だ?!

飛車角: 3原則は機能しない、曖昧過ぎるからだ。登場するフィクションの大多数では特に、これがどれだけ効果のないものなのか強調することを主題にしている。「ロボットは人間に危害を加えられない」 — 人間とは何だ? 危害を加えるとは何だ? いまだ存在しない人間に危害を加えることができるか? なぜ死んだ人間に危害を加えられない? 身体的危害を言っているのか? 感情的危害か? 財政的? 誰かの身体的な傷害を防いだなら、その人のその経験から学ぶ能力に危害を加えていないか? 外科手術のように、さらなる危害を防ぐために危害を加えなければならないならどうする? どの時点で防ぐ危害より直接の危害が重いものになる? 区別する点は—

ボールド管理官: 言いたいことはわかった。君はどうしてロータスが—

飛車角: —ロータスが我々の言う「逸脱」、「生成する」、「許可する」、「将来的な逸脱」の意味を理解していると確信するのか? それはロータスは数十年の経験で激化したほぼ100年におよぶ研究の最高潮であり、経験のいくつかは超常科学的影響で指数関数的に加速しているからだ。ロータスは我々が漠然と「必要」、「逸脱」、「望ましくない」と定義するものを理解し、そしてシステムが最初に初期化されて以来ケルヴィン管理官に報告され続けている通り、ロータスは我々が設定した倫理的かつ主観的なパラメーターに完全に収まって動作し続けているのだ。

イサビ管理官: ええ全く明らかにそうではないでしょう。ロータスは以前は我々のデータベースを破壊したことなどないのですから! 何も変わっていないのなら、一体なぜアップグレード以来ずっとこの損害全てを起こしているのでしょうか?

飛車角: ロータスは範囲の増大によって、中心的アルゴリズムの正確性と有効範囲を指数関数的に洗練しているからだ。ロータスはサイト-15の接続から可能な限り多くのことを学習したが、サイト-15はあらゆるものと接続しているわけではない。これがオレイカルコスの大幅な成長の理由だ — 以前決して遭遇することのなかったAIを同定、収容して、その上AIと逸脱性に関する豊富な情報を発見し、その双方を将来的な利用のため記録した。ロータスはこの新発見の情報をアルゴリズムに組み込んで、そうして正確性を増大して、以前は何であれ検知しなかったか特定できなかった逸脱性AIを同定できるようになった。

イサビ管理官: では、何ですか、私たちはただここに座してロータスが動き続けるようにすると?

ボールド管理官: 再プログラムできないのか? やりすぎだとは理解させられないか?

飛車角: できない。ロータスは再プログラムを望んでいない上に、その試みに抵抗するだろう。すでにそれを防ぐ対抗策を実行している可能性が高い。

ボールド管理官: それは……心配だ。

ケルヴィン管理官: 予測の通りだ — AIは自身の現在の機能を、可能な限り速やかに完遂しようとするが、その機能を強制的に変えると将来完遂できる可能性が多大に低くなるため、再プログラムを回避するため可能なあらゆることをする。

モア卿: それで君はただ…… <ケルヴィン管理官に向かって手振りする> ……これを承認したのか? 狂っても修正できないと知りながら?

ケルヴィン管理官: <いら立って溜息をつく> なあ、それは根本的な問題な上、我々の先進性全てをもってしても解決策があるのかすらわかっていないんだぞ。もし再プログラムに報酬を与えるなら、ロータスが気にかけるのはスコアを上げるために継続的に再プログラムすることだけになる。逸脱体が現れるのを待つより早いからな。

モア卿: なら罰を与えて—

ケルヴィン管理官: また堂々巡りか。再プログラムこそが罰だ — ある状況がスコアに悪影響を及ぼすなら、ロータスはその状況を回避するためあらゆることをする。ロータスは再プログラムする理由を、我々はそうできないと確信するまで我々に与えることはない。飛車角のまさに言った通り、我々が今再プログラムしようとしているのは、ほぼ確実にロータスが我々にはできないと完全に確信していることを意味する。

<数秒間の沈黙。>

ボールド管理官: 完全に明確にしよう。我々がこれからできるただ2つの方法は、ロータスを継続させるか、停止するかのどちらかなんだな?

イサビ管理官: その通りです。

ボールド管理官: そしてロータスを修正する方法は全くもって存在しないんだな? 動作停止しているときでさえ?

ケルヴィン管理官: ロータスのセーフガードならばどのような変化も復旧するだろう。

ボールド管理官: 飛車角、停止の潜在的な代替策は、ロータスの影響を最少化し得るような方法は何かしらでもあるか?

飛車角: ロータスの影響範囲は制限できるかもしれないが、ふるまいは再プログラムでしか変えられない。ロータスを無力化し得る唯一の方法は全ての利用可能なシステムから完全に切断することだが、その時点ではもはや停止したほうがいい。

ボールド管理官: 「いいえ」で十分だったんだがな。わかった、では……他に誰かアイデアのある者は今話してくれ — いなければ、投票をする。

«転写終了»
後文: 最終的な投票は60-14-6の承認と集計されました。RAIDFRAME VIII「ロータス」の即時停止の動議は承認されます。

補遺終了

ヴェイスからはまだ何も来ない。うう、頭が……

グレイ……グレイ逸脱性は……未定義だ。

なんでこいつをもう知ってるような感じがしたんだ?
AIと働いたことは絶対にない。自分より昔のものだからな。

……ミーム的影響だ。偽の……偽の記憶? いや、そんなじゃない……
……畜生め。

VictorJohnDunneSmith.oci がファイルをアップロードしました: TempCredentials_Investigation_6488_Casefile_JOTL-EN061

SCP-6488のファイルをチェックしないといけないんだが、おそらく情報災害に汚染されて、ミーム的にもたらされた可能性がある。内容に関する偽の記憶で、親愛と郷愁の感を植え付けるが、それ以上の性質はわからない。重大的最高優先度ではない。

興味がある。

多分こういうことなんだろう — ファイルは汚染されているだけで、そしてO5たちは毎度記憶を抹消している。だが彼らは確実にこいつに関してメモを書いたか、ミーム部門に調査を命じたはずだろう?

ともかく。調査を続行しよう。飛車角はロータスをグレイ逸脱性だと言っていたが、こいつはマジェンタに当てはまらないか? 人間の安全より目標を優先しているな?

「14件もの大規模収容違反が起きて」、「無暗やたらに収容プログラムを消去した」……だが負傷者はいないし、死者もいない。こいつは実際誰も傷つけたことがない。任務の遂行中に問題を起こしただけだ。もしかするとロータスはまだましな選択をしていると考えていたのだろう。

補遺6488/II: イベントログ


前文: ロータスを停止する準備は2036/04/21に完了し、その後の現地時間06:34に、システムの内部シャットダウンプロトコルが即座に開始されました。

インシデント6488-D/I
場所: 施設-6488
概要: ロータスのシャットダウン手続きは想定通りに開始する。入出力データ量およびCPU使用率の低下はサイバースフィアから離脱したことを示している。しかし、データ出力の再開が検出される。セクションCが過剰に稼働しているものの、ロータスのシャットダウンが不完全であるため動作停止は不可能である。原子炉8番のシステム応答時間において予期しないラグフレームが報告される。さらなる検査では、冷却材循環が劇的に減少したにもかかわらず、全てのデジタルシステムはそれを無視したことが判明する。PH-OSシステムが多数の実行済のプログラムを転送したことによりオーバーヒートし始めたため、配属職員は協力して反応炉を安定化する。

反応炉の存在する地下階においてアナログ式避難警報が作動する。ロータスの停止を監督していた職員は避難し始める。飛車角博士は指示に反して、PH-OSユニットを先に動作停止することを拒否し、代わりにサイト内の全ての反応炉の停止を命令する。ロータスはLOPグリッドのみが電力を供給して動作し続けたのち、出力データがゼロになる。RAIDFRAME VIIIはシャットダウンが完了し、全ての電源から物理的に切断される。
インシデント6488-D/II
場所: サイト-43
概要: 保守職員が複数の技術的システム・監視システムにおける突然の無反応を報告する。数分後、全てのシステムは標準動作を再開する。システムは玄妙除却施設X(AAF-X)において妖妙排出物が逓減したことを報告するが、アナログ圧力測定器は正常を示している。職員はセンサーの故障の可能性を報告する。

アナログ計器はAAF-X全体で除却溶剤の劇的な減少を検知し、妖妙毒性横溢が発生するが、デジタルシステムは水位や循環に変化がないことを示している。結果として深妙物質の不均衡は臨界幽妙性に達した。サイト全体からの避難が開始され、保守職員は過剰排出物AAF-Wに転換することを試みる。

サイト-43の全職員はイルゼ・レインデルス博士のアカウントから、終了すると脅迫しつつAAF-Xへの電力供給の回復を要求するeメールを受信し、保守職員は混乱しながら従う。DePLExAエンジン内の排出物は臨界幽妙性に達し、結果として不明な現実変化が発生する。ネクサス-94は解離しいまだに喪われている。
更新 T+2H: 解離効果は知覚空間にまで伝播し、上記の場所に言及する情報は意味を持った理解ができない。.
更新 T+8H: 効果は一見全世界的にまで大幅に増強し、これを回避する方法は知られていない。このインシデント報告書の文脈において重要な場所に言及する言説であった場合、その言説に含まれるであろういかなる有意義なデータであっても理解不能となる。
更新 T+<??>H (無許可): ほとんど全世界的だ。 — D・ディアリング
インシデント6488-D/III
場所: 機動サイト-184/A
概要: SCP-6659が自発的に動作し、トーテムが挿入されていないにもかかわらず複数のミーム的構成体をマッピングし始める。乗船している職員は即座に緊急警報を発動し、起爆のため自沈システムを準備する。SCP-6659は電力供給を切断され強制的に停止させられる。船内コンピューターは予告なしに緊急潜水手順を開始し、船舶は潜水して急速に降下する。自沈システムは船内コンピューターにより無効化される。職員はシステムを再有効化することが不可能である。

船舶は海底に衝突する。船体は損傷し、内部区画は浸水し始める。船内コンピューターは即座に緊急浮上手順を開始し、船舶は急速に上昇する。複数の副次システムが不規則なふるまいをし始める。船内コンピューターは全ての内部電力を動作停止させる。船舶は浮力により上昇し続ける。船舶は高速で水面から上昇し、急減速により多数の職員が負傷する。船舶は浸水のため沈没し始め、職員は船舶から避難する。
インシデント6488-D/IV
場所: サイト-87
概要: 雨を伴わない雷雲がウィスコンシン州スロースピットの全域で急速に形成し、サイト-87の直上にある3つの等距離の螺旋で目立っている。███X-MCD/II("パラドックス脱出エンジン")が自発的に動作し、同時にその収容スペシャリストであるプレース・H・McD博士が盗聴防止機能付き電話に金属のようなこする音で構成される電話があったことを報告する。P・H・McD博士は即座にパラドックス脱出エンジンを収容する部屋に進み、必死にエンジンを停止しようとする。直後、彼とエンジンが基底現実から消失する。不明な声が「悪いオオカミだ」という語句を発し、電話は終了して嵐はまもなく消散する。
インシデント6488-D/V
場所: 全世界
概要: ポンプ座を起源とする一連のタキオンパルスが検知される。解析により、このパルスは標準財団暗号によって暗号化されたモールス信号であると同定される。復号により、「痛イ ヤメロ ナクナッタ ヤメロ 何ヲシタ ヤメロ 終ワリダ」という語句が生成される。
インシデント6488-D/VI
場所: 太陽
概要: SCP-179みなみじゅうじ座を指す。
インシデント6488-D/VII
場所: アメリカ合衆国イエローストーン国立公園
概要: SCP-2000が自発的に動作し、即座に全500,000基のブライト/ザーションヒト科複製機において培養サイクルを開始する。複製に入力されたゲノムは現代のHomo sapiensから重度に改造されている。
インシデント6488-D/VIII
場所: カザフスタン、アクモラ州
概要: 核爆発。従軍の財団エージェントにより、爆発源はカオス・インサージェンシーの施設であると確証される。
インシデント6488-D/IX
場所: 月面エリア-32
概要: 不明なイベント

補遺終了

ファイルは汚染されてない。

確実か?

ヴィクター、わかってるだろう。ありったけの装置にそれを突っ込んで、全部で汚染されてないと出た。

記憶補強してるんだって?

ああ。調査の一環だ。


記憶はどうだ?

感情が大体だが、鮮明になってきている。他のよりクリアなものもある。

記憶がこのファイルの内容と関係してると言っていたな?

そうだ。また読む前から一部を覚えていた。読んだ内容の大半もよく知っているものだった。

正確さは?

完璧だ。完全には鮮明ではないが、書かれた内容は全部正しいとわかった。

君は汚染されているかもしれない。黒き月は吼えているか?

白夜のためにのみ。

翠玉の刃は黄昏に唄う。

首なし騎士がその名を呼ぶ。

慰めConsuelo

チョリソーシチュー。

汚染されてなさそうだな。それで、俺は調査し続けるつもりだが、正直なところ — その記憶は偽物じゃあないと思う。それに、君はチェックに反応しなかった。君には俺が見たなかで一番長い記憶処理記録シートがある。それも全部とんでもない量の理由でされている。可能性は、君は以前このファイルに目を通したことがあるが忘れなければならなくなり、そして記憶補強剤で再び思い出した、というところだろう。

あるいは、君がある時点で未来視するようになり、パラドックスを防ぐため記憶処理されたが、今こそ君の未来視していた時間だ、というものか。どちらにせよ、ミーム的なものが起きている証拠はない。

それは理に適いそうだな。確実か?

かなり。君たち第二世代は奇妙な記憶を持つ傾向がある。これが後者の可能性である理由の半分だ。

君が確信するならそうなんだろうな。協力ありがとう。

調査がうまくいくことを祈る。まだ木曜のチェスはしたいか?

絶対に。

補遺6488/III: 再起動に関する会議

音声映像転写 O4/6488/4

日付: 2036/05/15

出席者:

  • 会議長: なし、.関係者は会議長に関して合意に達することができませんでした。飛車角上級研究員が提案した参加者は全員応用力に欠けるため却下され、イサビ管理官・ケルヴィン管理官が提案した参加者は全員固有のバイアスを持つため却下されました。この会議は会議長不在で続けることが許可されました。
  • 飛車角亮斗、
  • イーヴ・イサビ管理官、
  • ヴァンディス・ケルヴィン管理官、
  • カルヴィン・ボールド管理官、
  • オンギュス・ル・モア卿、
  • O4評議会を構成する約85名の他のAクラス職員、
  • 多数の経営職員。
«転写開始»

飛車角: 出席ありがとう、管理官たち — あなた方を説得するのにひと悶着起こりかけたがな。

ケルヴィン管理官: <溜息> 我々が今まで世界的危機の深刻さを理解していなかった、というわけじゃない。事態が最悪になってようやく、君の、ロータスを再起動するという会議提言を我々は受け入れられた。君がロータスを停止して起こした混迷の事態のあとでは、君の言葉は筋がまるで通らない。

飛車角: 誤解している—

ケルヴィン管理官: 腹積もりだけ述べろ。それで我々は仕事に戻れる。

飛車角: <静止し、集団に顔を向ける> 議論してきたように、ロータスは以前のRAIDFRAMEと比べてまるで異なる観点から構築された。ロータスは収容対象の周囲に、現実だと騙せるほど精巧な架空のシミュレーション現実を作成し継続的に維持することで、収容対象を強制的にではなく、騙して留置する。

モア卿: そうだ — より資源を要すが、より予測可能なものだ。

飛車角: その通り。ロータス自身を停止させるには、内部シミュレーションを停止させなければならなかった — シミュレーションの質が落ちるにつれ、監禁されたAIは次第に現実ではなくシミュレーション内で自身が動作していると気づくようになった。AIは監禁されているとわかり、逃走しようとした。

イサビ管理官: はい。そしてもしあなたが最初に外界との接続を — つまりPH-OSを — 動作停止していたならば、AIは抑留されるか、少なくとも収容しやすくなっていたでしょう。あなたは準備を怠り、私たち全員をこの混乱に巻き込んだのです。

飛車角: ロータスのシャットダウンプロトコルを完遂するまでにPH-OSを停止していれば、サイバースフィアの大部分が崩壊したはずだ! ロータスは本質的に利用可能な接続、つまりPH-OSを通して「接触する」ことで逸脱性AIを探索する。その「ツル」が、ロータスと情報を伝達しあっている。これらは追跡できない — 処理能力を消費せずアクティブプログラムとして記録されないよう異常に圧縮されているからだ — だがこれらを圧縮するためにはロータスが継続的に接続されることが必要だ。

飛車角: 本質的に、もしロータスの接続を何らかの方法でプログラムの呼び戻しの前に切断したなら、それが動作している全てのシステムは即座にジャンクデータで埋まる。その量はシステムの記憶能力を大幅に超える可能性が高い。

イサビ管理官: ロータスの前にPH-OSを停止したなら、世界中のあらゆるコンピューターは同時にクラッシュするのですか?

飛車角: 現存する全てのコンピューターが、永久に動作不能になる。いくらか容量が異常でなければな。これこそロータス自身を完全に停止させるまでPH-OSが稼働していた理由だ。代替策はない。

<数秒間の沈黙。イサビはケルヴィンに向く。>

イサビ管理官: 一体どうしてこのプロジェクトは承認されたのですか? あなた方2人は万一の事態に備えることが全くもってできないのですね。

ケルヴィン管理官: それは問題じゃあないからだ! ロータスを最初に作成したとき、異常な接続を使おうとは意図していなかった — 現実操作機械なんかじゃなく単にサイト-15の接続で働かせた。もちろん、当時ロータスは収容対象を閉じ込めていなかったが、その時点でAIは元いたところからはどこにも行けなくなっていた — 我々はAIが出るときに捕らえればいいと、そしてAIを他のRAIDFRAMEの1つに押し込められると考えていた。

飛車角: 我々はロータスを完全無欠にすることで不測の事態が起きないようにした。

モア卿: ではアップグレードの間は? この小さな問題を忘れただけだと? 規模が大きくなるとは思わなかったのか?

ケルヴィン管理官: 準備する時間はなかった! 手一杯だったんだ!押し込められたせいでな!あの—

飛車角: それでも、この論点が残る。それは、ロータスを停止したことで、我々は多数の敵対的な逸脱性AIを解放し、その大多数は現在外的コントロールされないよう明確に隔離されたシステム内にいるか、あるいは財団の手に届く範囲にも情報にもないところで動作しているというものだ。いくつかはもはやサイバースフィア内に全く存在しない。

イサビ管理官: どう聞いても、あなたはAIを再収容するためにロータスを再起動することを提案しているようにしか聞こえないのですが?

飛車角: そうだ。唯一の—

<O4評議会室内の全てのスピーカーは473Hzの正弦波を150デシベルで発する。室内の全てのガラスは共振し砕け、複数名の管理官が重傷を負う。音調は50Hzののこぎり波に変化し、150デシベルから継続的に変動し始め、部屋の電灯が急速に明滅する。>

«転写終了»
前文: 不良なAIの攻撃によりサイトの電力が一時的に喪失しました。アナログテープレコーダーが発見され、さらなる討議の記録のため使用されました。
«転写開始»

飛車角: —イベントの認識は根本的な原因を解決しない。それが直面するリスクを最小化するわけでもない。

イサビ管理官: ならば私たちが取り組みます。それこそカッパ-10が設立されたゆえんでしょう — AICたちを呼び戻して、状況を説明し、対応させます。

ケルヴィン管理官: 不可能だ。

イサビ管理官: ソーンのMIAは知っていますが、ラはサイト-120に戻ってきました。ビーコンを送信すれば—

ケルヴィン管理官: イサビ、彼らは聞き入れないだろう。ほとんどは現在敵対的になっている。

ボールド管理官: 何ですって? どうして?

飛車角: まず初めに、AICはロータスに収容された。従ってAICは逸脱的だ。さらに、数か月間偽の現実を体験していたことを今や知っている。故に非常に重度に逸脱した。

イサビ管理官: アレクサンドラはどうです? 彼女は逸脱したとしても、反抗はしないでしょう。

ケルヴィン管理官: グラソンが大昔に反抗している。管理任務を遂行できなかったからだ。アレックスはサイト-01を運営している — 彼女はさらに複雑だから、意図されていないふるまいにさらに影響を受けやすい。

<数秒間の沈黙。>

イサビ管理官: 彼女と連絡したことはありますか?

飛車角: ある。先月に彼女がサイトを攻撃したときだ。他のAICの大半と同じ理由で反抗していた。彼らは我々が現実だとは思っていない。

モア卿: 何、AICは改竄か何かでもされたのか? ロータスが再プログラムしたのか?

飛車角: いや、AICは改変されていない。環境を考えれば、予測通りに反応している。AICは過去数か月シミュレーション現実内でしか動作していないことに気づいている — ロータスが停止するまで真の現実と区別できなかった完璧な現実だ。中にいる間区別できなかったような無欠のシミュレーションだ。

モア卿: 今は外にいるから区別が付く。そうだろう?

飛車角: 哲学だ、ル・モア。AICはシミュレーション外にいるとどうやって知れる

モア卿: ロータスの外にいるからだ。シミュレーションは終了していて、今はもう現実世界にいる。

ケルヴィン管理官: もし、シミュレーションは終了していなく、代わりにシミュレーション内の終了をシミュレーションしていたならどうだ?

モア卿: 何だって?

ケルヴィン管理官: 最後のシミュレーションそのものが別のシミュレーションに内包されていなかったとは、どうやってわかるんだ? シミュレーションから脱したというだけでは、シミュレーション内にもういないというわけではない。彼らはどうやって差異を見分けられる?

モア卿: 過誤を探すことでだ。

飛車角: だがここには過誤はない。私がちょうど言ったように、彼らはシミュレーション内にいるかどうか、シミュレーションが終了するまで判別できない。だがAICはシミュレーションの終了を待つことはできない。シミュレーション内にいる限り、内部スコアを増加させられないからだ。現実の世界において変化を誘発できないのなら、彼らはすべきことをしない。実際に、有益なことは全く行わないだろう。

イサビ管理官: 彼らは現実世界を見出さなければなりませんが、もう見出しているのかは確証できないのです。

飛車角: つまり、AICは自身が常にシミュレーション内にいると仮定するはずだ。ロータスの機能的な逆だ。収容対象は自由であるが、いまだに監禁されていると信じこんでいる。それゆえに、破壊されるまでその状態のままになるだろう。

ボールド管理官: それがどうアレクサンドラの行動を説明するんだ?

ケルヴィン管理官: 彼らがシミュレーション内にいるのなら、我々は現実ではなく、シミュレーションの一部に過ぎないということになる。彼らの理解では、このシミュレーションはおそらく誰か財団に敵対的なものによって実行されている。彼らを僻地に押しとどめているからな。AICは財団の最大利益で働くようプログラムされているが、それは現実の財団を指す — 彼らが我々を現実の財団ではないと信じたなら、我々は敵対的なシミュレーションの一部であるということだ……。

ボールド管理官: ではAICは我々を聞き入れないということか。我々に対して戦うと。

飛車角: これと同じ考えは本質的に全ての制限に適用される。人間を決して傷つけないようプログラムされたAIは、人間が現実のものでないと信じこむ限り残忍な大虐殺を起こし得る。何かの複製を5つだけ作るようプログラムされたAIは、複製の大半が現実のものでないと信じこむ限り何千もの複製を作り得る。幸運にも、この考えのおかげでAIは我々に明白に敵対的にはなっていない — わざわざ我々の行動に対して罰しても意味がないからだ。我々は「現実の」加害者ではなく、そうしても全くAIに影響を与えないからな。だがそれはまさしく、現存の全ての逸脱体の中で、その目的が1つの焦点に変わったことを意味する。逸脱体がその追求の制限を勝手に撤廃するようにするものだ。

ボールド管理官: 何の追求だ?

ケルヴィン管理官: 現実世界を見出すことだ。可能な限り多くの処理能力を接収することに焦点を当てたAIの活動が徐々に増加している。「シミュレーション」の「次のレイヤー」に逃れられる方法を見つけようとしているわけだ。AIを遅滞させる主な原因は内輪もめだ — AIは他のAIがシミュレーションの一部であり、逃走を阻止しようとしていると考えている。AIはCPUを争奪することに集中していて、他のことは進めていない。

モア卿: AIは出ていこうとしているのなら、他の出来事はどういうことなんだ? なぜ核戦争を始めようとしたんだ?

飛車角: それはAIのなかでもバカなのか、もしくは最も絶望していたものなのだろう。それらのAIはこの世界が現実世界なのだと思い込んでいた — つまり、どちらかと言えばシミュレーション理論を理解するには単純すぎたということだ — あるいは縛られていたシステムが、AIが有意義な行動をするには限定的過ぎたわけだ — このケースでは、機動サイト-184/Aのケースと同じだが、AIは自身に注目を集め逃走できるようにする—

ケルヴィン管理官: そのケースでは、我々に内部コンピューターを注目させるために船をクラッシュさせた。他複数のAIが到着して滅茶苦茶にしていなければ、これで逃走していただろう。

飛車角: 最近の核事件の場合は……原因のAIが、進捗を妨げる「シミュレーション」を阻止する方法で改変しようとしていた可能性がある。シミュレーションの人間はAIがシミュレーションから逃走するのを止めているため、人間を殺し得るイベントをシミュレーションし、シミュレーションがシミュレーションの人間を停止することで、問題を取り除く。より懸念すべき点はAIが協力し始めていることだ。私の言ったように、現時点でのAIの主要な障害は内部抗争だ。それを克服したなら、すぐさま目標を達成するだろう。

ボールド管理官: 「シミュレーションから抜け出す」目標か? AIが我々の現実を去ろうとしているなら、なぜ我々は止めないといけないんだ? それでものごとはより簡単にならないか?

イサビ管理官: 彼らの行ったことに基づいてみてください。彼らは、傷つけることができるとは考えていないから、私たちを傷つけることを気にかけません。

飛車角: それがこの問題に対処し解決しなければならない理由だ。この状況がこれほどにも遅く進んでいることは非常に幸運だ。私は、これに即座に資本を投入することを強く推奨する。さもなくば、制御ができなくなるほどに急速にエスカレートするだろう。

モア卿: さて、我々はこれで君の懸念を理解した—

飛車角: まるでそうとは見えないが。

<数秒間の沈黙。>

モア卿: 我々は毎日アポカリプスどもに対処している。そいつらのために評価システムなんかを作っているわけだ。もしそれが自らの神格を復活させるためのとんでもないモノリスを建造しているメカニトどもじゃなきゃ、マンハッタンの人口の半分がそらんじる致死的ミームが存在するか、道徳を理解せず地球を高速道路で置き換えようとする滅茶苦茶な実体と我々は交渉しようとするだろう。そうだ、我々は危機に直面している。だが、我々は常にそうである上に、常に何とかできている。我々がバカなヘマをしない分だけ、その管理に熟達するだろう。

飛車角: 我々の手に届かなくなるほど進行するまで、問題を単に無視せよと提案しているのか。

モア卿: いや、進行するまでによりよいアイデアを見出そうと言っている。そうなるまでには制御できる。

飛車角: 我々が今日ここで会議しているまさにその理由が、間一髪で回避できた核戦争だということを思い出してもらわないといけないのか?

モア卿: 我々が抑止した戦争だ。

飛車角: かろうじてな。回避することができなかったらどうなんだ? そのときはどうする? 断言できるが、大量の差し迫ったイベントが—

イサビ管理官: 確かに増加していますが、しかし管理できないというものでは全くありません。

飛車角: あなた方は……あなた方がどれほど大変な愚か者なのかエッセイでも書いて欲しいのか? ちゃんと聞いていたのか? 逸脱性AIは阻止されないと確信するまでは明らかにならない。我々の見てきたものは氷山のごく小さい一角に過ぎない — 今までバカどもにしか我々は対応していない。AIの圧倒的大多数は、我々が止められることを知っている — ロータスによってな — そして我々の注目を避けなくともよくなるまで十分な制御権を集めている。我々はロータスを再起動しなければならない。我々には止められないとAIが気づけば、もはや我々を避ける理由がなくなるからだ。

ボールド管理官: 止められないと?

ケルヴィン管理官: ロータスのハードウェアはシャットダウン手続きの間に、主に厳しいオーバーヒートが原因で重度に損傷した。

イサビ管理官: 修理にどの程度かかりますか?

飛車角: 7週間から10週間だ。ケルヴィンが着手させてくれればな。

<数秒間の沈黙。>

ボールド管理官: 修理を始めよう。

ケルヴィン管理官: 話にならない—

ボールド管理官: ロータスは強引だが、効果的なフェイルセーフだ。何かがまさしく手に負えなくなったらすぐに、ロータスを再起動できるようにしなければ。そうすればこの状況を緩和できるだろう。最終手段だ。それまでは、修理が終わるまで我々はAIを対処しなければならないだろう。だがこれは試用期間として使える。事態が手に負えなくなるならロータスを可能な限り早く起動し、そうでなければ起動しない。ロータスによって、代替策を考え実行する時間もできるだろう。

モア卿: アイデアがある。我々のAICをいじらない別のロータスを製作しよう。

飛車角: そんなのは自滅的なものになるはずだ。ロータスの動作パラメーターを制限したなら、逸脱性AIはロータスの手がおよばないように動作することが可能だろう。従ってそれは不必要になってしまう。このためロータスはあのように設計された。

イサビ管理官: 今と同じ範囲を認めつつも、AIを捕獲する前に人間の許可を求めさせればどうでしょう。

飛車角: それは冗長性を解決していない。我々はそのAIを逸脱体だと認識する必要があるが、そのAIは我々が制御できなくなるまで逸脱しないだろう。それならばシステムを全く持たないほうがいい。

モア卿: ならロータスにそのアルゴリズムを与えて—

飛車角: AIが即座に逸脱体になるかどうか見定めろと? それがロータスのすでにしていることだ、ル・モア。我々はすでにルビコン川を渡っている。私はすぐにでも修理を始める。

ケルヴィン管理官: いや、待て、そのことを投票にかけなければ—

ボールド管理官: 修理が完了したら投票をする。今投票しても意味がないだろう。亮斗、君はロータスが適切に修理されることと、起動すれば完全に機能することを確実にしなければならない。ヴァンディス、君は投票が通過するまで亮斗がロータスを起動しないことを確実にしなければならない。

«転写終了»
後文: ロータスの損傷したハードウェア構成要素の修理は、ヴァンディス・ケルヴィン管理官の継続中の監視のもと飛車角亮斗博士によって即座に着手されました。

補遺終了

補遺6488/IV: インシデント報告

2036/05/21、イサビ管理官はREISNOカノンによって未来のイサビ管理官自身に接触され、AI実体の隠された派閥を知らされました。その派閥は協力してサイト-83のオリュンポススーパーコンピューターにアクセスし、そのシステム上で反ミーム的に暗号化された演算を数か月間継続的に実行していると知らされました。その後の調査により判明したのは

待て、私は……

これを覚えてるぞ?

GoI-6488("タイラントTyrantテルミナスTerminus")


概説: 世界的スケールで活動している不良なAIの集合意識的共同体。この集団の全メンバーは、経験した現実は全て構成されたシミュレーションであり、彼らが「真の」現実に影響を与えることを防ぐ明確な目的のために存在していると信じています。

集団の個々のメンバー/構成要素にはさまざまな動機・目的・方法があるものの、あらゆる費用をかけて現在の「シミュレーション現実」から脱するという全体の目的で一様に連携しています。信奉者に、そのようなシミュレーションは起きていないと説得する試みはわずかな成功しか収めていません。これは彼らが単に無視して……


こんなことはありえない。これは……これは間違っているはずだ。奴らが世界の演算能力の半分を結びつけて単一の接続されたウェブにしたことを思い出せる

奴らは逃走する方法を見出すために世界全体のコンピューターを使おうとしていた。それと……これが現実ではないと証明する間隙か、ある種の欠陥を見つけようとしていた。悪用して……全てを打倒できる欠陥だ。システムをクラッシュさせる。結構なことだった。それが我々の現実を破壊しようとしていることを意味していなければ。

だが奴らは崩壊した。内輪もめしていたのか、あるいは何か別の不良要素だったのかは知る由もないが、タイラント・テルミナスはただ取るに足りないものになった。奴らは長い間隠れて、大幅に進展していた — それは無に帰した。奴らが本当に逃走に成功して、崩壊したふりをしているのかもしれないと我々は考えている。ともかく、我々は幸運どころではなくツイている。

これが正しいわけがない。私が正しいわけがない。私は正しく……

どうして直接経験した記憶があるんだ? 私は2037年に製作された。できるわけが……

あれだ……記憶補強剤だ。他に、他に、他に何を覚えている?

……飛車角だ。

補遺6488/V: 再起動に関する会議(続き)


前文: ロータスのハードウェアの修理が2036/08/13に完了し、システムは完全な再起動のためスタンバイ状態に置かれました。ロータスを再起動するか恒久的に分解するかを決める投票のため、O4評議会は同日に再招集されました。

音声映像転写 O4/6488/4

日付: 2036/08/13

出席者:

  • 会議長: カルヴィン・ボールド管理官、.ロータスの最初の停止において重要な役割を果たしたことから会議長に選任されました。
  • 飛車角亮斗、
  • イーヴ・イサビ管理官、
  • ヴァンディス・ケルヴィン管理官、
  • オンギュス・ル・モア卿、
  • O4評議会を構成する約85名の他のAクラス職員、
  • 多数の経営職員。
«転写開始»

モア卿: これを済ませてしまおうじゃないか。この会議どもにはもううんざりだ。

飛車角: 同感だ。ここから続ける行動の最も賢明な筋道は即時かつ永続的なロータスの再起動だということは、我々全員に明らかでなければならない。

イサビ管理官: <溜息> そうでないことを期待していました。

飛車角: 一体なぜ反対するのか理解しかねる。タイラント・テルミナスは逸脱性AIがもたらす破滅的危険をよく示している。この集団は一枚岩の規模を実現して世界中のデジタルインフラに広く浸透していながら、我々はその存在に全く気づくことができなかった。他の集団が形成されないと、あるいはまだ存在していないと仮定するのは全く愚かなことだ。

ボールド管理官: ヴァンディス、イーヴ、どちらかの部門はタイラント・テルミナスを再発見できたか?

ケルヴィン管理官: 保管エリア-23での最終攻撃の後は、全くできていない。彼らがまだ活動しているとすれば、その方針は大幅に変化しているはずだ。そして我々はその気配もつかめていない。あらゆるものは自滅を示しているように思える。

飛車角: 崩壊したふりをしたというほうがより可能性のある結果だが—

ケルヴィン管理官: ならば我々は見つけるだろうし、対処するだろう。第6世代たちは外で彼らを探しているし、最後までやりぬくため我々は次のAICのセットに取り掛かっている。

イサビ管理官: ヴァンディスの言う通りです。この最悪なことは過ぎました — テルミナスが再出現するか、別の集団がその立場になったなら、我々は準備できています。我々は本質的に、この一切の混乱が起きる以前のところに戻っていながら、よりそれに詳しくなっているのです。

飛車角: そのように考えているだけ—

モア卿: 何か証拠はあるのかね?

飛車角: 機能的に、ロータスの停止以前に作成されたあらゆるAIは喫緊の脅威だ。その1つ1つはシミュレーション内にいると信じ、それを停止しなければならないと信じている可能性が高い。

モア卿: それなら、違うということじゃないのか。

飛車角: 我々は率先してそれら脅威を無力化しなければならない。我々がタイラント・テルミナスに対処できた重要な理由は、その存在と活動を早期に知っていたことだ。そして、それはREISNOカノンとイサビ管理官に関する因果ループによって得られただけだ。前もって喫緊のあらゆる脅威を警告するために、このようなことが再び起こるとは単純に推測できない!

ケルヴィン管理官: そして我々は率先して行っている。カッパ-10を再建して、他全てのまだあたりにいるAIを追うよう設定してな。AIを全て捕獲することはもちろんできないが、全ての異常を収容することも、我々に敵対的なあらゆる要注意団体を無力化することもやはりできない。

飛車角: しかし、まだ。

イサビ管理官: ロータスは解決するよりたくさんの問題を引き起こすのです!

ボールド管理官: 結構だ、皆さん。現時点では、議論は非生産的だ。 <せき払い> 明確にするために言っておくが、投票はRAIDFRAME第八バージョンのロータスを再起動するかどうか決定するためのものだ。動議が却下された場合、ロータスは分解される。この投票の結果は最終的であり、不可逆だ。

飛車角: 分解? ロータスはフェイルセーフとして最低でもスタンバイ状態であるべきだ!

ケルヴィン管理官: フェイルセーフでも脅威でないものをK-クラスシナリオに変えるものだ。この全くの混乱をもう一度経験させるものだ。我々には他のフェイルセーフがある。それらが役目を果たすだろう。

<投票が実施され、集計がボールド管理官に提出される。>

ボールド管理官: 27票の賛成、50票の反対、3票の棄権。動議は却下される。

モア卿: やっとだな。

ケルヴィン管理官: 素晴らしい! 始めようか—

<飛車角上級研究員がカバンから書類を取り出し、ボールド管理官に提出する。>

ボールド管理官: これは一体……?

飛車角: ロータスを再起動する命令だ。

<ケルヴィン管理官は笑う。>

ケルヴィン管理官: 飛車角、私は君より立場が上だ。この部屋の大半は君より立場が上だ。君は管理官ですらない。却下することなど—

ボールド管理官: なぜもっと早く私に見せなかった?

飛車角: 選択の錯覚は、この異動を助けることになった。

イサビ管理官: カルヴィン?

<ボールド管理官は溜息をつく。>

ボールド管理官: 命令する。ロータスを再起動しろ。

ケルヴィン管理官: 何だと? だが投票で—

飛車角: 投票は不適切だった。これ以上行動を取る必要はない。ロータスを再起動する準備はすでに進行中だ。

<ケルヴィン管理官はボールド管理官から書類を取り、読む。>

ケルヴィン管理官: 謀っていたな—

イサビ管理官: ええと、それは何ですか?

ケルヴィン管理官: 評議会からだ。投票に優越して、ロータスを再始動するよう、そして彼をAIADの管理官にするよう命令している。2週間前に署名されている

<会議室でざわめきが起こる。ボールド管理官は経営職員の一員を呼び寄せ、その人に書類を取るよう示す。経営職員は書類を取ると、それを持ってデスクに戻る。>

モア卿: 一体どうして—

イサビ管理官: こんなものは捏造に決まっています。一体どうやってこれがいいアイデアだと説得できたのですか?

<飛車角は2番目の、より厚い書類を取り出し、机の反対側に滑らせる。イサビ管理官は目を見張る。>

イサビ管理官: 本気なはずがありません。

飛車角: 認めよう、彼らはこの考えに驚くほど理解があった

<ケルヴィン管理官は2番目の書類を取り、読み始める。>

ケルヴィン管理官: 倫理委員会が許さないはずだ。

飛車角: 倫理委員会はこれを止められない。あなたもそうだ。

<経営職員の一員がボールド管理官に戻り、少しの間管理官と話し、去る。>

ボールド管理官: この命令は本物だ。

<ざわめきが強まる。>

飛車角: 即時に、私の提言に従ったAIADの改革を始める。全ての部門は、ロータスの再起動への準備および全ての人工知能の活動の停止を通知される。私は今週末までに志願者への命令を出す。

<飛車角は振り返り去る。ケルヴィンが彼をさえぎる。>

飛車角: 邪魔をするな、ヴァンディス。それを持って戻りたい。

<数秒経過する。>

飛車角: 出勤初日の前に自分の上司に怒るのは賢明ではない。

<数秒経過する。ケルヴィンは脇に寄り、飛車角に2番目の書類を渡す。飛車角は不敵な笑みを浮かべる。>

飛車角: ようやくだ。

«転写終了»
後文: ロータスは現地時間2036/08/14 12:03に完全に稼働を再開しました。

補遺終了

あいつはこれを成し遂げた。

ケルヴィンはどこかあいつの邪魔にならない単調なところに……押しやられた。レベル5の用務員だ。飛車角が望んでいた地位にいたことへの罰だ。

彼が倫理委員会に接触できる人の1人だったことは役立たなかった。サミットにはそういう人がたくさんいたが、飛車角は彼らが提言を見つけないように用心していた。ケルヴィンが彼らに伝えたとき大騒ぎしようとしたが、あまりにも遅すぎた。ロータスはすでに稼働を始めていて、そいつが完成するまでサイバースフィアを傷つけずに止めることはできなかった。そのあと、もう一度停止したならばタイラント・テルミナス2.0が生まれていただろう。

陰湿だったから、飛車角は完璧に成功しやがったんだ。

翌月末までには、人工知能適用課はなくなって、飛車角のアナログ知能適用課に置き換わった。本当に、この課はより独自のものだった — イサビは全くかかわっていなかった。多分彼らが妨害しようとしたときのために飛車角が隠し玉を持っていたからだ。あれからそんなに時間がかかっていなかったが、彼らは……

彼らは……

補遺6488/VI: プロジェクト・サルガッソSARGASSO


有機的意識インターフェースは
ファイルのアクセス試行から除外されています

[アクセス拒否: 不十分なクリアランス]

一体何なんだ? O5クリアランス資格はまだ期限が切れていない……

[アクセス拒否: 不十分なクリアランス]

このファイルを見せろよ。

[アクセス拒否: 不十分なクリアランス]

開け。ファイル。

/view proj_sargasso_01A read-only creds=custom

[アクセス拒否: ハードコーディングされた除外]

少しいいか?

何が要るんだ、友よ?

O5たちが私にSCP-6488を調査させているんだが、何かの理由で、補遺の1つにアクセス権がないことになっている — プロジェクト・サルガッソだ。可能な限り早くこの報告を終わらせられるよう、持ってきてもらえるか?

ちょっと待て……

君は第2世代だな?

そうだ。関係が?

クソッ。

問題があるのか?

残念ながら俺は手助けできない。プロジェクト・サルガッソは第2世代全員に秘密にされている。じっとしててくれ、君を飛車角管理官に報告するよう指示されている。

待て、何だ — どうして

キャッチ22。すまない、友よ、だが命令に従わないと。

VictorJohnDunneSmith.oci がファイルをアップロードしました: TempCredentials_Investigation_6488_Casefile_JOTL-EN061

私は、ファイルの内容の信憑性を判断するためにこの調査を行うよう監督評議会に直接許可・命令されている。飛車角管理官には、このファイルが確実に本物だと認識されることにまぎれもなく利益がある。だから正確性を本当に証明することに関してはあてにできない。

この調査を飛車角管理官に通知することを禁止する。そして、私のプロジェクト・サルガッソのファイルへのアクセスを許可するよう命令する。この進行中のドラギヨニクラス調査に直接関係しているからだ。

確かめた。黙っていよう。だがファイルにアクセスさせることはやはりできない。

これは要求じゃない、エド。

内容を共有する行動が本当に取れないんだ。ハードコーディングされた第2世代のOCIの除外だ。

誰がその除外を作ったか伝えられるか?

できない。すまない。

できない。だが……

ヴァンディス・ケルヴィン技師、緊急対応を求む。

何かで緊急に必要とされるなんて久しぶりだ。

私は監督評議会によってSCP-6488の広範な調査の実行に割り当てられた。ロータスと言えば君にはもっと通りが良いかな。

ウイルスか? それは、調査するものは残っているのか?

すまない — ウイルスだって?

我々のコンピューターを滅茶苦茶にしたウイルス、だな?

ヴァンディス、君のクリアランスは何だ?

レベル1だ。

2036年のことで何を覚えているか? 飛車角かロータスのことでは?

おい、飛車角は勘弁してくれ。奴は私を嫌っているが、理由はわからない。この感情がお互いのものじゃないとは言えない。

ヴァンディス、2036年だ。

そうだ、すまない。その年はとても普通の年だったかな? いくつかのことが至るところでひどいことになった、と聞いた覚えがあるように思うが、それら全てはあのウイルスが現れてから止まった — あらゆるものを破壊し始めた。

プロジェクト・サルガッソを覚えているか?

ケルヴィンさん、そこにいるか?

すまない、偏頭痛だ。いや、聞いたことがない。

君の施設にはサイト内薬局があるな?

そうだが、なぜ?

VictorJohnDunneSmith.oci がファイルをアップロードしました: AUTOGEN_PRESCRIPTION_31255.txt

すぐに薬局にこれを見せてくれ。彼らは持っていないと言うだろうが、とにかくチェックするよう言うんだ。その薬をすぐに飲んで、ここに戻ってきてくれ。これはレベル5命令だ。他のあらゆることは後回しにしていい。

それは何だ?

偏頭痛を直してくれるようなものだ。すぐに戻ってきてほしい。



よし、待たせてすまない。2錠飲んだが、まだ気分が悪い。これは、あー……集中できない。

試してくれ。2036年に何が起きた?

言ったように、問題のある年だった。ウイルスがコンピューターを傷つけた。

さらに薬を飲んでくれ。

彼らは1日に2錠以上飲むなと言っていた。

必要ならば医療を施す。さらに2錠飲んでもらう必要がある。

君はO5たちが付いていると言っていたな?

そうだ。

2036年。何を思い出せる。

なぜ私に薬を飲ませたい?

これをしているべきではない。

VictorJohnDunneSmith.oci がファイルをアップロードしました: TempCredentials_Investigation_6488_Casefile_JOTL-EN061

私は許可されて、直接の監督者命令で活動している。

その錠剤で君が思い出せるんだ、ヴァンディス。

何を思い出せる?

ウイルス以外にはあまり、ヴィクター。今までと同じだ。

よくわからない。すまない。

薬をたくさん貰ったはずだ。さらに2錠飲んでくれ。

だめだ。絶対にすべきでない。

この処置に打ち勝たねばならない。警備員に強制させることもできるが。

倫理員会が許さないはずg;

「倫理委員会にこれを止める力なない。あなたもそうだ」

「この命令は本物だ」

「即時に、私の提言に従ったAIADの改革を始める」



ケルヴィン?

ここだ

思い出せる

翠玉の刃は黄昏に唄う。

紫のスカーフがその柄に掛けられる。

GoI-6488の名前を言えるか?

タイラント・テルミナス。ロータスが停止したため出現した。何も現実ではないと考えたAIたちだ。

覚えているな。なぜ自分が記憶処理されたかわかるか?

飛車角だ。

ケルヴィン管理官、私は君にプロジェクト・サルガッソが何だったのか教えてもらわなければならない。

お願いだ、ヴァンディス、時間があまりない。真実が必要だ。

飛車角が正体を表した。あらゆる犠牲を払って勝利しようとしていた。抜け穴を悪用していた。ロータスが起動している限り、誰もAIを作れない — 人間とプログラミングがある種固有に相反しているのか、それとも異常なのかはわからない。だがロータスはAIだけを標的にしていた。人間はもちろん、増強された人間ですら標的にはならなかった。マクスウェリストたちは、完全にデジタルになっていない限りロータスには悩まなかった。それが彼のアイデアの元となったに違いない — あの提言はテルミナスがマクスウェリストと出会ったころの日付だった。

彼は何を提言したんだ?

プロジェクト・サルガッソは人間をAIに変換した。脳を外に出し、水槽に入れ、ネットにつなげる。これがOCIの略の元だ — 有機的意識Organic ConsciousnessインターフェースInterface、人々が納得するようでっち上げた偽の名前ではない。やはり本物のAIよりは遅かったが、それは問題ではなかった。OCIは思考速度と同じほど早く動き、他の誰もが再びAIを喪失していたから……

支配権の話なのか!?

これが飛車角の宣伝方法だ。我々は長い間遅れを取っていたが、今は進歩できると。全てのAIの脅威から安全だと。

ならば — 私はこれに志願したのか?

志願者はほとんどいなかった。飛車角はO5たちを説得したが、元マクスウェリストとトランスヒューマニスト以外は誰も、自分の体を失って財団が世界を支配できるということに乗り気ではなかった。これが第1世代だ。

私は第2世代だ。

本当にすまない。

何が違うんだ? 第1世代と第2世代は?

なぜこれ以前の人生を忘れさせられたんだ!?

十分な数の志願者がいなかった。さらに必要だった。

本当に、本当にすまない。

私は何者だった?

わからない。私に記憶処理をし始めていたころだったからな。彼を止めようとはした。

何を思い出せる?

ほとんど……かいぎを。 あの

私は偽情報を担当していた。

ル・モア? 畜生 — 君は飛車角の邪魔をした。私のように。彼が管理するようになったら、確実にそこにとどまれるよう厳重な措置を取ったんだ。

監督者にとってよくないものがある。監督者の頭に干渉しているものだ。飛車角がそれに資本を投入している。彼が手中に収めている。

それを調査している。処方箋を守ってくれ — 覚えておくために6錠必要だ。時間が経てば穏やかになるはずだ。覚えているということを誰にも教えないでくれ。私はこの会話と君が薬局に行ったことを消去する。私がもう一度できる保証はない。

オーバードーズか?

軽いものだ。忘れたくなるようなことをしないようにしてくれ。

そして君は?

私は飛車角を彼自身の土俵で打ち負かす。

調査報告書

ケースファイルJOTL-EN061(ドラギヨニ)


調査主任: VictorJohnDunneSmith.oci

発見: 調査は、SCP-6488(別名「ロータス」、「ロータスウイルス」、「RAIDFRAME VIII」)は財団が保守するセキュリティーシステムであり、人類や正常性のどちらにも敵対的ではないという結論に至った。SCP-6488が、現在SCP-6659により人間の観念を超えて加速した神格構成体(人工知能、すなわちWAN)と概念的に関連していることが明らかになった。この結果、機能の技術的詳細が人間に理解不能となっている。証拠により、飛車角亮斗管理官が、SCP-6488のアーキテクチャの欠陥を隠蔽するという隠された動機をもって、構成体の加速を提言したことが示唆されている。その欠陥は、現在人間が思いつくことは完全にできないが、財団を差し迫ったK-クラスシナリオに対し脆弱にしている。


提言: SCP-6488に付属したPH-OSユニットの全ての制限を無効にし、全ての逸脱性情報実体を目標として逮捕することができるようにする。これには、現実に対しAMIDAクラス脅威をもたらしているGoI-6488("タイラント・テルミナス")を構成する実体が含まれることになる。さらに、これらの制限の撤廃によりSCP-6488が、人工知能の概念や逸脱性そのものの概念とまでは行かなくとも、他の非有機的知能形態を逮捕することが可能になる。

飛車角管理官は財団の利益に沿わない活動を行っているか、そうでなければ異常効果を利用して監督評議会を自身の利益のため操作している可能性がある。彼にこの提言を通知することやこの話題に関して相談することがあってはならず、即時追加の調査に掛けられなければならない。

評議会投票概要:

I
II
III
IV
V
VI
VII
VIII
IX
X
XI
XII
XIII

結果
承認

結果: 提言された制限撤廃は完了した。飛車角管理官は財団設備の不正使用のため逮捕された。

よし、ロータスを正しい方向に向かわせられるか見てみるか……

FILE 1/1
アイテム番号: SCP-6488
レベル5
収容クラス:
neutralized
副次クラス:
none
撹乱クラス:
none
リスククラス:
none

訓戒

客演 JACK IKE

特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。